市場調査部レポート

2018/01/05 12:03米議会の動きとドイツ連立政権交渉に注目

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
市場調査部では、投資判断に役立つ情報の提供になお一層努めて参りますので、お取引のご参考にしていただければ幸いです。

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昨年12月29日に配信したマンスリー・アウトルック「2018年の為替相場展望」で、新年の為替相場の考え方や注目ポイント、重要イベントを、とくに年初にフォーカスして取り上げましたので、是非ご覧ください。

【相場環境】米議会の動きとドイツ連立政権交渉に注目
【米ドル】米ドル/円、ボックス圏相場の様相に
【ユーロ】ユーロ/米ドル、足もとしっかりの相場展開となりそう
【豪ドル】対米ドルや対円で2か月半ぶり高値、資源価格高や株高が追い風
【トルコリラ】トルコと米国の関係改善期待や欧米株高が支援材料に


【相場環境】 米議会の動きとドイツ連立政権交渉に注目   

当面の注目材料を概観します。

米FOMCは賃金・物価動向、イールドカーブに注目
昨年12月に開催されたFOMC議事録によれば、税制改革(トランプ減税)の景気押し上げ効果への言及が目立ちました。また、賃金・物価やイールドカーブ(利回り曲線≒長短金利差)に関する詳細な議論が行われました。

OIS(翌日物金利スワップ)によれば、1月4日時点で市場が織り込む利上げ確率は、1月31日FOMCで37%、3月21日FOMCで72%です。今後の賃金・物価やイールドカーブの動向によって利上げ確率がどう変化するかが、米ドル相場に大きく影響しそうです。

米議会は積み残した課題を処理できるか
1月3日に米議会が召集されました。喫緊の課題は、1月19日に期限が切れる継続予算への対応です。議会では、国防費と非国防費のバランス、近く失効するDACA(不法移民の子供に対する特別措置)の延長、子供の健康保険やオバマケア補助などを巡って、共和党と民主党の主張が分かれています。

11月に中間選挙を控えて党派色の強まりが予想されるなか、議会は、今年9月末までの2018年度残りをカバーする予算を編成できるか。短期間の継続予算を成立させて、課題を先送りするのか。それとも、現行の継続予算の失効に伴って、シャットダウン(政府機関の一部閉鎖)が起きるのでしょうか。

加えて、3月ごろに事実上の期限を迎えるデットシーリング(債務残高)の引き上げも、デフォルト(債務不履行)回避のために必要となってきそうです。

ドイツの連立政権交渉はまとまるか
メルケル首相のCDU/CSU(キリスト教民主・社会同盟)とSPD(社会民主党)の連立に関する予備交渉は1月7日から12日の予定で始まります。予備交渉で一定の合意ができ、かつ21日のSPDの党大会でGOサインが出れば、22日から正式な交渉が始まる予定です。

上手く行けば、2月中旬に正式に合意し、SPDの承認を経て、3月にも「大連立」のメルケル新政権が誕生することになりそうです。ただ、CDU/CSUとSPDでは、難民、国防支出、欧州統合などに関してスタンスが大きく異なります。交渉が長期化する、あるいは決裂するとの観測が強まれば、ユーロにとってマイナス材料となりそうです。

<チーフエコノミスト 西田明弘> 


【米ドル】 米ドル/円、ボックス圏相場の様相に

以下、米ドル/円・日足・スパンモデル®+21日ボリンジャーバンド+パラボリック+ストキャスティクス(スロー)をご覧ください。

上図チャートでは、1) 21日MA(21日移動平均線≒約1ヵ月における市場参加者の平均コスト)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態となっていること、3) 赤色の雲(=“売り”の雲)が薄い形状となっていること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していること、そして、5) ボリンジャーバンド(以下、BB)・±2σラインが21日MAに対してパラレルで推移していることから、典型的なレンジ相場形状となっていることが見て取れます。

一方で、逆張り系オシレーター指標であるストキャスティクス(スロー)では、5日時点において「売られ過ぎ水準」である20%ライン付近でクロスしており、また同時に、ローソク足が「売られ過ぎ水準」であるBB・-2σライン付近で反発していることが見て取れます。(上図赤点線丸印)

上記と同様のメルクマール[ストキャスティクス(スロー)の2本の線が20%ライン付近でクロス(=ゴールデンクロス)すること+ローソク足がBB・-2σライン付近で反発していること]を遡ってみると、その後上昇モメンタムがある程度強まっていることが分かります。(上図黄色矢印)

総合して勘案してみると、足もとの米ドル/円はBB・-2σライン(≒112.15円)付近ではしっかりした展開となり、当面はBB・±2σラインの間のゾーンである112.15-113.70円ボックス圏を推移する相場展開となりそうです。

<チーフアナリスト 津田隆光>


【ユーロ】 ユーロ/米ドル、足もとしっかりの相場展開となりそう

以下、ユーロ/米ドル・日足・スパンモデル®+21日ボリンジャーバンド+パラボリック+DMIをご覧ください。

上図チャートを見ると、1) 21日MA(21日移動平均線)が右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の上方に位置していること、3) ローソク足が青色の雲(=“買い”の雲)の上方にあること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方で点灯していること、そして、5) DMI(方向性指数)で、+DI>-DIとなっている (上図赤色丸印)ことから、上昇トレンドの初期段階であることが確認できます。

上図チャートのポイントは3点。

まず1点目は、遅行スパンがローソク足に対して上抜けブレーク(=好転)していること。当該メルクマールは典型的な上昇トレンドシグナルと言えます。

2点目は、BB・±2σラインが21日MAに対して拡張(エクスパンション)する動きとなっていること。これは、今後上昇モメンタムが強まることを示唆しています。

そして3点目は、ローソク足がBB・+1σラインと同・+2σラインの間で推移する【上昇バンドウォーク】を形成しつつあること。足もとでは、BB・1σライン(≒1.1980ドル)近辺までの下押しの可能性も考慮する必要があるものの、緩やかな上昇トレンドが継続することが想定されます。

上記3点のポイントもあり、当面のユーロ/米ドルは足もとがしっかりした相場展開が継続しそうです。

<津田>


【豪ドル】 対米ドルや対円で2か月半ぶり高値、資源価格高や株高が追い風

豪ドル/米ドルは今週(2018年1月1日の週)、対米ドルや対円で2か月半ぶりの高値を記録しました。原油など資源価格の上昇が資源国通貨である豪ドルの追い風となったほか、欧米株の上昇を背景にリスク選好の動きが強まったことも、豪ドルの支援材料となりました。

来週(1月8日の週)は、11日に豪州の2017年11月小売売上高が発表されますが、豪ドルはそれ以上に資源価格や欧米株の動向に影響を受けやすい地合いになりそうです。

日足チャートをみると、豪ドル/米ドルと豪ドル/円はともに、200日移動平均線より上の水準を維持しています。テクニカル的に強い地合いと考えられ、豪ドル/米ドルや豪ドル/円は上値を試す可能性があります。その場合の上値メドとして、豪ドル/米ドルは0.7891米ドルや0.8120米ドル(2017年10月13日&9月8日高値)、豪ドル/円は89.04円や90.24円(同10月13日&9月21日高値)が挙げられます。

<シニアアナリスト 八代和也>

豪ドル/米ドル(日足、2017/8/18-2018/1/5)

出所:M2JFXチャート

豪ドル/円(日足、2017/8/18-2018/1/5)

出所:M2JFXチャート


【トルコリラ】 トルコと米国の関係改善期待や欧米株高が支援材料に

トルコリラは今週(2018年1月1日の週)、対米ドルで2か月半ぶり、対円で約2か月ぶりの高値を記録しました。

米国とトルコが2017年12月28日、相手国内でのビザ発給業務を完全に再開すると発表。それを受けて、市場では両国の関係改善への期待感が浮上しました。加えて、欧米株が今週に入って一段と上昇。リスク選好の動きから新興国通貨が強含んだこともトルコリラの押し上げ材料となりました。NYダウやS&P500、ナスダックの米主要3指数は1月4日にいずれも史上最高値を更新しました。

来週(1月8日の週)のトルコリラは引き続き、欧米株の動向に影響を受けやすい展開になりそうです。欧米株が堅調に推移すれば、トルコリラ/円は200日移動平均線(1月5日時点で30.73円に位置)を試す可能性があります。ただし、1月18日のTCMB(トルコ中銀)の政策会合を控え、エルドアン大統領らトルコ政府関係者からTCMBの金融政策に関する発言が出てくる可能性もあり、注意が必要です。

<八代>

トルコリラ/円(日足、2017/8/18-2018/1/5)

出所:M2JFXチャート


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