市場調査部レポート

2018/06/01 13:45警戒すべき米保護主義の高まり

各通貨ペアの投資戦略については「Weekly投資戦略ガイド」をご参照ください。原則、毎月曜更新(次回は6月4日)です。

◆ファンダメンタルズ◆
<<相場環境>>
米国の通商政策が注目されます。6月2日にロス商務長官が北京入りし、米中通商交渉が再開される見込みです。米国の鉄鋼・アルミ関税に対するEUやカナダ、メキシコの報復措置を市場はどう受け止めるでしょうか。自動車関税の問題も残ります。5月31日‐6月2日のG7財務相・中央銀行総裁会議7日の日米首脳会談8-9日のG7サミットで、当局者からどのようなメッセージが出てくるでしょうか。米朝首脳会談(6/12?)に関するニュースも相場材料となりそうです。4日のトルコCPIと7日のTCMB会合も要注目です。(西田)

【米ドル(/円)】
米保護主義の高まりや米朝首脳会談の延期・中止観測がみられれば、それらはリスクオフ要因となりそうです。その場合、「円>米ドル>その他主要通貨>資源・新興国通貨」の序列形成となりそうです。(西田)

【ユーロ】
イタリアでの「五つ星運動」と「同盟」による連立政権は4‐5日の議会投票を経て発足する見込み。ユーロ批判派の財務相就任が阻止されたこと、再選挙の可能性がほぼ消滅したことなどから、市場はいったん好感した格好です。ただし、新政権は財政面などで反ユーロ的政策を推進する可能性が高く、潜在的なユーロ安材料か。 (西田)
⇒スポットコメント「イタリアの悪い金利上昇もユーロ安要因!?」(5/30)をご参照。

【ポンド】
4月中旬以降のポンド安の背景は、BOE(英中銀)の利上げ観測の急速な後退に加えて、ブレグジット(英国のEU離脱)交渉の難航があります。アイルランドとの国境問題や関税同盟離脱の是非などに関して、英与党保守党内でも足並みが乱れています。メイ首相の求心力が一段と低下するようであれば、解散総選挙の観測が浮上する可能性があり、ポンド安材料となりそうです。

【豪ドル】
足もとの豪ドルは、原油価格やリスク意識の変化(リスクオン/オフ)に反応しやすい地合いです。6月5日にRBA(豪中銀)の政策会合が開催されます。政策金利は1.50%に据え置かれ、声明では金融政策の現状維持を当面続けることが改めて表明されそうです。その通りになれば、市場でほとんど材料視されないと見られます。

来週(6月4日の週)発表される豪州の経済指標は、RBAの政策会合のほか、小売売上高(4日)経常収支(5日)GDP(6日)貿易収支(7日)があります。<八代>

【NZドル】
NZドルは豪ドルと同様に、原油価格やリスク意識の変化(リスクオン/オフ)に反応やすい地合いです。来週(6月4日の週)は、5日に乳製品オークションが開催されるものの、乳製品価格の動向はこのところ、市場では材料になっていません。今回もそれほど材料視されない可能性があります<八代>

【加ドル】
加ドルは上値が重いながらも、下値も堅い展開になりそうです。米国とカナダの貿易戦争をめぐる懸念が、加ドルの上値を抑える可能性があります。カナダは米国の鉄鋼・アルミニウムの輸入関税への報復措置として、米国に最大166億米ドル規模の関税を課す計画を打ち出しました。また、足もと軟調な原油価格も加ドルの重しとなりそうです。一方で、市場ではBOC(カナダ中銀)の5月30日の会合時の声明を受けて、次回7月の会合での利上げ観測が高まりました。BOCの利上げ観測が加ドルを下支えするとみられます。<八代>

【トルコリラ】
トルコの5月CPI(消費者物価指数)が6月4日に発表され、TCMB(トルコ中銀)は7日に定例会合を開催します。とりわけTCMBの会合の結果は、その後のトルコリラの動向に影響を与える可能性があります。

市場は、5月23日の3%の緊急利上げではインフレを抑えるには不十分であり、追加利上げが必要と見ています。こうした見方があるなかで、6月4日発表のCPI上昇率が市場予想(前年比+12.08%)を上回った場合、市場はTCMBへの利上げ圧力を一段と強める可能性があります。

4日のCPIの結果にもよりますが、7日のTCMB会合では、“市場がインフレ抑制に十分と見なす幅の利上げが決定されるか?”が焦点になりそうです。1週間物レポ金利(政策金利)が据え置かれる、あるいは利上げをしたとしても、幅が不十分と市場が判断した場合、トルコリラには下落圧力が加わる可能性があります。<八代>

【南アフリカランド】
南アフリカランドは、国内要因以上に国外要因に反応しやすい地合いです。足もとのランドの軟調は、主に国外要因(米長期金利の上昇、イタリアやスペインの政治をめぐる懸念)によるものと考えられます。イタリアの政治をめぐる懸念は後退しましたが、米国が5月31日に鉄鋼とアルミニウムの輸入関税をEU(欧州連合)などにも適用すると発表。世界的な貿易戦争への懸念が再燃する可能性があります。リスクオフの動きが強まる場合、ランドにとってマイナス材料と考えられます。南アフリカの1-3月期GDPが6月5日に発表されるものの、市場ではそれほど材料視されない可能性もあります。<八代>

◆テクニカル◆(“Pick Up”通貨:米ドル/円、トルコリラ/円)
【米ドル/円】 「108円」でサポートされるか否かが重要ポイント
以下、米ドル/円・日足・スパンモデル®+21日BB(ボリンジャーバンド)+SS(スローストキャスティクス)をご覧ください。

上図チャートの各メルクマールを確認すると、1) 21日MA(移動平均線)が横向きとなっていること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となっていること、3) ローソク足が青色の雲(=サポート帯)の中に入り込んでいること、4) 各BBが21日MAに対してパラレルとなっていること、そして、5) SSを構成する2本の線が20%ライン付近で交差しつつあることから、米ドル/円は下方硬直性を伴うレンジ相場を形成中であることが分かります。

上図チャートのポイントは2点。まず1点目は、SSを構成する2本の線の今後の動向。過去のパターン/傾向を見てみると、ローソク足がBB・-2σライン付近にあることを条件に、SSの2本の線が20%ライン付近で交差する“ゴールデン・クロス”が示現したケースでは、その後「下値固めの時間帯」ないしは「上昇トレンドの起点」となっていることが見て取れます。(上図赤色丸印) これからの時間において、SSの2本の線が右肩上がり形状となるのか、もしくは逆張り系オシレーター指標特有の“フェイク(ダマし)”となるのかに注意する必要がありそうです。

そして2点目のポイントは、ローソク足が先行2スパン(≒108.00円、上図黄色矢印)でサポートされるか否か。仮に、ローソク足が終値レベルで当該スパンを下抜けした場合は、下押しモメンタムが強まる可能性も。足もとの米ドル/円は、この2点に注目すべきでしょう。<津田>

【トルコリラ/円】 下降トレンド一服の時間帯か
以下、トルコリラ/円・日足・スパンモデル®+21日BB(ボリンジャーバンド)+パラボリック+DMI(方向性指数)をご覧ください

 上図チャートの各メルクマールを確認すると、1) 21日MA(移動平均線)が右肩下がりとなっていること、2) 遅行スパンがローソク足の下方にあること、3) ローソク足が赤色の雲(=抵抗帯)の下辺付近にあること、4) 各BBが21日MAに向かってやや収縮(スクイーズ)しつつあること、そして、5) DMIで-DI>+DIの乖離幅が縮小しつつある(上図青色点線丸印)ことから、トルコリラ/円は下降トレンド一服の時間帯であることが分かります。

上図チャートのポイントは2点。まず1点目は、前述の通りDMIにおいて-DI>+DIの乖離幅が縮小している点。これからの時間において-DIと+DIが交差し、その後+DI>-DIへと変化した場合は、トルコリラ/円の下降トレンドが「一旦小休止」となる可能性も。

そして2点目は、ローソク足が先行2スパン(≒24.65円※)を上抜けブレークするか否か。(※6/1時点Bid値基準) 同スパンは、直近高値(4/30 27.04円)と同安値(5/23 22.22円)を結んだフィボナッチ・50%ライン、いわゆる“半値戻し”水準の近似値となっており、上抜けブレークの成否は足もとのトルコリラ/円にとって重要な要素となりそうです。

その一方で、トルコリラ/円の週足および月足チャートでは、明確な下降トレンド形状となっていることから、あくまで“デッド・キャット・バウンス”(=一時的/刹那的な上昇)と見た方が良いでしょう。<津田>


※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

「市場調査部レポート」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ