市場調査部レポート

2018/03/16 12:18米ドル/円、下降モメンタムが強まる可能性も

【相場環境】G20、FOMC、イタリア政治など
【米ドル】米ドル/円、下降モメンタムが強まる可能性も
【ユーロ】ユーロ/円、“マクロン・ラリー”時以来のメルクマールが示現
【NZドル】NZドル/米ドルのレンジブレイクには強い材料が必要!?
【トルコリラ】ネガティブ材料が相次ぎ、対円で最安値を更新
【南アフリカランド】ムーディーズの格付け発表に注目!!


【相場環境】 G20、FOMC、イタリア政治など   

G20と通商政策と・・・・「森友」
19-20日、アルゼンチンのブエノスアイレスでG20財務相・中央銀行総裁会議が開催されます。仮想通貨の扱いなどとともに通商問題が議題に上りそうです。昨年7月のG20ハンブルグ・サミットでは、合意した5分野のうち通商に関して、「開かれた市場を維持し、全ての不公正貿易慣行を含む、保護主義と引き続き戦うこと」と宣言されました。

トランプ政権は、鉄鋼・アルミへの関税賦課を決定、さらに対象拡大を検討するなど「内向き」の姿勢を強めています。中国を標的にした関税を、早ければ19日の週に発表するとの報道もあります。果たして、G20が「公正な貿易の推進」という点で足並みを揃えることができるか、注目です。

なお、麻生財務相はG20を欠席する予定です。19日の参院予算委員会での「森友」問題の集中審議などへの対応があるためです。「森友」問題の行方次第では、安倍政権の求心力が一段と低下する可能性があります。その場合、少なくとも短期的には円高要因と判断されそうです。

米金融政策と景気
20-21日に開催される米FOMCでは、利上げがほぼ確実視されています(3/15のFFレート先物によれば98.6%)。注目は、「ドット(参加者の政策金利見通し)」が示唆する年内利上げ回数がこれまでの3回から4回になるのか(可能性は低そうです)、パウエルFRB議長が2月の議会証言の時のようにタカ派的(=利上げに積極的)な発言をするのか、などでしょう。

足元ではやや軟調な経済指標が増えているようですが、それが近年よく見られる「景気が年初に弱め、春以降に加速」のパターンに沿っただけのものなのか、それとも景気減速の兆候なのか。その判断をするためにも、パウエル議長はやや慎重な、ハト派的姿勢を示すかもしれません。

英金融政策とCPI
22日、BOE(英中銀)のMPC(金融政策委員会)が開催されます。市場では、今回は据え置き、5月に利上げとの見方が有力です。BREXIT(英国のEU離脱)を19年3月に控えて、その悪影響を懸念するカーニー総裁の記者会見の内容が注目されます。CPI(消費者物価指数)は過去1年にわたり、BOEの目標である2%を超えています。20日に発表される2月のCPIが政策判断に影響を与える可能性があります。

欧州政治:ドイツとイタリア
14日、メルケル政権の第4期が正式にスタート。求心力の低下は否めないものの、ドイツ政治はいったん落ち着きそうです。
他方、イタリアでは、総選挙後初めての議会が23日に召集されます。与党の民主党を中心とした中道左派連合、「同盟(旧北部同盟)」が中心となった中道右派連合、反権力の「五つ星運動」のいずれもが過半数の議席に届かず、現時点で政権成立のメドは立たっていません。
反ユーロで共通する「同盟」と「五つ星運動」の連携なども含め、どのような合従連衡が行われるのか注意する必要がありそうです。まずは議会での上下両院の議長選出が政治の行方を占うカギになるかもしれません。

米継続予算期限切れ
24日0時(日本時間24日13時)、現在の2018年度継続予算が失効します。議会では、共和党と民主党が18年度残り(=18年9月末まで)の包括予算と19年度予算の大枠でほぼ合意しています。ただし、トランプ政権と議会の間で、「メキシコの壁」や「DACA(不法移民の子供に対する特別措置)」に関する調整が終わっていないようです。
シャットダウン(政府機関の一部閉鎖)は、回避されるか、発生するとしてもごく短期間となり、市場への影響は限定的とみられます。逆に、包括予算が成立すれば、少なくとも今年9月末まではシャットダウンの可能性は消滅します。そして、予算審議の主戦場は今年10月に始まる2019年度分へ移ります。

<チーフエコノミスト 西田明弘>


【米ドル】 米ドル/円、下降モメンタムが強まる可能性も

早速ですが、以下、米ドル/円・日足・スパンモデル®+21日BB(ボリンジャーバンド)+パラボリック+DMIについてご覧ください。


 上図チャートより、1) 21日MA(21日移動平均線)が右肩下がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の下方にあること、3) ローソク足の上方に赤色の雲(=抵抗帯)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、そして、4) DMI(方向性指数)で+DI>-DIとなっている(上図赤色点線丸印)ことから、米ドル/円は上方硬直性相場が継続していることが分かります。

先週に引き続きBB・±2σラインが21日MAに向かって収縮(スクイーズ)していること、また、ADXが低位置推移となっていることから、現在は「相場の力を溜め込む時間帯」ないしは、「下抜けに向けての準備時間帯」であるとの見方もできます。

上図チャートにおいて、ブレークポイントとなり得る分水嶺と考えられるのが、BB・-2σライン(≒105.50円)。

これからの時間帯において、仮にローソク足が終値レベルでBB・-2σライン(≒105.50円)を下回った場合は、下降モメンタムが強まる可能性を考慮すべきでしょう。(上図黄色矢印)

次週は上記【相場環境】にある通り、19-20日のG20財務相・中央銀行総裁会議や20-21日の米FOMC等、相場動意となり得るイベントが予定されていること、そして、引き続きホワイトハウス発の予期せぬ“トランプ劇場”ニュースが出る可能性があることを鑑み、上下ボラティリティが高まることを事前に想定した方が良いのかもしれません。

<チーフアナリスト 津田隆光>


【ユーロ】 ユーロ/円、“マクロン・ラリー”時以来のメルクマールが示現

以下、ユーロ/円・週足チャート+26週BB(ボリンジャーバンド)+スローストキャスティクスにつきご覧ください。


ユーロ/円・週足チャートの逆張り系オシレーター指標において、昨年4月以来となる「買いサイン」が示現しています。上図チャートより、以下のようなメルクマールが確認できます。

1) ローソク足が「売られ過ぎ」を示唆するBB・-2σライン付近にあり、同ラインにサポートされるような形状となっていること。
2) スローストキャスティクスの2本の線が「売られ過ぎ」を示唆する20%ライン付近でクロスする【ゴールデンクロス】となっている(orなりつつある)こと。(※いずれも上図赤色点線丸印)

上記1)、2)のメルクマールは、昨年4月に行われた仏大統領選挙時以来の形状となっており、当時は当該シグナル付近で「下げ止まり」→「上昇フロー」が示現した、いわゆる“マクロン・ラリー”の起点となりました。(上図赤色丸印)

足もとでは、BB・-2σライン(≒129.80円)付近での「値固め」ないしは「底固め」の時間帯と想定し、「下げ止まり」→「上昇フロー」に向けた準備期間と捉えるべきでしょう。

逆張り系オシレーター指標特有の“ダマし”には十分留意しながら、今週の終値レベルでBB・-1σライン(≒131.50円)を上抜けブレークし、かつ、スローストキャスティクスの2本の線が右肩上がり形状となることが視認できた場合は、上昇モメンタムが強まる可能性がありそうです。

<津田>


【NZドル】 NZドル/米ドルのレンジブレイクには強い材料が必要!?

3月22日にRBNZ(NZ中銀)が政策金利を発表します。RBNZは、前回2月8日まで8会合連続で政策金利を過去最低の1.75%に据え置きました。今回も据え置くとみられます。RBNZが2月の金融政策報告で政策金利を来年4-6月期まで据え置くことを示唆したことや、NZのCPI(消費者物価指数)が来月(4月)発表されるためです。

今回は、声明の内容が2月の前回会合から大きな変化がみられるのか?に注目。とりわけ、NZ経済やNZドル、金融政策に関する文言が焦点になりそうです。声明に大きな変化があれば、NZドルが反応する可能性があります。

前回は以下の通りでした。
<NZ経済>
・「GDP成長率は2017年後半に鈍化した。ただ、緩和的な金融政策や高水準の交易条件、政府支出や人口増によって、(成長率は)強まることが見込まれる」
・「昨年11月の金融政策報告時と比較すると、成長見通しは短期的に弱いものの、中期的には強い」
<NZドル>
・「NZドルは昨年11月の金融政策報告以降、主に米ドル安が原因で堅調に推移している」
・「TWI(貿易加重指数)は予測期間にわたって低下すると想定している」
<金融政策>
・「金融政策はかなりの期間、緩和的な状態が続く」
・「多くの不確実性が残っており、それに応じて政策の調整が必要になる可能性がある」

日足チャートをみると、NZドル/米ドルは約2か月にわたり、おおむね0.72-0.74米ドルのレンジで上下を繰り返してきました。そのため、レンジ上限である0.74米ドルに近づく場面では、利益確定売り圧力が強まりそうです。一方で、レンジ下限である0.72米ドル近辺には200日移動平均線が位置しており、下値もしっかりの展開になりそうです。200日移動平均線は3月15日時点で、0.7181米ドルにあります。

NZドル/米ドルがレンジの上下どちらかをブレイクするには、強い材料が必要かもしれません。RBNZの政策金利発表にサプライズがなければ、米ドル側の材料(FOMCなど)がそのきっかけになりそうです。

NZドル/米ドル(日足、2017/10/27-)

出所:M2JFXチャート

<シニアアナリスト 八代和也>


【トルコリラ】 ネガティブ材料が相次ぎ、対円で最安値を更新   

トルコリラは今週(3月12日の週)、対円や対ユーロで過去最安値を更新。対米ドルでは3か月半ぶりの安値を記録しました。

シリア情勢がトルコリラの重しとなるなか、今週相次いで新たなネガティブ材料(経常収支や政治問題)が出てきたことで、トルコリラには一段の下落圧力が加わりました。

シリア情勢については、トルコ軍が13日、シリア北西部のアフリン中心部を包囲したと発表しました。トルコは今年1月、安全保障上の脅威とみなすクルド人勢力が実効支配するアフリンへの軍事作戦を開始。トルコはマンビジ(クルド人勢力が実効支配)の攻撃も示唆しています。マンビジには米軍が駐留しているため、トルコ軍がマンビジを攻撃すれば、米軍と衝突する可能性があると懸念されています。

トルコの今年1月の経常収支(12日発表)は約71億米ドルの赤字でした。赤字額は市場予想の69億米ドルを上回り、前年同月の約27億米ドルから急増しました。格付け会社のムーディーズが7日、トルコの長期国債(自国通貨建て&外貨建て)の格付けを「Ba1」から「Ba2」へ1段階引き下げると発表。格下げ理由のひとつに、経常赤字の拡大に伴う外的ショックへのリスク増大を挙げました。

13日には、異なる政党が連合を組んで総選挙を戦うことを認める選挙法改正案をトルコ議会が可決。トルコでは、総選挙で得票率が10%未満の政党は議席を獲得できません。市場では今回の選挙法改正を、単独での10%獲得が難しいとみられるMHP(民族主義者行動党)の救済との見方があります。MHPはエルドアン大統領を支持しています。その他、総選挙の早期実施に向けた動きとの観測があるようです。総選挙は来年(2019年)11月に行われる予定であり、トルコ政府は早期実施を繰り返し否定しています。

市場の関心は主に、米国の政治や通商政策、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策に向いてきました。ただ、足もとはトルコの経常赤字や政治問題も材料になっています。また、今後はトルコリラ安へのTCMB(トルコ中銀)の対応にも市場の関心が向くかもしれません。トルコリラは一段安の可能性があり、注意が必要です。

<八代>


【南アフリカランド】 ムーディーズの格付け発表に注目!!   

格付け会社のムーディーズが3月23日に南アフリカの格付けを発表する予定です。その結果が、南アフリカランドのその後の動向に影響を与える可能性があります。

南アフリカの長期債務(自国通貨建て)の格付けについては、大手格付け会社3社のうち、2社(S&Pとフィッチ)がジャンク(投機的)。ムーディーズは昨年11月、格付けを投資適格級最低(Baa3)に据え置いたものの、格下げ方向で見直すとしました。

南アフリカ国債は、機関投資家がベンチマーク(指標)とする世界国債インデックスに採用されています。S&Pに加えて、ムーディーズもジャンクにすれば、南アフリカ国債は世界国債インデックスから除外される規定があります。除外されれば、南アフリカから資金が流出するとの懸念が強まりそうです。

市場では、ムーディーズは今回、格付けを据え置くとの見方が有力です。2月に大統領がズマ氏からラマポーザ氏に交代し、ラマポーザ新大統領が財政再建策を打ち出したためです。格付けとともに、焦点になりそうなのが、「ネガティブ」とされている格付け見通しです。市場の予想に反して格下げされる、あるいは格付け見通しが変化すれば、南アフリカランドが反応する可能性があります。

<八代>


※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

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