市場調査部レポート

2018/06/08 12:53日・米・欧の金融政策に注目

各通貨ペアの投資戦略については「Weekly投資戦略ガイド」をご参照ください。原則、毎月曜更新(次回は6月11日)です。

◆ファンダメンタルズ◆
<<相場環境>>

 米朝首脳会談は12日に予定通り開催されそうです。ご祝儀的なリスクオンはありそうですが、相場材料となりそうなサプライズの成果や逆に物別れといった結果はなさそうです。注目は、13日FOMC14日ECB理事会15日日銀政策会合の結果。FOMCは利上げが確実視され、「それ以降」について何らかのヒントが出るでしょうか。ECBはQE(量的緩和)終了を議論しそうですが、公式発表があるかどうかは微妙。日銀会合は「出口戦略」への言及の可能性を除けば、ノンイベントとなりそうです。
 引き続き、トランプ政権の通商政策や、欧州の政治情勢に関して相場材料が出てくる可能性があります。<西田>

【米ドル(/円)】

 米朝首脳会談では、対話継続が確認される程度でしょう。リスクオンが強まれば、「円<米ドル<その他通貨」、リスクオフが強まれば、「円>米ドル>その他通貨」ですが、大きな相場材料となりそうな結果は予想できません。
 FOMCでは0.25%の利上げがほぼ確実。それ以降の利上げペースに関するヒントが出てくるでしょうか。市場の関心は、その後年内に1回利上げか、2回利上げか。ただ、「FOMCドット」などで示唆される来年の利上げ回数が相場材料になるかもしれません。トランプ政権は、EUやカナダ、中国、日本などに対して通商政策で攻勢をかけており、保護貿易主義の強まりが意識されれば、リスクオフの米ドル安円高になる可能性がありそうです。<西田>

【ユーロ】
 ECB内では、QEの年内終了を求めるタカ派の声が強まっている模様です。7月理事会で正式決定が下されそうですが、14日の理事会でタカ派の主張が漏れてくれば、ユーロ高要因となりそうです。一方で、ドラギ総裁が会見で火消しに回る可能性があります。イタリア新政権の政策は、最低所得税や減税など反ユーロ的な財政赤字拡大要因であり、潜在的なユーロ安要因となりそうです。<西田>

【ポンド】
 英議会で、ブレグジット法案の審議が佳境を迎えそうです(12日に採決予定)。EU単一市場への在留の是非を巡って、メイ政権が一段と弱体化するようなら、解散総選挙の可能性が浮上しそうです。英CPIがよほど上振れしなければ、6月21日金融政策委員会での利上げ観測は高まらないとみられます。<西田>

【豪ドル】
 堅調な豪経済指標(4月小売売上高や1-3月期GDP)や、米長期金利(10年債利回り)の上昇一服が豪ドルの支援材料になる一方、豪ドルには上値を抑える材料も存在します。原油価格が足もと軟調に推移しており、また米国の通商政策をめぐる懸念もあります。そして、米朝首脳会談が12日に開催されます。原油価格が一段と下落するなどすれば、豪ドルは上値が重くなる可能性があります。来週(6月11日の週)の豪州の主な経済指標には、5月雇用統計(14日)があります。<八代>

【NZドル】
 NZドルは国内要因以上に外部要因(原油価格や米長期金利の動向など)に反応しやすい地合いです。来週(6月11日の週)はNZの経済指標発表がないため、この状況はしばらく続きそうです。原油価格や米長期金利の動向、そして12日の米朝首脳会談にNZドルは影響を受けそうです。<八代>

【加ドル】
 加ドル/円は足もと84円台を中心に推移し、目先の方向感を失っている感があります。加ドルは、BOC(加中銀)の7月利上げ観測が支援材料となる一方、米国とカナダの通商政策を巡る懸念や、足もと軟調な原油価格が上値を抑えています。米国とカナダの通商政策について新たな材料が提供されず、また原油価格に大きな変動がなければ、加ドル/円は引き続き、84円台を中心にした値動きになりそうです。<八代>

【トルコリラ】
 TCMB(トルコ中銀)は7日、1.25%の利上げ(政策金利を16.50%から17.75%へ)を決定しました。このことは、トルコリラにとっていったんプラス材料と考えられます。利上げによって、TCMBが政府から独立していることを示すとともに、インフレ抑制に向けてのTCMBの決意を示したと言えそうです。*8日のスポットコメント『トルコ中銀は1.25%の利上げを決定!トルコリラにとっていったんプラスか』をご覧ください。
 来週(6月11日)は、トルコの4月経常収支や1-3月期GDP(いずれも11日)が発表されます。トルコ経済の課題のひとつに経常赤字の大きさが挙げられます。また、市場では景気が過熱しているとの懸念もあります。トルコリラはTCMBの利上げを受けて上昇したものの、経常赤字やGDPの結果次第では上値が重くなる可能性があります。<八代>

【南アフリカランド】
 南アフリカランド/円は7日、約半年ぶりの安値を記録しました。5日に発表された1-3月期のGDPを受けて南アフリカ経済への懸念が浮上し、ランドに下落圧力が加わりました。GDPは前期比年率マイナス2.2%と、市場の予想(マイナス0.5%)以上のマイナスになりました。来週(6月11日の週)は、南アフリカの4月小売売上高(13日)や4月鉱業生産(14日)が発表されます。それらによって景気の低迷が示されれば、ランドには一段の下押し圧力が加わる可能性があります。<八代>

◆テクニカル◆(“Pick Up”通貨:米ドル/円、ユーロ/米ドル)
【米ドル/円】  (6/11-15 戦略アイデア) コアレンジ:108.50-110.30円、買い・らくトラ

 以下、米ドル/円・日足・スパンモデル®+21日BB(ボリンジャーバンド)+パラボリック+DMI(方向性指数)をご覧ください。

  上図チャートより、1) 21日MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となっていること、3) ローソク足が21日MA付近にあり、下方に青色の雲(=サポート帯)があること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方にあること、そして、5) DMI(方向性指数)で-DIと+DIが絡み合い、かつADXが右肩下がりとなっている(上図青色点線丸印)ことから、足もとの米ドル/円は下方硬直性を伴うレンジ相場となっていることが見て取れます。(※6/8時点)

 上図チャートにおける注目ポイントは2点。まず1点目は、ローソク足が21日MAライン(≒109.82円)付近にあること。21日MAとは、おおよそ1ヵ月間における市場参加者の平均売買コストと捉えることができ、8日時点のローソク足は、言わば“居心地のいい”水準に滞在していると捉えることができます。

 そして2点目は、各BBが21日MAに対してパラレルに推移していること。当該メルクマールは、典型的なレンジ相場を示唆するものであり、日足レベルにおける米ドル/円相場のコアレンジは、BB・-2σラインからSARの間のゾーンである108.50-110.30円と想定します。
 よって、次週(6/11-15)の米ドル/円は、108.50-110.30円をコアレンジとする買い・トラリピ(らくトラ)がワークしそうです。<津田>

【ユーロ/米ドル】 (6/11-15 戦略アイデア) コアレンジ:1.1700-1.1930ドル、買い・らくトラ

 以下、ユーロ/米ドル・日足・スパンモデル®+21日BB(ボリンジャーバンド)+パラボリック+DMI(方向性指数)をご覧ください。
 
 上図チャートより、1) 21日MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合いつつあること、3) ローソク足が赤色の雲(=抵抗帯)の中に入り込んでいること、4) 各BBが21日MAに対してパラレルに推移していること、そして、5) DMIで-DI>+DIとなっている(上図赤色点線丸印)ことから、足もとのユーロ/米ドルは「下降トレンド一服」→「反発」の時間帯となっています。

 上図チャートにおける注目ポイントは2点。まず1点目は、ローソク足が赤色の雲(=抵抗帯)の上辺である先行2スパン(≒1.1960ドル、上図黄色矢印)を終値レベルで上抜けブレークするか否か。当該スパンは、直近高値(4/17 1.2410ドル)と同安値(5/29 1.1510ドル)を結んだフィボナッチ・50.0%ライン、いわゆる“半値戻し”ラインと同一であることから、目先の重要テクニカルラインと捉えるべきでしょう。仮に上抜けブレーク成功となった場合は、フィボナッチ・61.8%ラインである1.2066ドル付近までの「戻り」も想定すべきでしょう。
 そして2点目は、今後のDMIの動向。これからの時間において、+DI>-DIの乖離が拡大するような展開となった場合は、上昇モメンタムが強まる可能性が高そうです。

 上記メルクマールを総合的に勘案すると、次週(6/11-15)のユーロ/米ドルは、先行1・2スパンの間のゾーン(≒1.1700-1.1930ドル)をベースとする買い・トラリピ(らくトラ)がワークしそうです。<津田>


※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

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※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

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