市場調査部レポート

2018/03/30 14:00【マンスリー・アウトルック(2018/4)】米ドル/円、下値切り下げで「102円台」も視野に?

― 2018年4月の為替相場展望 ―

《相場環境》

4月は国際関係のイベントに市場の関心が集まるかも。米中貿易戦争はエスカレートするか、米国は「為替操作国」を認定するか。そして、朝鮮半島の「非核化」の動きが前進するか、など。米国の2019年度予算の審議や、イタリア政局の行方にも注目か。

<主要通貨の動向>
・【米ドル】米ドル/円、下値切り下げで「102円台」も視野に?
・【ユーロ】ユーロ/米ドル、上昇一服の時間帯となる可能性も
・【英ポンド】英ポンド/円、上昇トレンドへの転換となるか

<資源国・新興国通貨の動向>
・【豪ドル】貿易戦争への懸念が豪ドルの下押し圧力へ
・【NZドル】RBNZの責務追加も金融政策スタンスに変化なし!?
・【加ドル】NAFTA再交渉やBOC政策会合に注目!!
・【トルコリラ】対円や対米ドルなどで過去最安値更新。TCMBの対応は!?
・【南アフリカランド】ランド/円はレンジ内の動きを継続

◆主要経済指標・イベント


≪相場環境≫

4月の重要なイベント・スケジュールを以下に概観します。

4月は国際関係のイベントに市場の関心が集まるかもしれません。
一つには、貿易摩擦のエスカレートが懸念されるなか、米トランプ政権の通商政策や為替政策が注目されます。そして、朝鮮半島の「非核化」に向けた動きがみられることです。

◆米中貿易戦争が勃発!?
トランプ政権は鉄鋼・アルミに関税を賦課しました。そして、欧州や、NAFTA(北米自由貿易協定)を見直し中のカナダとメキシコ、韓国に対して猶予期間を設けて、当面の対象除外としました。中国(や日本)を狙い撃ちにした格好です。

トランプ政権はさらに、知的所有権の侵害を理由に中国からの輸入の最大600億ドルに対して関税を賦課する方針です。また、国際緊急経済権限法を発動して、中国からのIT企業への投資等をブロックする意向です。

対する中国は、農業製品を中心に米国からの輸入に報復関税を賦課する方針です。そして、中国は駐米大使館を通じて「最後まで戦う」との声明を発表しました。

米国と中国は、「全面戦争」を回避するべく、非公式に協議を重ねているとの報道もありますが、予断を許しません。

4月20日のIMF・世銀総会およびG20財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン)は、保護貿易主義のけん制役としての期待がかかります。ただ、3月のG20(ブエノスアイレス)では、昨年7月のG20サミット(ハンブルグ)の声明を確認するにとどまりました。今回も多くは期待できそうにありません。

◆米国は「為替操作国」を認定するか
トランプ政権は、韓国とのFTA(自由貿易協定)の交渉において、通貨切り下げや為替操作を禁止する合意に関して最終段階に至っていると発表しました(韓国政府はややニュアンスが異なり、為替市場の透明性を高めるため未公表だった介入データの公開を検討中とのこと)。

4月中旬には、米財務省から半期為替報告書が公表される予定です。これまで、3つの客観基準を満たして「為替操作国」と認定された国はありません。ただし、昨年10月時点で2つを満たして「監視リスト」入りしていたのは、中国、日本、韓国、ドイツ、スイスの5か国です。「客観基準」が大きく変わる可能性は低そうですが、何らかの形でこれら5か国あるいはその他の国に圧力が加えられるかもしれません。

◆朝鮮半島情勢に変化はあるか
4月の最大の注目点は、朝鮮半島情勢でしょう。ここ数年、北朝鮮の核やICBM(大陸間弾道弾)の実験に関するニュースが、折に触れてリスクオフ要因として相場材料となってきました。ここへきて、北朝鮮が関係各国との対話に前向きな姿勢をみせ始めたことで、朝鮮半島の「非核化」への期待が浮上してきました。
仮に、「非核化」に向けた動きが着実に前進し、「非核化」が実現するならば、本件に関わる地政学的リスクは大きく後退するでしょう。

もっとも、これまでにも北朝鮮が時間稼ぎのために対話の素振りをみせてきた例には事欠きません。対話がどのような成果を生むかだけでなく、対話そのものが実現するかどうかも含めて、過度な楽観は禁物でしょう。

◆イタリアでは再選挙も
3月4日の総選挙の結果を受けた政権交渉が続いています。交渉の中心となるのは、第一党となった「五つ星運動」、そして最大勢力の中道右派連合の「同盟」と「フォルツァ」です。

「五つ星」は同党のディマイオ党首が首相になることを要求しており、中道右派連合はそれに難色を示しています。「同盟」は「フォルツァ」から離れて、単独で「五つ星」と連携することには否定的です。一方、「五つ星」に拒絶反応を示していた「フォルツァ」のベルルスコーニ元首相は態度を軟化させているようです。これら3党が軸となって連立交渉が続きそうです。

「同盟」のサルビーニ書記長と「五つ星」のディマイオ党首は4月2日の週に会談を行う予定であり、マッタレッラ大統領は4月4日から各党の党首との会談をスタートさせるようです。仮に、大統領がどの党首にも政権樹立が困難と判断すれば、再選挙を指示することになるようです。それまでには数週間から数か月がかかる可能性があります。

◆米議会は2019年度の審議へ
米議会は期限ギリギリの3月23日に2018年度包括予算を可決。シャットダウン(政府機関の一部閉鎖)は回避されました。次の課題は、今年10月に始まる2019年度予算の策定です。
議会では、共和党と民主党が2019年度予算の増額で大筋合意していますが、必ずしもトランプ大統領の要求に沿ったものではなさそうです。問題は、財政の規律が失われつつあることで、いずれ債券市場が警鐘を鳴らしても(=悪い金利上昇)不思議ではありません。ただ、予算交渉のヤマ場は11月6日の中間選挙の前後までなさそうです。

<チーフエコノミスト 西田明弘>


<主要通貨の動向>

【米ドル】 米ドル/円、下値切り下げで「102円台」も視野に?

以下、早速ですが、米ドル/円・週足・スパンモデル®+26週BB(ボリンジャーバンド)+パラボリック+DMIをご覧ください。



上図チャートの各メルクマールを確認していくと、以下のようになります。

1) 26週MA(26週移動平均線)が右肩下がりである。
2) 遅行スパンがローソク足に対して下放れしている。
3) ローソク足の上方に赤色の雲(=抵抗帯)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がある。
4) DMI(方向性指数)で-DI>+DIとなっている。(上図青色点線丸印)

上記1)-4)を総合すると、米ドル/円の週足レベルにおけるトレンドは【下降トレンド】であると判断できます。また、BB・±2σラインが26週MAに対して拡張(エクスパンション)していること、また、ローソク足がBB・-1σラインと同・-2σラインの間を推移する「下降バンドウォーク」が示現していることから、当面の米ドル/円は下値切り下げの相場展開となることが想定できます。

では、その下値メドとなる水準はどう見るべきなのでしょうか。そのテクニカル的な根拠を探るために、チャートのタイムフレームを拡大し、月足・複合チャートで確認してみたいと思います。以下、米ドル/円・月足・スパンモデル®+20ヵ月BB+パラボリック+DMIをご覧ください。


 
上図チャートの各メルクマールを確認していくと、以下のようになります。

1) 26週MAが横向きである。
2) 遅行スパンがローソク足に対して絡み合う形状となっている。
3) ローソク足の上方にパラボリック・SARがある。
4) DMIで-DI>+DIとなっている。(上図青色点線丸印)

上記1)-4)を総合すると、米ドル/円・月足レベルにおけるトレンドは【横ばいトレンド(レンジ相場)】であると判断できるため、標準偏差における理論上の下値メドはBB・-2σラインである102.70円(上図赤色三角印)付近と想定することができます。

上図チャートのポイントは・・・DMIの動向

現状(3月時点)では、上記4)で記載した通り-DI>+DIとなり、マイナスの方向性優位の状態となっています。これからの時間帯において、-DI>+DIの乖離がさらに拡大し、同時にADXが右肩上がりとなった場合は、下降モメンタムが強まる可能性を視野に入れるべきでしょう。

<チーフアナリスト 津田隆光>

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【ユーロ】 ユーロ/米ドル、上昇一服の時間帯となる可能性も

以下、ユーロ/米ドル・週足・スパンモデル®+26週BB(ボリンジャーバンド)+パラボリック+DMIをご覧ください。



上図チャートの各メルクマールを確認していくと、以下のようになります。

1) 26週MAが右肩上がりである。
2) 遅行スパンがローソク足の上方に位置している。
3) ローソク足の下方に青色の雲(=サポート帯)がある。

上記1)-3)を総合すると、ユーロ/米ドルの週足レベルにおけるトレンドは【上昇トレンド】であると判断できます。

その一方で、パラボリック・SARがローソク足の上方にあること、そして、DMIで+DIと-DIが接近し、クロスしつつあることから、足もとのユーロ/米ドルは、上昇一服の時間帯となりつつあることが視認できます。

これからの時間帯において、-DI>+DIとなった場合は、刹那的な下押しフローとなる可能性を視野に入れるべきでしょう。その下値メドは、青色の雲の上辺である先行1スパン(≒1.2200ドル)付近と想定して良いでしょう。

<津田>

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【英ポンド】 英ポンド/円、上昇トレンドへの転換となるか

以下、英ポンド/円・週足・スパンモデル®+26週BB(ボリンジャーバンド)+パラボリック+スローストキャスティクスをご覧ください。



上図チャートの各メルクマールを確認していくと、以下のようになります。

1) 26週MAが横向きである。
2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となっている。
3) ローソク足が青色の雲(=サポート帯)の中に入り込んでいる。
4) ローソク足の上方にパラボリック・SARがある。
5) スローストキャスティクスの2本の線が20%ライン付近でクロスしつつある。

上記1)-5)を総合すると、英ポンド/円は【横ばいトレンド(レンジ相場)】から【上昇トレンド】に向けたトレンド転換を試す時間帯であると想定できます。

上図チャートにおいて、注目すべきポイントは・・・スローストキャスティクスの動向。同メルクマールの2本の線がクロスした後に右肩上がりとなる【ゴールデンクロス】が確認できたケースでは、BB・+2σライン付近までの上昇フローの起点となり得ていることが視認できます。(上図赤色丸印、同黒色矢印)

逆張り系オシレーター指標特有の“ダマし”(=フェイク・シグナル)には十分留意する必要がありますが、足もとの英ポンド/円は『下値固め』の時間帯であると言えるでしょう。

<津田>


<資源・新興国通貨の動向>

【豪ドル】 貿易戦争への懸念が豪ドルの下押し圧力へ

3月の豪ドルは軟調に推移。一時、豪ドル/円は約1年4か月ぶり、豪ドル/米ドルは約3か月ぶりの安値を記録しました。豪ドルが下落した背景として、世界的な貿易戦争(特に米国と中国)への懸念からリスク回避の動きが強まったことが挙げられます。リスク回避の高まりは、豪ドルにとってマイナス材料です。

豪州は、3月23日に発動された米国の鉄鋼とアルミニウムの輸入関税の適用対象外です。ただ、市場では、そのことは豪ドルのプラス材料とみなされませんでした。その理由として、豪州の米国への鉄鋼・アルミニウム輸出は多くない(昨年は4億豪ドル強)こと、そして中国が適用対象であることが挙げられます。中国は豪州最大の輸出先(輸出全体の約3割が中国向け)。そのため、豪経済に与える影響は、豪州の適用対象外以上に、中国の適用対象の方が大きいと考えられます。

足もとの為替市場は、米国や中国などの通商政策に関心が向きがちです。各国の経済指標以上に通商政策をめぐる報道や観測に反応しやすい状況です。こうした状況が続く場合、豪ドルはリスク意識の変化(リスクオン、リスクオフ)に影響を受けやすい地合いになりそうです。米中の貿易戦争への懸念が高まるなどしてリスク回避の動きが強まれば、豪ドルには一段と下押し圧力が加わりそうです。その場合のメドとして、豪ドル/米ドルは0.7500米ドル(2017年12月安値)、豪ドル/円は76.76円(2016年11月安値)に向かう可能性があります。

4月豪州の主な経済イベントは、3日のRBA(豪中銀)政策金利4日の2月小売売上高24日の1-3月期CPIなどが挙げられます。それらが市場の“RBAは政策金利を当面据え置く”との見方を変化させる内容や結果になれば、豪ドルが反応する可能性があります。

<シニアアナリスト 八代和也>

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【NZドル】 RBNZの責務追加も金融政策スタンスに変化なし!?

3月のNZドルは明確な方向感が乏しい展開。NZドル/米ドルは0.72-0.74米ドル中心、NZドル/円もおおむね76-78円のレンジで推移しました。同じオセアニア通貨である豪ドルが軟調に推移したのとは対照的です。その一因として、NZと豪州の中国経済への依存度の差や輸出品目の違いが挙げられそうです。輸出全体に占める中国向けの割合は、豪州が約3割、NZが約2割(2016年時点)。主力輸出品は、豪州が鉄鉱石や石炭に対して、NZは乳製品です。米国の鉄鋼・アルミニウム関税の影響はNZよりも豪州の方が大きいと考えられます

また、RBNZ(NZ中銀)の総裁が交代しても、金融政策スタンスが変わる可能性が低いとみられることも、NZドルを下支えしたと考えられます。エイドリアン・オア氏が3月27日にRBNZ総裁に就任。その前日(26日)、オア氏とロバートソンNZ財務相は政策目標協定を締結しました。政策目標協定には、RBNZの責務として、従来の“物価安定”のほか、“持続可能な雇用の最大化”が加えられました。オア新総裁は責務に雇用が追加されたことについて、「RBNZは以前から政策決定において雇用状況を検討してきた。新たな協定はそれをより明確にしたにすぎない」と語り、新たな政策目標協定によって金融政策運営が大きく変化することはないとの見解を示しました。

4月に発表されるNZの主な経済指標は、19日の1-3月期CPIです。その結果がRBNZの2月時点の見通し(前期比+0.6%、前年比+1.1%)からかけ離れなければ、「政策金利をかなりの期間、据え置く」とするRBNZの政策方針に変化はなさそうです。

NZのCPIにサプライズがなければ、4月のNZドルは独自材料が乏しい状況です。そのため、NZドル/米ドルやNZドル/円はNZドル側の材料で動きにくく、リスク意識の変化や米経済指標など外部材料の影響を受けやすい展開になりそうです。

<八代>

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【加ドル】 NAFTA再交渉やBOC政策会合に注目!!

NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉の第8回会合が4月に米ワシントンで開催される予定です。その結果が加ドルの動向に影響を与える可能性があります。

NAFTA再交渉は前回まで目立った進展がなかったものの、米国政府が自動車部材に関する要求を取り下げたとの報道もあり、市場では4月会合で進展するとの期待があるようです。米政府は自動車の関税をゼロにする条件として、米国へ輸出するためカナダやメキシコで生産された自動車に米国製の部材を最低50%使用するよう求める条項を盛り込むことを提案していました。

NAFTA再交渉で進展がみられれば、加ドルにとってプラス材料になりそうです。一方で、米国は再交渉で満足できる進展がみられなければ、鉄鋼・アルミニウムの輸入関税の適用対象外のリストからカナダとメキシコを外す可能性に言及しています。そのため、再交渉に目立った進展がみられなかった場合、加ドルには下落圧力が加わる可能性があります。

4月18日のBOC(加中銀)の政策金利発表も加ドルの材料になる可能性があります。BOCは3月7日の前回会合で政策金利を1.25%に据え置きました。その時の声明では、「経済見通しは、今後の利上げを正当化するとみられる」と、追加利上げを示唆。その一方で、「経済成長率を潜在水準近辺にとどめつつ、インフレ目標を達成するためには、一定の金融緩和の継続が必要になるだろう」と指摘し、「将来の政策金利調整を検討するにあたり、慎重であり続ける」と表明。利上げのタイミングは経済指標次第と強調しました。市場では、BOCの追加利上げは5月(4月は据え置き)との観測があります。4月18日の会合では、政策金利の結果とともに声明の内容(近い将来の利上げが示唆されるのか?)に注目です。

<八代>

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【トルコリラ】対円や対米ドルなどで過去最安値更新。TCMBの対応は!?

トルコリラは3月に対円、対米ドル、対ユーロで過去最安値を更新。トルコリラ売りが加速しました。トルコリラが下落した主な要因として、トルコのインフレ率の高さや経常収支拡大、シリア情勢が挙げられます。

トルコの2月CPI(消費者物価指数)上昇率は前年比+10.26%でした。上昇率は1月の+10.35%からわずかな改善にとどまり、TCMB(トルコ中銀)のインフレ目標である+5%を大きく上回りました。CPIの結果を受けて、トルコ経済の先行き懸念(高インフレが個人消費を抑制し、経済全体に悪影響を与える?)が強まりました。

1月経常収支は約71億米ドルの赤字。赤字額は市場予想の69億米ドルを上回り、前年同月の約27億米ドルから急増しました。トルコは経常赤字の穴埋めを主に逃げ足の速い短期資金(証券投資)に依存しているため、外的ショックの影響を受けやすいとの懸念があります。そうした懸念があるなか、トルコの1月の経常赤字が予想以上の大きさだったため、経常赤字が改めて着目されました。

シリア情勢については、エルドアン大統領が3月18日、トルコ軍がシリア北部アフリン市街地の中心部を制圧したと発表。トルコは今年1月、シリア国内のクルド人勢力を掃討するためにアフリンへの軍事作戦開始していました。エルドアン大統領は翌19日、シリア北部のマンビジやアインアルアラブ、北東部のカミシュリ、イラク北部のシンジャールなどを挙げ、軍事作戦の拡大を示唆しました。マンビジには米軍が駐留しているため、市場ではトルコがマンビジを攻撃すれば、米軍と衝突するのでは?との懸念があります。こうした懸念があるなか、米国のトランプ大統領は3月29日、「米国はシリアからすぐに去るだろう」と語り、米軍のシリアからの撤退の可能性に言及しました。今後は、トルコの軍事作戦のゆくえとともに米軍の動向が重要となりそうです。

トルコリラは3月に大きく下落しただけに、新たなネガティブ材料が出てこなければ、目先は戻りを試す可能性もあります。ただ、トルコリラが本格的な反発基調に転じるには、市場が十分とみなす通貨防衛策をTCMBが打ち出す必要があるかもしれません。

TCMBは昨年11月にトルコリラ安が進行した場面では、以下のような通貨防衛策を打ち出し、最終的には利上げを実施。トルコリラ/円は11月28日の27.98円を底に反発し、今年1月初めには一時30円台へと上昇しました。

<TCMBのトルコリラ防衛策>
11月6日:金融機関が中銀に預ける準備預金の外貨比率を引き下げ
  18日:外貨売却入札を開始すると発表
  21日:“後期流動性貸出金利”以外での資金供給を停止すると発表
12月14日:後期流動性貸出金利を0.50%引き上げ(利上げ)

一方で今回は、今のところ動かず、TCMBは足もとのトルコリラ安を静観しています。エルドアン大統領がTCMBに対して利下げ圧力を加えるなか、利上げなど通貨防衛策を打ち出すことができるか?TCMBの対応に注目です。TCMBの次回政策会合は4月25日の予定です。

<八代>

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【南アフリカランド】 ランド/円はレンジ内の動きを継続

<ムーディーズが格付け見通しを引き上げ>
格付け会社のムーディーズは3月23日、南アフリカの長期債務(自国通貨建て)の格付けを投資適格級最低の「Baa3」に据え置くとともに、格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げました。

南アフリカ国債は、機関投資家がベンチマーク(指標)とする世界国債インデックスに採用。世界国債インデックスには、S&Pとムーディーズの両社が格付けを投機的(ジャンク)にすれば、インデックスから除外されるという規定があります。S&Pにおける南アフリカの格付けは現在「BBプラス(ジャンク)」。そのため、市場ではムーディーズが今回、格下げした場合、南アフリカから資金が流出するとの懸念がありました。

そうした懸念のあるなか、ムーディーズが南アフリカの格付けを据え置き、さらに格付け見通しを「安定的」へと引き上げました。そのことは、南アフリカランドにとってプラス材料と考えられます。

<SARBは利下げ>
SARB(南アフリカ中銀)は3月28日、0.25%の利下げを決定。政策金利を6.75%から6.50%に引き下げました。利下げは昨年7月以来です。

SARBのクガニャゴ総裁は会合後の会見で、南アフリカのインフレリスクは、1月の前回会合以降に若干後退したと指摘。会合では、7人の政策メンバーのうち、4人が「0.25%の利下げ」、3人が「据え置き」を主張。利下げは、際どい決定だったことが判明しました。

南アフリカの今年2月CPI(消費者物価指数)は前年比+4.0%と、1月の+4.4%から上昇率が鈍化。SARBのインフレ目標(3から6%)の範囲内に引き続き収まったものの、中央値である+4.5%から遠ざかりました。インフレ圧力の鈍化が示されたことで、SARBは景気支援に向けて利下げに踏み切ったと考えられます。

クガニャゴ総裁は、南アフリカランドについて「昨年末から持続的に上昇し、(それによって)インフレ見通しにおける主なリスクの一部が消えた」と指摘。一方で、「現在の水準は、いくぶん過大評価されている」との見解を示しました。

今後の金融政策については、「SARBは利下げの旅を始めたわけではない」と語り、連続利下げを否定。政策金利の今後の道筋は、経済指標次第と強調しました。

SARBの利下げはランドのマイナス材料と考えられるものの、今回の利下げをきっかけにランドが下落傾向に転じる可能性は低そうです。0.25%の利下げは市場の予想通りの結果であり、また利下げは今回で打ち止めとの観測が市場で浮上したためです。

<南アフリカランド/円はレンジ内で上下>
ランド/円は今年に入り、8.8-9.2円のレンジで上下動を繰り返してきました。200日移動平均線(3月30日時点で8.58円)が下値支持線として機能する一方、5年移動平均線(同8.97円)に近いこともあり、レンジ上限に近づく場面では利益確定売りが出やすいようです。ランド/円がレンジの上下どちらかを抜けるには、新たな材料が必要と考えられます。

<八代>


※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

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