市場調査部レポート

2018/02/16 11:50米ドル/円、重要サポートラインを下抜けか

【相場環境】「良い金利上昇」か「悪い金利上昇」か
【米ドル】米ドル/円、重要サポートラインを下抜けか
【ユーロ】ユーロ/米ドル、上昇モメンタムが徐々に強まる可能性も
【豪ドル】RBA総裁が政策金利の当面据え置きを改めて示唆
【南アフリカランド】新大統領は、市場の期待に応えられるか!?


【相場環境】 「良い金利上昇」か「悪い金利上昇」か   

米長期金利(10年物国債利回り)の上昇基調が続いており、15日には一時2.94%と3.0%に一段と接近しました。米長期金利が3.0%を超えていたのは、2013年末ごろのわずかな期間を除けば2011年夏まで遡ります。そうしたなかで、米ドル円は軟調で、2016年11月以来(=トランプ候補の大統領選出直後)となる106円ちょうど近辺で推移しています。

米長期金利と米ドル円の関係は、昨年末ごろまでの強い「正の相関」から、今年に入って強い「逆相関」(米長期金利は上がり、米ドル円は下がる)へと変化しました。ごく簡単に言えば、昨年の、景気の堅調を評価した「良い金利上昇」が、今年は財政赤字拡大(やインフレ)を懸念した「悪い金利上昇」へ変化したということでしょう。

もっとも、2010年以降の米長期金利と米ドル円は基本的に「正の相関」にあり、現在のような「逆相関」の局面は少なく、かつ短期間に終わりました。唯一の例外は2014年終盤からの約1年間で、米長期金利と米ドル円の「逆相関」がみられました。当時は、米長期金利が低下するなかで、米ドル円が堅調だったのですが、これは日銀が量的緩和第2弾を打ち出して米ドル円が大きく上昇した局面と一致します。

また、上述の期間に該当する2015年は、米景気が大きく悪化した局面でもありました。ここからも、当時の米ドル円の上昇は、米景気を評価したものではなく、日銀の金融政策の影響を大きく受けたものと判断することができます。

それに対して、足元では米景気は堅調を維持しています。株価の調整や金利上昇の影響で米景気が減速する兆候には注意が必要ですが、改めて米ドル円の上昇につながる「良い金利上昇」を市場が意識する局面が訪れるのではないかと思われます。

19-23日の重要な相場材料
来週は、あまり重要な米経済指標はありません。一方で、米金融政策に関する材料が2つあります。
21日のFOMC議事録(1/30-31開催分)では、3月の利上げに向けた「地ならし」が感じ取れるか。全会一致で金融政策の「据え置き」が決定されましたが、声明文はわずかながらタカ派的色合いを強めていました。
23日にはNYで金融政策フォーラムが開催されます。ダドリーNY連銀総裁や、メスター・クリーブランド連銀総裁、ジョージ・カンザスシティ連銀総裁らが参加します。メスター総裁とジョージ総裁は、利上げに積極的なタカ派であり、その発言は注目されるところです。

<チーフエコノミスト 西田明弘>


【米ドル】 米ドル/円、重要サポートラインを下抜けか

米ドルの下押し基調が続いています。今週に入り、米ドル/円は2016年11月以来となる106円台まで下押しし、16日(本稿執筆)時点では105円台を窺う相場展開となっています。

また、米ドルの実効レートを示す米ドルインデックス(米ドル指数)に関しても、2014年12月以来の水準まで低下(88p)しており、米ドルは主要通貨全般に対して弱含む相場展開となっています。(※米ドル/円の動向については15日の当社動画番組視聴サイト・M2TV(『“危険なカクテル”進行中? 米ドル/円、重要ラインを下抜けか』)でも解説しています。よろしければご視聴ください。)

以下、米ドル/円・週足・スパンモデル®+26週ボリンジャーバンド(以下、BB)+パラボリック+ストキャスティクス(スロー)につきご覧ください。

上図チャートにおけるポイントは、16日(本稿執筆)時点において、ローソク足が重要な“サポートライン”であるBB・-2σラインを下抜けブレークしていること。(上図黄色矢印)

今週に入り、昨年9月に付けた安値である107.30円(上図赤色三角印)を下回っていること、そして、遅行スパンがローソク足に対して下放れするような動きを見せていることを総合すると、足もとの米ドル/円は「レンジ」主体から「下降トレンド」主体の相場展開に変化する端境期(はざかいき)にあると見るべきでしょう。

その一方で、1) BB・±2σラインが26週MAに対して拡張(=エクスパンション)する状態となっていること、そして、2) ストキャスティクス(スロー)の2本の線が20%ライン付近で推移していること(上図赤色丸印)もあり、足もとでは短期的な反発フローが発生する可能性も。

これからの時間帯における注目メルクマールは・・・BB・+2σラインの方向性。仮に、同ラインが下向き方向に変化した場合は、米ドル/円の下降モメンタムが強まる可能性がありそうです。

<チーフアナリスト 津田隆光>


【ユーロ】 ユーロ/米ドル、上昇モメンタムが徐々に強まる可能性も

以下、ユーロ/米ドル・日足・スパンモデル®+21日ボリンジャーバンド(以下、BB)+パラボリック+DMIにつきご覧ください。



上図チャートでは、1) 21日MA(21日移動平均線)が右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の上方にあること、3) ローソク足の下方に青色の雲(=サポート帯)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、そして4) DMI(方向性指数)で+DI>-DIとなっていること(上図赤色丸印)から、当面のユーロ/米ドルは緩やかな上昇トレンド継続となりそうです。

先週から今週半ばまでを振り返ると、上図チャート黄色枠部分において、a) ローソク足がBB・+1σラインを下回ったこと、b) パラボリック・SARがローソク足の上方で点灯したこと、そして、c) DMIで-DI>+DIとなったことから、一時的な下押しフロー※となりましたが、ローソク足がサポート帯の雲にバウンドするような形状となっていることが見て取れます。(※2/9の市場調査部レポート『ユーロ/米ドルの下落はヘルシー・コレクションの一環か』もご参照ください。)

16日(本稿執筆)時点では、ローソク足がBB・+1σラインと同・+2σラインの間を推移する【上昇バンドウォーク】の序盤形成段階と捉えることもできることから、これからの時間帯におけるユーロ/米ドルは徐々に下値を切り上げる相場展開となりそうです。

喫緊の上値ポイントは1/25に付けた高値である1.2535ドル(上図赤色三角印)。当該レートを上抜けブレークした場合は、ユーロ/米ドルの上昇モメンタムが強まる可能性もありそうです。

<津田>


【豪ドル】 RBA総裁が政策金利の当面据え置きを改めて示唆

豪州の1月雇用統計が2月15日に発表され、結果は雇用者数が前月比1.60万人増、失業率が5.5%でした。

今回の雇用統計では、豪労働市場の堅調さが改めて示されたと言えそうです。

雇用者数は、16か月連続で増加しました。16か月連続は、1978年の統計開始以降、最長です。月ごとのブレが大きい雇用者数の傾向を把握するために6か月平均をみると、増加ペースは昨年8月の約4.2万人をピークに鈍化傾向にあるものの、依然として約3.2万人と、高水準です。

失業率は5.5%と、昨年12月の5.6%から若干改善しました。ただ、失業率は昨年5月以降、5.4から5.6%で推移しており、今回の結果は、その範囲内と言えそうです。


出所:トムソン・ロイターより作成

労働市場が改善を続けるなか、RBA(豪中銀)は政策金利を当面据え置くことを改めて示唆しました。RBAのロウ総裁は16日、「豪労働市場は、われわれが予想していたよりも、はるかに強い」と指摘する一方、「われわれは、(これまでの)非常に強い雇用の結果が2018年も繰り返されるとは予想していない」と発言。金融政策については、「ある時点で、金融緩和を縮小することが適切になる」と将来の利上げに言及しつつも、「近い将来に金融政策の調整が必要とは見ていない」と語りました。

現在の豪ドル/米ドルは、豪ドルの独自材料以上に、米国の長期金利など米ドルの材料に反応しやすい地合いです。こうした状況は、来週(2月19日)も続きそうです。一方、豪ドル/円は、豪ドル/米ドルとともに、米ドル/円の動向にも目を向ける必要があります。

<シニアアナリスト 八代和也>


【南アフリカランド】新大統領は、市場の期待に応えられるか!?   

南アフリカのズマ大統領が2月14日、辞任を表明。ただちに大統領職を退きました。

ラマポーザ副大統領が昨年12月にANC(アフリカ民族会議、与党)の党首に就任して以降、2019年半ばまで任期を残すズマ大統領に対して、退陣圧力が強まっていました。

ANCは今週月曜日(12日)、ズマ大統領に48時間以内の辞任を要求しました。ズマ大統領がそれを拒否すると、ANCは13日に大統領の早期交代を決定。そして、14日には当初22日に予定されていたズマ大統領の不信任案の採決を15日に前倒しし、それに賛成する方針を示しました。ANCは下院(国民議会)で約6割の議席を占めているため、不信任案が可決するのは必至の情勢でした。


ズマ氏の後任として、ラマポーザ氏が15日に大統領に就任。ラマポーザ新大統領は、「汚職の撲滅に取り組み、国民の期待を裏切らないよう懸命に職務にあたる」と語りました。

“大統領がラマポーザ氏に交代すれば、政治が安定して、経済改革も進む”との期待が、南アフリカランドの支援材料となってきました。ラマポーザ大統領が誕生したことで、市場の関心は今後、新大統領の経済や財政の政策へと移っていくと考えられます。ラマポーザ新大統領は16日に議会で施政方針演説を行う予定です。それが経済政策などへの期待を一段と高める内容であれば、ランドは一段高になる可能性があります。

<八代>


※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

「市場調査部レポート」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ