市場調査部レポート

2019/03/22 13:203月29日の合意なき離脱は回避

◆ファンダメンタルズ◆
<<相場環境>> 
 3月29日の合意なきブレグジット(英国のEU離脱)は回避されました。ただし、3月25日以降の英議会の対応次第では混迷が深まる可能性もあり、引き続き予断を許さない状況です。
 米FOMCの結果を受けて、市場では利下げ観測が高まっています。今後、経済情勢が悪化して利下げ観測が一段と高まるのか。それとも、シャットダウン(12/22-1/25の政府機関一部閉鎖)の影響はく落などにより、経済情勢が改善して利上げ観測が再浮上するのか。大いに注目されます。
3月28-29日に、米国のムニューシン財務長官とライトハイザーUSTR代表が訪中して通商協議を行う予定です。また、米国がEUを対象にした自動車関税に関しても、何らかの動きがでてくるかもしれません<西田>

【米ドル(/円)】
 19-20日開催の米FOMCは政策金利2.25-2.50%の据え置きを決定しました。

 参加者の政策金利見通し、いわゆる「ドット」の中央値は、19年に「利上げなし」、20年に「利上げ1回」、21年に「利上げなし」を想定(昨年12月時点では、それぞれ2回、1回、ゼロ回)。また、政策金利が2021年末まで据え置かれると予想したのが全17人中5人いました。今後の経済情勢次第ではあるものの、利上げのハードルはかなり高くなったとの印象です。

 また、FOMCは別途声明で、バランスシートの縮小(保有国債の削減)を今年5月からペースダウンし、同9月に終了することを公表しました。バランスシートの縮小による金融の引き締まりを回避するためです。

 21日時点のFFレート(政策金利)先物に基づけば、市場が織り込む確率は、「年内利上げなし」が59%、「年内利下げ」が41%、「年内利上げ」が0%。利下げ観測が高まっています。
 上述の「ドット」によれば、21年までに利下げを想定している参加者はいませんでした。今後の経済情勢によって利下げ観測が一段と高まるようであれば、米ドルには下落圧力が加わりそうです。一方、FOMC参加者の想定が正しく利下げ観測が後退するようであれば、米ドルはサポートされそうです。<西田>

【ユーロ】
 ECB理事会がTLTRO(条件付長期資金供給)の再開を決定した3月7日以降、ユーロは対米ドルで強含み、20日の米FOMC後には2月上旬以来の水準まで上昇しました。米独長期金利差は縮小傾向にありますが(ユーロ高要因)、これは米長期金利の低下が大きかったからです。独長期金利は21日に0.04%に低下し、2016年夏のブレグジット決定直後以来のマイナスも視野に入っています。

 つまり、ユーロの堅調は米ドル安の裏返しであり、ユーロ独自の強気材料があるわけではなさそうです。ブレグジットに関して、3月29日の合意なき離脱は回避されましたが、引き続き予断を許さない状況です。英議会の対応次第で合意なき離脱の可能性が意識されれば、英ポンドだけでなくユーロにも下落圧力が加わるかもしれません。<西田>

【英ポンド】
 英国のメイ首相とEU首脳は、ブレグジットの期日を3月29日から延期することで合意しました。無条件で4月12日まで延期し、英議会がメイ首相の協定案を可決すれば、さらに5月22日まで延期します。
 3月29日の合意なき離脱は回避されました。ただ、英議会が協定案を否決すれば、メイ首相は4月12日に合意なき離脱をするのか、さらに長期の延期を要請するのか、決断を迫られることになりそうです。

 Bloombergなどによれば、今後のスケジュールは以下の通りです。<西田>

【豪ドル】
 豪州の2月雇用統計(3/21発表)は、雇用者数が前月比0.46万人増、失業率が4.9%でした。雇用者数は市場予想の1.40万人増を下回ったものの、失業率は市場予想に反して1月の5.0%から改善し、2011年6月以来、約8年ぶりの低水準を記録しました。

 RBA(豪中銀)は豪景気の先行きについて楽観的な見方を示していますが、その理由として堅調な労働市場が挙げられます。そのため、失業率が改善することは、利下げの可能性の低下を示唆します。今回の失業率の結果は、豪ドルにとってプラス材料です。

 ライトハイザーUSTR(米通商代表部)代表やムニューシン米財務長官が3月28-29日に訪中し、中国側と通商協議を行う予定です。豪ドルは米中通商協議に関する報道に注意が必要です。米中通商協議が進展するとの期待が高まれば、豪ドルの上昇要因になる可能性があります。<八代>

【NZドル】
 RBNZ(NZ中銀)が3月27日に政策金利を発表します。政策金利は現行の1.75%に据え置かれるとみられ、焦点は声明で金融政策の先行きについて新たな材料が提供されるか?になりそうです。

 RBNZは前回2月13日の会合で、「政策金利の次の方向性は、上向きか下向きの可能性がある」と表明。国外経済のリスク増大を指摘しつつも、NZ経済については「世界的に(成長の)勢いが弱まっているにもかかわらず、低金利や政府支出がNZのGDP成長率が2019年に上向くのを支援する」とし、楽観的な見方を示しました。

 NZの2018年10-12月期GDP(3/21発表)は前期比+0.6%と、RBNZの見通しである+0.8%を下回りました。GDPの結果はRBNZに政策スタンスの変更を迫るほど弱くないと考えられますが、3月27日の声明ではNZ経済について慎重な見方が示される可能性があります。その場合、NZドルは上値が重い展開になりそうです。

 NZドルはまた、豪ドルと同様、米中通商協議に関する報道にも注意が必要です。<八代>

【カナダドル】
 米WTI先物(原油価格)は3月21日、一時1バレル60ドル台へと上昇し、約4カ月ぶりの高値を記録しました。足もとの原油高の背景には、米国による経済制裁によってイランやベネズエラからの原油供給が減少するとの観測や、OPEC(石油輸出国機構)が非加盟国との協調減産を少なくとも6月まで継続するとの観測があります。原油価格は当面、堅調に推移する可能性があり、そうなればカナダドルも底堅い展開になりそうです。

 原油価格の動向のほか、カナダの2月CPIや1月小売売上高(22日)1月GDP(29日)もカナダドルの材料になる可能性があります。<八代>

【トルコリラ】
 トルコリラは、米国とトルコの関係に注意が必要です。エルドアン・トルコ大統領がS-400(ロシア製の地対空ミサイルシステム)を購入する方針を示していることに対し、米国はトルコがS-400を購入すればF35戦闘機の供給を停止することを示唆。両国の関係が悪化しています。関係のさらなる悪化につながるニュースが新たに出てきた場合、トルコリラには下落圧力が加わる可能性があります。

 トルコ政府は3月21日、自動車などを対象とする減税措置の延長を発表しました。3月31日までとしていた減税期限を自動車・商用車・家電が6月30日まで、家具・住宅などは12月31日まで延長します。

 トルコの統一地方選が3月31日に行われます。市場では、統一地方選にAKP(公正発展党)が敗れれば、エルドアン大統領はバラマキ的な政策を強化するとの懸念があります。減税措置の延長によって市場はその懸念を一段と強める可能性もあります。<八代>

【南アフリカランド】
 SARB(南アフリカ中銀)が3月28日に政策金利を発表し、米格付け会社のムーディーズが29日に南アフリカの格付け見直しを発表します。

 政策金利は現行の6.75%に据え置かれるとみられ、クガニャゴ総裁の会見では政策金利を当面据え置くことが示唆されると考えられます。その通りになれば、南アフリカランドに大きな反応はみられないかもしれません。

 ムーディーズにおける南アフリカの現在の格付けは、投資適格級最低の“Baa3”。仮に格下げされれば、ジャンク(投機的等級)へと転落します。29日の見直し発表に向けて、南アフリカランドは格付けをめぐる観測に左右される可能性もあります。

 エスコム(南アフリカの国営電力会社)が18日に計画停電を再開しました。計画停電は18日から連日実施されており、22日も行われる予定です。計画停電の実施は南アフリカランドにとってマイナス材料です。<八代>



◆テクニカル◆
※「テクニカル」は来週再開いたします。


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