市場調査部レポート

2017/09/29 13:47【マンスリー・アウトルック(2017/10)】北朝鮮だけではない、国際政治リスク

― 2017年10月の為替相場展望 ― 

《相場環境》

10月も相場材料には事欠かない。新年度入りの米国では税制改革案の議会審議が本格化。欧州では、ドイツのメルケル首相の新政権運営が試されそう。イタリアやスペインではポピュリズムの台頭が懸念される。英国とEUの離脱交渉は膠着から抜け出せるか。北朝鮮関連では重要日程があり、クルドやイランなど中東の地政学リスクにも要注意か。そして、日本の総選挙。金融政策では、カナダや英国の中銀に利上げの可能性がある。

<主要通貨の動向>
・【全体観・米ドル】『解散・総選挙=米ドル/円買い』?
・【ユーロ】ユーロ/米ドル、『マクロン・ラリー』の終焉→下押しも
・【英ポンド】英ポンド/円、緩やかな上昇トレンドが継続しそう

<資源国・新興国通貨の動向>
・【豪ドル】主要国中銀との金融政策の方向性の違いが豪ドルの上値を抑えそう
・【NZドル】連立協議の行方に注目!!
・【加ドル】BOC総裁が利上げのいったん休止を示唆
・【トルコリラ】クルド情勢に注意
・【南アフリカランド】11月利下げ観測がランドの上値を抑えそう

◆主要経済指標・イベント


≪相場環境≫

9月ほどではないかもしれませんが、10月も相場材料となりうるイベントには事欠きません。

◆北朝鮮情勢は日常茶飯事に?
北朝鮮と米国による「口撃」の応酬はエスカレートする一方です。そうした状況が日常茶飯事となって、市場はいちいち反応しなくなるのでしょうか。ただ、全面的な解決の見通しは立たず、小さなアクシデントが両国の全面対決に発展する可能性も完全には否定できません。
10月の重要日程は、北朝鮮労働党の創建日にあたる10月10日、日本の衆院選の公示日でもあります。そして、5年に一度の中国共産党大会が開催される10月18日からの約1週間。今年に入って、北朝鮮が中国の重要イベントのタイミングで示威行動を起こしてきたのは、あながち偶然ではなさそうです。

◆米税制改革は成立するか
米国は10月から新年度(2018年度)入りします。トランプ政権と議会は、新年度の予算とデットシーリング(債務上限)の期限を12月8日に先送りしているので、すぐさま財政危機が訪れるわけではありません。議会は今後、予算やデットシーリングへの対応に加えて、税制改革案の審議を本格化させます。

9月27日にトランプ政権と共和党幹部が公表した税制改革案は、所得税率の簡素化、中間層減税、法人減税、海外利益の還流促進などを盛り込む野心的な内容でした。ただし、これはあくまで「フレームワーク(枠組み)」に過ぎず、詳細の多くは不明か、あるいは今後の議会審議に委ねられるようです。

とりわけ問題になりそうなのが、財政赤字の拡大につながる可能性があることです。税制改革案では、課税ベースの拡大、税の抜け道の封鎖、経済成長(による増収)により、財政の規律を維持すると謳われています。しかし、詳細が決まっていない現時点で、それが妥当かを判断するのは難しそうです。

税制改革は年内成立に向けて進むのか、来年以降にずれ込むのか、それとも共和党内の財政保守派や民主党の抵抗を受けてとん挫するのか、大いに注目されるところです。

◆欧州では、ポピュリズムの再台頭も?
ドイツ総選挙では、与党CDU/CSU(キリスト民主・社会同盟)が第1党となり、メルケル首相の4期目を確実にしたものの、議席を減らしました。「大連立」パートナーのSPD(社会民主党)も大きく議席を減らし、下野する意向です。このため、CDU/CSUは、FDP(自由民主党)および緑の党との連立政権樹立を目指すようです(この3党のカラーを国旗に見立てて「ジャマイカ連立」と呼びます)。政治スタンスの異なる3党による連立により、メルケル首相は難しい政権運営を迫られそうです。

イタリアでは、ポピュリスト政党の「五つ星運動」が、若手党首の誕生もあって支持を高めています。最近の世論調査では支持率1位になることもあるようです。イタリアでは来春までに総選挙が実施されることになっており、「五つ星運動」が台風の目になるかもしれません。

スペインでは、10月1日にカタルーニャ自治州政府が「独立を問う住民投票」を予定しています(本稿執筆時点で結果は不明)。スペインの憲法裁判所が投票は法的に無効との判断を下しているものの、欧州政治のかく乱要因となりかねません。

英国とEUとの離脱交渉は難航しています。9月22日の演説で、メイ英首相は拠出金の支払いに応じる姿勢を示し、離脱後の2年間の移行期間設定を提案しました。EU側は拠出金支払いの意向を評価しつつも、具体的な金額など詳細が決まっていないことから、離脱後の協定についての交渉には依然として後ろ向きです。メイ首相の演説が離脱交渉進展の呼び水となるのか注目されるところです。

◆無視できない中東情勢
9月25日、イラク北部のクルド自治政府が独立の是非を問う住民投票を敢行し、圧倒的多数が賛成しました。イラク政府は交渉に応じない意向のようですが、クルド人問題はシリアやトルコに波紋を広げる可能性もあり、新たな火種となりかねません。
他方、トランプ大統領が先の国連総会の演説でイランとの核合意の再交渉を示唆しました。これに対して、イランは弾道ミサイルの実験に踏み切るなど、事態は穏やかではありません。
中東情勢も潜在的な地政学リスクとして認識しておく必要がありそうです。

◆日本の衆院選挙は安倍首相の思惑通りになるのか
安倍首相は9月28日の臨時国会冒頭で衆議院を解散、10月22日に衆院選挙の投開票が実施されます。安倍首相が、野党の敵失や準備不足を利用して、政権基盤を固めようとしていることは明らかです。ただし、「希望の党」というワイルドカードもあり、果たして安倍首相の思惑通りの結果となるのか。選挙は水物であり、注意は怠れません。

◆そして、主要国の金融政策・・・
主要国の中央銀行の会合は、10月終盤から11月頭に集中しています。それらの中で、政策変更の可能性が相応にあるのは、以下の会合でしょう。

まず、10月25日のBOC(カナダ中銀)の会合。BOCは今年7月と9月に利上げして、2015年の2回の利下げ分を巻き戻しました。最近の利上げの効果を見極めつつ、政策金利を据え置くとみられます。ただし、9月28日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、利上げが27%の確率で織り込まれています。利上げ期待は一時に比べて低下していますが、無視できるほどではないでしょう。

11月2日のBOE(英中銀)のMPC(金融政策委員会)では、利上げが予想されています。上記同様のOISに基づく利上げ確率は75%。過去にも利上げ観測が高まる局面もありましたが、政策金利は過去最低水準が維持されてきました。物価の上振れが続くなかで、リーマンショック後の初の利上げが実施されるでしょうか。

その他、10月26日のECB理事会では、QE(量的緩和)の縮小計画が発表される可能性があります。また、11月1-2日のFOMCでは、10月に開始するバランスシート縮小への言及があるかもしれません。<チーフエコノミスト 西田明弘>


<主要通貨の動向>

【全体観・米ドル】 『解散・総選挙=米ドル/円買い』?

9月後半になり、永田町から“解散風”が吹き始め、28日の臨時国会冒頭で正式に衆議院の解散が決定されました。(10/10公示、10/22投開票) 衆議院の解散・総選挙という話は、以前より一部では「無きにしも非ず」という認識ではあったものの、その“風”が突如風雲急を告げる形となり得たのが、小池東京都知事を代表とする新党「希望の党」の立ち上げと言えるでしょう。

さらにその風がカオス状態となり得た要因は、新党「希望の党」に合流する意向を示した民進党・前原代表の決断。政治の世界では、離合集散は日常茶飯事であるとはいえ、あまりの進展の速さと複雑さに、「ついていけない」と感じておられる方も多いのではないでしょうか。

選挙については「水物」、政治については「一寸先は闇」ということがよく言われる通り、その予測は極めて困難であるため、「選挙」と「マーケット」を必要以上に近付けて捉えることは避けるべきですが、あくまで一般論、ないしはアノマリーとして捉えてみる分にはいいのかもしれません。

その選挙とマーケットにおける有名なアノマリーとして取り沙汰されるのが・・・『解散・総選挙は“買い”』ということ。この“選挙アノマリー”について、その内容を検証してみたいと思います。以下、2000年以降における、「衆議院解散」から「総選挙実施前日」までの期間(以下、「選挙戦期間」)における日経平均とともに、米ドル/円の騰落値(率)およびその平均をご覧ください。まずは、日経平均から。

上記表より、2000年以降の選挙戦期間における日経平均の平均騰落値が+421.46円、平均騰落率は+4.07%となっていることが分かります。ちなみに、その期間をさらに遡って、1972年以降※としてみると、平均騰落値は+397.64円、平均騰落率は+3.51%となっています。(※合計14回の解散→総選挙)

騰落値および騰落率がプラスのケースを「勝ち」とすると、当該期間(1972-)における日経平均の勝敗は「13勝1敗」、勝率は「.928」と、圧倒的な成績になっています。これらも合わせて推論すると、あくまで確率論という前提の下、【解散・総選挙=日本株買い】というアノマリーが当てはまると捉えてよさそうです。

次に、以下で米ドル/円を見てみましょう。



上記表から推論できることは、米ドル/円と解散・総選挙については【解散・総選挙≠米ドル/円買い】(ノット・イコール)、つまり確率論的には当てはまらないということ。

あくまで限定された期間における確率論ではありますが、以上のデータ・実績を合わせて総括してみると、いわゆる“選挙アノマリー”は日本株には当てはまるものの、米ドル/円には当てはまらないと捉えるのが妥当なのかもしれません。以上、ご参考まで。

閑話休題。10月の米ドル/円のトレンドおよびコアレンジを勘案する上で、4つのテクニカル指標(スパンモデル®・ボリンジャーバンド・パラボリック・DMI)を使った週足チャートを見ていきたいと思います。以下、米ドル/円・週足・スパンモデル®+21週ボリンジャーバンド+パラボリック+DMIをご覧ください。

上図チャートの各メルクマールを確認すると、1) 21週MA(21週移動平均線)が横向きとなっていること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となっていること、3) ローソク足が青い雲(=“買い”の雲)の上方にあること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方で点灯していること、そして、5) DMI(方向性指数)において、+DI>-DIとなり、ADXが低位置で推移している(上図赤丸印)ことから、10月における米ドル/円の予想基本トレンドは、下方硬直性を伴う【横ばい基調】(レンジ相場)主体の展開となりそうです。

上図チャートから勘案する、喫緊の重要テクニカルラインは・・・ボリンジャーバンド・+2σライン(≒113.80円)。同ラインを終値レベルで上抜けブレークした場合は、米ドル/円のトレンド転換(=この場合は上昇トレンドへの転換)となり得、3月時高値レベルである115円近辺までの上昇を考慮すべきでしょう。

一方で、ローソク足が同ラインで、行く手を遮られるような状態となった場合は、レンジ相場の継続→(サイクル的には)下押しフロー主体の展開が想定され、ボリンジャーバンド・-2σライン(≒108.10円)付近までの下押しを考慮すべきと考えます。

以上を踏まえて総括すると、上記チャート形状から勘案する10月における米ドル/円の基本トレンド【横ばい】(レンジ相場)基調予想コアレンジ【108.10-113.80円】と想定します。<チーフアナリスト 津田隆光>

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【ユーロ】 ユーロ/米ドル、『マクロン・ラリー』の終焉→下押しも

以下、ユーロ/米ドル・週足・スパンモデル®+21週ボリンジャーバンド+パラボリック+DMIをご覧ください。

上図チャートの各メルクマールを確認すると、1) 21週MA(21週移動平均線)が右肩上がりとなっていること、2) 遅行スパンがローソク足の上方にあること、3) ローソク足が青い雲(=“買い”の雲)の上方にあること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していること、そして、5) DMI(方向性指数)において、+DI>-DIの状態ではあるものの、その乖離が縮小し、クロスしつつあること(上図赤丸印)から、現時点(9/29執筆時)におけるユーロ/米ドルは、【上昇トレンドの修正】→【下値固め】の時間帯であると捉えるべきでしょう。

上図チャートにおいて、4月後半のフランス大統領選挙を受けた後の『マクロン・ラリー』(or『リリーフ・ラリー』)に伴う【上昇バンドウォーク】が約5カ月継続したものの、9月最終週にローソク足がボリンジャーバンド・+1σラインを下回る動きとなっており、【上昇バンドウォーク】の終了→【下押し/修正】フロー主体の展開となりつつあることが見て取れます。(※上図赤三角印)

よって、これからの時間帯におけるユーロ/米ドルは、青色の雲の上辺である先行1スパン(≒1.1600ドル)近辺までの下押しフローを考慮すべきでしょう。

以上を踏まえて総括すると、上記チャート形状から勘案する10月におけるユーロ/米ドルの基本トレンドは下押しフロー主体での【横ばい】(レンジ相場)基調予想コアレンジ【1.1600-1.2080ドル】と想定します。<津田>

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【英ポンド】 英ポンド/円、緩やかな上昇トレンドが継続しそう

以下、英ポンド/円・週足・スパンモデル®+21週ボリンジャーバンド+パラボリック+DMIをご覧ください。

上図チャートの各メルクマールを確認すると、1) 21週MA(21週移動平均線)が右肩上がりとなっていること、2) 遅行スパンがローソク足の上方にあること、3) ローソク足が青い雲(=“買い”の雲)の上方にあること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していること、そして、5) DMI(方向性指数)において、+DI>-DIの状態で、その乖離が拡大している (上図赤丸印)ことから、現時点(9/29執筆時)における英ポンド/円は、上昇トレンド形成序盤の時間帯であると捉えるべきでしょう。

上図チャートにおける着目ポイントは3つ。

まず1つ目のポイントは、ボリンジャーバンド・±2σラインが21週MAに対して拡張(エクスパンション)する動きとなっている点。(上図黄色矢印) これは“(相場の)力の発散”を示唆しており、今後トレンド(=この場合は上昇トレンド)の“追い風”となる可能性も。その場合は、月足・ボリンジャーバンド+1σライン(≒156.00円)付近までの押し上げも考慮すべきでしょう。

2つ目のポイントは、ローソク足が+2σライン(≒151.12円)付近で推移している点。上昇トレンドが比較的安定的に推移する、いわば“巡航路線”と言えるゾーンは+1σから+2σライン(※)。29日時点のローソク足は、やや買われ過ぎとも取れる+2σライン付近にあるため、今後、+1σライン(≒147.90円)付近、ないしは先行1スパン(≒145.10円)付近までの修正・下押しの可能性も考慮すべきでしょう。(※同ゾーン内での推移=【上昇バンドウォーク】)

そして、3つ目のポイントはDMIの3つのライン(ADX、+DI、-DI)の動向。29日時点では、+DI>-DIの状態でADXが右肩上がりに推移しつつあることから、今後上昇モメンタムがさらに強まる可能性も。一方で、+DI>-DIの乖離が縮小されるような展開となった場合は、やや下押しの展開となることも考慮した方がよさそうです。

以上を踏まえて総括すると、上記チャート形状から勘案する10月における英ポンド/円の基本トレンド【上昇トレンド】予想コアレンジ【145.10-156.00円】と想定します。<津田>


<資源・新興国通貨の動向>

【豪ドル】 主要国中銀との金融政策の方向性の違いが豪ドルの上値を抑えそう

RBA(豪中銀)のロウ総裁が9月21日、政策金利を当面据え置くことを示唆しました。ロウ総裁は、「世界的な金利上昇はそのうち豪州に波及するだろう」と語り、RBAがいずれ利上げに転じる可能性を示しつつも、「インフレ率は依然としてRBAの目標(+2から3%)を下回っているうえ、目標レンジ中央(+2.5%)に到達することは当面見込まれない」と指摘。「RBAは利上げのタイミングについて判断する独立性を持っている」と述べ、FRB(米連邦準備制度理事会)やBOC(カナダ中銀)など主要国中銀に追随する必要はないとの見方を示しました。FRBは2015年以降4回、BOCは今年7月と9月に利上げを実施しました。

市場では、FRBやBOCが年内に追加利上げを行うとの観測があります。また、BOE(英中銀)は数か月以内に利上げに転じる可能性を示し、ECB(欧州中銀)は10月の理事会で量的緩和の縮小開始を決定することを示唆しました。主要国中銀が金融政策の正常化に向かいつつあるなかで、RBA総裁が政策金利を当面据え置く可能性を示したことは、豪ドルにとってマイナス材料と考えられます。

10月3日のRBA政策会合では、政策金利の1.50%据え置きが決まりそうです。声明の内容が相場材料になるとみられ、とりわけ豪ドルに関する文言に市場の注目が集まりそうです。

前回9月5日は以下の通りとなり、8月に続いて豪ドル高をけん制しました。
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・「豪ドル高は物価圧力を抑制する一因になると予想される」
・「豪ドル高は生産や雇用の見通しの重しにもなっている」
・「豪ドル高により、経済活動の好転とインフレ率の上昇が、現在の想定よりも鈍くなる可能性がある」
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豪ドル/米ドルは前回会合以降に下落したことを踏まえると、豪ドルに関する文言が変化するとすれば、豪ドル高をけん制するトーンを弱める可能性の方が高そうです。その場合、豪ドルの支援材料となりそうです。

一方、金融政策など豪ドル以外の文言を含めて、声明の内容が前回から大きく変化しなければ、RBAの政策会合は市場ではそれほど材料視されない可能性があります。その場合、豪ドルはFRBなど主要国中銀の金融政策の先行きをめぐる観測の影響を受けやすい地合いになりそうです。FRBの年内利上げ観測が一段と強まる場合、豪ドル/米ドルには下押し圧力が加わりやすいとみられます。<シニアアナリスト 八代和也>

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【NZドル】 連立協議の行方に注目!!

NZの総選挙が9月23日に行われ、以下の結果になりました。


 
出所:NZ選挙管理委員会
*定数120
*暫定結果。在外投票など特別投票を含めた最終結果は10月7日に発表される予定。

「国民党」と「労働党」のいずれも単独過半数を獲得できませんでした。また、「国民党+ACT党(現連立政権)」、「労働党+緑の党(労働党と連立する可能性が高い)」でも、過半数に届きません。

国民党と労働党のどちらが次の政権を担うかは、9議席を獲得したNZファースト党が鍵を握ります。NZファースト党が支持した方が過半数に達するためです。NZファースト党のピータース党首は、総選挙の最終結果が発表される10月7日以降に国民党と労働党のどちらと連立を組むかの判断を下す考えのようです。

10月のNZドルは、政局の行方に影響を受けそうです。少なくとも新政権が決まるまでは、政局の不透明感が残ることから、NZドルは上値が重い展開になりそうです。

NZファースト党が国民党(与党)を選択し、国民党政権が維持されれば、NZドルにとってプラス材料と考えられます。国民党がNZファースト党にどの程度譲歩するかによるものの、現在の政策の継続性がある程度保たれるとの見方ができるためです。

一方、NZファースト党が労働党を選択し、労働党政権が誕生すれば、NZドルにとってマイナス材料となりそうです。政権が交代することによって政策が大幅に変わる可能性があるためです。労働党がRBNZ(NZ中銀)の責務変更を提案しており、そのこともNZドルの重しになりそうです。労働党はRBNZの責務を現行の「物価安定」の1つから「物価安定」と「完全雇用の達成」の 2 つに変更することを提案しています。市場では、責務に「完全雇用の達成」が加わることによって、RBNZの利上げが遅れるのでは?との見方もあります。<八代>

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【加ドル】 BOC総裁が利上げのいったん休止を示唆

BOC(カナダ中銀)のポロズ総裁は9月27日、利上げをいったん休止する可能性を示しました。BOCは7月と9月の2会合連続でそれぞれ0.25%の利上げに踏み切りました。

ポロズ総裁は政策金利について、「あらかじめ決まった道筋はなく、将来の道筋は経済指標次第だ」と強調。「家計の高水準な債務を背景に経済の金利上昇の感度が高いことを含め、複数の不確定要因が機械的に政策金利の見通しを立てることを難しくしている」と語りました。

ポロズ総裁はまた、7月と9月の2回の利上げについて、「経済にどのような影響を与えるかはまだ明らかではない」と指摘。カナダドルについては、「理想的な水準はない。現在の水準が有害か有益かなどはもちろん言わないが、考慮に入れるべき要因ではある」と語り、カナダドルの動向も追加利上げのタイミングに影響することを示唆しました。

BOCの次回政策会合は10月25日です。今後発表される経済指標次第と考えられるものの、ポロズ総裁の発言を見ると、政策金利は現行の1.00%に据え置かれる可能性が高いとみられます。

ポロズ総裁の講演を受けて、市場ではBOCの年内利上げ観測が後退しました。年内利上げ観測の後退は加ドルにとってマイナス材料と考えられる一方、市場ではBOCはいずれ追加利上げを行うとみられています。そう考えると、ポロズ総裁の発言を材料に加ドルが下落基調を強める状況ではなさそうです。<八代>

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【トルコリラ】 クルド情勢に注意

トルコリラに関しては、中東、とりわけクルド情勢に注意が必要かもしれません。

イラク北部のクルド人自治区で独立の是非を問う住民投票が9月25日に実施されました。住民投票については、国を分裂させる可能性があるとしてイラク政府が反発。イラクと同様にクルド系住民を多く抱えるトルコやイランは、自国内に分離・独立の動きが波及することを警戒し、住民投票の中止を求めていました。米国もIS(イスラム国)掃討作戦に悪影響が出るとして住民投票に反対。周辺国や米国が反対するなかで、クルド自治政府は住民投票を強行しました。

住民投票は賛成票が約93%を占め、圧倒的多数で独立が支持されました。今回の投票結果には法的な拘束力はないものの、クルド自治政府は今後1から2年かけてイラク政府と協議を行い、独立を実現する方針のようです。

イラクやトルコ、イランの各政府は対抗措置を打ち出し、クルド自治政府への圧力を強めています。イラク政府は住民投票の結果を認めない姿勢を示し、同国議会はクルド自治政府が実効支配しているキルクークに部隊を派遣して油田を奪還するよう求める動議を可決。イラクとトルコ両軍は、イラク北部と隣接するトルコ側国境で合同軍事演習を行いました。イランは自治区との国境封鎖などの措置を講じました。

国際社会では、住民投票をきっかけに民族間や周辺国との緊張が高まり、中東地域が不安定化するとの懸念があります。中東地域が一段と不安定になれば、トルコリラには下押し圧力が加わる可能性があります。一方、中東地域が安定すれば、トルコリラにとってプラスと考えられます。<八代>

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【南アフリカランド】 11月利下げ観測がランドの上値を抑えそう

SARB(南アフリカ中銀)は9月21日、政策金利を6.75%に据え置くことを決定しました。前回7月の会合で5年ぶりに利下げに踏み切ったものの、今回は据え置きました。

SARBのクガニャゴ総裁は会見で、会合では6名の政策メンバーの意見が“据え置きが3名”“0.25%の利下げが3名”と割れたことを明らかにしました。そのうえで、インフレ期待がSARBの目標(3から6%)上限近辺で推移しており、バランスの取れた金融政策スタンスを維持することが適切と判断したと、政策金利を据え置いた理由を説明しました。

今回は政策金利が据え置かれたものの、市場では次回11月の会合での利下げ観測があります。南アフリカ経済が低迷するなか、今回の据え置きが際どい決定だったためです。利下げ観測がランドの上値を抑えるとみられます

南アフリカの9月CPI(消費者物価指数)が10月18日に発表されます。CPIは2016年12月の前年比+6.7%をピークに鈍化傾向。2017年7月には+4.6%と、2015年10月以来の低い伸びを記録しました。前回8月は+4.8%と、7月から上昇率が高まったものの、今回発表される9月分がSARBのインフレ目標の中央値である+4.5%に近づく、あるいはそれを下回れば、11月利下げ観測が一段と高まる可能性があります。その場合、ランドにとってさらなる重しとなりそうです。<八代>


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