市場調査部レポート

2019/02/08 13:35米利上げ休止でも、米ドルは堅調!?

◆ファンダメンタルズ◆
<<相場環境>> 
 1月29-30日の米FOMCで、利上げの停止やバランスシート(≒保有債券)縮小の早期終了が示唆されました。利上げの継続や金融政策の正常化という、ここ数年の米ドルを支えてきた大きな柱が揺らぎつつあります。米ドルの行方に関して、「次の一手」が利上げなのか、利下げなのかが大きなカギを握っています。その結果は簡単には判明しないでしょうが、それまでにも米ドルは上値の重い展開が想定されるところです。

 ただし、足もとではその他の主要国中央銀行(日銀を除く)も、程度の差こそあれ政策スタンスが「タカ派⇒ハト派」へと変化してそれぞれの通貨の下押し要因となっており、結果として米ドルをサポートしています。<西田>

【米ドル(/円)】
 ワイルドカード(=かく乱要因)となりうるのが、メキシコ国境の壁を巡るワシントンの動きでしょう。1月25日にトランプ大統領と議会が合意した暫定予算は2月15日に失効します。議会では、民主党と共和党の超党派で、国境警備の強化を含む新たな予算案が検討されており、合意が近いとの観測もあります(日本時間8日午後1時時点)。ただし、物理的な壁に固執するトランプ大統領が議会の予算案を受け入れるかどうかは不透明です。トランプ大統領が予算案を拒否して、改めてシャットダウン(政府機関の一部閉鎖)となれば、あるいはその観測が高まれば、米ドルに下押し圧力が加わりそうです。<西田>

【ユーロ】
 ユーロ圏の景気悪化が鮮明になりつつあります。1月24日のECB理事会後の会見で、ドラギ総裁は経済成長に対するリスクは「下方向に転じた」との見解を表明しました。
 7日、欧州委員会は経済見通しを公表しました。ユーロ圏の2019年のGDP成長率予想は1.3%と、3カ月前の1.9%から下方修正されました。とりわけ、イタリア(0.2%←1.2%)やドイツ(1.1%←1.8%)の下方修正が目立ちました。

 イタリアは昨年10-12月期に2期連続マイナス成長となり、事実上のリセッション(景気後退)入りしました。6日、IMFはイタリア経済が長期低迷するとの予測を発表しました。そうした状況下で、「五つ星」と「同盟」の連立政権は、減税や歳出増加など財政規律に反するポピュリスト的姿勢を強めるかもしれません。

 ドイツの12月の製造業受注指数は前月比-1.6%、前年比-7.0%の大幅なマイナスとなりました。14日に発表される10-12月期のGDP成長率が前期に続いてマイナスとなれば、「ドイツもリセッション入り」との懸念が強まるかもしれません。<西田>

【英ポンド】
 7日、BOE(英中銀)はMPC(金融政策委員会)を開催、政策金利を0.75%で据え置くことを全会一致で決定しました。

 BOEは今年の経済成長率の予想を1.2%とし、3カ月前の1.7%から下方修正。ブレグジット(英国のEU離脱)の不確実性による経済への下押し圧力を見込んだとしました。
 また、MPC後の会見で、カーニー総裁は、英経済は合意なき離脱に対する準備ができていないとし、そうなればマイナス成長の可能性が高まるだろうと付け加えました。

 カーニー総裁は会見で、スムーズなブレグジットが実現することを前提とするなら、限定的かつ緩やかな利上げが必要になるとの見解も表明。それを受けて、BOEの決定前から下落していた英ポンドは反発しました。もっとも、「スムーズなブレグジット」との前提条件が満たされるかどうかは非常に不透明です。

 一方、7日、英国のメイ首相はブリュッセルでユンケル欧州委員長らと会談しました。一部報道によれば、メイ首相はアイルランド国境に関するバックストップに関して、(1)物理的な国境に代えてテクノロジーを活用する(2)バックストップに期限を設ける(3)英国がバックストップから一方的に離脱できる、との3つの選択肢を提示。しかし、EU側はいずれも受け入れなかったとされています。
 メイ首相は8日にアイルランドのバラッカー首相と会談する予定で、関係者に精力的に働きかけをしていますが、局面打開のめどは立っていません。引き続きブレグジット交渉の行方が注目されます。<西田>

【豪ドル】
 豪ドルは今週(2/4の週)、大幅に下落。対米ドルや対円で約1カ月ぶりの安値を記録しました。RBA(豪中銀)が金融政策スタンスを“引き締め方向”から“中立”へとシフトしたことが主因です。

 ロウRBA総裁は6日の講演で、「次の政策変更は、利上げと利下げのいずれもあり得る」と述べ、「失業率の上昇が持続し、インフレ率が目標に近づかなければ、ある時点で利下げが適切になる可能性もある」と語りました。ロウ総裁らRBA当局者はこれまで、金融政策の次の一手は“利下げよりも利上げの可能性が高い”との見方を示していました。

 RBAは8日に金融政策報告を公表。2019年と2020年の豪GDP成長率やインフレ率の見通しを18年11月時点から下方修正し、豪住宅市場の減速がかなりの不確実性をもたらしているとの見方を示しました。

 市場では、RBAの次の一手は利下げとの観測がありました。ロウ総裁の発言や金融政策報告を受けて、利下げ観測は一段と高まるとみられ、豪ドルはさらに下値を試す可能性があります。目先の下値メドとして、豪ドル/米ドル0.6979米ドル(1/2安値)、豪ドル/円76.95円(1/7安値)が挙げられますが、その水準を割り込む可能性もあります。

 ムニューシン財務長官やライトハイザーUSTR(米通商代表部)代表ら米国の交渉団が来週、北京を訪問して中国側と通商協議を行う予定です。通商協議に関して新たなニュースが出てくれば、豪ドルが反応する可能性があります。<八代>

【NZドル】
 NZドルは今週(2/4の週)、対米ドルや対円で約2週間ぶりの安値を記録しました。同じオセアニア通貨である豪ドルに引きずられたほか、2018年10-12月期のNZ雇用統計がNZドルへの下落圧力となりました。雇用統計の結果は、失業率が4.3%、就業者数が前期比+0.1%、前年比+2.3%となり、いずれも市場予想の4.1%、+0.3%、+2.6%よりも弱めでした。

 来週(2/11の週)のNZドルは、13日のRBNZ(NZ中銀)の政策金利発表が最大の材料になりそうです。政策金利は現行の1.75%に据え置かれるとみられ、焦点は金融政策の先行きに関するRBNZの見解になりそうです。

 RBNZは前回18年11月の会合時の声明で、経済成長とインフレ見通しへのリスクは上下両方向にあると指摘し、金融政策報告では利上げ開始時期を2020年7-9月期と予想しました。

 前回会合以降、世界経済の先行き懸念が高まったうえ米中貿易摩擦の行方は依然として不透明。NZの経済指標も軟調です。RBNZは利上げ開始時期の予想を2020年7-9月期から後ズレさせる可能性があります。そうなれば、NZドルは下落しそうです。<八代>

【カナダドル】
 カナダドルは今週(2/4の週)、対米ドルで約2週間ぶりの安値を記録しました。原油価格が軟調に推移したことが主因と考えられます。

 8日のカナダの1月雇用統計(執筆時点では未発表)が市場予想(失業率:5.7%、雇用者数:0.80万人増)から大きく乖離するようであれば材料になる可能性もあります。そうならなければ、カナダドルは原油価格の動向に引き続き左右される展開になりそうです。

 世界経済の減速によって原油需要が減少するとの懸念が根強くあるため、原油価格は引き続き上値が重い展開が想定されます。その場合、カナダドルも上昇しにくい地合いになりそうです。<八代>

【トルコリラ】
 トルコの1月のCPI(消費者物価指数)が2月4日に発表され、結果は前年比+20.35%と、2018年12月の+20.30%からわずかに上昇率が加速しました。構成項目のうち、最大のウエイトを占める食品・ノンアルコール飲料(23.29%)が前年比+30.97%と、最も高い伸びを示し、それがCPI全体を押し上げました。


出所:トムソン・ロイターより作成

 市場では、TCMB(トルコ中銀)が早期に利下げを行うとの観測が根強くあります。ただ、1月のCPI上昇率が、わずかとはいえ前月から加速したことを踏まえると、TCMBが早期に利下げに踏み切る可能性は低下したとみられます。TCMBの利下げの可能性が低下することは、トルコリラにとってプラス材料と考えられます。

 ただし、エルドアン・トルコ大統領のTCMBの金融政策に関する発言や米国とトルコの関係、シリア情勢には引き続き注意が必要です。対円(トルコリラ/円)については、米ドル/円の動向にも目を向ける必要があります。<八代>

【南アフリカランド】
 南アフリカランドは今週(2/4の週)、軟調に推移しました。米ドルが全般的に上昇したことで、南アフリカランドは対米ドルで下落し、対円は対米ドルの下げに引きずられました。

 来週(2/11の週)は、南アフリカの製造業生産(12日)小売売上高(13日)鉱業生産(14日)が発表されます。ただ、足もとの南アフリカランドは、南アフリカの経済情勢以上に米ドルの動向に左右されやすい地合いであり、この状況は当面続く可能性があります。<八代>



◆テクニカル◆

※上記想定レンジおよび投資戦略アイデアは、各種テクニカル指標を基に週間ベースの想定をしています。
※最終的な投資判断はご自身で行っていただくようお願いいたします。

〇“Pick Up”通貨:米ドル/円、NZドル/円

【米ドル/円】 (2/11-15 戦略アイデア) コアレンジ:108.40-110.50円、売り・トラリピ

 
 上図チャートでは、1) 21日MA(移動平均線)がやや右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態となっていること、3) ローソク足の下方でパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)が点灯していること、そして、4) DMI(方向性指数)の3本の線(ADX、+DI、-DI)が収斂するような形状となっている(上図赤色点線丸印)ことから、米ドル/円は上下方向性の乏しいレンジ相場となっていることが視認できます。

 足もとでは、【110円の壁】が厳然と存立しており(上図黒色点線)、当該レートの刹那的な上抜けはあるものの、ある程度しっかりしたレジスタンスラインとなり得ています。

 暫く、この【110円の壁】がワークすると想定するものの、仮に当該レートを終値ベースで上抜けブレークした場合は、BB(ボリンジャーバンド)・+2σラインをややオーバーシュートする水準までの上昇も想定すべきでしょう。

 以上を概括すると、次週(2/11-15)における米ドル/円の下値メドは、BB・-2σラインを基準とする「108.40円」、同上値メドはBB・+2σラインをややオーバーシュートする水準である「110.50円」と想定します。よって、当該ゾーン(108.40-110.50円、上図黄色四角枠)をベースとする「売り・トラリピ」を仕掛けるのも一案でしょう。<津田>

【NZドル/円】 (2/11-15戦略アイデア) コアレンジ:73.00-75.70円、買い・トラリピ
 
 上図チャートでは、1) 21日MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態となっていること、3) ローソク足の上方でパラボリック・SARが点灯していること、そして、4) DMIで-DI>+DIとなっていること(上図青色点線丸印)から、NZドル/円はレンジ相場を形成する上での下押しフロー主体の時間帯と捉えて良いでしょう。

 喫緊の注目ポイントは、ローソク足がBB・-2σライン(≒73.00円)でサポートされるか否か。

 当該ラインでサポートされた場合は、BB・-2σライン(≒73.00円)が「下値固め」→「反発/上昇フロー」へと転換する起点となりそうです。

 一方で、当該ラインでのサポートに失敗した場合は、「下端突破」→「下降モメンタムの強化」へと転換する起点となる可能性も。

 いずれにしても、先述の通り、BB・-2σライン(≒73.00円)がNZドル/円の上下分水嶺となる可能性があるため、要注目でしょう。

 以上を概括すると、次週(2/11-15)におけるNZドル/円の下値メドは、BB・-2σラインを基準とする「73.00円」、同上値メドはBB・+2σラインを基準とする「75.70円」と想定します。よって、当該ゾーン(73.00-75.70円、上図黄色四角枠)をベースとする「買い・トラリピ」を仕掛けるのも一案でしょう。<津田>


【マーケットView】
マーケットViewは、毎日16時ごろアップの予定です。

※動画のアップ時間は前後する可能性があります。

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※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

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