市場調査部レポート

2017/12/29 11:12【マンスリー・アウトルック(2018/1)】2018年の為替相場展望-2018年も・・・『1月相場』には要警戒-

《相場環境》

18年の為替相場も金融政策が主要な相場材料となりそう。米国、カナダ、トルコは早期の追加利上げがあるか。英国はブレグジットが懸念材料で利上げに慎重か。ユーロ圏は早晩QE終了の判断も。豪とNZは18年終盤に利上げへの転換か。日銀は総裁人事が鍵を握りそう、リバーサル・レートやイールドカーブへの言及に要注意。 <各国・地域の注目ポイントと重要イベント>

<主要通貨の動向>
・【全体観・米ドル】2018年も・・・『1月相場』には要警戒
・【ユーロ】ユーロ/円、下値しっかりの相場展開となりそう
・【英ポンド】英ポンド/円、緩やかな上昇トレンドが継続しそう

<資源国・新興国通貨の動向>
・【豪ドル】RBAの金融政策や資源価格に影響を受けそう
・【NZドル】3月に新総裁就任。新総裁の金融政策運営に注目
・【加ドル】市場の関心はBOCの利上げペースへ
・【トルコリラ】トルコの対外関係やTCMBの独立性に注目
・【南アフリカランド】政局に引き続き注意が必要、格付けにも注目

◆主要経済指標・イベント


≪相場環境≫

18年の為替相場も金融政策が主要な相場材料となりそう。米国、カナダ、トルコは早期の追加利上げがあるか。英国はブレグジットが懸念材料となり利上げに慎重。ユーロ圏はいずれQE終了の判断へ。豪とNZは18年終盤に利上げ方向へ転換か。日銀は総裁人事が鍵を握りそう、リバーサル・レートやイールドカーブへの言及に要注意。

2018年の為替相場を考える上での注目ポイントと、主に年前半の重要イベントを概観します。

【世界】
◆注目ポイント
・朝鮮半島情勢の緊張。市場では「日常」になりつつあるかもしれないが、注意は怠れない
・原油価格の行方、産油国の減産合意は維持されるのか。米シェール企業の増産は?
・中国経済の行方、住宅バブル崩壊や過剰債務などによるハードランディングはないか
・ビットコインはバブルではないのか。先物上場の影響が今後も出ないとは限らない
・新興国の政治は安定するか。南アフリカでズマ大統領の早期辞任はあるか。トルコは対米関係が鍵か

◆重要スケジュール
・1月8日 北朝鮮・金正恩委員長の誕生日(34歳)
・1月23-26日 世界経済フォーラム(ダボス会議)
・2月9-25日 韓国・平昌オリンピック
・3月 米韓合同軍事演習「Foal Eagle/Key Resolve」開始
・3月上旬 中国・全国人民代表大会
・3月18日 ロシア大統領選挙(選挙管理委がプーチン大統領のライバルの立候補を却下)
・3月19日 G20財務大臣・中央銀行総裁会議(ブエノスアイレス)
・4月 IMF世界経済見通し
・6月8日 G7サミット(カナダ)
・6月14日-7月15日 サッカーW杯(ロシア)
・6月22日 OPEC総会(ウィーン)

【米国】
◆注目ポイント
・税制改革が成立。所得税や法人税の減税の効果、米多国籍企業の海外利益還流の影響はあるか
・1月20日のシャットダウン(政府機関の一部閉鎖)や、3月ごろのデフォルト(債務不履行)は回避されるか
・トランプ大統領のインフラ投資案が議会で実現するか。中間選挙を控えて党派的対立激化も
・ロシアゲートに新たな進展はあるか。対イラン制裁違反の裁判がエルドアン・トルコ大統領へ波及するか
・FRBの利上げペース、FOMC想定の3回か、市場予想の2回か、それら以外か
・利上げに伴ってイールドカーブのフラット化が進むか。さらに進んで長短金利逆転はみられるか

◆重要スケジュール
・1月19日 継続予算の期限切れ(20日以降の予算措置がなければ、シャットダウン)
・1月30日 トランプ大統領の一般教書演説(施政方針演説、インフラ投資案の公表?)
・2月3日 イエレンFRB議長の任期切れ。パウエル新議長の手腕はどうか(月内に議会証言)
・2月上旬 2019年度予算教書発表(18年10月-19年9月分)
・3月ごろ デットシーリング(債務上限)引き上げが必要に。さもなければデフォルトも
・4月 財務省、半期為替報告(前回の監視リストは、中国、日本、韓国、ドイツ、スイス)
・11月6日 中間選挙(下院全議席と上院1/3議席が改選)、民主党は議会主導権を奪回するか

【欧州】
◆注目ポイント
・反ユーロ(反EU)・反グローバリズムが再燃するか(主にドイツやイタリア、オーストリア)
・英国とEUの離脱(ブレグジット)交渉は進展するか。年明けから通商など離脱後の関係について交渉開始
・BOE(英中銀)の追加利上げは? ECBは量的緩和の終了を示唆するか

◆重要スケジュール
・1月7日 メルケル首相のCDU/CSUとSPDの連立交渉開始。12日の暫定合意目指す
・3月4日 イタリア総選挙。ポピュリスト政党「五つ星運動」が躍進か
・3月22日 EUサミット。ブレグジット交渉の進捗をチェック?
・10月ごろ ブレグジット交渉の最終合意期限? EU全加盟国の承認が必要。19年3月に離脱へ

【日本】
◆注目ポイント
・日銀が、短期金利引き上げや長期金利高め誘導で金融機関支援に動くか
・黒田日銀総裁が続投するか。後任は誰か。リフレ派が勢いを増すか
・安倍一強体制は続くのか。衆院解散・総選挙はあるか。憲法改正議論は前進するか

◆重要スケジュール
・4月8日 黒田日銀総裁の任期切れ(岩田・中曽副総裁の任期は3月19日まで)
・6月 骨太の方針を閣議決定
・9月 自民党総裁選。安倍首相の3選はあるか

<チーフエコノミスト 西田明弘>


<主要通貨の動向>

【全体観・米ドル】 2018年も・・・『1月相場』には要警戒

来る2018年(平成30年)の干支は【戌(いぬ)年】。以下参考ながら、主に本邦株式市場で言い伝えられる干支(十二支)についての相場格言は次の通りです。

辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)は笑い、亥(い)は固まる、子(ね)は繁盛、丑(うし)は躓き、寅(とら)千里を走り、卯(う)は跳ねる。

2017年の【酉(とり)年】は一般的には<商売繁盛の年>と言われる中、来る2018年(平成30年)の【戌(いぬ)年】は<守りの年>とも言われており、こうした謂れからも、騒がしい相場環境下で築き上げた資産を“守る”一年になると置き換えていいのかもしれません。

再度参考ながら、以下、過去60年(1958年-)の【戌年】における日米(日経平均、NYダウ)株価年間騰落率表および数値(※)についてご覧ください。 (※それぞれ前年末終値と当該年終値を基準として計算しています。)




上記表より、NYダウは1958年以降5回あった【戌年】における勝敗は、5勝0敗日経平均は4勝1敗という成績※となっており、それぞれの年間平均騰落率は、NYダウで+15.36%、日経平均で+10.01%となっています。(※年間騰落率プラスを「勝ち」、マイナスを「負け」としています。)

上記結果より勘案すると、過去のデータから日米ともに株式市場においては【戌年=笑う一年】になりやすいと捉えて良いでしょう。

その一方で、ここ数年来のデータを見た上で留意すべきことは・・・『1月相場』には要警戒ということ。その証左の一例として、過去20年間における日米(日経平均、NYダウ)株価の月別平均騰落率表について、以下をご確認ください。


 
上図から勘案する、過去20年間における日米株価の月別騰落の傾向・パターンとして、以下のような仮説を立てることが可能です。

日米株式市場とも、春先(3-4月)や秋口・年末(10-12月)にかけて株価は上昇しやすい傾向がある。
その一方で、1月や夏場(8-9月)は下落しやすい傾向がある。

かつては、「1月効果」(January effect)という季節性のアノマリーが存在し、「1月は株価が上がりやすい」と言われていましたが、ここもと(過去20年)の株式市場の傾向・パターンを検証してみると、「日米ともに、株式相場は1月に下がりやすい」という傾向が見られます。

この傾向・パターンを確認するために、通貨ペアも含めて過去の動向を検証してみたいと思います。そこで、より直近(2008年以降)のデータを基に、過去10年(2008-2017年)における、主要5銘柄(日経225・NYダウ・米ドル/円・豪ドル/円・NZドル/円)の陽線・陰線について、以下表をご覧ください。



上記表より、直近10年(2008-2017年)における1月・陰線確率は、NZドル/円では.600の確率であるものの、日経225・NYダウ・米ドル/円・豪ドル/円では.700の確率で陰線、つまり下げ相場になっていることが分かります。

あくまでも直近10年間の傾向・パターンであり、必ずしも「1月=陰線月」とは限りませんが、あくまで確率論に則った上で勘案すると、米ドル/円・『1月相場』は下げ相場になる確率が比較的高いと見た方がよさそうです。今般2018年の『1月相場』においても、米ドル/円の短期的な下落フローには警戒を怠らない方が無難と言えるでしょう。

<チーフアナリスト 津田隆光>

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【ユーロ】 ユーロ/円、下値しっかりの相場展開となりそう

以下、早速ですが、ユーロ/円・週足・スパンモデル®+26週ボリンジャーバンド+パラボリック+DMIにつきご覧ください。

上図チャートの各メルクマールを確認してみると、1) 26週MA(26週移動平均線≒約半年間における市場参加者の売買コスト平均値)が右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の上方に位置していること、3) ローソク足の下方にパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)および青色の雲(=サポート帯の雲)があること、そして、4) DMI(方向性指数)で、+DI>-DIとなっていることから、週足レベルのユーロ/円は、下方硬直性を伴う上昇トレンド形状であることが分かります。

これからの時間帯において、上記1)-4)が不変であるという条件のもと、仮に以下メルクマールが確認できたケースでは、ユーロ/円の上昇モメンタムが強まる可能性がありそうです。

a) ボリンジャーバンド(以下、BB)・±2σラインが26週MAに対して収縮(スクイーズ)した後、拡張(エクスパンション)する動きとなること。
b) ローソク足がBB・+1σラインと同・+2σラインの間を推移する【上昇バンドウォーク】が示現すること。
c) DMIで+DI>-DIの乖離がさらに拡大し、ADXが右肩上がり推移となること。

いずれにしても、上図チャートから勘案する1月のユーロ/円は、下方硬直性を伴う緩やかな上昇トレンドが継続しそうです。

<津田>

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【英ポンド】 英ポンド/円、緩やかな上昇トレンドが継続しそう

以下、英ポンド/円・週足・スパンモデル®+26週ボリンジャーバンド+パラボリック+DMIにつきご覧ください。



ユーロ/円同様、上図チャートの各メルクマールを確認してみると、1) 26週MAが右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の上方に位置していること、3) ローソク足の下方にパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)および青色の雲(=サポート帯の雲)があること、そして、4) DMI(方向性指数)で、+DI>-DIとなっていることから、週足レベルの英ポンド/円は、下方硬直性を伴う上昇トレンド形状であることが分かります。

上図チャートより、各BB(±1σ、±2σ)が26週MAに対してパラレルとなっていること、そして、サポート帯の青色の雲の上辺である先行1スパンも同様に右肩上がりで推移していることから、下値サポート帯がしっかりと機能した緩やかな上昇トレンドが継続しそうです。

29日時点で勘案する、英ポンド/円の1月におけるコアレンジは、先行1スパンからBB・+2σラインの間のゾーンである148.20-154.60円と想定します。

当然、英ポンド/円に関しても、前述したここもとの『1月相場』特有のチョッピーな相場展開を警戒する必要はありますが、上図チャートから勘案する1月の英ポンド/円は、ユーロ/円同様下方硬直性を伴う緩やかな上昇トレンドが継続しそうです。

<津田>


<資源・新興国通貨の動向>

【豪ドル】 RBAの金融政策や資源価格に影響を受けそう

2018年の豪ドルは、RBA(豪中銀)の金融政策スタンスに変化があるのか?が最大の相場材料になりそうです。

RBAは2016年8月に利下げを行って以降、政策金利を過去最低の1.50%に維持。高水準の家計債務や賃金の伸びの鈍さを背景に、RBAは政策金利を当面、据え置くことを示唆しています。豪州の2017年7-9月期の賃金コスト指数(賞与を除く時給ベース)は前年比+2.0%と、過去最低の伸びを記録した4-6月期の+1.9%からわずかな加速にとどまり、賃金の伸びが依然として鈍いことが改めて示されました。RBAが利上げを検討し始める条件のひとつとして、賃金の伸びが加速する兆候が確認されることが挙げられます。RBAの利上げ観測が浮上すれば、豪ドルにとってプラス材料と考えられます。

その他、資源国通貨である豪ドルは、原油や鉄鉱石など資源価格の動向にも目を向ける必要があります。豪ドルにとって、資源価格の上昇はプラス材料、資源価格の下落はマイナス材料です。

月足チャートをみると、豪ドル/米ドルは2015年1月以降、おおむね0.70-0.80米ドルのレンジで推移(図中のピンク部分)してきました。市場におけるRBAと米FRBの金融政策の先行きに関する見通しが大きく変化せず、また資源価格も安定した値動きになれば、豪ドル/米ドルは0.70-0.80米ドルの動きが2018年も継続する可能性があります。

豪ドル/米ドル(月足、2008/1-)

出所:M2JFXチャート

<シニアアナリスト 八代和也>

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【NZドル】 3月に新総裁就任。新総裁の金融政策運営に注目

2018年のNZドルは、RBNZ(NZ中銀)の金融政策に注目です。

RBNZでは2018年3月27日にエイドリアン・オア氏が総裁に就任します(それまでは、ウィーラー前総裁時に副総裁だったスペンサー氏が総裁代行)。オア氏は、2003年から2007年までRBNZ副総裁を務めた経験があります。

NZ政府は中銀法を改正し、RBNZの責務を変更する方針です。RBNZの現在の責務は「物価安定」のみ。政府はそれに「雇用の最大化」も加える意向です。
市場では、雇用の最大化が加わった場合、利上げのハードルが上がるとの見方があります。インフレが加速する状況下でも、雇用が低迷していれば、RBNZが利上げをするのは難しいとの見方からです。一方で、オア氏がRBNZ副総裁を務めた経験があることから、市場ではオア氏は物価目標を重視し、ハト派的な政策運営をしないのでは?との見方もあるようです。オア新総裁がどのような金融政策運営を行うのか注目です。

政策金利については、RBNZが2017年11月に公表した金融政策報告では、2019年4-6月期の利上げが想定されていました(それまでは「据え置き」)。CPI(消費者物価指数)上昇率が加速するなどして、市場でRBNZの早期利上げ観測が高まれば、NZドルにとってプラス材料になりそうです。一方、RBNZの政策金利の据え置きが長期化するとの観測が強まることは、NZドルにとってマイナス材料と考えられます。

月足チャートをみると、NZドル/米ドルは2015年1月以降、おおむね0.65-0.75米ドルのレンジで推移(図中のピンク部分)してきました。市場におけるRBNZと米FRBの金融政策の先行きに関する見方が大きく変化しなければ、NZドル/米ドルは0.65-0.75米ドルの動きが2018年も継続する可能性があります。

NZドル/米ドル(月足、2008/1-)

出所:M2JFXチャート

<八代>

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【加ドル】 市場の関心はBOCの利上げペースへ

BOC(加中銀)は2017年7月に約7年ぶりに利上げを実施。9月に追加利上げに踏み切った後、10月と12月は政策金利を1.00%に据え置きました。

2018年の加ドルは、BOCの金融政策に関する市場の観測に影響を受けやすい地合いになりそうです。BOCは前回2017年12月の会合時の声明で、「時間とともに、利上げが必要になる可能性がある」とする一方、「BOCは引き続き慎重姿勢であり続ける」と表明。そのうえで、「金利に対する経済の感度、経済の能力の変化、賃金の伸びとインフレの両方のダイナミクスを評価するため、BOCは今後発表されるデータに導かれる」とし、追加利上げのタイミングは経済指標次第と強調しました。

市場では、BOCがいずれ追加利上げを実施するとの見方が有力。市場の関心は、今後の利上げペースへと移りつつあります。BOCが2018年に利上げを継続すれば、加ドルの支援材料となりそうです。一方、BOCの利上げ打ち止め観測が市場で強まれば、加ドルには下押し圧力が加わる可能性があります。

その他、資源国通貨である加ドルは、原油や鉄鉱石など資源価格の動向にも目を向ける必要があります。加ドルにとって、資源価格の上昇はプラス材料、資源価格の下落はマイナス材料です。

<八代>

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【トルコリラ】 トルコの対外関係やTCMBの独立性に注目

トルコリラは2017年11月、対円や対米ドルで過去最安値を記録しました。トルコと米国の二国間の関係やTCMB(トルコ中銀)の独立性をめぐる懸念が高まり、トルコリラ売り圧力が強まりました。


その後、2017 年 12 月に入ると、トルコリラは対円や対米ドルで反発しました。その背景として、トルコのインフレ圧力の一段の高まりが確認されたことで TCMB の利上げ観測が浮上し、TCMB が12月14日に実際に利上げ(後期流動性貸出金利を0.50%引き上げ)を実施したことが挙げられます。加えて、12月28日に米国とトルコがビザの発給業務を完全に再開すると発表したことも、トルコリラの支援材料となりました。

2018年のトルコリラは引き続き、トルコと米国や欧州などとの関係のほか、TCMBの金融政策が相場材料になりそうです。トルコと米国との関係がさらに改善すれば、トルコリラにとってプラス材料と考えられます。

TCMBの金融政策については、エルドアン大統領が利下げ圧力を加えるなか、2017年12月に利上げを行い、金融政策において TCMB が政府から独立していることを示しました。ただし、TCMBの独立性をめぐる懸念はこれまでに何度も浮上し、その度にトルコリラが売られる展開が続いてきました。今後、インフレ圧力が一段と強まった場合、TCMBがインフレ対応で利上げできるのかどうか?TCMBの独立性をめぐる懸念が再燃する可能性があります。

<八代>

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【南アフリカランド】 政局に引き続き注意が必要、格付けにも注目

南アフリカランドは2017年12月、対米ドルや対円で上昇。ランド/円は一時、2年4か月ぶりの高値をつけました。

ランドの上昇が加速した背景には、南アフリカの与党ANC(アフリカ民族会議)の新党首にラマポーザ副大統領が選出されたことが挙げられます。ANC党首選は2017年12月18日に実施されました。

ズマ現大統領は多くの汚職疑惑を抱えるうえ、度重なる内閣改造により、政治の混乱を招いてきました。また、南アフリカは2014年以降、たびたびマイナス成長を記録するなど、経済も低迷しています。新たにANC党首となったラマポーザ副大統領は実業家であり、また選挙戦では汚職との戦いや経済成長の押し上げに取り組むことを訴えていました。そのため、市場では改革への期待があります。

ANC党首に就任したからといって、ラマポーザ副大統領がすぐに大統領に就任するわけではありません。ズマ大統領の大統領としての任期は2019年5月まで残っており、規定通りならラマポーザ副大統領が大統領になるとしてもその後です。ただし、ANC内ではズマ大統領に早期退陣を求める動きがあるようです。ズマ大統領の早期退陣が現実味を帯びた場合、ランドにとってさらなるプラス材料になりそうです。

一方で、今回の党首選では、ANC党内が二分しました。今後、党内対立が深刻化し、ラマポーザ大統領に敗れたドラミニ・ズマ氏を支持した勢力が離党するとの観測も根強く、その通りになれば政局が流動化する可能性があります。政局の不透明感は、ランドにとってマイナス材料です。

また、南アフリカの格付けも相場材料になる可能性があります。南アフリカの自国通貨建て長期債務の現在の格付けは、S&Pとフィッチが「BBプラス」と投機的(いわゆる“ジャンク”)。ムーディーズが投資適格級最低の「Baa3」です。ただし、ムーディーズは2017年11月、格下げ方向で見直すと発表しました。仮にムーディーズが格下げを行えば、3大格付け会社のすべてが南アフリカをジャンクに位置付けることになります。一方で、市場ではラマポーザ副大統領がANC党首になったことは、格付けにとってプラス材料との見方もあります。

<八代>


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