市場調査部レポート

2017/12/01 14:30【マンスリー・アウトルック(2017/12)】師走相場は地政学リスクの高まりに要警戒

― 2017年12月の為替相場展望 ―

《相場環境》

12月は米FRBの利上げが想定される以外、主要中銀の金融政策変更はなさそう。18年に関するヒントには要注意か。市場の関心はワシントンへ向きそう。財政改革が成立するかは依然として不透明。継続予算が切れ、またデットシーリング(債務上限)が復活する12月8日は要注意日か(雇用統計もあり)。欧州では、英国とEUの離脱交渉に進展がみられるか。

<主要通貨の動向>
・【全体観・米ドル】師走相場は地政学リスクの高まりに要警戒
・【ユーロ】ユーロ/円、押し目買いがワークしそう
・【英ポンド】英ポンド/円、緩やかな上昇トレンドが継続しそう

<資源国・新興国通貨の動向>
・【豪ドル】自力で上昇を続けるにはRBAの利上げ観測の浮上が必要?
・【NZドル】RBNZ改革や次期総裁人事が相場材料に
・【加ドル】BOCは近い将来の利上げを示唆するのか?
・【トルコリラ】TCMBは利上げに踏み切るか。14日の会合に注目!!
・【南アフリカランド】ANC党首選がランド相場に影響を与える可能性あり

◆主要経済指標・イベント


≪相場環境≫

12月は多くの中央銀行が政策会合を開催します。ただし、政策変更が予想されるのは、利上げが確実視されている米FOMCぐらいです。それ例外は概ね現状維持が予想されていますが、来年の金融政策に関してどのような材料が出てくるでしょうか(トルコ中銀については【トルコリラ】の項をご参照)。

市場の関心は、ワシントンの動向に向けられそうです。税制改革の行方は依然として不透明であり、暫定予算やデットシーリング(債務上限)への政府・議会の対応も気になるところです。一時的なシャットダウン(政府機能の一部停止)の可能性も意識され始めています。

欧州では、英国とEUのブレグジット交渉に進展の兆しが見え始めました。12月中旬のEU閣僚会議で、離脱後の通商協定等の交渉にGOサインが出されるか注目されます。

◆金融政策会合
OIS(翌日物金利スワップ)によれば、12月12-13日の米FOMCでは利上げが100%(!)織り込まれています。イエレンFRB議長やパウエル次期議長候補らの最近の発言もそれを強く示唆するものでした。注目は、18年の利上げの回数やペースに関して、どのようなヒントが出てくるか。議長の会見や経済・金融政策見通しが注目されます。

米FRB以外で12月の利上げがわずかながらも織り込まれているのは、BOC(カナダ中銀)とECBです。利上げが実施されるとすれば、かなりのサプライズでしょう。OISによれば、BOCの利上げ確率が5割を超える(=メインシナリオとなる)のは18年3月以降であり、ECBについては18年中を通してほぼ5割を切っています。

◆米税制改革協議と予算・デットシーリング
米上院は税制改革法案を可決しそうです(現地12月1日に採決予定)。上院で可決されれば、次は下院案との一本化作業へと進みます。両院の代表による一本化が済めば、あらためて各院の本会議で採決され、それぞれで可決されれば、大統領に送付されて署名を得て成立するというスケジュールです。
ただし、上院案と下院案には相違点も多く、一本化は難航しそう。トランプ大統領が要求するクリスマス前や年内に税制改革が成立するかはかなり不透明です。

12月8日には、2018年度の継続予算が期限切れとなり、またデットシーリング(債務上限)が復活します。9日以降の予算措置が講じられなければ、シャットダウン(政府機関の一部閉鎖)が発生します。一般市民は不便を強いられますが、短期間のシャットダウンであれば、市場への影響は限定的でしょう。ただし、政府と議会、あるいは共和党と民主党の溝の深さは意識されそうです。

一方、連邦債務がデットシーリングに達しても、財務省が裏ワザを使うことでしばらくは「やりくり」できます。ただし、そのままだと18年春ごろにデフォルト(債務不履行)のリスクが高まり、2011年夏のように市場が大きく動揺する可能性も否定できません。

◆欧州政治情勢
停滞していた英国とEUとのブレグジット交渉に動きがみられるようです。焦点となっていた、英国の負担金の額や、アイルランド共和国(ユーロ圏)と北アイルランド(英国)の国境に関して、何らかの提案があった模様です。ただし、それらが最終合意に至るかは依然として不透明です。

12月4日には、メイ英首相とユンケルEU委員長の会見が予定されています。また、14-15日にはEUサミット首脳会議が開催されます。それらの席で、英国の離脱の条件で合意ができた、あるいは少なくとも交渉が十分に進展したとEU側が判断すれば、通商協定など「離脱後の関係」についての交渉も始まる可能性があります。別の言い方をすれば、現在の交渉が不十分だとEUが判断すれば、「離脱後の関係」の話は始まりすらしないということです。19年3月のブレグジットまで、残された時間は意外と少なくなっています。

<チーフエコノミスト 西田明弘>


<主要通貨の動向>

【全体観・米ドル】 師走相場は地政学リスクの高まりに要警戒

今年も残すところあと1ヵ月となり、本日より師走相場がスタートしました。師走相場と言えば、それに関連して、多くのマーケット参加者の人口に膾炙する有名な言葉があります。まずは以下をご確認ください。

■ 掉尾の一振(とうびのいっしん)
主に株式市場で使用される用語。年内最終取引日(大納会)に向けて株価が上昇しやすく、全般的にリスクオンの展開になりやすいことを表す言葉。
■お化粧買い、ドレッシング買い
企業や年金基金などの機関投資家が、決算期末や月末・年末において、保有する株式の評価額を恣意的に上げる目的で買い注文を入れること。
■ サンタクロース・ラリー
米国株式市場のアノマリー。クリスマスから新年1月にかけて、株価が上昇しやすくなり、全般的にリスクオンの展開になりやすくなることを表す言葉。

これらは言わば【強気(ブル)】を表す言葉ですが、一方で師走相場にはもう一面の【弱気(ベア)】を表す言葉もあります。

■ タックス・ロス・セリング
今年(年内)生み出したキャピタルゲイン(実現利益)について、含み損の決済と抱き合わせ、相殺することで節税を目論む行為のこと。毎年12月にかけて起こることが比較的多い。

これらのマーケットにおいて有名な言葉や傾向も頭の片隅に入れながら、【強気(ブル)】【弱気(ベア)】問わず、年末特有のチョッピー※な相場展開を事前に想定しつつ、いつもの月と比べて、『治療よりも予防』という観点を重視すべきなのかもしれません。以上、ご参考としていただければ幸いです。(※チョッピー:市場参加者が少なく、薄商いの中、値動きが不規則・不安定に荒れる状態のこと)

早速ですが、12月の注目スケジュール(抜粋)について、以下ご覧ください。

12月6日 BOC(カナダ中銀)政策金利発表
  8日 米デットシーリング(債務上限)期限
  12-13日 米FOMC
  14日 BOE(英中銀)、ECB、TCMB(トルコ中銀) 政策金利発表

  17日 北朝鮮・金正日氏命日
  20-21日 日銀金融政策決定会合
  27日 北朝鮮・社会主義憲法記念日
  30日 北朝鮮・金正恩氏、最高司令官就任6周年

上記において特に注目したいイベントは、8日の米デットシーリング期限の成り行きや12-13日の米FOMC、そして14日に集中する3つの中央銀行の金融政策会合といったところでしょうか。

その他では、【地政学リスク】の観点から、北朝鮮における記念日前後の挑発行為や、それに伴う軍事的な行動からも目が離せないと言えるでしょう。

特に【地政学リスク】に留意すべきと想定するその根拠として、今年最後(4回目)の【水星逆行現象(12/3-23)】※が起こるという、アストロロジー(金融占星学)からの見方もあります。以下、2017年(2016年末からのスタートも含む)に発生した、過去3回の水星逆行現象時における米ドル/円のチャートと、その期間に発生したカタリストについてご覧ください。(※地球上から見て、水星の軌道が逆行するように見える期間のこと。一般的には、交通インフラやシステムにおいて障害が起こりやすい期間とされており、また人的コミュニケーションの齟齬が発生しやすいとも。相場においては、ボラティリティが高くなりやすいとされています。)

上記チャートから類推できる、水星逆行現象時の傾向・パターンとしては以下のような仮説が成り立ちます。

1. 米ドル/円相場の「天井圏」や「底値圏」の期間と重なりやすい。
2. 特に2回目と3回目に見られる通り、北朝鮮発の「地政学リスク」が高まる時期と重なりやすい。

上記はあくまで期間を限定した仮説にすぎませんが、「相場とは、傾向・クセ・パターンを探し出し、対応するゲーム」という点に立脚すれば、12月3日からスタートする【水星逆行現象】期間(-23日)には、過去と同様、地政学リスクの高まりには警戒した方がいいのかもしれません。

一部では、12月中にも米国の軍事行動が開始されるといった、いわゆる【Xデー】観測も取り上げられる中、西暦末尾『7』の年の最終月については、いつも以上に用心、警戒した方がいいのかもしれません。

閑話休題。12月の米ドル/円の動きを観測する上で、「週足チャート」「26週ボリンジャーバンド」、そして「ストキャスティクス(スロー)」を使いながら見ていきたいと思います。以下、米ドル/円・週足・26週ボリンジャーバンド+ストキャスティクス(スロー)につきご覧ください。

上図チャートにおけるパターン分析をすると、以下のような仮説が成り立ちます。

≪パターン分析による仮説≫
ローソク足が「買われ過ぎ」水準のメルクマールとされるボリンジャーバンド(以下、BB)・+2σライン付近(その手前も含む)に接近し、かつ、ストキャスティクス(スロー)が「買われ過ぎ」水準のメルクマールとされる「80%ライン」付近でクロス(=デッド・クロス)した後、右肩下がり推移となったケースでは、BB・-2σライン付近までの下押しフローが発生しやすい。(上図赤丸および矢印部分)

現状(12/1時点)においても、過去同様のメルクマールが確認できることもあり、途中段階での上げ下げはあり得る範疇とした上で、早晩、BB・-2σライン(≒108.36円)付近までの下押しフローを想定した方がよいのかもしれません。

逆張り系のオシレーター指標にありがちな“ダマし”には注意しながら、ご参考にしていただければ幸いです。

<チーフアナリスト 津田隆光>

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【ユーロ】 ユーロ/円、押し目買いがワークしそう

以下、早速ですが、ユーロ/円・週足・26週ボリンジャーバンド+ストキャスティクス(スロー)につきご覧ください。

上図チャートにおけるパターン分析をすると、以下のような仮説が成り立ちます。

≪パターン分析による仮説≫
・  ユーロ/円の中期トレンドは、26週MA(26週移動平均線)に概ねシンクロしやすい。
・  ユーロ/円・週足チャートにおいては、逆張り系オシレーター指標であるストキャスティクス(スロー)の信頼性・信憑性は低い。(※“ダマし”が発生しやすい)
・  BB・±2σラインが26週MAに対してパラレルで推移している期間は、26週MAの方向性(トレンド)に対してシンクロしやすく、同ラインが収縮(スクイーズ)ないしは拡張(エクスパンション)シグナルが出現した場合は、トレンド転換しやすい。

現状(12/1時点)では、ローソク足がBB・+1σラインと同・+2σラインの間を推移する【上昇バンドウォーク】となっており、当面は当該ゾーンを“巡航路線”とする緩やかな上昇トレンド相場が継続しそうです。

当面のユーロ/円については、押し目は買い拾う方針がワークしそうです。

<津田>

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【英ポンド】 英ポンド/円、緩やかな上昇トレンドが継続しそう

以下、米ドル/円、ユーロ/円同様、英ポンド/円・週足・26週ボリンジャーバンド+ストキャスティクス(スロー)につきご覧ください。

上図チャートにおけるパターン分析をすると、以下のような仮説が成り立ちます。

≪パターン分析による仮説≫
26週MAが右肩上がりで推移する条件下、ローソク足が「買われ過ぎ」水準のメルクマールとされるボリンジャーバンド(以下、BB)・+2σライン付近(オーバーシュートも含む)に接近し、かつ、ストキャスティクス(スロー)が「買われ過ぎ」水準のメルクマールとされる「80%ライン」付近でクロス(=デッド・クロス)した後、右肩下がり推移となったケースでは、26週MAライン付近までの一時的な下押しフローが発生しやすい。(上図赤丸および矢印部分)

現状(12/1時点)では、ローソク足がBB・+1σラインと同・+2σラインの間を推移する【上昇バンドウォーク】を形成しつつあり、また、BB・±2σラインが26週MAに対して拡張(エクスパンション)する動きを見せていることもあり、緩やかな上昇トレンドが継続すると捉えてよさそうです。

これからの時間帯において、1) ローソク足がBB・+2σラインに接近し、かつ、2) ストキャスティクス(スロー)が80%ライン付近でクロス(=デッド・クロス)し、その後右肩下がりで推移するような場合は、一時的に26週MA(≒146.22円)付近までの下押しフローを想定すべきでしょう。

<津田>


<資源・新興国通貨の動向>

【豪ドル】 自力で上昇を続けるにはRBAの利上げ観測の浮上が必要?

11月の豪ドルは軟調な展開となり、豪ドル/円や豪ドル/米ドルは一時約5か月ぶりの安値をつけました。

RBA(豪中銀)の政策金利が長期間据え置かれるとの観測が豪ドルの重しとなってきました。そうした状況下で、金融政策報告や賃金コスト指数を受けて、RBAの政策金利の据え置き期間がさらに長期化するとの見方が強まり、豪ドルには一段の下押し圧力が加わりました。

RBAは11月10日に金融政策報告を公表。インフレ見通しを8月時点から下方修正し、基調インフレ率が2%前後に達すると予想する時期が8月時点の今年下半期から2019年上半期へと後ずれしました。また、15日に発表された豪州の7-9月期の賃金コスト指数(賞与を除く時給ベース)は前年比+2.0%と、過去最低を記録した4-6月期(+1.9%)からわずかな加速にとどまり、賃金の伸びが依然として鈍いことが改めて示されました。

豪ドルが自力で上昇を続けるには、経済指標などでRBAの利上げ観測が浮上する必要がありそうです。12月に発表される豪州の主な経済指標は、10月小売売上高やRBA政策金利(いずれも5日)、7-9月期GDP(6日)、11月雇用統計(14日)、19日RBA議事録があります。

<シニアアナリスト 八代和也>

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【NZドル】 RBNZ改革や次期総裁人事が相場材料に

11月のNZドルは軟調に推移し、NZドル/米ドルは11月に一時、約1年5か月ぶりの安値を記録。NZドル/円も約7か月ぶりの安値をつけました。

NZドルは、主に以下の懸念が重しとなっています。
(1)RBNZ(NZ中銀)の責務に「雇用の最大化」も加わる可能性
RBNZの現在の責務は“物価安定”のみ。政府は中銀法を改正し、“雇用の最大化”も責務に加える方針です。市場では、雇用の最大化が責務に加われば、RBNZの利上げのハードルが上がるとの見方があります。
(2)RBNZの新総裁人事
今年9月26日にウィーラー氏がRBNZ総裁を退任し、翌27日から当時副総裁のスペンサー氏が総裁代行を務めています(代行任期は来年3月まで)。ロバートソン財務相はRBNZ理事会の推薦に基づき、来年3月に次期総裁を指名するとみられます。市場では、財務相が政府の方針に沿う考え方の人物を新総裁に任命することで、中銀法の改正を待つことなく、RBNZに雇用も重視させることが可能との見方があります。

NZドルが自力で上昇を続けるには、こうした懸念が和らぐ必要がありそうです。また、軟調な乳製品価格は今のところほとんど材料視されていないものの、今後の価格動向に注意は必要かもしれません。乳製品国際価格の指標であるGDT価格指数は、2017年6月のピークから約13%下落しました。

<八代>

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【加ドル】 BOCは近い将来の利上げを示唆するのか?

12月の加ドルは、6日のBOC(カナダ中銀)政策金利発表が最大の相場材料になりそうです。

BOCは2017年7月、9月と2回連続で利上げを実施。前回10月25日の会合では、利上げをいったん休止し、政策金利を1.00%に据え置きました。10月の声明では、「時間とともに、必要となる金融刺激策が低下する可能性が高い」とし、追加利上げに言及する一方、「将来の政策金利の調整には慎重を期す」と表明。利上げのタイミングは、今後の経済指標次第としました。

10月会合以降に発表されたカナダの経済指標は弱めの結果が目立つため、12月6日の会合では政策金利の据え置きが決定されそうです。市場の見方は「据え置き」が有力であるため、利上げが決定された場合はサプライズとなり、加ドルが上昇するとみられます。一方、政策金利が据え置かれた場合は、声明で追加利上げの時期についてヒントが示されるのか?が焦点になりそうです。利上げが近いことが示唆されれば加ドルにとってプラス材料、そうでなければ加ドルにとってマイナス材料と考えられます。

<八代>

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【トルコリラ】 TCMBは利上げに踏み切るか。14日の会合に注目!!

トルコリラは11月に対円や対米ドルで過去最安値を記録しました。トルコと米国の二国間関係をめぐる懸念がトルコリラの下押し圧力となるなか、トルコのエルドアン大統領の以下の発言を受けてTCMB(トルコ中銀)の独立性をめぐる懸念が再燃したことが要因です。

エルドアン大統領は11月17日、TCMBはインフレを加速させる間違った軌道にあると批判。「中銀は独立しており、政府は干渉してはならないと言うが、干渉しなかったので、この結果だ」と語りました。トルコの10月のCPI(消費者物価指数)上昇率は前年比+11.90%と、9月の+11.20%から加速し、2008年7月以来の強い伸びを記録しました。エルドアン大統領はまた、「高い金利で融資しようとすれば、当然ながら投資は阻害されてストップする。われわれは(かつて)利下げをしてインフレ率を一桁に引き下げたことがある」と指摘。TCMBに利下げするように改めて求めました

トルコリラの下落に対し、TCMBは通貨防衛策を打ち出してはいます。11月6日に金融機関が中銀に預ける準備預金の外貨比率を引き下げ、18日に外貨売却入札を開始すると発表。21日には“後期流動性貸出金利”以外での資金供給を停止すると発表しました。

21日の措置は、市中銀行に対して“翌日物貸出金利(9.25%)”での資金供給をゼロとする一方、より金利水準の高い“後期流動性貸出金利(12.25%)”での資金供給枠を2倍にするものです。TCMB当局者によれば、資金供給を後期流動性貸出金利のみとすることで、市中銀行の平均資金調達コストが0.25%程度上昇したため、事実上0.25%の利上げと言えそうです。

ただ、TCMBの通貨防衛策にもかかわらず、トルコリラは22日に対米ドル、28日に対円で過去最安値を記録しました。市場は、TCMBのトルコリラ防衛策は不十分とみなしたと考えられます。

トルコリラが反発局面に入るには、トルコと米国の関係が改善に向かう、あるいはTCMBがエルドアン大統領の利下げ圧力をはねのけて、市場が納得するような利上げ(=後期流動性貸出金利の引き上げ)を行い、中銀が政府から独立していることを示す必要がありそうです。TCMBは12月14日に定例会合を行います。会合でTCMBがどのような判断を下すのか?注目です。

<八代>

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【南アフリカランド】 ANC党首選がランド相場に影響を与える可能性あり

格付け会社のS&Pとムーディーズは11月24日、南アフリカ国債の格付けを発表。S&Pは自国通貨建て長期債務の格付けを「BBBマイナス」から「BBプラス」へ1段階引き下げました。それにより、南アフリカ国債は「投機的(いわゆるジャンク)」へと転落しました。一方、ムーディーズは格付けを引き下げ方向で見直すとしたものの、今回の格下げを見送り(投資適格最低の「Baa3」を維持)ました。

南アフリカランドはS&Pの格下げ発表を受けて下落したものの、週明け11月27日以降に反発しました。その要因として、格下げが1社にとどまり、市場が懸念していた2社とも格下げという事態が回避されたことが挙げられます。

S&Pとムーディーズの格付け発表が終わったことで、市場の関心は与党ANC(アフリカ民族会議)の党大会・党首選(12月16-20日の予定)に移るとみられます。

今回の党首選は、2019年5月に任期満了を迎えるズマ大統領の後継者選びとなります。そのたため、党首選の結果がランドの今後の動向に影響を与える可能性があります。

党首選は、ラマポーザ副大統領とドラミニ・ズマ前AU(アフリカ連合)委員長の一騎打ちとの見方があります。ズマ現大統領は、経済運営に失敗したとされ、汚職疑惑を抱えています。そのズマ大統領に批判的なラマポーザ副大統領が新党首に選出されれば、市場では改革期待が高まるとみられます。一方、ズマ大統領の元夫人でもあるドラミニ・ズマ前AU委員長は現路線を継承するとの見方があります。そのため、ランドにとって、ラマポーザ副大統領の選出はプラス材料、ドラミニ・ズマ前AU委員長の選出はマイナス材料と考えられます。

<八代>


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