市場調査部レポート

2018/02/09 13:30トルコリラはシリア情勢に要注意!?

【トルコリラ】シリア情勢に要注意!? トルコが軍事作戦の拡大を示唆
【相場環境】引き続き米長期金利がマーケットの主役か
【米ドル】米ドル/円、「値固め」から一旦「反発」へ?
【ユーロ】ユーロ/米ドルの下落はヘルシー・コレクションの一環か
【英ポンド】英ポンド/円、「下押し」→「値固め」フローに?
【豪ドル】リスク意識の変化に反応しやすい地合い
【NZドル】RBNZ政策金利発表への反応は一時的


【トルコリラ】 シリア情勢に要注意!? トルコが軍事作戦の拡大を示唆

トルコは1月21日、シリアとの国境を越え、同国北西部の都市であり、クルド人勢力が実効支配するアフリンへの地上攻撃を開始しました。トルコ政府は、シリア国内のクルド人勢力をテロ組織とみなし、安全保障上の脅威として敵視しています。

トルコのエルドアン大統領らは、シリア国内における軍事作戦の拡大に言及。マンビジへの攻撃開始を示唆しています。マンビジは、クルド人勢力が実効支配するシリア北部の都市です。ボズダー副首相は2月3日、「トルコ(とシリアの)国境におけるテロ回廊の構築を容認しない」と述べ、「マンビジからテロリストが自ら撤退しなければ、われわれは進軍し、テロリストを一掃する」と発言。エルドアン大統領は6日、「マンビジからテロを一掃し、本来の持ち主に返す」と語りました。

米国はシリア国内のクルド人勢力をIS(イスラム国)掃討作戦における重要な同盟勢力として支援してきました。そのため、トルコがアフリン攻撃を開始した際に、トルコと米国の関係が一段と悪化するとの懸念が再燃しました。
米国が外交解決の方針を示したこともあり、トルコリラの下落は一時的に終わりました。ただし、マンビジには米軍が駐留しています(トルコ政府は、米軍にマンビジからの撤退を要求)。そのため、仮に、トルコ軍がマンビジ攻撃を開始した場合、トルコと米国の緊張が高まる可能性もあります。シリア情勢に注意が必要です。

<シニアアナリスト 八代和也>


【相場環境】 引き続き米長期金利がマーケットの主役か

8日のNY市場では、長期金利が上ブレし、株価が大幅に下落しました。足元の長期金利の上昇は、景気の堅調や利上げ観測の高まりを受けた、いわゆる「良い金利の上昇」に加えて、財政赤字の拡大(懸念)やインフレ圧力の高まりを背景とした「悪い金利の上昇」の部分が強まっているようです。「悪い金利の上昇」であるならば、米ドル高要因にはなりにくく、株安要因になりやすいでしょう。

一つの目安は、イールドカーブ(利回り曲線)がフラット化するか、スティープ化するかでしょう。前者であれば、「良い上昇」、後者であれば「悪い上昇」の部分が強いとみることができます。

米議会は「予算」で合意したものの・・
共和党と民主党の指導部により合意された「予算」は、(1)3月23日までの継続予算、(2)国防費などの歳出を今後2年間で約3000億ドル増加、(3)デットシーリング(債務上限)を19年3月まで先延ばし、などを含んでいます。
「予算」の合意が可決されれば、喫緊の課題だったシャットダウン(政府機関の一部閉鎖)やデフォルト(債務不履行)は回避されることになります(本稿執筆時点で議会は未採決)。

ただし、「予算」が成立しても、民主党が求めるDACA(不法移民の子供に対する特別措置)延長の議論や、3月24日以降の予算措置は引き続き必要であり、昨年から議会が取り組んできた(先送りしてきた)課題が一気に解決するわけではありません

12-16日の重要な相場材料
12日の週も、米長期金利の動向がマーケットの主役となる可能性があります。そうした中で、重要な相場材料は以下の通りです。

2月12日    トランプ大統領のインフラ投資計画発表?(2019年度予算教書?)
   14日    米消費者物価指数(1月分)
   16日    米住宅着工件数(1月分)

インフラ投資計画や予算教書の発表を受けて、市場で改めて財政赤字拡大の懸念が強まるかもしれません。とりわけ、トランプ政権が財政赤字の拡大に無頓着だとみなされれば、債券市場から強い警告(=金利上昇)が発せられるかもしれません。

CPI(消費者物価)は、食料とエネルギーを除くコアが昨年12月まで9か月連続で前年比2%を下回りました。もっとも、これには昨春の携帯通話料金の大幅引き下げが寄与していました。その効果は今春以降にはく落するため、CPIは早晩2%を超える可能性があります。14日発表のCPIが上ブレするようなら、インフレ懸念が強まって長期金利を押し上げる可能性があります。

住宅着工件数は、2008年のリーマン・ショック直後に急減した後、2009年ごろから低金利の恩恵を受けて緩やかな増加基調でした。仮に、住宅着工件数が下ブレするようなら、昨秋以降の長期金利上昇の影響が出てきたと判断されるかもしれません。そのこと自体は長期金利の上昇要因ではありませんが、景気悪化懸念から株価に下落圧力が加わるかもしれません。冬場の住宅関連統計は天候要因によって変動が大きくなる傾向があるため、要注意でしょう。

その他にも、14日の小売売上高(1月分)15日のNY連銀製造業景気指数、同フィラ連銀景気指数(いずれも2月分)、鉱工業生産(1月分)16日のミシガン大学消費者信頼感(2月分)などの米経済指標は、景気見通し(⇒利上げ観測)や企業収益予想(⇒株価)に影響を与える可能性があります。

ドイツの「大連立」で合意
ドイツでは、メルケル首相のCDU・CSU(キリスト教民主・社会同盟)とSPD(社会民主党)が、「大連立」政権を樹立することで合意しました。SPDのシュルツ党首は合意に関して、50万人弱の全党員に是非を問うとしており、「大連立」が否認される可能性はゼロではないようです。
また、「大連立」が承認され、メルケル首相の第4期がスタートするとしても(3月上旬ごろ?)、メルケル首相の求心力の低下は避けられないでしょう。

<チーフエコノミスト 西田明弘>


【米ドル】 米ドル/円、「値固め」から一旦「反発」へ?

以下、米ドル/円・週足・スパンモデル®+26週ボリンジャーバンド(以下、BB)+パラボリック+ストキャスティクス(スロー)につきご覧ください。



2/2の市場調査部レポート(『米ドル/円、反発のタイミングを図る時間帯か』)でも記載しましたが、9日時点においても、依然として米ドル/円は反発のタイミングを図る時間帯であると言えそうです。

米ドル/円・週足・スパンモデル®+26週ボリンジャーバンド(以下、BB)+パラボリックを見ると、1) 26週MA(26週移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となっていること、3) ローソク足の上方にパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、4) 赤色の雲(=抵抗帯)が薄い形状となっていることから、米ドル/円・週足チャートの主体的(or支配的)なトレンドは、依然【横向き基調】(レンジ相場)が継続していることが分かります。

その一方で、a) ローソク足が「売られ過ぎ水準」を示すBB・-2σライン近辺でサポートされつつあること(上図上部赤色点線丸印)、b) ストキャスティクス(スロー)の2本の線が「売られ過ぎ水準」を示す20%ライン付近でクロスしつつあること(上図下部赤色点線丸印)から、9日時点の米ドル/円は、値固めをする時間帯であると言えそうです。

喫緊の重要テクニカルラインは・・・BB・-2σライン(≒108.20円、上図黄色矢印)。9日時点におけるローソク足形状は、いわゆる【鯨幕相場】となっており、一般的には「気迷い相場」主体の相場展開となっていますが、仮に当該ライン(≒108.20円)を下回った場合は、下押しモメンタムが強まる可能性がありそうです。

<チーフアナリスト 津田隆光>


【ユーロ】 ユーロ/米ドルの下落はヘルシー・コレクションの一環か

以下、ユーロ/米ドル・週足・スパンモデル®+26週ボリンジャーバンド(以下、BB)+パラボリック+ストキャスティクス(スロー)につきご覧ください。

上図チャートでは、1) 26週MA(26週移動平均線)が右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の上方にあること、そして、3) ローソク足の下方にパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)および青色の雲(=サポート帯)があることから、ユーロ/米ドル・週足チャートの主体的(or支配的)なトレンドは、依然【上昇基調】が継続していると捉えることができます。

また、BB・±2σラインが26週MAに対して拡張(=エクスパンション)する展開となっていることから、そのトレンド(このケースでは「上昇トレンド」)が強まりつつあることを示唆しています。

その一方で、1/7の週以来4週にわたってローソク足が「買われ過ぎ水準」を示唆するBB・+2σラインをオーバーシュートしていたこともあり、直近のローソク足は「(ガス抜き)調整フロー」を示す陰線となり得ています。

上図チャートにある各テクニカル指標を総合すると、足もとで示現した下押しフローについては、「ヘルシー・コレクション」(健全な調整)の一環と捉えるべきでしょう。

多少のオーバーシュートは想定に入れつつ、喫緊の下値メドはBB・+1σラインである1.2150ドル付近(上図黄色矢印)と想定します。

<津田>


【英ポンド】 英ポンド/円、「下押し」→「値固め」フローに?

以下、英ポンド/円・週足・スパンモデル®+26週ボリンジャーバンド(以下、BB)+パラボリック+ストキャスティクス(スロー)につきご覧ください。

上図チャートでは、1) 26週MA(26週移動平均線)が右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の上方にあること、そして、3) ローソク足の下方にパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)および青色の雲(=サポート帯)があることから、英ポンド/円・週足チャートの主体的(or支配的)なトレンドは、依然【上昇基調】が継続していることが分かります。

また、BB・±2σラインが26週MAに対して概ねパラレルで推移していることから、緩やかな上昇トレンド継続を示唆しています。

その一方で、ローソク足がBB・+1σラインと同・+2σラインの間を推移する【上昇バンドウォーク】が一旦崩れていることから、次なる飛躍(=上昇トレンド)に向けた撓み(たわみ)の時間帯であると言えそうです。

上図チャートから勘案する下値メドは・・・青色の雲の上辺である先行1スパン(≒150.50円)。

ただし、ローソク足が同スパンにタッチした場合は、同時にSARが「売りサイン」に転換することとなるため、下押しの深度がやや高まる可能性も。

逆張り系オシレーター指標であるストキャスティクス(スロー)も、「売られ過ぎ水準」を示す80%ライン付近でクロスして(上図赤色点線丸印)いることからも、これからの時間帯における英ポンド/円は、「下押し」→「値固め」フローとなる可能性がありそうです。

<津田>


【豪ドル】 リスク意識の変化に反応しやすい地合い

RBA(豪中銀)は2月6日、政策金利を過去最低の1.50%に据え置くことを決定しました。据え置きは16回連続です。

声明では、豪経済の先行きを楽観視する一方、インフレに対して、より慎重な見方が示されており、RBAの政策金利は当面据え置かれる可能性が高いことが改めて示されました。

声明は、経済について「GDP成長率は上向き、今後数年にわたって成長率が平均で3%を上回りそうだ」と分析。「景況感は強く、鉱業以外の設備投資見通しは改善している」としました。昨年12月の前回会合時は、「GDP成長率は、今後数年にわたって平均で3%前後」との見通しが示されていました。

インフレについては、「依然として低く、CPI(消費者物価指数)と基調インフレ率はいずれも2%をやや下回っている」と指摘。「賃金の低い伸びや小売業の激しい競争を反映し、インフレは当面、低水準にとどまる」との見方を示し、前回削除した“「当面、低水準にとどまる」”との文言を復活させました。ただし、インフレ率は景気の加速に伴って徐々に上昇するとし、「CPI上昇率は2018年に2%を若干上回るというのが、中心的な予想だ」ともしました。

金融政策については、「低水準の金利が、豪経済を引き続き支援している」と強調。「失業率の一段の低下やインフレ率の目標水準への回帰が予想されているものの、そのペースは緩やかになる可能性が高い」との文言を今回追加しつつ、「入手可能な情報を考慮すると、理事会は今回の会合で政策スタンスを維持することが、持続可能な経済成長およびインフレ目標の達成と一致していると判断した」と説明しました。

豪ドルは今週(2月5日の週)、対米ドルで1か月半ぶり、対円で2か月半ぶりの安値を記録しました。RBAの声明や豪州の経済指標に対する豪ドルの反応は限定的。主要国の株安を背景にリスク回避の動きが強まったことが、豪ドルの下押し圧力となりました。市場の関心が主要国の株価動向などに向いている間は、豪ドルはリスク意識の変化(リスクオン・リスクオフ)に反応しやすい状況になりそうです。

<八代>


【NZドル】 RBNZ政策金利発表への反応は一時的

RBNZは2月8日、政策金利を過去最低の1.75%に据え置くことを決定。据え置きは、8回連続です。

声明は、「金融政策はかなりの期間、緩和的な状態が続く」と改めて表明。「多くの不確実性が残っており、それに応じて政策の調整が必要になる可能性がある」との見方を示しました。

金融政策報告では、想定される利上げ時期を「2019年4-6月期」とし、前回昨年11月時点の見通しを維持しました。一方で、インフレ見通しを下方修正。CPI(消費者物価指数)上昇率がRBNZのインフレ目標(+1から3%)の中央値である+2%に到達する時期を前回の「2018年4-6月期」から「2020年7-9月期」へと2年余り後ずれさせました。

RBNZがNZドルの動向を懸念していないことが判明しました。スペンサー総裁代行は会見で、「ここ数か月間のNZドルの上昇を懸念しておらず、現在の相場に違和感はない」と語りました。

RBNZは、利上げ予想時期を維持したものの、CPI上昇率の2%到達時期を前回から後ずれさせました。そのことは、RBNZが早期に利上げに転じる可能性が低下したことを示すだけでなく、利上げの開始が金融政策報告で示された時期よりも遅くなる可能性も示していると言えそうです。

RBNZがインフレ見通しを下方修正したことを受けてNZドルが下落したものの、その反応は長続きしませんでした。NZドルは独自材料以上に、リスク意識の変化(リスクオン・オフ)など、外部要因に反応しやすい地合いと考えられます。株価の下落が続くなどしてリスク回避の動きが一段と強まれば、NZドルにとってマイナス材料と考えられます。一方で、リスク回避の動きが緩和することは、NZドルにとってプラス材料と考えられます。

<八代>


※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

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