市場調査部レポート

2018/03/23 14:13トルコリラが過去最安値。トルコ中銀の対応は!?

【相場環境】金融市場の動揺に引き続き要注意!
【米ドル】米ドル/円は下降モメンタムの強まりも!?
【ユーロ】ユーロ/米ドル、レンジワークが継続しそう
【NZドル】市場の関心は新総裁と財務相との政策目標協定へ
【トルコリラ】対円や対米ドルで過去最安値を更新
【南アフリカランド】格付けや政策金利の発表が材料に!?


【相場環境】 金融市場の動揺に引き続き要注意!   

足もとで、市場の動揺が広がっています。来週(26日-)はあまり大きなイベントはありませんが、市場の動揺が一段と強まる可能性もあり、特段の注意が必要でしょう。

米中貿易摩擦の激化
22日、トランプ大統領は知的所有権の侵害を理由に、中国からの輸入の最大600億ドルに対して、懲罰的関税を賦課する大統領に署名しました。中国は報復措置も辞さない構えであり、市場は米中貿易摩擦の行方を注視することになりそうです。

強硬化するトランプ政権!?
ホワイトハウスでは、安全保障担当のマクマスター大統領補佐官が辞任。後任に、ボルトン元国連大使が就任するようです。閣僚やホワイトハウスのスタッフからグローバリストや穏健派が相次いで離脱しており、トランプ政権は保守・強硬派が多数を占めつつあるようです。通商面だけでなく、国際政治・外交の分野でも強硬姿勢が強まるようであれば、市場で地政学リスクが意識されるかもしれません。とりわけ、米朝首脳会談の行方が注目されるところです。

米FOMCは19-20年に5回の利上げを想定
20-21日のFOMCでは、0.25%の利上げが実施されました。ただ、声明文における景況判断がやや下方修正されたこと、FOMC参加者の政策金利見通し(いわゆる「ドット」)の中央値が2018年中に3回の利上げを示唆したことなどから、市場はFOMCの結果をやや「ハト派」的と判断したようです。

ただし、FOMCは、拡張的な財政政策を背景に、景気の先行きに対して楽観的な見方を強めています。上述の「ドット」の中央値に基づけば、2019-20年に5回の利上げが想定されています(前回昨年12月時点では3.5回)。
2019-20年の見通しは不確定要素も多く、足もとの株安などの金融市場の動揺や、財政赤字が懸念された場合の長期金利の上昇などによって、大きく変わるかもしれません。それでも、FOMCが利上げペースを加速させるとの見方が市場で強まれば、米ドルのサポート材料になる可能性があります。

米政府機関閉鎖は回避されるか
2018年度継続予算が23日(日本時間24日午後1時)に失効します。下院は22日に年度末(9月末)までをカバーする包括予算を可決しました。上院が同じ法案を可決すれば、トランプ大統領の署名を得て、シャットダウン(政府機関の一部閉鎖)は回避されます。可決できなければ、シャットダウンが発生します。
短期間のシャットダウンは今年すでに2回発生しています。それでも足もとで政治の混迷が深まるなかで、市場が3回目のシャットダウンを冷静に受け止めるとは限りません
一方、包括予算は2019年度の歳出増が前提となっているため、成立した場合に財政赤字拡大の懸念が強まる(=悪い金利上昇)可能性もあります。

BOEは5月に利上げへ!?
22日、BOE(英中銀)のMPC(金融政策委員会)は政策金利の据え置きを決定しました。ただし、決定は7対2で、2人の委員が即時利上げを主張しました。CPI(消費者物価)が中銀目標の2%を上回って推移し続けており、雇用統計など景気も底堅さをみせているためです。OIS(翌日物金利スワップ)は23日時点で、5月の利上げを約7割の確率で織り込んでいます
ブレグジット(英国のEU離脱)交渉は、移行期間について大筋合意したとはいえ、約1年後の離脱に向けて残された時間が限られています。交渉の行方次第では、企業や消費者マインドに悪影響が出る可能性もあり、引き続き注視する必要がありそうです。

イタリア政局の行方は依然不透明
イタリアでは、23日に総選挙後初めての議会が召集されます。第一党となった「五つ星運動」、最大勢力となった「同盟」や「フォルツア」の中道右派を中心に連立交渉が行われているようですが、依然として新政権の形は見えていません。議会招集後の上下院議長の選出が何らかのヒントになるかもしれません。
7月ごろまでに連立交渉がまとまらなければ、マッタレッラ大統領は秋の再選挙に踏み切るとの見方もあるようです。

<チーフエコノミスト 西田明弘>


【米ドル】 米ドル/円は下降モメンタムの強まりも!?

早速ですが、以下、米ドル/円・日足・スパンモデル®+21日BB(ボリンジャーバンド)+パラボリック+DMIについてご覧ください。
 


上図チャートより、1) 21日MA(21日移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となっていること、そして、3) ローソク足の上方に赤色の雲(=抵抗帯)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があることから、米ドル/円は引き続き上方硬直性相場が継続していることが分かります。

上図チャートにおける注目ポイントは2点。まず1点目は、DMI(方向性指数)の動向。本稿執筆時点(3/22)では-DI>+DIとなっており、同時にADXが低位置から右肩上がり形状となりつつある(上図青色点線丸印)ことから、足もとの米ドル/円は下押し圧力が強まりつつあると見てよさそうです。

そして2点目は、BB(ボリンジャーバンド)・±2σラインの動向。足もとでは、両ラインが21日MAに向かって収縮(スクイーズ)する動きとなっており、相場の力を溜め込んでいる状態となっています。これからの時間帯において、仮にローソク足がBB・-2σライン(≒105.50円、上図黄色矢印)を下回った場合は、下降モメンタムが強まる可能性も。

いずれにしても、依然として先行1・2スパンの乖離が比較的大きいことから、上値に対するレジスタンスが強い時間帯が継続しそうです。

<チーフアナリスト 津田隆光>


【ユーロ】 ユーロ/米ドル、レンジワークが継続しそう

以下、ユーロ/米ドル・日足・スパンモデル®+21日BB(ボリンジャーバンド)+パラボリック+DMIにつきご覧ください。
 


上図チャートより、1) 21日MA(21日移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となっていること、そして、3) ローソク足の上方にパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があることから、ユーロ/米ドルはレンジ相場が継続していることが分かります。

上図チャートにおける注目ポイントは2点。まず1点目は、DMI(方向性指数)の状態。本稿執筆時点(3/22)ではADX、+DI、-DIの3本のラインがほぼ同一の箇所に収斂していること(上図青色点線丸印)から、足もとのユーロ/米ドルは方向性を探る時間帯となっていることが分かります。

そして2点目は、各BB(ボリンジャーバンド)の動向。現状では、各BBが21日MAに対してパラレルで推移する状態となっていることから、当面のユーロ/米ドルはBB・±2σライン(≒1.2210-1.2424ドル)のゾーンをベースとするレンジワークが継続すると捉えて良いでしょう。

また、ローソク足が青色の雲(=サポート帯)でサポートされるような形状となっていることからも、当面のユーロ/米ドルは下値がある程度しっかりした相場展開となりそうです。

<津田>


【NZドル】 市場の関心は新総裁と財務相との政策目標協定へ

RBNZ(NZ中銀)は3月22日、政策金利を過去最低の1.75%に据え置くことを決定しました。据え置きは9回連続です。

声明は、インフレに関する文言が弱めとなり、NZドルに関する文言が削除されました。

インフレについては、「食品やエネルギー価格の低迷などにより、CPI(消費者物価指数)上昇率は短期的に一段と鈍化する」と分析。ただ、「中期的には、目標レンジ中央値に向けて上向くと予想される」とし、「長期インフレ期待は2%にしっかりと抑制されている」との見方を示しました。RBNZのインフレ目標は1-3%(中央値2%)。NZの昨年10-12月期のCPI上昇率は前年比+1.6%でした。

NZドルに関しては前回、「NZドルは昨年11月の金融政策報告以降、主に米ドル安が原因で堅調に推移している」「NZドルのTWI(貿易加重指数)は予測期間にわたって低下すると想定している」としていました。今回、それが削除されて為替相場への直接の言及はなくなりました。

金融政策に関する文言は、前回と全く同じでした。「金融政策はかなりの期間、緩和的な状態が続く」と、政策金利を長期間据え置くことを改めて示唆。「多くの不確実性が残っており、それに応じて政策の調整が必要になる可能性がある」としました。

今回の声明は、市場の政策金利見通し(年内据え置き)を変化させるほどの内容ではなく、NZドルに大きな反応はみられませんでした。

来週火曜日(3月27日)、エイドリアン・オア氏がRBNZ総裁に就任します。市場の関心はオア新総裁のもとでのRBNZの金融政策運営へと移っており、目先はオア新総裁とロバートソンNZ財務相との間で締結される政策目標協定(PTA)が注目されています。NZ政府はRBNZの責務を現在の「物価安定」から「物価安定と雇用の最大化」へと変更する方針を示しており、新たなPTAには「物価安定と雇用の最大化」が盛り込まれる可能性があります。

<シニアアナリスト 八代和也>


【トルコリラ】 対円や対米ドルで過去最安値を更新   

・トルコリラ/円の3月23日朝方の急落は、ポジションの投げを伴ったものとみられ、短期的には戻る可能性がある。
・ただ、トルコリラ/円が反発基調に転じるには、市場が十分とみなす通貨防衛策をTCMBが打ち出す必要がありそう。

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足もとのトルコリラ下落の主な要因として、トルコのインフレ率の高さや経常収支拡大、シリア情勢が挙げられます。

トルコの2月CPI(消費者物価指数)上昇率は前年比+10.26%でした。上昇率は1月の+10.35%からわずかな改善にとどまり、TCMB(トルコ中銀)のインフレ目標である+5%を大きく上回りました。CPIの結果を受けて、トルコ経済の先行き懸念(高インフレが個人消費を抑制し、経済全体に悪影響を与える?)が強まりました。

1月経常収支は約71億米ドルの赤字。赤字額は市場予想の69億米ドルを上回り、前年同月の約27億米ドルから急増しました。トルコは経常赤字の穴埋めを主に逃げ足の速い短期資金(証券投資)に依存しているため、外的ショックの影響を受けやすいとの懸念があります。そうした懸念があるなか、トルコの1月の経常赤字が予想以上だったため、経常赤字が改めて着目されました。

シリア情勢については、エルドアン大統領が3月18日、トルコ軍がシリア北部アフリン市街地の中心部を制圧したと発表。トルコは今年1月、シリア国内のクルド人勢力を掃討するためにアフリンへの軍事作戦開始していました。ただ、シリア情勢には引き続き注意が必要です。エルドアン大統領が軍事作戦を拡大する可能性に言及したためです。エルドアン大統領は19日、作戦対象として、シリア北部のマンビジやアインアルアラブ、北東部のカミシュリ、イラク北部のシンジャールなどを挙げました。

トルコリラ/円に関しては、世界的な貿易戦争への懸念からリスク回避の動きが強まっている(円買い材料)ことも、下落圧力となっています。3月23日朝の急落はポジションの投げを伴ったものとみられ、短期的には戻る可能性があります。

ただ、トルコリラ/円が反発基調に転じるには、リスク回避の動きが弱まるほか、市場が十分とみなす通貨防衛策をTCMBが打ち出す必要があるかもしれません。

TCMBは昨年11月にトルコリラ安が進行した場面では、以下のような通貨防衛策を打ち出し、最終的には利上げを実施。トルコリラ/円は11月28日の27.98円を底に反発し、今年1月初めには一時30円台へと上昇しました。

<TCMBのトルコリラ防衛策>
11月6日:金融機関が中銀に預ける準備預金の外貨比率を引き下げ
  18日:外貨売却入札を開始すると発表
  21日:“後期流動性貸出金利”以外での資金供給を停止すると発表
12月14日:後期流動性貸出金利を0.50%引き上げ(利上げ)

一方で今回は、今のところ動かず、TCMBは足もとのトルコリラ安を静観しています。エルドアン大統領がTCMBに対して利下げ圧力を加えるなか、利上げなど通貨防衛策を打ち出すことができるか?TCMBの対応に注目です。

<八代>


【南アフリカランド】 格付けや政策金利の発表が材料に!?

格付け会社のムーディーズが本日(3月23日)、南アフリカの格付けを発表する予定です。その結果が、南アフリカランドのその後の動向に影響を与える可能性があります。

南アフリカの長期債務(自国通貨建て)の格付けについては、大手格付け会社3社のうち、2社(S&Pとフィッチ)がジャンク(投機的)。ムーディーズは昨年11月、格付けを投資適格級最低(Baa3)に据え置いたものの、格下げ方向で見直すとしました。

市場では、ムーディーズは今回、格付けを据え置くとの見方が有力です。2月に大統領がズマ氏からラマポーザ氏に交代し、ラマポーザ新大統領が財政再建策(付加価値税の引き上げなど)を打ち出したためです。格付けとともに、焦点になりそうなのが、「ネガティブ」とされている格付け見通しです。

格付け発表に対して予想される南アフリカランド(以下、ランド)の反応は以下の通りです。
(1)格下げ
ランドは下落が加速する可能性も。南アフリカ国債は、機関投資家がベンチマーク(指標)とする世界国債インデックスに採用されています。S&Pに加えて、ムーディーズもジャンクにすれば、南アフリカ国債は世界国債インデックスから除外される規定があります。除外されれば、南アフリカから資金が流出するとの懸念が強まりそうです。
(2)据え置き&格付け見通し据え置き
格下げが回避されたことで、ランドはいったん上昇か。ただし、格下げへの懸念は今後も残るとみられ、今回の決定を受けたランド上昇は長続きしない可能性もあります。
(3)据え置き&格付け見通し引き上げ(「安定的」へ)
ランドにとってプラス材料であり、ランドは上昇基調を強める可能性があります。

来週(3月26日の週)のランドは、ムーディーズの格付け結果とともに、28日のSARB(南アフリカ中銀)が政策金利発表も材料になる可能性があります。

市場では、南アフリカの景気支援のため、そして4月の付加価値税の引き上げ(14%から15%へ)の影響を相殺するため、SARBは今回、0.25%の利下げに踏み切るとの見方が有力です。一方で、据え置き予想もあります。そのため、政策金利がどのような結果になったとしても、ランドが反応する可能性があります。

<八代>


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