市場調査部レポート

2018/01/19 11:27日本とユーロ圏の金融政策に注目

【相場環境】日本とユーロ圏の金融政策に注目
【米ドル】米ドル/円、早晩108円台を試す可能性も?
【ユーロ】ユーロ/米ドル、ヘルシー・コレクションの時間帯か
【豪ドル】原油高が追い風。対米ドルは0.81米ドル台が上値メド!?
【加ドル】BOCが0.25%利上げも、利上げペースは今後鈍化!?
【トルコリラ】TCMBは政策金利を据え置き。トルコと米国の関係に注意が必要か


【相場環境】 日本とユーロ圏の金融政策に注目   

17日に公表されたベージュブック(地区連銀経済報告)では、米景気の堅調が改めて報告されました。賃金や物価の上昇圧力がわずかながら高まっている様子も明らかになりました。
26日には、10-12月期のGDPが発表されます。実質成長率は3期連続で3%超となりそうで、そうなればベージュブックの内容を裏付けることになります。

米国の2018年度の暫定予算が19日に期限切れとなります。対応を巡って議会で攻防が続いており、以下の3つのシナリオが想定できます。
【シナリオ1】2月16日までの暫定予算が成立してシャットダウンは回避
【シナリオ2】数日間のごく短い暫定予算が成立してシャットダウンは回避
【シナリオ3】20日午前0時をもってシャットダウン

ただ。いずれのシナリオでも、2018年度の残り(18年9月末まで)の予算措置が取られるわけではありません。早晩、予算を巡る議会の攻防が再開されることになります。
<詳細は、19日のスポットコメント「米シャットダウン(政府機関の一部閉鎖)の3つのシナリオ」をご覧ください>

◆日欧の金融政策
足元の米ドル相場は、買い材料よりも売り材料、そして米国内要因よりも海外要因に反応しやすいかもしれません。その意味では、日本やユーロ圏の金融政策に注目です。

22‐23日、日銀の金融政策決定会合が開催されます。「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みの中で、以下の数値目標・メドは維持されそうです(変更になれば、相当なサプライズです)。
 ・短期金利▲0.1% 長期金利0%近辺
 ・国債購入は年間80兆円のメド

市場が気にしているのは、日銀が金融緩和縮小に向けた「地ならし」を行なうかどうかという点でしょう。10日には日銀の国債購入の減額がそうした憶測を呼びました。国債購入額の漸減は「ステルス・テーパリング」とも呼ばれていますが、これに関して、黒田総裁は会見で長期金利の目標を達成するための措置とし、金融緩和縮小の「地ならし」を否定するでしょう。逆に、少しでも「地ならし」と受け止められる発言があれば、市場は円高で反応しそうです。

決定会合後に公表される「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、「(物価上昇率が)2%程度に達する時期は、2019 年度頃になる可能性が高い」との従来の見解から変化があるかも注目です。

25日、ECB理事会が開催されます。こちらは日銀以上に相場材料が出てくる可能性があります。昨年12月の理事会の議事録によれば、現在のQE(量的緩和)のガイドラインを見直すべきとの意見が大勢を占めました。ガイドラインは「規模・期間の拡大の可能性」に言及したものですが、逆の「規模・期間の縮小の可能性」にも言及すべきということでしょう。
現在のQEは「月間300億ユーロ、18年9月末まで」ですが、それらが変更される、あるいはガイドラインが修正される場合は、ユーロが反応しそうです。会見でドラギ総裁が何を語るかにも注目です。

◆ドイツの政治情勢
21日にSPD(社会民主党)の党大会があります。そこで、メルケル首相のCDU/CSU(キリスト教民主・社会同盟)との「大連立」政権交渉を正式に開始するかどうかが諮られます。確率は低そうですが、そこで交渉開始が否決されれば、新たな総選挙の可能性が高まり、政治は流動化しかねません。ユーロは大きく下落するかもしれません。

<チーフエコノミスト 西田明弘>


【米ドル】 米ドル/円、早晩108円台を試す可能性も?

以下、米ドル/円・週足・スパンモデル®+26週ボリンジャーバンド(以下、BB)+パラボリック+ストキャスティクス(スロー)につきご覧ください。
 


上図チャート(上部)では、1) 26週MA(26週移動平均線)が横向きであること、2) 各BBが26週MAに対してパラレルで推移していること、3) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方に位置していることから、週足レベルでの米ドル/円は上方硬直性を伴うレンジ主体の相場展開であることが見て取れます。

一方で、逆張り系オシレーター指標であるストキャスティクス(スロー)では、2本の線が右肩下がり推移となっており(上図赤色点線丸印)、昨年12月半ばの時点において【デッドクロス】が示現(上図黄色矢印)していることが分かります。

過去のパターン分析をしてみると、ストキャスティクス(スロー)の2本の線が80%ライン付近で交差し、その後に右肩下がりとなる【デッドクロス】時では、その後下降モメンタムがある程度強まる結果となっています。(上図青色丸印)

総括すると、19日時点の米ドル/円は、レンジ相場形成時における下押しの時間帯であると想定することができます。喫緊のポイントは、ローソク足がBB・-1σライン(≒110.00円)でサポートされるか否か。仮に、当該ラインを下抜けブレークした場合は、BB・-2σライン(≒108.50円)付近までの下押しを考慮すべきでしょう。

<チーフアナリスト 津田隆光>


【ユーロ】 ユーロ/米ドル、ヘルシー・コレクションの時間帯か

以下、ユーロ/米ドル・週足・スパンモデル®+26週ボリンジャーバンド(以下、BB)+パラボリック+ストキャスティクス(スロー)につきご覧ください。


 
上図チャート(上部)では、1) 26週MA(26週移動平均線)が右肩上がりであること、2) BB・±2σラインが一旦収縮(スクイーズ)後、拡張(エクスパンション)しつつあること、3) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方に位置していることから、週足レベルでのユーロ/米ドルは、上昇トレンド主体の相場展開となりそうです。

一方で、逆張り系オシレーター指標であるストキャスティクス(スロー)では、2本の線が80%ライン付近で交差する【デッドクロス】が示現しつつあることが分かります。(上図赤色点線丸印)

米ドル/円同様、過去のパターン分析をしてみると、ストキャスティクス(スロー)の2本の線が80%ライン付近で交差し、その後に右肩下がりとなる【デッドクロス】時では、その後下降モメンタムがある程度強まる結果となっています。(上図青色丸印)

また、ローソク足の形状が上ヒゲの長い【上影陰線】、いわゆる【トンカチ】となっており(上図黄色矢印)、当該メルクマールが出現した場合は一般的に反落することが多いと言われています。

これらを総合すると、19日時点のユーロ/米ドルは、上昇トレンド相場における健全な調整(=ヘルシー・コレクション)の時間帯であることが想定でき、当面の下値メドはBB・+1σライン(≒1.2000ドル)付近と見るべきでしょう。

<津田>


【豪ドル】 原油高が追い風。対米ドルは0.81米ドル台が上値メド!?

豪ドル/米ドルは1月17日、一時0.8018米ドルへと上昇し、約4か月ぶりの高値を記録しました。米ドルが全般的に弱含んでいることや、原油価格の上昇が豪ドル/米ドルの追い風となっています。代表的な原油価格の指標である米WTI先物は約3年1か月ぶりの高値圏にあります。資源国通貨である豪ドルにとって、原油や鉄鉱石など資源の価格上昇はプラス材料です。

原油価格が今後も堅調さを維持すれば、豪ドル/米ドルは上値を試す可能性があります。その場合、昨年9月8日高値の0.8120米ドルが目先の上値メドになりそうです。

1月21日に、OPEC(石油輸出国機構)やロシアが原油減産に関して協議する予定です。その結果に原油価格が反応する可能性があります。

豪ドル/米ドル(日足、2017/7/11〜2018/1/19)

出所:M2JFXチャート

<シニアアナリスト 八代和也>


【加ドル】 BOCが0.25%利上げも、利上げペースは今後鈍化!?

BOC(カナダ中銀)は1月17日、0.25%の利上げを決定。政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げました。利上げは昨年9月以来です。

BOCは声明で、利上げの理由を「最近の経済指標は堅調で、インフレ率は目標に近く、経済がほぼフル稼働しているため」と説明。一方で、NAFTA(北米自由貿易協定)の将来をめぐる不透明感が経済見通しに影を落としていると指摘しました。

声明は、「経済見通しは、今後の利上げを正当化するとみられる」と、追加利上げに言及する一方、「経済成長率を潜在水準近辺にとどめつつ、インフレ目標を達成するためには、一定の金融緩和の継続が必要になるだろう」と分析。「将来の政策金利調整を検討するにあたり、慎重であり続ける」としたうえで、利上げのタイミングは経済指標次第と強調しました。

*******

昨年後半以降の原油価格の上昇もあって、カナダの最近の経済指標は堅調です。昨年12月の失業率は5.7%と、1976年以降最低を記録し、雇用者数は13か月連続で増加。11月のCPI(消費者物価指数)は前年比+2.1%と、BOCのインフレ目標(+1〜3%)の中央値である+2%をわずかに上回り、コアCPIは+2%に近づきました。

一方で、米国・カナダ・メキシコの3か国によるNAFTA再交渉は協議が難航。米国のトランプ大統領はNAFTAからの離脱を示唆しています。カナダ経済は米国経済への依存度が高いため、米国がNAFTAを離脱すれば、カナダ経済は大きな打撃を受ける可能性があります(カナダは輸出先の7割強、輸入元の約5割が米国)。BOCは、カナダ経済の最大のリスク要因としてNAFTAの将来をめぐる不透明感をこれまで挙げており、今回の声明でも言及しました。

BOCは直近5回の政策会合のうち、3回利上げを行いました(2017年7月、9月、2018年1月。2017年10月と12月は据え置き)。ただ、NAFTA再交渉をめぐる不透明が残るなかで、今回の声明では「一定の金融緩和の継続が必要になるだろう」との文言が新たに加わりました。それらを踏まえると、利上げペースはこれまでよりも緩やかになる可能性があります。

加ドルは、原油価格の上昇やBOCの利上げ観測が支援材料となってきました。BOCの利上げペースが鈍化する可能性があることは、加ドルにとってプラス要因がひとつ弱まると考えることもできます。ただ、BOCはいずれ追加利上げに踏み切るとみられ、先行きの利上げ観測は今後も残ると考えられます。原油価格が下落傾向に転じなければ、加ドルは引き続き堅調に推移する可能性があります。

<八代>


【トルコリラ】 TCMBは政策金利を据え置き。トルコと米国の関係に注意が必要か   

TCMB(トルコ中銀)は1月18日の政策会合で、金融政策の現状維持を決定。後期流動性貸出金利を12.75%、1週間物レポ金利を8.00%、翌日物貸出金利を9.25%、翌日物借入金利を7.25%に据え置きました。

TCMBは声明で、政策金利を据え置いた理由を「現在の高いインフレやインフレ期待の水準が、引き続き価格設定行動にリスクをもたらすため」と説明。「インフレ見通しが、ベース効果や一時的な要因に頼らずに大幅に改善するまで、引き締めスタンスを断固維持する」と強調し、「インフレ期待や企業の価格設定行動、そしてインフレに影響を及ぼすその他の要因を注視し、必要に応じて一段の金融引き締めを行う」と改めて表明。追加利上げに含みを持たせました。

*******

TCMBは昨年(2017年)12月14日の前回会合で、後期流動性貸出金利を0.50%引き上げました(1週間物レポ金利、翌日物貸出金利、翌日物借入金利は据え置き)。

その後発表された、トルコの昨年12月のCPI(消費者物価指数)は前年比+11.92%と、TCMBのインフレ目標である+5%を大きく上回ったものの、11月の+12.98%から鈍化。加えて、トルコリラが対米ドルで前回会合以降に反発しました。そのため、TCMBは政策金利を据え置いて昨年12月の利上げ効果を見極める余地が生まれたと考えられます。TCMBが追加利上げを行うかどうかは、CPIやトルコリラ(対米ドル)の動向がカギを握りそうです。

今回の政策金利発表が市場の予想通りとなったことで、市場の関心はTCMBからいったん離れる可能性があります。

トルコと米国の関係に注意が必要かもしれません。1月14日、「米軍主導の有志連合は、シリア北部のクルド人主体の民兵組織と協力し、新たな国境警備隊を結成する準備を進めている」と伝わりました。それを受けて、トルコリラが今週(1月15日の週)初めに対米ドルや対円で下落する場面がありました。トルコはシリア国内のクルド人勢力をテロ組織とみなし、敵視しています。そのクルド人勢力を米国が支援することで、トルコと米国の関係が一段と悪化するとの懸念が高まったためです。その後、米国のティラーソン国務長官が国境警備隊創設に関するニュースを否定したことで、トルコリラが反発しました。

<八代>


※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

「市場調査部レポート」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ