市場調査部レポート

2018/09/14 13:46ブレークスルー?

各通貨ペアの投資戦略については「Weekly投資戦略ガイド」をご参照ください。次回は9月18日更新です(17日が祝日のため)。

◆ファンダメンタルズ◆
<<相場環境>>  
 これまで暗礁に乗り上げていた交渉などが動き出す、いわゆる「ブレークスルー」の兆候が散見されます。

 米国が中国との新たな通商協議を提案、中国もこれを受け入れました。中国当局によれば、両国は具体的な作業を開始しており、新協議はワシントンで行われる可能性があるようです。

 アイルランド国境の問題を巡って難航していた英国とEUの離脱交渉でも、双方が歩み寄る姿勢をみせているようです。EUが英国の受け入れ易い条件を準備しているとのこと。19日にはザルツブルグ(オーストリア)で非公式のEUサミットが開催され、そこでブレグジット交渉の進捗が点検されるようです。報道によれば、10月の英保守党大会の終了後に合意に達する可能性があるようです。

 米国とカナダのNAFTA見直し交渉は、一応の期限とされる9月末に向けて進展するでしょうか。9月18日に開会する国連総会(総会の討議は9/25-10/1の予定)に関連して、日米首脳会談で日米新通商協議の成果が報告されるか、米トルコ首脳会談が開催されて、両国の関係改善につながるか、なども注目されるところです。また、9月18日の南北首脳会談を受けて、停滞感の強い朝鮮半島の非核化は動き始めるでしょうか。

 いずれも簡単に解決する課題ではなく楽観は禁物ですが、「ブレークスルー」があれば相応に市場が反応しそうです。<西田>

【米ドル(/円)】
 8月のCPI(消費者物価)はやや弱めでした。ただ、ベージュブック(地区連銀経済報告)では、労働市場のひっ迫や「トランプ関税」を背景としたインフレ圧力の高まりが報告されました。2年金利(2年物国債利回り)は上昇基調を鮮明にしており、長期金利(10年物国債利回り)は今年8月上旬以来となる3%超に迫っています(3%を明確に超えれば今年5月以来のこと)。FRBの利上げ観測が強まって市場金利が上昇すれば、米ドルのサポート要因となりそうです(ただし、景気にやや減速感があること、FRB内部でも政策金利が中立水準に接近しているとの見方があることなどから、いずれ「利上げ打ち止めが近い」との観測が浮上する可能性はあります)。


 他方、現状維持が予想される日銀の金融政策決定会合(9/19)や安倍総裁の3選が見込まれる自民党総裁選(9/20投開票)は、よほどのサプライズがない限り、市場の反応は薄そうです。<西田>

【ユーロ】
 9月13日、ECB理事会は金融政策の現状維持を決定。QE(量的緩和)を年内に段階的に終了すること、利上げ開始は早くとも2019年夏以降であることを改めて確認しました。
 ECBは今年と来年の経済見通しを小幅下方修正したものの、ドラギ総裁は記者会見で、経済には基調的強さがあり、貿易摩擦の悪影響は乗り切れるとの楽観的な見解を表明しました。ただし、世界経済の下方リスクとして保護主義の台頭を挙げており、今後の進展を慎重に見守る意向のようです。

 イタリアの予算に関連して、ディマイオ副首相やサルビーニ副首相、トリア財務相がいずれもEUの財政ルール(GDP比3%以内)を順守する意向を示しました。ただし、両副首相は、選挙戦の公約だった最低所得保障やフラットタックスの導入、年金改革の見直しに引き続き意欲をみせているようです(いずれも財政赤字拡大要因)。また、財政規律を重視するトリア財務相の辞任のうわさが出るなど、イタリアの予算を巡る懸念は根強く残りそうです。<西田>

【英ポンド】
 9月13日、BOE(英中銀)のMPC(金融政策委員会)は、全会一致で金融政策の現状維持を決定しました。BOEは8月に政策金利を0.75%に引き上げたばかりであり、広く予想された結果でした。同日に開催された臨時閣議でBOEのカーニー総裁は、EUからの「合意なき離脱」は大惨事を招くと警告したと報道されています。2019年3月に予定されるブレグジットの影響に対応するため、カーニー総裁は19年6月の任期を20年1月まで延長しました。カーニー総裁は、ブレグジット交渉の行方をにらみながら、慎重に追加利上げを判断しそうです。<西田>

【豪ドル】
 豪ドルは今週(9月10日の週)、対米ドルや対円で堅調に推移しました。「ムニューシン米財務長官が中国に貿易問題をめぐる2国間協議の再開を提案した」と報道(12日)されたことで、米国と中国の貿易摩擦に関する懸念が和らぎ、豪ドルの支援材料となりました。豪州の8月雇用者数(13日発表)が前月比4.40万人増と、市場予想(1.50万人増)を上回ったことも、豪ドルの上昇要因となりました。

 米中の貿易摩擦については、協議が再開されたとしても、両国の貿易摩擦が解消されるかどうか不透明な部分はあります。米中貿易摩擦に対する懸念を再燃させるニュースが新たに出てくれば、市場は再びリスク回避姿勢を強め、豪ドルに下押し圧力が加わる可能性もあります。

 また、今のところ市場でそれほど材料になっていないものの、中国・上海総合指数や人民元が軟調に推移しています。今後は中国情勢にも注意が必要かもしれません。<八代>

【NZドル】
 NZドルは今週(9月10日の週)、対米ドルや対円で反発しました。米中の貿易摩擦に対する懸念が後退したことが、豪ドルと同様にNZドルへの支援材料となりました。

 NZドルは、米中の貿易摩擦に関するニュースに引き続き注意が必要です。また、20日発表のNZの4-6月期GDPも材料になる可能性があります。市場では、RBNZの次の一手は“利下げ”になるとの観測があります。RBNZは8月9日の金融政策報告で、4-6月期のGDP成長率を前期比+0.5%との見通しを示しました。4-6月期のGDPがRBNZの見通しを下回る結果になれば、“RBNZの次の一手は利下げ”との見方がさらに強まり、NZドルに下押し圧力が加わる可能性があります。<八代>

【カナダドル】
 カナダドル/円は9月14日、約2週間ぶりの高値をつけました。「カナダはNAFTA(北米自由貿易協定)見直し交渉で、乳製品分野で譲歩する可能性がある」(11日)との報道や、米中の貿易摩擦に対する懸念後退が、カナダドル/円を押し上げました。

 米国とカナダのNAFTA見直し交渉は、依然として乳製品分野や19条(紛争解決メカニズムを規定)において両国に意見の隔たりがあり、合意に至っていません。NAFTA見直し交渉について新たなニュースが出てくれば、カナダドルが反応する可能性があります。

 来週(9月17日の週)は、21日にカナダのCPI(消費者物価指数)と小売売上高が発表されます。市場では、BOC(カナダ中銀)が10月24日の次回会合で追加利上げに踏み切るとの観測があり、CPIなどがその見方を補強する結果になれば、カナダドルが上昇しそうです。<八代>

【トルコリラ】
 TCMB(トルコ中銀)は9月13日、6.25%の利上げを決定。政策金利である1週間物レポ金利を17.75%から24.00%に引き上げました。TCMBは声明で、「インフレ見通しに関する最近の動向は、物価安定への重大なリスクを示す」と指摘し、「物価安定を支援するため、強力な金融引き締めを実施することを決定した」と説明。必要な場合には追加利上げを行う姿勢を示しました。

 エルドアン大統領が利下げを要求するなか、TCMBは今回、大幅な利上げに踏み切りました。そのことは、TCMBが政府から独立していることを示すとともに、インフレ抑制やトルコリラ防衛に向けてのTCMBの決意を示したと言えそうです。今回の利上げはトルコリラのプラス材料と考えられ、トルコリラは目先、戻りを試す展開になる可能性があります。

 ただ、エルドアン大統領は今後もTCMBに対して利下げ圧力を加え続けるとみられるため、TCMBの独立性をめぐる懸念は再燃する可能性があります。

 また、米国とトルコの関係が改善に向かう兆しはみられないうえ、拡大する経常赤字への対応策は依然なされていません。高インフレによる購買力の低下やTCMBのこれまでの利上げ(4月以降の利上げ幅は計11.25%)の影響によって、トルコ経済は今後リセッション(景気後退)に向かうとの観測もあります。

 アルバイラク・トルコ財務相は9月13日、中期経済計画を20日に発表すると表明。市場の関心は今後、中期経済計画へと向かう可能性があります。トルコリラがさらに戻りを試す展開になるには、中期経済計画で、経常赤字の縮小に向けての具体策が示される必要がありそうです。<八代>

【南アフリカランド】
 今週(9月10日の週)の南アフリカランド/円は、堅調に推移しました。米中の貿易摩擦に対する懸念が後退したことが、ランド/円の支援材料となりました。ランド/円は引き続き米中貿易摩擦の行方に注意が必要です。

 9月19日に南アフリカのCPI(消費者物価指数)20日にSARB(南アフリカ中銀)の政策金利が発表されます。SARBの政策金利については、現行の6.75%に据え置かれるとみられます。市場では、SARBは政策金利を年内据え置いて、来年初めに利上げを行うとの観測があります。クガニャゴ総裁の会見が市場のこうした見方を変化させる内容になれば、南アフリカランド相場が反応する可能性があります。<八代>


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※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

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