市場調査部レポート

2018/03/02 11:40荒れる3月相場!? C波襲来に要警戒

【相場環境】欧州イベント、中央銀行会合、そして雇用統計
【全体観・米ドル】荒れる3月相場!? C波襲来に要警戒
【ユーロ】ユーロ/米ドル、欧州ビッグイベント結果が動意となるか
【豪ドル】豪経済指標にも目を向ける必要あり
【加ドル】声明で次回利上げ時期の手掛かりが提供されるか
【トルコリラ】対円で過去最安値を更新。米ドル/円の下落の影響大


【相場環境】 欧州イベント、中央銀行会合、そして雇用統計   

まずは欧州の政治イベントに注目。
4日、ドイツSPD(社会民主党)の党員投票の結果が判明。CDU/CSU(キリスト教民主・社会同盟)との「大連立」が承認されれば、メルケル首相の4期目が正式にスタートします。メルケル首相の求心力は低下気味ながら、ドイツ政治の安定が想定されます。一方で、「大連立」が否決されれば、メルケル首相は少数派政権を運営するか、再選挙に踏み切るかの選択を迫られそうです。いずれも、政治の不透明感が強まり、とりわけ後者の場合はメルケル首相が辞任する可能性も出てきそうです。5日のアジア(東京)時間のオープニングから市場が反応する可能性があります。

4日のイタリア総選挙の大勢判明は、日本時間の5日午後以降になるかもしれません。仮に、反ユーロの「五つ星運動」や「北部同盟」が予想以上の議席を獲得して、新政権の重要な鍵を握りそうだとの見方強まれば、その時点で市場は反応しそうです。とりわけ、欧州取引が開始される日本時間の5日夕刻ごろは要注意かもしれません。
ただし、どんな結果になるにせよ、新政権の形がおぼろげにも見えるのには、数日-数週間かかる可能性もあります。その間はイタリア政治の不透明感が根強く残りそうです。

各国・地域の金融政策
5日の週には、豪州、トルコ、カナダ、ユーロ圏、日本で金融政策会合が開催されます。いずれも金融政策の現状維持が予想されますが、先行きに関してどのようなメッセージが発せられるかは要注目です。

8日のECB理事会では、QE(量的緩和)の縮小・停止に関するヒントが出てくるか。2月27日にECBメンバーのバイトマン独連銀総裁は18年中のQE終了の可能性に言及しました。その後、ドイツ物価指標が下振れしたため、タカ派をけん制する材料になりそうです。それでも、QE終了に向けた「地ならし(ガイドラインの修正など)」が行われる可能性は依然としてあるでしょう。

9日の日銀の金融政策決定会合で新しい材料は出てこないでしょうが、その後の黒田総裁の記者会見は要注目かもしれません。会見で、黒田総裁が金融緩和の継続に向けてどれだけ強くコミットするか。総裁に再任されたことで2期目に向けての政策方針への言及があるかもしれません。ここもと散見される国債買入れオペの減額に関する説明があれば、それも注目されそうです。

2月の米雇用統計
通常より遅いタイミングで、2月の米雇用統計が第2金曜日の9日に発表されます。1月分はNFP(非農業部門雇用者数)が前月比+20.0万人、3か月平均+19.2万人、時間当たり賃金が前年比+2.9%で約8年ぶりの高水準となるなど、やや出来過ぎでした。ベージュブック(地区連銀経済報告)などによれば労働市場のひっ迫は続いており、賃金上昇圧力はジリジリと高まっていそうです。ただし、冬場の雇用統計はブレが大きい傾向が大きいため、NFPや時間当たり賃金が事前予想を下回った場合の市場の反応に要注意かもしれません。

<チーフエコノミスト 西田明弘>


【全体観・米ドル】 荒れる3月相場!? C波襲来に要警戒

NYダウ(現物)・日足チャート形状が、伝統的なテクニカル分析手法の一つであるエリオット波動理論における「下降(修正)3波」とも取れるパターン形成をしています。まずは、以下、エリオット波動理論の基本形についてご覧ください。


 
上図からも分かる通り、エリオット波動理論における基本波動は「8波」で形成されており、その内訳は【推進(上昇)5波】【修正(下降)3波】となっています。

この「8波」サイクルの中で最も強烈な“破壊的フロー”とされる衝撃波は「C波」であり、その「C波」終盤における投資家の心理状態は“総弱気”となっていることから、最終波動である「C波」のタームを【ミンスキー・モーメント】※と呼ぶことがあります。(※マーケット全般にわたって、優良資産も含めて「投げ売り」や「狼狽売り」が発生するとされるタームのこと。)

上記を踏まえた上で、以下、NYダウ(現物)日足チャートをご覧ください。

上図チャートにおいて、1月後半に付けた高値(上図赤色三角印)を仮に、上昇5波の「第5波」と仮定すると、1月後半から2月前半にかけてのタームを「A波」、そして、2月前半から後半にかけてのタームを「B波」と見なすことができます。

これらの仮説を前提とするならば、これからのタームは「B波」の押し目段階なのか、或いは「C波」形成の時間帯になるのかの見極めが重要となります。その見極めのための材料の一つが、上記【相場環境】にも記載してあるイタリア総選挙ならびにドイツSPD党員投票結果なのかもしれません。いずれにしても、3月相場におけるマーケット環境が大きく変動する可能性については、予防の必要性も含めて認識しておくべきでしょう。

一方で、エリオット波動についてはタームの捉え方に様々な見方があること、また、波動のエクステンション(延長)やフェイラー(失敗)と呼ばれる、いわゆる「見間違い」「後講釈」も比較的多く見受けられることから、固定観念を基に定型パターンと捉えてしまうのはリスキーであることも忘れるべきではありません。

あくまでも伝統的なテクニカル分析の一手法として、ご参考程度に見ていただければ幸いです。(※エリオット波動概略については、動画番組視聴サイト「M2TV」[3/1『3月相場がスタート!! マーケットは嵐の前の「B波」ターム・・・か?』]もご覧ください。)

こういった株式市場の波乱要素も加味した上で、米ドル/円の今後の動きも見ていきたいと思います。以下、米ドル/円・日足・スパンモデル®+21日BB(ボリンジャーバンド)+パラボリック+DMIについてご覧ください。

上図チャートより、1) 21日MA(21日移動平均線)が右肩下がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の下方にあること、3) ローソク足の上方に赤色の雲(=抵抗帯)があること、4) 各BBが21日MAに対してパラレルに推移していること、そして、5) DMI(方向性指数)で+DIと-DIが収斂する形状となっている(上図赤色丸印)ことから、米ドル/円は上方硬直性相場が継続していることが分かります。

一方で、相場の転換ポイントを示唆するパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方で点灯していることから、足もとの米ドル/円は下値もみ合いの小幅推移となる可能性も。

喫緊のポイントは、2/16に付けた安値である105.50円(上図青色三角印)。

これからの時間帯において、仮に当該レートを下抜けた場合は、米ドル/円の下降モメンタムが強まる可能性がありそうです。

<チーフアナリスト 津田隆光>


【ユーロ】 ユーロ/米ドル、欧州ビッグイベント結果が動意となるか

以下、ユーロ/米ドル・日足・スパンモデル®+21日BB(ボリンジャーバンド)+パラボリック+DMIにつきご覧ください。


 
上図チャートより、1) 21日MA(21日移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となっていること、3) ローソク足が青色の雲(=サポート帯)に入り込んでいること、そして、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していることから、ユーロ/米ドルは横ばい基調主体の相場展開であることが分かります。

一方で、相場の方向性を示すDMI(方向性指数)が、2日時点においてa) –DI>+DIとなり、その乖離が拡大しつつあること、そして、b) ADXが低位置から右肩上がり形状で推移していること(上図青色丸印)から、ユーロ/米ドルは下押しフローの序盤段階であるとの判断もできます。

喫緊の注目ポイントは、BB・-2σライン(≒1.2166ドル)付近でローソク足がサポートされるか否か。(上図青黄色矢印)。

これからの時間帯において、仮に当該ライン(≒1.2166ドル)を下抜け、同時に、遅行スパンがローソク足を下抜けした場合は、ユーロ/米ドルの下降モメンタムが強まる可能性がありそうです。

これからの時間帯におけるユーロ/米ドル相場は、既述の通り、イタリア総選挙ならびにドイツSPD党員投票結果といった欧州ビッグイベント結果がその動意となりそうです。

<津田>


【豪ドル】 豪経済指標にも目を向ける必要あり

豪ドル/米ドルは3月1日に、一時0.7713米ドルへと下落し、約2か月ぶりの安値を記録しました。2月半ば以降の豪ドル/米ドルの下落は、豪ドルのマイナス材料に反応したというよりも、米ドルが全般的に反発した影響が大きいと考えられます。

来週(3月5日の週)は米国の雇用統計が発表されることもあり、豪ドル/米ドルは引き続き、米ドルの動向に左右されやすい地合いになりそうです。ただ、来週は豪州の経済指標が多く発表されます。1月住宅建設許可件数(5日)1月小売売上高やRBA政策金利(いずれも6日)昨年10-12月期GDP(7日)です。それらの結果が材料になる可能性もあります。

RBA(豪中銀)は政策金利を当面据え置くことを示唆しており、現行の1.50%に据え置かれるとみられます。注目は声明の内容が2月の前回会合から大きな変化がみられるのか?とりわけ、インフレや豪ドル、金融政策に関する文言が焦点になりそうです。声明に大きな変化があれば、豪ドルが反応する可能性があります。

前回は以下の通りでした。
<インフレ>
・「依然として低く、CPI(消費者物価指数)と基調インフレ率はいずれも2%をやや下回っている」
・「賃金の低い伸びや小売業の激しい競争を反映し、インフレは当面、低水準にとどまる」
・「インフレ率は景気の加速に伴って徐々に上昇する」
・「CPI上昇率は2018年に2%を若干上回るというのが、中心的な予想」
<豪ドル>
・「貿易加重ベースで、過去2年間のレンジ内にとどまっている」
・「豪ドルが上昇すれば、経済活動の好転とインフレ率の上昇が、現在の想定よりも鈍くなる可能性がある」
<金融政策>
・「低水準の金利が、豪経済を引き続き支援している」
・「失業率の一段の低下やインフレ率の目標水準への回帰が予想されているものの、そのペースは緩やかになる可能性が高い」
・「入手可能な情報を考慮すると、理事会は今回の会合で政策スタンスを維持することが、持続可能な経済成長およびインフレ目標の達成と一致していると判断した」

豪ドル/米ドルは、200日移動平均線を割り込みました。今度は同移動平均線(3月1日時点で0.7781米ドルに位置)が上値抵抗線として意識される可能性があります。

豪ドル/米ドル(日足、2017/10/13-)

出所:M2JFXチャート

<シニアアナリスト 八代和也>


【加ドル】 声明で次回利上げ時期の手掛かりが提供されるか   

BOC(加中銀)が3月7日に政策金利を発表します。その結果が加ドルの動向に影響を与える可能性があります。

政策金利は現行の1.25%に据え置かれそうです。カナダの1月コアインフレ率はBOCのインフレ目標中央値の+2%に近づいたものの(CPI共通値:前年比+1.8%、CPIトリム値:同+1.8%、CPI中央値:同+1.9%)、1月の前回会合以降に発表されたカナダの経済指標(雇用統計など)は、弱めの結果が目立つためです。また、BOCは1月の前回会合で利上げを実施したばかりであり、利上げの効果を見極めるとみられます。

市場では、政策金利は据え置かれるとの見方が有力。関心は声明の内容へと移りつつあります。声明では、次回の利上げ時期について材料が提供されるか?が焦点になりそうです。

BOCは前回1月の声明で、追加利上げを示唆しつつも、「一定の金融緩和の継続が必要になるだろう」と、利上げペースが鈍化する可能性を示しました。

NAFTA再交渉の第7回会合が現在開催されています(3月5日までの予定)。BOCは1月の声明で、利上げのタイミングは、経済指標やNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉の行方次第との姿勢を示しました。再交渉で大きな進展がみられなければ、7日の声明では慎重に利上げを進めるとの姿勢が示されそうです。その場合、市場ではBOCの早期利上げ観測が後退し、加ドルは上値が重くなる可能性があります。

<八代>


【トルコリラ】 対円で過去最安値を更新。米ドル/円の下落の影響大   

トルコリラ/円は3月1日に、一時27.80円へと下落。過去最安値を更新しました。

クロス円であるトルコリラ/円のレートは、「米ドル/トルコリラ÷米ドル/円」で算出されます。そのため、トルコリラ/円は米ドル/トルコリラと米ドル/円の双方の影響を受けます。

昨年秋と今回のトルコリラ/円の下落局面を比べると、昨年秋(下図、水色枠の部分)は、トルコリラ/円と米ドル/トルコリラがほぼ連動する一方、米ドル/円は比較的落ち着いた値動きでした。トルコと米国の関係が一段と悪化するとの懸念やTCMB(トルコ中央銀行)の独立性をめぐる懸念を背景に、トルコリラに下落圧力が加わったためです。

今回(下図、橙枠の部分)は、トルコリラ/円と米ドル/円が似た動きをする一方、米ドル/トルコリラは比較的落ち着いた展開です。トルコリラ/円は、トルコリラのネガティブ材料によって下落したというよりも、米ドル/円に引きずられた面が大きいと考えられます。トルコリラ/円が反発に転じるには、米ドル/円が上昇基調に転じる必要がありそうです。

トルコリラ/円、米ドル/トルコリラ、米ドル/円(日足終値、2017/9/1-)

出所:トムソン・ロイターより作成

来週(3月5日の週)は、トルコの2月消費者物価指数(5日)TCMB(トルコ中銀)の政策金利(7日)が発表されます。

政策金利は、すべて据え置かれそうです。トルコの1月CPI(消費者物価指数)は前年比+10.35%と、TCMBのインフレ目標(+5%)を引き続き大きく上回っているものの、昨年11月の+12.98%をピークに鈍化傾向にあります。また、トルコリラの対米ドル相場は前回会合以降、比較的落ち着いています。そのため、TCMBは昨年12月の利上げ効果を引き続き見極めると考えられます。

政策金利がすべて据え置かれて、声明の内容も1月の前回会合から大きな変化がなければ、トルコリラの反応は限定的になる可能性があります。トルコリラ/円は米ドル/円の影響を受けやすい地合いが続きそうです。

<八代>


※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

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