市場調査部レポート

2017/09/22 11:47米FOMCと税制改革、NZとドイツの総選挙

【相場環境】米FOMC&税制改革、ドイツ総選挙の行方
【豪ドル】RBA総裁が当面の政策金利据え置きを示唆
【NZドル】23日の総選挙&28日のRBNZ政策金利に注目!!
【南アフリカランド】11月の利下げ観測がランドの上値を抑える可能性も!?


【相場環境】 米FOMCと税制改革、ドイツ総選挙の行方   

◆米FOMCはタカ派的。米ドル高の持続性は?
19-20日のFOMCは金融政策の現状維持を決定するとともに、10月からバランスシートの縮小を開始することを発表しました。いずれも、大方の予想通りでした。ただし、FOMCメンバーの政策金利見通し(いわゆるドット・チャート)の中央値が引き続き年内あと1回の利上げを想定していたこと、イエレン議長が会見で景気に対して比較的楽観的な見方を示したことなどから、市場では「タカ派的」と受け止められて、米ドルの上昇要因となりました。

もっとも、FOMCメンバーが想定する先行きの利上げは、前回6月発表分と比べてややペースダウンしています。また、2018年の物価見通しが小幅下方修正されるなど、少し先をみれば「ハト派的」と受け止められる部分もありました。

FRBが着実に利上げを継続できるかどうかは、今後の経済情勢次第であり、それらが利上げをサポートするかどうか注視する必要がありそうです。

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FOMC声明文では、ハリケーン被害の影響について言及がありました。ただ、結論は「過去の経験からみれば、嵐は中期的に全米の経済の方向性を変える可能性は低い」というものでした。

イエレン議長は会見でも「景気は強い回復軌道に乗っている」と語り、「ここでの基本的なメッセージは、米経済のパフォーマンスはこのところ良いということだ」と付け加えました。

FOMCメンバーの政策金利見通しによれば、16人のうち12人が引き続き、少なくとも年内あと1回の利上げを想定していました(1人は2回利上げ)。2018年についても(中央値では)引き続き3回の利上げが想定されました。ただし、2019年については6月時点の3-4回から2回に減っており、新たに追加された2020年の想定は1回でした。

また、政策金利の長期見通し(=均衡水準)は、6月時点の3.0%から2.75%に低下しました。つまり、FOMCメンバーの今後1年程度の利上げの想定に変化はなかったものの、政策金利の予想到達点は6月時点に比べて引き下げられたということです。これは、長期金利の上昇余地を限定する要因です。

今回のFOMCの結果は、米ドル円を持続的に押し上げる材料とは考えにくいでしょう。あくまでも、今後の経済情勢が一段の改善をみせて、FOMCの想定する、あるいはそれを上回る利上げペースが実現するかどうかが重要です。

◆米税制改革に進展も
来週(25-29日)、トランプ政権と共和党幹部は税制改革案を発表するとしています。他方、上院の共和党議員が経済成長による自然増収をアテにした減税案で合意したとの報道もあります。ただ、それは財政赤字の拡大を容認する動きとみることもでき、財政規律を重んじる議員から強い反対が出る可能性があります。とりわけ、そうした議員は下院の共和党保守派に多く、仮に上院で税制改革案が可決されても、下院案との一本化においても大きな障害になるかもしれません。

また、財源がハッキリしないままで減税が成立すれば、財政赤字の拡大を懸念して市場金利が上昇する可能性があります。その場合、株式市場が金利上昇を無視してまで減税を好感するかどうかは微妙なところでしょう。株安・金利上昇となれば、米ドルのボラティリティは高まるかもしれません。

いずれにせよ、金融政策の先行きとともに、税制改革の行方も相場材料になる可能性があり、注意深く見守る必要がありそうです。

なお、上院共和党は来週、オバマケア改廃法案の最新バージョンを採決する方向です。ただ、可決されるかどうかは微妙な状況のようです。

◆ドイツ総選挙の行方
24日、ドイツ連邦議会選挙の投開票が実施されます。投票終了は日本時間の25日午前1時。その後に出口調査の結果が出てきます。ドイツの出口調査は迅速かつ正確とされており、日本時間の25日未明には大勢が判明しそうです。

ただし、どの政党も単独過半数の獲得は難しく、何らかの連立政権が誕生しそうです。連立交渉に数週間かかる場合もあり、どのような政権になるかが明らかになるには相当の時間がかかるかもしれません。

最新の世論調査(ZDF 9/17-21実施)の結果は以下の通り。



大勢判明時点で、メルケル首相の率いるCDU/CSUが議席を増やしたり、FDPが健闘したりすれば、週明け25日のユーロは上昇する可能性がありそうです。逆に、CDU/CSUが大幅に議席を減らしたり、第一党でなったりなる、あるいは反ユーロのAfDが躍進する等の結果となれば、ユーロは下落する可能性があります。

また、連立交渉が進むにつれて、ユーロはそれをゆっくりと織り込むことになりそうです。以下は可能性のある連立政権の組み合わせと予想されるユーロの反応です。

<ドイツの総選挙に関しては、先週号の【相場環境】もご参照ください>

<チーフエコノミスト 西田明弘>


【豪ドル】RBA総裁が当面の政策金利据え置きを示唆

RBA(豪中銀)のロウ総裁は9月21日、「世界的な金利上昇はそのうち豪州に波及するだろう」としつつも、インフレ率は依然としてRBAの目標(+2から3%)を下回っているうえ、目標レンジ中央(+2.5%)に到達することは当面見込まれないと指摘。「RBAは利上げのタイミングについて判断する独立性を持っている」と語り、FRB(米連邦準備制度理事会)やBOC(カナダ中銀)など主要国中銀に追随してRBAが利上げを行う必要はないとの見方を示しました。

主要国中銀の金融政策については、市場ではFRBやBOCが年内に追加利上げを行うとの観測があります。また、BOE(英中銀)は数か月以内に利上げに転じる可能性を示し、ECB(欧州中銀)は10月の理事会で量的緩和の縮小開始を決定することを示唆しました。主要国中銀が金融政策の正常化に向かいつつあるなかで、RBA総裁が政策金利を当面据え置く可能性を示したことは、豪ドルにとって重しとなりそうです。

来週(9月25日の週)は、主要経済指標発表がなく豪ドルの独自材料が乏しい一方、米FRB当局者の講演が予定されています。講演を受けてFRBの年内利上げ観測が高まれば、豪ドル/米ドルには下押し圧力が加わる可能性があります。一方で、FRBの年内利上げ観測が後退した場合、豪ドル/米ドルの支援材料になりそうです。<シニアアナリスト 八代和也>


【NZドル】 23日の総選挙&28日のRBNZ政策金利に注目!!

9月23日にNZの総選挙が実施され、即日開票されます。選挙結果が来週(9月25日の週)のNZドルの動向に影響を与える可能性があり、注目です。*NZの総選挙については、21日付の『オセアニア・レポート』『シナリオレポート』をご覧ください。

来週は28日にRBNZ(NZ中銀)の政策金利が発表されます。その結果にも注目です。RBNZはウィーラー総裁が26日に任期満了で退任。翌27日から来年3月26日までの半年間はスペンサー副総裁が総裁代行を務めます。

政策金利は今回も1.75%に据え置かれるとみられます。RBNZが8月の金融政策報告で政策金利を2019年4-6月期まで据え置くことを示唆したことや、NZの消費者物価指数が来月(10月)発表されるためです。

今回は声明におけるNZドルに関する文言が焦点になりそうです。前回8月10日の会合時の声明では、「貿易財インフレの上昇や、よりバランスの取れた成長を実現するために、NZドルの下落が必要だ」と指摘。6月の「NZドルの下落は、貿易部門の成長見通しのリバランスに寄与するだろう」からNZドル高けん制のトーンを強めました。NZドル高けん制のトーンが8月から強まったと受け取れる文言になれば、NZドルには下落圧力が加わる可能性があります。NZドルに関する文言が8月とほとんど同じ場合、NZドルに大きな反応はみられないかもしれません。一方、可能性は低いと考えられるものの、NZドル高けん制のトーンを8月から弱めたと感じられる内容の場合、NZドルは上昇するとみられます。<八代>


【南アフリカランド】 11月の利下げ観測がランドの上値を抑える可能性も!?

SARB(南アフリカ中銀)は9月21日、政策金利を6.75%に据え置くことを決定しました。前回7月の会合で5年ぶりに利下げに踏み切ったものの、今回は据え置きました。

SARBはインフレや経済成長見通しを公表し、2017年のGDP成長率見通しと、2018年&2019年のCPI(消費者物価指数)を前回7月からわずかに上方修正しました。GDP成長率とCPI上昇率見通しは以下の通り。

( )は7月時点の見通し
<GDP成長率>
 ・2017年:+0.6%(+0.5%)
 ・2018年:+1.2%(+1.2%)
 ・2019年:+1.5%(+1.5%)

<CPI上昇率>
 ・2017年:平均+5.3%(+5.3%)
 ・2018年:同+5.0%(+4.9%)
 ・2019年:同+5.3%(+5.2%)
 *前年比

SARBのクガニャゴ総裁は会見で、会合では6名の政策メンバーの意見が“据え置きが3名”“0.25%の利下げが3名”と割れたことを明らかにしました。そのうえで、インフレ期待がSARBの目標(3から6%)上限近辺で推移しており、バランスの取れた金融政策スタンスを維持することが適切と判断したと、政策金利を据え置いた理由を説明しました。

市場では、SARBが今回の会合で0.25%の利下げが決まるとの見方が有力でした。そのため、据え置きはサプライズとなり、政策金利発表後に南アフリカランドが上昇しました。ただし、今回の据え置きが際どい決定だったことや経済の低迷を背景に、市場では次回11月の会合での利下げ観測が残るとみられます。そのため、据え置きを材料視したランド上昇は長続きしない可能性があります。<八代>


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