市場調査部レポート

2017/09/01 13:20【マンスリー・アウトルック(2017/9)】9月は相場材料が「てんこ盛り」!?

― 2017年9月の為替相場展望 ― 

《相場環境》

9月は注目イベントが目白押し。米国では議会が再開し、予算、デットシーリング、税制改革に加えて、ハリケーン支援が審議される。ロシアゲートにも進展はあるか。欧州では、ブレグジット交渉が始まっており、24日にはドイツの総選挙がある。主要中銀の金融政策会合も目白押し。もちろん、朝鮮半島情勢への注意も怠れない。

<主要通貨の動向>
・【全体観・米ドル】米ドル/円、3つの重要テクニカルラインについて
・【ユーロ】ユーロ/米ドル、トレンド転換となり得るメルクマールは?
・【英ポンド】英ポンド/円、52週MAを意識する展開となりそう

<資源国・新興国通貨の動向>
・【豪ドル】政策金利は据え置かれる可能性が高い。声明に注目!
・【NZドル】RBNZのNZドル高けん制が重し。9月23日の総選挙に要注意
・【加ドル】政策金利は据え置きか。追加利上げが示唆されるのかが焦点!?
・【トルコリラ】トルコリラ/円はレンジを抜ければ動きが加速する可能性も!?
・【南アフリカランド】政局関連のニュースに注意が必要。SARBが21日に政策金利を発表

◆主要経済指標・イベント


≪相場環境≫

9月は相場材料となりうるイベントが数多くあります。
レーバーデー明けの5日に米議会が再開されます。ロシアゲートの捜査に進展がみられるかもしれません。NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉も始まっています。欧州では、ブレグジットに関する英国とEUとの交渉が始まりました。ドイツでは総選挙があります。8月は少なかった中央銀行の金融政策会合も目白押しです。そして、もちろん朝鮮半島情勢など地政学的リスクにも注意が必要でしょう。

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米景気は比較的堅調が続いているようですが、引き続き政治不安が懸念されるところでしょう。
米議会は、10月1日の新年度(2018年度)開始に向けて、予算や税制改革の審議を本格化させます。同時に、9月下旬から10月中旬にかけて、デットシーリング(債務上限)の引き上げも必要になります(詳細なタイミングは不明)。ハリケーン被害救済資金という新たな不透明要因も出てきました。
それらの審議が難航して新年度開始以降も継続する、税制改革の実現性が低下する、デットシーリングの期限に間に合わずに米政府のデフォルト(債務不履行)が意識される等の事態となれば、金融市場のかく乱要因となり、米ドルに下押し圧力が加わりそうです。

一方、トランプ政権内部の動揺が続くなか、モラー特別捜査官や議会によるロシアゲートの捜査・調査が進展し、新事実が明らかになるかもしれません。米国とカナダ、メキシコによるNAFTAの再交渉も始まっていますが、トランプ大統領は交渉が芳しくなければ打ち切りも辞さないとの構えを見せています。米国が保護主義的傾向を強めれば、米ドルや株価にとって好ましくはないでしょう。

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欧州では、ブレグジット(英国のEU離脱)に関する英国とEUとの交渉が始まっています。今のところ、英国の拠出金や在英EU市民の権利など、まず離脱の条件を固めたいEUと、離脱後の貿易協定なども含めたい英国との交渉は平行線のままです。英国が拠出金の支払いに前向きの姿勢をみせ、フランスなど一部のEU加盟国が貿易交渉を開始する用意があるとするなど、一部に事態好転の兆しはあるものの、依然として先は読めません。

24日投開票のドイツの総選挙では、与党CDU(キリスト教民主同盟)が勝利してメルケル首相が四期目を迎える可能性が高そうです。ただし、CDUのパートナーは、現在の「大連立」の相手であるSPD(社会民主党)から小政党に代わる可能性があります。市場が選挙結果をどう受け止めるか。もちろん、選挙は「水物」です。

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金融政策会合のなかでは、とりわけ6日のBOC(カナダ中銀)、7日のECB、19-20日のFRBが注目されます。
BOCは、2015年の2度の利下げは役割を終えたと判断しており、7月に続く利上げを視野に入れています。さすがに9月はタイミングが早すぎるかもしれませんが、年内の追加利上げが示唆される可能性はありそうです。

ECBは、QE(量的緩和)を来年に入って縮小するかどうか。その計画が示される可能性があります。足もとでのユーロの堅調に対して、ドラギ総裁が会見でけん制発言をするかどうかも注目されます。

FRBについては、利上げ観測は後退していますが、バランスシート縮小の開始を発表する可能性が高そうです。FRBは、バランスシート縮小を金融政策手段としては積極的に活用しない意向を表明しています。それでも、バランスシート縮小は債券市場の需給悪化要因となるだけに、債券市場はどう反応するでしょうか。

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最後に、9月9日は北朝鮮の建国記念日であり(ちょうど1年前には第5回目の核実験が敢行されました)、地政学リスクが高まる可能性にも注意は必要でしょう。もっとも、北朝鮮問題の早期かつ明確な解決は期待できません。投資家は地政学リスクを念頭に置きながらも、上述したような相場材料を基にして投資判断を行う必要があるのかもしれません。<チーフエコノミスト 西田明弘>


<主要通貨の動向>

【全体観・米ドル】 米ドル/円、3つの重要テクニカルラインについて

9月の米ドル/円についてのトレンドおよびコアレンジを勘案する上で、5つのテクニカル指標(スパンモデル®・ボリンジャーバンド・パラボリック・DMI・52週移動平均線[52週MA])を使った週足チャートを見ていきたいと思います。以下、米ドル/円・週足・スパンモデル®+21週ボリンジャーバンド+パラボリック+DMI+52週MAをご覧ください。

上図チャートの各メルクマールを確認すると、1) 21週MA(21週移動平均線)が横向きとなっていること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となっていること、3) ローソク足が青い雲(=“買い”の雲)の中に入り込んでいること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していること、そして、5) DMI(方向性指数)において、-DI>+DIとなり、ADXが右肩上がりとなりつつある(上図青丸印)ことから、9月における米ドル/円の基本トレンドは、引き続き上下硬直性を伴う【横ばい基調】(レンジ相場)主体の展開が続きそうです。

上図チャートから勘案する、重要テクニカルラインは3つ。

まず1つ目は、青い雲の下辺である先行2スパン。今年4月以降における先行2スパンとローソク足の関係性を見てみると、先行2スパンがローソク足のサポート帯となっていることが分かります。

レポート執筆時(9/1)の先行2スパンの基準レートは109.40円。足もとでは、当該スパンでローソク足がサポートされるか否かがポイントとなるでしょう。

そして、2つ目は52週MA(≒110.70円)。約1年間の市場参加者の売買コストとも言える同ラインを、ローソク足が再び上抜けブレークするか否かがポイントとなりそうです。(※レポート執筆時[9/1]では、4週連続で終値レベルにて同ライン下抜けとなっています。)

仮に、終値レベルで同ラインを上抜けした場合は、一旦の下げ過ぎに対する修正フロー(=短期的上昇フロー)が発生する可能性も。一方で、終値レベルで上抜けブレークに失敗した場合は、当面は横ばい基調主体の展開が想定され、再び先行2スパンまでの下押しを想定した方がいいのかもしれません。

そして、3つ目のポイントは・・・ボリンジャーバンド・-2σライン(≒108.00円)。仮に、同ライン(≒108.00円)を終値レベルで下抜けした場合は、米ドル/円の下降モメンタムが強まる可能性もありそうです。

総括すると、現時点(9/1)から勘案する米ドル/円の足もとの予想コアレンジ(戦略レンジ)は、青い雲の上辺・下辺である、先行2スパン(≒109.40円)から先行1スパン(≒111.60円)の間のゾーンと想定します。

一方で、9月における米ドル/円の予想ワイドレンジ(作戦レンジ)は、ボリンジャーバンド・±2σライン内のゾーンである、108.00-113.80円と想定します。<チーフアナリスト 津田隆光>

【ユーロ】 ユーロ/米ドル、トレンド転換となり得るメルクマールは?

以下、ユーロ/米ドル・週足・スパンモデル®+21週ボリンジャーバンド+パラボリック+DMI+52週MAをご覧ください。

上図チャートの各メルクマールを確認すると、1) 21週MA(21週移動平均線)が右肩上がりとなっていること、2) 遅行スパンがローソク足の上方に位置していること、3) ローソク足が+1σと+2σラインの間を推移する【上昇バンドウォーク】となっていること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方で点灯していること、そして、5) DMI(方向性指数)において、+DI>-DIとなっている(上図赤丸印)ことから、引き続き力強い上昇トレンドが継続しそうです。

一方で、上図チャートにおいて少し気になるメルクマールが3点確認できます。

まず1つ目は、ボリンジャーバンド・±2σラインの先端部分が、21週MAに向かってやや収縮(スクイーズ)するような動きを見せていること。このシグナルは、トレンドの一旦の弱まりを示すとされており、今後さらにその収縮(スクイーズ)が顕著になった場合は、一旦の下押しサインと捉えた方がいいのかもしれません。

そして2つ目は、DMI(方向性指数)において、+DI>-DIの乖離が少し縮小しつつある動きを見せていること。このシグナルも、ボリンジャーバンドと同様、トレンド(この場合は「上昇トレンド」)の一旦の弱まりを示唆するサインと捉えられ、さらにその乖離が縮小した場合は、上昇トレンドの弱まり→一旦の下押しフローを想定した方がよさそうです。

そして3つ目は、ローソク足の形状。直近のローソク足(8/31時点)の形状は【小陰線】(陰線コマ)と見ることもでき、その意味するところは『相場の気迷い』と見ることも可能です。

仮に、このローソク足の実体(=始値と終値を示すローソク足)が小さくなり、【十字線】となった場合は、『宵の明星』、つまり、上昇相場から下降相場への転換ポイントとなる可能性も。

いずれにしても、今週の終値(9/1NYクローズ)時点で“上ヒゲ”“下ヒゲ”が長い形状のローソク足となった場合は、トレンド転換の可能性も否定できません。

これら3つのメルクマールに留意しつつ、仮にトレンド転換や一旦の下押しに対応するために、仮に含み益のポジションを保有する場合は、週足・ボリンジャーバンド・+1σラインをメドとする「トレールストップ」注文を設定し、プロフィット・セーブ・オーダーとするのも一案と考えます。<津田>

【英ポンド】 英ポンド/円、52週MAを意識する展開となりそう

以下、英ポンド/円・週足・スパンモデル®+21週ボリンジャーバンド+パラボリック+DMI+52週MAをご覧ください。
 


上図チャートの各メルクマールを確認すると、1) 21週MA(21週移動平均線)が概ね横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となっていること、3) ローソク足が青い雲(=“買い”の雲)の中に入り込んでいること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していること、そして、5) DMI(方向性指数)において、-DI>+DIとなり、ADXが右肩上がりとなりつつある(上図青丸印)ことから、9月における英ポンド/円の基本トレンドは、上下硬直性を伴う【横ばい基調】(レンジ相場)主体の展開となりそうです。

上図チャートから勘案する、重要テクニカルラインは・・・52週MA(52週移動平均線)

現時点(9/1時点)では、ローソク足が52週MAの上方に位置しており、今年4/23の週に同ラインを上抜けして以来、「サポート帯」として機能していることが分かります。(※9/1時点の52週MA140.00円)

よって、現時点(9/1)から勘案する英ポンド/円の足もとの予想コアレンジ(戦略レンジ)は、52週MA(≒140.00円)からボリンジャーバンド・+1σライン(≒145.90円)の間のゾーンと想定します。

一方で、9月における英ポンド/円の予想ワイドレンジ(作戦レンジ)は、ボリンジャーバンド・±2σライン内のゾーンである、137.70-148.70円と想定します。<津田>


<資源・新興国通貨の動向>

【豪ドル】 政策金利は据え置かれる可能性が高い。声明に注目!!

9月の豪ドルは、5日のRBA(豪中銀)の政策金利発表が最大の相場材料になりそうです。政策金利は現行の1.50%に据え置かれると見られます。市場は9月の据え置きをほぼ確実視。そのため、政策金利が据え置かれた場合、声明の内容が焦点になりそうです。

RBAは前回8月1日の政策会合時の声明で、豪ドル高をけん制しました。そのため、市場では特に豪ドルに関する文言に注目が集まりそうです。

前回は以下の通りでした。
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・「豪ドル高は物価圧力を抑制する一因になると予想される」
・「豪ドル高は生産や雇用の見通しの重しにもなっている」
・「豪ドル高により、経済活動の好転とインフレ率の上昇が、現在の想定よりも鈍くなる可能性がある」
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足もとの豪ドル/米ドルは、前回会合時とほぼ同じ水準であるため、9月5日の声明における豪ドルに関する文言は、前回から大きな変化はなさそうです。仮に豪ドル高けん制のトーンが強まれば、豪ドルには下押し圧力が加わる可能性があります。一方、豪ドル高けん制のトーンが弱まれば、豪ドルの支援材料となりそうです。

豪州の政局も材料視される可能性があります。ジョイス副首相らに二重国籍問題が発生しました。与党・保守連合(自由党と国民党)は下院でかろうじて過半数を維持しています(定数150。保守連合の議席は76)。豪憲法では、複数の国籍を持つ人が議員になることを禁じているため、仮にジョイス副首相ら保守連合の議員が辞職した場合、保守連合は過半数割れとなります。豪裁判所が10月に二重国籍を持つ7人の議員資格の有無の審理を開始する予定です。政局の不透明感が豪ドルの重しとなる可能性があります。<シニアアナリスト 八代和也>

【NZドル】 RBNZのNZドル高けん制が重し。9月23日の総選挙に要注意

NZドル/米ドルは7月27日に一時0.7555米ドルと、約2年2か月ぶりの高値を記録した後、下落傾向にあります。

NZドル/米ドルが下落した背景として、8月2日に発表されたNZの4-6月期雇用統計の弱い結果や、23日のNZ財務省による2017/18年度のGDP成長率見通しの下方修正(+3.7%から3.5%へ)も挙げられるものの、RBNZ(NZ中銀)がNZドル高をけん制した影響が大きいと考えられます。

RBNZは、8月10日の政策会合時の声明でNZドルの下落が必要との見解を示しました。ウィーラー総裁は同日、「NZドルの下落を望む」と述べ、30日には「貿易財インフレを押し上げ、より均衡の取れた成長の実現を支援するために、NZドルの下落が必要だ」と語りました。RBNZのNZドル高けん制が引き続きNZドルの上値を抑えそうです。

9月23日にNZの総選挙が実施されます。世論調査では、8月1日の党首交代後に労働党(最大野党)の支持率が上昇しており、一部の調査で国民党(与党)を上回りました。選挙は接戦になるとの予想もあり、NZドルは選挙の結果が判明するまで上値が重い展開になる可能性があります。

総選挙で国民党が勝利した場合は、政策の継続性が保たれるとの見方ができ、NZドルにとってプラス材料と考えられます。一方、労働党が勝利する、あるいはハング・パーラメント(どの政党も単独過半数を獲得できない状態)に陥れば、NZドルに下落圧力が加わる可能性があります。<八代>

【加ドル】 政策金利は据え置きか。追加利上げが示唆されるのかが焦点!?

9月の加ドルは、6日のBOC(カナダ中銀)政策金利発表が最大の相場材料になりそうです。その結果が加ドルの動向に影響を与える可能性があります。

BOCは前回7月12日の会合で、2010年9月以来、6年10か月ぶりの利上げを決定。政策金利を0.25%引き上げました(0.50%→0.75%へ)。

その時の声明では、「政策金利の将来の調整は、今後発表される、インフレ見通しに関する指標次第」と強調。先行きの不透明感や金融システムの脆弱性も引き続き考慮するとし、追加利上げが示唆されませんでした。

ただ、BOCのポロズ総裁は6月に「2015年の利下げはその役割を終えた」と語りました。BOCは2015年に2回(0.25%×2)の利下げを行ったことから、少なくともあと1回は利上げを行うと考えることができます。

9月6日の会合では、政策金利は据え置かれそうです。カナダの7月CPI(消費者物価指数)が前年比+1.2%と、BOCのインフレ目標(+1から3%)の中央値である2%を下回るなか、7月の利上げ効果を見極めると考えられるためです。

市場では、9月の利上げ観測が根強くあるものの、次の利上げは10月との見方が有力。そのため、利上げが決定された場合は加ドルが上昇しそうです。一方、政策金利が据え置かれた場合、声明で近い将来の追加利上げが示唆されるのか?が焦点になりそうです。追加利上げが示唆されば加ドルにとってプラス材料、追加利上げが示唆されなければ加ドルにとってマイナス材料と考えられます。<八代>

【トルコリラ】 トルコリラ/円はレンジを抜ければ動きが加速する可能性も!?

9月のトルコの主な経済指標として、5日の8月CPI(消費者物価指数)11日の4-6月期GDP14日のTCMB(トルコ中銀)の政策金利発表が挙げられます。

TCMBの政策金利については、トルコのインフレ率が鈍化傾向にあることから、すべて据え置かれる可能性が高いと考えられます。今回は、声明で追加利上げの可能性が示されるのか?が焦点になりそうです。

TCMBは今年6月以降、3つの主要政策金利と後期流動性貸出金利を据え置く一方、声明で「インフレ期待や企業の価格設定行動、そしてインフレに影響を及ぼすその他の要因を注視し、必要に応じて一段の金融引き締めを行う」と強調。追加利上げに含みを持たせました。

TCMBの次の一手は利下げとの見方が市場にあるなかで、今回の声明で追加利上げが示唆されればトルコリラにとってプラス材料になりそうです。一方で、利上げ打ち止め、あるいは利下げに転じる可能性が示された場合、トルコリラにとってマイナス材料と考えられます。

日足チャートをみると、トルコリラ/円は4月24日以降の4か月あまりにわたって、おおむね30円台半ばから32円のレンジで上下を繰り返し、方向感が失われている状況です。“もみ合い”の期間が長くなっている分、NY終値で、レンジの上下どちらかに抜けた場合、その方向に動きが加速する可能性があります。<八代>

トルコリラ/円(日足、2017/4/17-)

出所:M2JFXチャート

【南アフリカランド】 政局関連のニュースに注意が必要。SARBが21日に政策金利を発表

南アフリカの裁判所が8月15日、同国の護民官(オンブズマン)によるSARB(南アフリカ中銀)の責務変更の提案を退けました。

SARBは、「物価安定と通貨(=南アフリカランド)の価値を守る」ことを責務としています。護民官は6月、SARBの責務を「均衡の取れた持続的な経済成長を促す」へと変更することを求めていました。SARBの独立性を脅かしかねない護民官の提案を裁判所が退けたことは、ランドにとってプラス材料と考えられます。

一方で、南アフリカでは政局不安が依然としてあります。ズマ大統領の不信任案は8月8日に僅差で否決されたものの、与党ANC(アフリカ民族会議)内で多数の造反者が出たとみられます。ANCの党首選が12月に予定されています。党首選に向けて政局が一段と不安定になる可能性もあるため、引き続き注意が必要です。

政治的なニュースが出てこなければ、21日のSARB政策金利発表がランドにとって最大の相場材料になりそうです。

SARBは今年7月の政策会合で、南アフリカのインフレ見通しが改善するなかで、経済成長見通しが悪化したとして、0.25%の利下げを決定しました。8月23日に発表された南アフリカの7月CPI(消費者物価指数)は前年比+4.6%と、6月の+5.1%から上昇率が鈍化し、2015年10月以来、1年9か月ぶりの低い伸びを記録。SARBのインフレ目標(+3から6%)の範囲内に4か月連続で収まり、さらに目標中央値である+4.5%に接近しました。

SARBのクガニャゴ総裁は7月の会合時の会見で、「将来の金融政策はデータ次第」と語り、追加利下げを示唆しませんでした。CPI上昇率が鈍化するなか、9月5日発表の南アフリカの4-6月期GDPで同国経済の低迷が改めて示されれば、SARBは21日の会合で追加利下げに踏み切る可能性もありそうです。利下げが行われた場合、ランドにとってマイナス材料と考えられます。<八代>


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