市場調査部レポート

2018/01/26 14:20【マンスリー・アウトルック(2018/2)】米ドル/円、『重要変化日』に接近か

― 2018年2月の為替相場展望 ―

《相場環境》

米財務長官のドル安容認発言をトランプ大統領は否定したものの、米政権の真意を探ることになりそう。2月上旬の米国債入札には注意が必要か。FRB議長の交代や欧州の政治情勢、日銀の人事なども相場材料となる可能性がありそう。

<主要通貨の動向>
・【全体観・米ドル】米ドル/円、『重要変化日』に接近か
・【ユーロ】ユーロ/米ドル、上昇モメンタムがさらに強まる可能性も
・【英ポンド】英ポンド/円、引き続き緩やかな上昇トレンドが継続しそう

<資源国・新興国通貨の動向>
・【豪ドル】米ドルの動向や資源価格に影響を受けやすい地合い
・【NZドル】2月8日のRBNZ政策会合がNZドルの動向に影響も!?
・【加ドル】BOCの追加利上げは経済指標やNAFTA再交渉の行方次第
・【トルコリラ】トルコの越境攻撃に対するトルコリラの反応は限定的
・【南アフリカランド】ズマ大統領の早期退陣期待が支援材料。2018/19年度予算案に注意

◆主要経済指標・イベント


≪相場環境≫

1月24日、ダボスでムニューシン米財務長官が「ドル安は米国にとって良いことだ」と発言、米ドルがほぼ全面安となりました。翌25日にトランプ大統領が「最終的に私は強いドルを望んでいる」と述べたことで、米ドルは反発しました。今後、米政権の真意がどこにあるのか、市場は探ることになりそうです。

今後の重要なイベント・スケジュールを以下に概観しておきます。

◆米財務長官のドル安発言で国債入札は大丈夫か
ムニューシン財務長官の発言を受けて、にわかに注目を集めるのが2月上旬に予定される大型の米国債入札ではないでしょうか。

税制改革により財政赤字の拡大(=国債発行額の増加)が見込まれるなか、FRBが保有国債の残高を漸減しており、また中国が米国債投資を見直すとの報道があるなど(中国当局は後に否定)、米国債に対する十分な需要があるのか不透明です。米国債入札が不調に終われば、国債価格は下落(=市場金利は上昇)するでしょうし、米ドルに下落圧力が加わる可能性にも注意が必要でしょう。

◆米FRB議長の交代に波乱はないか
2月3日をもってイエレン米FRB議長の任期が満了、後任にパウエル現理事が就任します。パウエル新議長はどのような手腕をみせるでしょうか。

87年に就任したグリーンスパン議長は、同年10月19日のブラックマンデー(株暴落)に対して迅速な流動性供給を行うことで市場の信任を得ました。2006年にその後を継いだバーナンキ議長は、リーマン・ショックに対して積極果敢な金融緩和を行うことで経済危機を乗り越える手助けをしました。2014年に就任したイエレン議長は、大きなショックに直面することはありませんでしたが、2015年12月の利上げ開始という政策転換を、市場を動揺させることなく進めました。

まずは、2月中に実施が見込まれるパウエル新議長の議会証言で何が語られるかに注目です。

◆米政府と議会の予算バトルは次なる局面へ!?
1月22日に成立した継続予算が2月8日に失効するため、新たな措置がなければ政府機関は一部閉鎖(シャットダウン)されます。民主党が要求する不法移民の子供に対する特例措置(DACA)が議会で審議されるのかが、引き続き重要なポイントとなりそうです。

2月上旬ごろにはトランプ大統領が10月に始まる2019年度の予算教書を発表する見込みです。トランプ大統領がどのようなインフラ投資計画を盛り込むのか、そして議会はどう反応するのかが注目されます。2018年度の予算措置やデットシーリングなど積み残した課題に加えて、予算バトルは次なる局面へと進むかもしれません。

◆欧州政治の次の注目点は?
1月21日のSPD(社会民主党)の党大会で、メルケル首相のCDU/CSU(キリスト教民主・社会同盟)と「大連立」政権の交渉を進めることが正式に承認されました。2月中に交渉が進めば、3月にも第4期目のメルケル政権が誕生することになりそうです。ただし、連立交渉においては、移民規制の是非や税制等の立場の違いが鮮明となるかもしれません。交渉が難航したり、メルケル首相が大きな譲歩を迫られて弱体化したりすれば、ユーロ安材料になりそうです。

さらに、イタリアの総選挙が3月4日の投票日に向けてヤマ場を迎えます。最近の世論調査では、反エスタブリッシュメントの「五つ星運動」が支持率で他の党をリードしています。「五つ星運動」が総選挙で第一党になっても、過半数の議席は獲得できず、また連立相手が見つからないともみられ、政権を担う可能性は低そうです。それでも、反EU、反ユーロの主張が有権者にアピールするようであれば、ユーロの弱気材料になるかもしれません。

◆「日銀」が久々に相場材料に?
17年終盤以降、日銀が利上げ(長期金利の高め誘導を含む)や量的緩和の縮小など金融政策の正常化に向けて動き始めるとの思惑が燻っています。1月23日の会合後の記者会見で、黒田総裁はそうした観測を一蹴しました。それでも、世界経済が比較的良好で、主要中央銀行が正常化を進めつつある中で、日銀もいずれ追随するとの見方は根強く残りそうです。また、4月8日に任期満了する黒田総裁の後任人事(黒田総裁の続投のケースも含む)が相場材料となるかもしれません(岩田・中曽両副総裁の任期はそれ以前の3月19日まで)。

<チーフエコノミスト 西田明弘>


<主要通貨の動向>

【全体観・米ドル】 米ドル/円、『重要変化日』に接近か

≪相場環境≫にある通り、24日、ムニューシン米財務長官が「ドル安は貿易(およびビジネス)機会の面で良いことだ」とのドル安容認発言をしたことで、ルービン元財務長官(就任期間:1995-1999年)以降、歴代財務長官の“不文律”となっていた「強いドルは米国の国益にかなう」との姿勢からのコペルニクス的転回とマーケットは受け止め、米ドルは主要通貨に対して弱含む展開となりました。

このムニューシン財務長官のドル安容認発言は、歴代財務長官の“不文律”から逸脱するだけではなく、2017年のトランプ政権発足以来、自身が「長期的にドル高は強い経済を反映する」としてきた自国通貨への考え方と180度違っていることもあり、一部では“ムニューシン・ショック”※との表現も。(※日本経済新聞電子版より)

そんな中、25日にトランプ大統領が「強いドルを望む」と発言し、“ムニューシン・ショック”の火消しに回ったことから、米ドルが主要通貨に対して持ち直す展開となりました。

トランプ政権による為替政策への姿勢は、今後も不透明感を強める可能性があるものの、その本音を勘案してみると、米国の保護主義的政策を支える“屋台骨”は自国通貨の低位安定であり、つまり、本音では強いドルを望むような環境ではないような気がしてなりません。

少なくとも、今年11月に予定されている米中間選挙に向けて国内産業の強化と「米国第一主義(アメリカ・ファースト)」を掲げるトランプ大統領の本音は「ドル安」路線の継続を前提条件としていると思うのですが、はたしてどうなのでしょうか。

さて、そんな中、米ドル/円相場のトレンド転換ポイントや下値メドを探る上で、アストロロジー(金融占星学)を中心に、パターン分析をしてみたいと思います。以下、2017年1-12月の米ドル/円・日足ローソク足と、満月・新月日を合わせたチャートをご覧ください。


 
上記チャートはあくまで1年間(2017/1-12)をベースとしたパターン分析ですが、以下のような仮説を立てることが可能です。

■  特に2月・3月・5月・7月・10月・11月の満月時※に、米ドル/円・日足チャートにおいて「天井圏」と重なり、トレンドの転換ポイント(上昇→下降)となっている。
■  6月・9月の満月時※には「底値圏」と重なり、トレンドの転換ポイント(下降→上昇)となっている。
■  新月時※には、足もとの「底値圏」やトレンド加速ポイントと重なることが多く見られる。
※満月・新月該当日が土日のケースでは、翌営業日を対象としています。

必ずしも毎年決まったパターンが見られる訳ではないものの、過去10年における米ドル/円相場と月齢サイクル(満月/新月)には少なからず同様の傾向・パターンが見受けられます。

とすれば、気になるのは今後の動きですが、参考までに、2018年1-6月の月齢(満月/新月)カレンダーは以下の通りです。

■  1月:満月→2日、31日 新月→17日
■  2月:新月→16日
■  3月:満月→2日、31日 新月→17日
■  4月:満月→30日 新月→16日
■  5月:満月→29日 新月→15日
■  6月:満月→28日 新月→14日

上記カレンダーにおいて、1ヵ月の内に満月が2回訪れる、いわゆる【ブルー・ムーン】が1月と3月にあり、その中でも天文学的なビッグイベントとして注目が集まるのが・・・1月31日の【皆既月食】

当日は【ブルー・ムーン】だけではなく、月が地球に最接近する【スーパー・ムーン】と重なっており、しかも皆既月食【ブラッド・ムーン】となることから、【スーパー・ブルー・ブラッド・ムーン】と呼ばれています。

以下余談ながら、この【スーパー・ブルー・ブラッド・ムーン】現象が見られるのは、実に1866年3月以来152年ぶりとのこと。1866年と言えば、薩長同盟(3/7)や寺田屋事件(3/9)、そして第二次長州征伐(7/18)などがあった幕末動乱期と重なり、翌年1867年の大政奉還に至る、いわば歴史の大転換期と重なっていたことは単なる偶然なのでしょうか。

かの坂本龍馬や西郷隆盛といった歴史的大人物も、この年の夜空に【スーパー・ブルー・ブラッド・ムーン】を眺めていたかと想像すると、天文学的事象のみならず、歴史学的にも大いにロマンを感じます。

話しは少しそれてしまいましたが、アストロロジー的パターン分析をベースの米ドル/円相場を見てみると、「満月=トレンド転換」という仮説に則ると、次週1月31日が『重要変化日』(※ここでは「下降トレンド」から「上昇トレンド」への転換)となるのでしょうか。要注目です。


閑話休題。以下、米ドル/円・週足・スパンモデル®+26週ボリンジャーバンド(以下、BB)+パラボリック+ストキャスティクス(スロー)をご覧ください。



上記チャートより、1) 26週MAが横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合っていること、3) 各BBが26週MAに対してパラレルとなっていること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方にあること、そして、5) ストキャスティクス(スロー)の2本の線が右肩下がりとなっていることから、米ドル/円・週足チャートではレンジ相場における下押しの時間帯であることが想定できます。

上図チャートにおけるポイントは2点。

まず1点目は、ローソク足が「売られ過ぎ」水準であるBB・-2σライン(≒108.30円)に接近していること。(上図黄色矢印) 主体的なトレンド観測がレンジ相場であることから、パターン分析および確率論的分析では当該ライン(=BB・-2σライン≒108.30円)付近がサポートラインとなり得そうです。

そして2点目は、ストキャスティクス(スロー)の2本の線が「売られ過ぎ」水準である20%ラインに接近していること。(上図赤点線丸印) これからの時間帯において、この2本の線がクロスした後右肩上がり形状となった場合は【ゴールデンクロス】となり、下降トレンドから上昇トレンドへの転換点となる可能性も

いずれにしても、これらメルクマールが確認できるまでは横軸である時間的経過が必要ですが、前述したアストロロジー分析を参考にすると、1月31日前後がそのトレンド転換の【重要変化日】となるのでしょうか。天文学的観測とともに、チャート・メルクマールの変化シグナルには要注目です。

<チーフアナリスト 津田隆光>

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【ユーロ】 ユーロ/米ドル、上昇モメンタムがさらに強まる可能性も

以下、早速ですが、ユーロ/円・週足・スパンモデル®+26週BB+パラボリック+ストキャスティクス(スロー)をご覧ください。


 
上記チャートより、1) 26週MAが右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の上方にあること、3) 各BBが26週MAに対して拡張(エクスパンション)する動きとなっていること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方にあること、そして、5) ストキャスティクス(スロー)の2本の線が80%ライン付近で推移していることから、ユーロ/米ドルの上昇モメンタムがさらに強まる可能性が見て取れます。

上図チャートにおけるポイントは2点。

まず1点目は、ローソク足が「買われ過ぎ」水準であるBB・+2σライン(≒1.2250ドル)をオーバーシュートしていること。(上図黄色矢印) 主体的なトレンド観測は上昇トレンド相場であるものの、足もとでは買われ過ぎの一時的な修正(=下押し)フローとなる可能性も視野に入れるべきでしょう。

そして2点目は、ストキャスティクス(スロー)の2本の線が「買われ過ぎ」水準である80%ライン付近でクロスしつつあること。(上図青点線丸印) これからの時間帯において、この2本の線がクロスした後右肩下がり形状となった場合は【デッドクロス】となり、一時的な下押しフローが発生する可能性も

当該メルクマールが確認できた場合であったとしても、各メルクマールを総合すると【押し目】を狙う時間帯となりそうです。

<津田>

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【英ポンド】 英ポンド/円、引き続き緩やかな上昇トレンドが継続しそう

以下、英ポンド/円・週足・スパンモデル®+26週ボリンジャーバンド+パラボリック+ストキャスティクス(スロー)をご覧ください。
 


上図チャートの各メルクマールを確認してみると、1) 26週MAが右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の上方に位置していること、3) ローソク足の下方にパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)および青色の雲(=サポート帯の雲)があること、そして、4)ストキャスティクス(スロー)の2本の線が80%ライン付近で推移していることから、英ポンド/円は引き続き緩やかな上昇トレンドが継続しそうです。

上図チャートより、各BB(±1σ、±2σ)が26週MAに対してほぼパラレルとなっていること、そして、ローソク足がBB・+1σラインと同・+2σラインの間を推移する【上昇バンドウォーク】となっていることから、“巡航速度の上昇トレンド相場”が当面続きそう。

一方で、前述の通り、ストキャスティクス(スロー)の2本の線が「買われ過ぎ」水準である80%ライン付近で推移(上図青点線丸印)していることから、これからの時間帯において、この2本の線がクロスした後右肩下がり形状となった場合は【デッドクロス】となり、一時的な下押しフローが発生する可能性も

ユーロ/米ドル同様、当該メルクマールが確認できた場合であったとしても、各メルクマールを総合すると英ポンド/円に関しても【押し目】を狙う時間帯となりそうです。

<津田>


<資源・新興国通貨の動向>

【豪ドル】 米ドルの動向や資源価格に影響を受けやすい地合い

豪ドル/米ドルは1月25日、一時0.8115米ドルへと上昇し、4か月半ぶりの高値を記録しました。堅調な資源価格に加え、24日のムニューシン米財務長官の米ドル安容認発言を受けて米ドルが全般的に下落し、豪ドル/米ドルを押し上げました。ただその後、25日にトランプ米大統領が「最終的には強い米ドルが望ましい」と語ったことで、豪ドル/米ドルは0.80米ドル近辺へと反落しました。

豪ドル/米ドルは、米ドルの動向や資源価格に影響を受けやすい地合いとなっており、こうした状況はしばらく続きそうです。一方、米ドル中心の相場展開では、豪ドル/円は豪ドル/米ドルと米ドル/円の綱引きとなって方向感が生まれにくいかもしれません。

豪州の経済指標では、2月21日の昨年10-12月期の賃金コスト指数に注目です。RBA(豪中銀)は政策金利を据え置く理由として、豪州の家計債務水準の高さや賃金の伸びが鈍いことを挙げています。そのため、賃金の伸びが加速することが、RBAが利上げを検討し始める条件のひとつと考えられます。2月21日発表の賃金コスト指数で賃金上昇圧力の高まりが示唆されれば、市場ではRBAの利上げ観測が浮上する可能性があります。その場合、豪ドルの支援材料になりそうです。豪州の賃金上昇率は昨年4-6月期まで4四半期連続で前年比+1.9%と、過去最低の伸びを記録。7-9月期は同+2.0%と、わずかな加速にとどまりました。

<シニアアナリスト 八代和也>

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【NZドル】 2月8日のRBNZ政策会合がNZドルの動向に影響も!?

NZドル/米ドルは1月24日、一時0.7428米ドルへと上昇し、約5か月ぶりの高値を記録しました。豪ドル/米ドルと同様に、堅調な資源価格や、米ドルが全般的に下落したことで、NZドル/米ドルに上昇圧力が加わりました。その後、NZの昨年10-12月期CPI(消費者物価指数)が前年比+1.6%と、市場予想の+1.9%を下回ったことに加え、トランプ米大統領の発言(「最終的には強い米ドルが望ましい」)を受けて米ドルが反発したことにより、NZドル/米ドルは0.73米ドル近辺へと反落しました。

NZドル/米ドルは、米ドルの動向や資源価格に影響を受けやすい地合いとなっており、こうした状況はしばらく続きそうです。

RBNZ(NZ中銀)が2月8日に政策会合を行います。その結果がその後のNZドルの動向に影響を与える可能性があります。政策金利は現行の1.75%に据え置かれるとみられます。焦点は、金融政策報告における政策金利見通しや、声明やスペンサー総裁代行が会見でNZドルについてどのような見解を示すのか?になりそうです。前回昨年11月は、RBNZが政策金利を来年(2019年)1-3月期まで据え置き、翌4-6月期の利上げを想定していることが判明。NZドルについては、「NZドルの下落が持続すれば、貿易財インフレを押し上げ、より均衡の取れた成長を促すだろう」との見方が示されました。前回から利上げ予想時期が変化する、あるいはNZドルに関する文言が大きく変われば、NZドルが反応する可能性があります。

<八代>

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【加ドル】 BOCの追加利上げは経済指標やNAFTA再交渉の行方次第

加ドルは1月25日、対米ドルで約4か月ぶりの高値を記録しました。原油など資源価格の上昇が資源国通貨である加ドルを下支えしたことに加え、米ドルが全般的に弱含んだことが背景です。

BOC(加中銀)が17日の会合(0.25%の利上げを決定)時の声明で、追加利上げを示唆しつつも、「一定の金融緩和の継続が必要になるだろう」と指摘。利上げペースが今後鈍化する可能性を示したことで、加ドルが下落する場面があったものの、その反応は一時的でした。

加ドルは引き続き、資源価格や米ドルの動向に影響を受けやすい地合いになりそうです。加ドル/円は、米ドル/円の影響も受けるため、米ドル/円にも注目する必要があります。

BOCは追加利上げについて、経済指標やNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉の行方次第との姿勢を示しています。そのため、加ドルは各種経済指標の結果やNAFTA再交渉関連の報道に反応する可能性があります。米国・カナダ・メキシコの3か国は、1月23日からNAFTA再交渉の第6回会合を開催中です(28日までの予定)。再交渉は25日時点で進展の兆しがほとんどみられないようです。一方、カナダの経済指標では、2月9日に1月雇用統計、23日に1月CPI(消費者物価指数)、3月2日に昨年10-12月期GDPに注目です。

<八代>

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【トルコリラ】トルコの越境攻撃に対するトルコリラの反応は限定的

トルコ軍が1月21日、シリアとの国境を越え、同国北西部の都市であり、クルド人勢力が実効支配するアフリンへの地上攻撃を開始しました。

シリア国内のクルド人勢力に対して、トルコ政府はテロ組織とみなし、安全保障上の脅威として敵視。一方で、米政権はIS(イスラム国)掃討作戦における重要な同盟勢力として支援してきました。

トルコのエルドアン大統領は1月15日、テロリストを掃討するため、アフリンやマンビジ(シリア北部の都市、クルド人勢力が実効支配)への軍事作戦を近く開始する可能性があると発言。それに対し、米国政府は18日、軍事作戦を自制するように求めました。

米政府が自制を求めるなか、トルコ政府がアフリンへの攻撃を強行したことで、市場ではトルコと米国の関係が一段と悪化するとの懸念が強まり、トルコリラは東京時間22日早朝に対円や対米ドルで下落しました。ただその後、米国のティラーソン国務長官が「米国はトルコなどと、トルコとシリアの国境に安全保障地帯を設置する案を協議している」発言。トルコと米国が外交解決に向けて動いていることが判明し、トルコリラが反発しました。

足もとのトルコリラの動きをみると、市場では今回の地上攻撃はそれほど材料視されていないようです。ただ、トルコに関しては、米国との関係悪化やTCMB(トルコ中銀)の独立性をめぐる懸念が何度も浮上し、そのたびにトルコリラが下落する展開が続いてきました。そのため、トルコのクルド人勢力に対する姿勢や、エルドアン大統領らによるTCMBの金融政策に関する発言に注意が必要です。

<八代>

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【南アフリカランド】 ズマ大統領の早期退陣期待が支援材料。2018/19年度予算案に注意

南アフリカランドは、ズマ大統領の早期退陣期待が支援材料となり、堅調に推移。対米ドルで2年9か月ぶり、対円で2年5か月ぶりの高値圏にあります。

南アフリカの与党ANC(アフリカ民族会議)は昨年(2017年)12月の党首選で、ラマポーザ副大統領を新たな党首に選出しました。

ズマ現大統領は多くの汚職疑惑を抱えるうえ、度重なる内閣改造により、政治の混乱を招いてきました。加えて、経済運営にも失敗。南アフリカは2014年以降、たびたびマイナス成長を記録しました。ラマポーザ副大統領は実業家であり、また選挙戦では汚職との戦いや経済成長の押し上げに取り組むことを訴えていました。そのため、市場ではラマポーザ副大統領(ANC党首)が大統領になれば、政治が安定し、また経済改革が進むとの期待があります。

ただし、与党党首になったとはいえ、ラマポーザ副大統領がすぐに大統領に就任するわけではありません。ズマ大統領の大統領としての任期は2019年半ばまで残っており、規定通りならラマポーザ副大統領が大統領になるとしてもその後です。

今年に入り、ANC内でズマ大統領に早期退陣を求める動きがあるようです。そして、為替市場では早期退陣期待を高めるニュースが流れると、ランドが上昇する展開が続いてきました。その反応をみると、ズマ大統領の早期退陣が決まれば、ランドは上昇するとみられます。

南アフリカ財務省が2月中に2018/19年度の予算案を発表します。予算案の内容が南アフリカの格付けに影響する可能性があるため、注意が必要です。南アフリカの自国通貨建て長期債務の格付けは、3大格付け会社のうち、S&Pとフィッチが「BBプラス」と投機的(いわゆる“ジャンク”)。一方で、ムーディーズは昨年11月に投資適格級最低の「Baa3」に据え置いたものの、格下げ方向で見直すとしました。仮にムーディーズが格下げを行えば、3大格付け会社のすべてが南アフリカをジャンクに位置付けることになります。ムーディーズは3月23日に格付けの見直し結果を発表する予定です。

<八代>


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