市場調査部レポート

2017/11/10 11:40米ドル/円、気迷い相場の時間帯突入か

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【相場環境】米税制改革の行方
【全体観・米ドル】米ドル/円、気迷い相場の時間帯突入か
【ユーロ ユーロ/米ドル、“デッド・キャット・バウンス”終了も
【英ポンド】英ポンド/円、レンジワーク主体の展開に
【NZドル】RBNZが利上げ時期の想定を前倒し。次は23日の小売売上高に注目
【トルコリラ】トルコと米国の二国間関係をめぐる懸念が重し


【相場環境】 相場材料の最新情勢   

来週(13日-)もイベントが盛りだくさんです。
 13-14日はフィリピンでASEAN(東南アジア諸国連合)サミット。アジア歴訪中の米トランプ大統領が参加。
 14-15日、フランクフルトでECBのカンファレンス「政策効果・説明責任・評価の向上のためのコミュニケーションの課題」ドラギ総裁、イエレンFRB議長、黒田日銀総裁、カーニーBOE総裁らが参加。
 14-15日、英下院で政府提出のブレグジット(EU離脱)法案を審議
 15-21日、米加墨によるNAFTA(北米自由貿易協定)交渉の第5ラウンド
 17日、カタルーニャ州議会選挙の立候補提出期限。

米税制改革に関して、下院本会議が下院法案を審議・採決へ。上院財政委員会が上院案(法人減税の19年への先送り)を審議・採決へ(その後、上院本会議で審議)。<詳細は下記>

経済指標では、米国のCPIや小売売上高、製造業関連英CPI日本GDPカナダCPI豪雇用統計などが発表されます。<末尾の経済指標カレンダーをご参照>

◆米税制改革法案審議のスケジュール
税制改革案の議会審議が、6日から本格化しています。税制改革の進捗が相場材料となることも多く、その行方が注目されています。以下に議会審議のスケジュール感を示しておきます。

まず、2日に共和党が税制改革案を公表しました。これに基づいて、下院で税制を管轄する歳入委員会が9日、下院の税制改革法案を可決し、下院本会議に送付しました。下院本会議が13日の週にこれを審議、早ければ採決も行われそうです。下院本会議が税制改革法案を可決すれば、税制改革の下院案が確定します。

一方、上院共和党は、下院案とは異なる税制改革案を公表しました。ただ、それは下院案のような「法案」ではなく、あくまでも「草案」にとどまり、議員からの意見を取り入れた上で13日の週に税制改革法案として提出されるようです。その後、上院財政委員会が税制改革法案を審議・採決し、可決すれば上院本会議に提出します。上院本会議が税制改革法案を可決すれば、税制改革の上院案が確定します。

上院の税制改革案では、法人税減税(税率35%→20%)の実施が2019年に先送りされました。また、法人税以外でも、所得税の税率区分や控除項目、資産税などに関して、細かなものも含めると、上院案と改案には多くの相違点がみられます。「富裕層優遇」、「財政赤字拡大」などの批判に対して、下院と上院がそれぞれに知恵を絞った結果でしょう。

今後、上院と下院の各本会議で可決される税制改革法案が一本化される必要があります。上院と下院の本会議が同じ一本化案を可決すれば、税制改革法案が議会を通過します。そして、議会の税制改革法案に大統領が署名すれば、成立です。

ただ、下院案と上院案の隔たりを調整するには、相当の議論と時間がかかるかもしれません。政府と議会がその気になれば、ごく短期間で法案を成立させることは可能です。一方で、調整に手間取って税制改革が越年する可能性も低くはありません。今後の進展に要注目です。

<チーフエコノミスト 西田明弘>


【全体観・米ドル】 米ドル/円、気迷い相場の時間帯突入か

以下、米ドル/円・日足・スパンモデル®+21日ボリンジャーバンド+パラボリック+DMIをご覧ください。

10日執筆時点において、上図チャートの各メルクマールは、1) 21日MA(21日移動平均線)が右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の上方にあるものの、徐々に絡み合う形状となりつつあること、3) ローソク足が青色の雲(=“買い”の雲)の中に入り込んでいること、3) ローソク足の上方にパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、そして、5) DMI(方向性指数)において、+DIと-DIが絡み合うような状態(上図赤丸印)となっていることが、それぞれ確認できます。

これらメルクマールを総合してみると、足もとの米ドル/円は、下方硬直性主体の相場展開が続くものの、やや“気迷い”状態となっていることが見て取れます。

これからの時間帯において注目すべきメルクマールは・・・21日MADMI

10日時点のローソク足は、21日MA(≒113.40円)を若干下回る展開となっていますが、仮に10日終値レベルで同MAを下回った場合は、下押しのモメンタムが強まる可能性もありそうです。

上図チャートから想定する下値メドは・・・ボリンジャーバンド・-2σライン(≒112.00円)。

今後、仮に-DI>+DIとなり、その乖離が拡大するような状態となった場合は、早晩、-2σラインである112.00円付近までの下押しフローを考慮すべきでしょう。

<チーフアナリスト 津田隆光>


【ユーロ】 ユーロ/米ドル、“デッド・キャット・バウンス”終了も

以下、ユーロ/米ドル・日足・スパンモデル®+21日ボリンジャーバンド+パラボリック+DMIをご覧ください。

上図チャートの各メルクマールは、1) 21日MA(21日移動平均線)が右肩下がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の下方にあること、3) ローソク足が赤色の雲(=“売り”の雲)の下方にあること、3) ローソク足の上方にパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、そして、5) DMI(方向性指数)において、+DIと-DIが絡み合うような状態(上図青丸印)となっていることが、それぞれ確認できます。

これらメルクマールを総合してみると、足もとのユーロ/米ドルは、上方硬直性を伴う下降トレンド主体の相場展開となっていることが見て取れます。

そんな中、上図チャートでは、ボリンジャーバンド・-2σラインが、下向き方向から横向き方向へと変化しており、このことは「下降トレンドの一服」を示唆しています。(上図黄色矢印)

その一方で、ローソク足が赤色の雲(=“売り”の雲)の下辺である先行1スパン(≒1.1665ドル)に接近しており、傾向的には同スパンが“レジスタンスライン”(=抵抗ライン)となることが多く見受けられます。

7日に付けた下ヒゲローソク足から、短期的な戻り(=反発)の展開となっていますが、これが本格的な反発の兆しなのか、もしくは一時的な戻りである“デッド・キャット・バウンス”なのかの判断基準は、今後のDMIの動向に注目すべきでしょう。

今後、仮に-DI>+DIとなり、その乖離が拡大するような状態となった場合は、早晩、-2σラインである1.1520ドル付近までの下押しフローを考慮すべきでしょう。

<津田>


【英ポンド】 英ポンド/円、レンジワーク主体の展開に

以下、英ポンド/円・日足・スパンモデル®+21日ボリンジャーバンド+パラボリック+DMIをご覧ください。

上図チャートの各メルクマールは、1) 21日MA(21日移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態となっていること、3) ローソク足が青色の雲(=“買い”の雲)の中に入り込んでいること、3) ローソク足の上方にパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、そして、5) DMI(方向性指数)において、-DI>+DIとなり、ADXが低位置で推移している (上図青丸印)ことが確認できます。

これらメルクマールを総合してみると、足もとの英ポンド/円は、下方硬直性を伴うレンジワーク主体の相場展開となっていることが見て取れます。

上図チャートより、当面の英ポンド/円の“主戦場”となり得る場所は、ボリンジャーバンド・±2σラインの間のゾーンである、147.80円から151.00円と想定します。

13日からの週においては、ファンダメンタルズ材料にも着目し、特に、日本時間14日(火)18時30分に発表される英国10月CPI(消費者物価指数)の結果が、足もとの英ポンド/円の動意となり得るでしょう。

今後の英ポンド/円・日足チャートから勘案するトレンド再開の上下ブレークポイントは2つ。ボリンジャーバンド・+2σラインと青色の雲の下辺である先行2スパン

これからの時間帯において、ローソク足が+2σライン(≒151.00円)を終値レベルで明確に上抜けブレークした場合は上昇モメンタムの推進トリガーに、一方で、同じく先行2スパン(≒147.00円)を終値レベルで明確に下抜けブレークした場合は下降モメンタムの推進トリガーとなりそうです。

<津田>


【NZドル】 RBNZが利上げ時期の想定を前倒し。次は23日の小売売上高に注目

RBNZ(NZ中銀)は11月9日、政策金利を過去最低の1.75%に据え置くことを決定しました。据え置きは7回連続です。

RBNZは今回、新政権の財政出動やNZドルの下落がインフレを加速させるとして、以下のように8月時点からインフレ見通しを上方修正し、想定される利上げ時期を前倒ししました。

( )は8月時点の見通し
<インフレ率が目標中央値の2%に達する時期>
・2018年4-6月期(2019年1-3月期)
<想定される利上げ時期>
・2019年4-6月期(同7-9月期)

スペンサー総裁代行は会見で、「新政権の財政出動により、追加的な景気刺激効果が生じることが見込まれる」と語り、新政権の政策はNZの経済成長を今後3年間に年0.5%前後押し上げる可能性があるとの見方を示しました。

ただ、新政権の政策については、詳細が明らかになっていません。RBNZは声明で、新政権の4項目(支出、住宅建設、移民受け入れ制限、最低賃金の引き上げ)における政策によって予想される影響を(今回)加味したとしつつ、これらの政策による影響は非常に不透明と指摘しました。そのため、RBNZのインフレ率や利上げ時期に関する見通しは今後、大きく変化する可能性もあります。

RBNZは今回、NZドル高をそれほどけん制しませんでした。マクダーモット総裁補佐が「NZドルがもう少し下落すれば良い」と述べたものの、スペンサー総裁代行は「最近のNZドルの下落は喜ばしい」と語り、「NZドルは持続可能な水準に近づいている」との見解を示しました。

RBNZが利上げ時期の想定を8月時点から前倒しし、スペンサー総裁代行が「NZドルは持続可能な水準に近づいている」との見解を示したことは、NZドルにとってプラス材料と考えられます。

次のNZの独自材料としては、11月23日に発表されるNZの7-9月期小売売上高が挙げられます。NZドルが今月反発した一因に、NZの7-9月期雇用統計(11月1日発表)の強い結果がありました。雇用統計は、失業率が約9年ぶりの低水準へと改善。就業者数は2四半期ぶりに増加し、市場予想(+0.8%)を上回る伸びを示しました。小売売上高でNZ経済の堅調さが改めて確認されれば、NZドルは反発傾向を強める可能性があります。

<シニアアナリスト 八代和也>


【トルコリラ】 トルコと米国の二国間関係をめぐる懸念が重し

トルコリラは11月8日、対米ドルで約10か月ぶり、対円で6か月半ぶりの安値つけました。トルコリラが下落した背景には、トルコと米国の二国間関係をめぐる懸念が挙げられます。

トルコと米国の双方が10月8日、非移民ビザの発給を無期限で停止。その後、10月21日に米国が対イラン制裁違反でトルコの6銀行に多額の制裁金を課す可能性があると報道されました(トルコ当局はこの報道を否定し、米財務省も何らかの意向や対応方針を伝えていないと否定)。

11月3日には、マネーロンダリングにトルコ政府が関与していた?との懸念が浮上。トルコと米国の二国間関係悪化への懸念が一段と高まりました。トルコとイランの二重国籍を持つザラブ容疑者が、会話の中でトルコのエルドアン大統領の名前を出していたと伝わったためです。ザラブ容疑者は経済制裁下にあるイランのマネーロンダリングに関与した疑いがあるとして、昨年3月に米マイアミで逮捕されました。

非移民ビザの発給については、トルコと米国の双方とも11月6日に一部再開。そして、TCMB(トルコ中銀)が同日、事実上のトルコリラ防衛策を講じました。金融機関が中銀に預ける準備預金の外貨比率を引き下げ、余剰分(主に米ドル)を市場に放出する一方でトルコリラを吸収。また、輸出業者による外貨債務の支払いをトルコリラで行うことも認めました。

ただ、ビザ発給の一部再開や、トルコ中銀のトルコリラ防衛策にも関わらず、トルコリラは下落に歯止めがかかりませんでした。

その要因として、トルコと米国の二国間関係をめぐる懸念が払しょくされていないことや、TCMBのトルコリラ防衛策は不十分と市場でみなされたことが考えられます。

非移民ビザ発給が一部再開されたものの、それはトルコの保証が前提となっていました。“米大使館の職員は捜査対象になっていない”、“現地スタッフが業務に関連して逮捕されることはない”、“職員を拘束する際には事前通知する”などの保証です。ただ、ワシントンのトルコ大使館がそうした保証を否定しました。
なお、ザラブ容疑者の裁判が11月27日から始まります。裁判で何が出てくるかも要注意です。

トルコと米国の二国間関係をめぐる懸念は残存するとみられます。トルコリラは今後も上値が重い展開が続きそうです。トルコリラが反発傾向に転じるには、トルコと米国の二国間関係をめぐる懸念が和らぐ、あるいは市場がトルコリラ防衛に十分と受け止めるような措置をTCMBが新たに講じる、などが必要かもしれません。

<八代>


※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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