市場調査部レポート

2017/06/30 14:53【マンスリー・アウトルック(2017/7)】金融政策方針の方向性相違で、日本円は“一弱通貨”に?

― 2017年7月の為替相場展望 ― 

《相場環境》

ここ数年の7月相場は「揉み合い」や「夏枯れ」。今年7月も大きなイベントも予定されておらず、注目ポイントは、(1)米景気や物価の動向と金融政策、(2)ロシアゲートと米予算審議の行方、(3)欧州のブレグジット交渉とBOEやECBの金融政策、(4)東京都議選の結果と安倍政権の今後など。市場のワイルドカード(不確定要因)は、原油価格の動向か。

<主要通貨の動向>
・【全体観・米ドル】金融政策方針の方向性相違で、日本円は“一弱通貨”に?
・【ユーロ】ユーロ/米ドル、強い上昇トレンドが継続しそう
・【英ポンド】英ポンド/円、上昇トレンドが加速する条件は?

<資源国・新興国通貨の動向>
・【豪ドル】リスク意識の変化や資源価格に反応しやすい地合い継続か
・【NZドル】CPI上昇率が加速すればNZドルを押し上げる可能性も!?
・【加ドル】BOCは利上げか。追加利上げが示唆されるかが焦点になりそう
・【トルコリラ】トルコリラ/円は52週移動平均線を目指す展開になるか!?
・【南アフリカランド】20日のSARB総裁の会見に注目!!

◆主要経済指標・イベント
◆OIS(翌日物金利スワップ)に基づく金融政策見通し


≪相場環境≫

ここ数年の7月の米ドル円相場は、「動き」が出る前の「静けさ」だったように思います。

2016年は、6月23日に英国民投票が実施され、ブレグジットが決まったことで、同24日に米ドル円は年間安値を記録しました。その後は11月に米大統領選でトランプ候補が勝利してラリーが始まるまで、米ドル円は安値圏での揉み合いでした。

2015年は、6月5日に米ドル円が2002年以来の高値を付けました。そして、8月にチャイナショック(事実上の人民元切り下げ)が起きて大キック下落するまで、米ドル円は高値圏での揉み合いでした。

2014年は、米FRBのQE(量的緩和)終了が視野に入るなどして8月にラリーが始まるまで、米ドル円は年初から非常に狭いレンジでの揉み合いが続きました。

過去3年間の経験に基づくならば、7月の米ドル円相場は、方向感が出る前の「揉み合い」か、あるいは「夏枯れ」と呼ぶような狭いレンジでの推移となるかもしれません。

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今年の7月も、主要中銀の金融政策会合を除けば、あまり大きなイベントは予定されていません。そうした中で相場材料としてチェックすべきは、例えば以下のようなポイントでしょう。

米景気や物価の動向と金融政策
FRBは景気や物価の鈍化が一時的と判断しています。経済指標がそれを裏付けるようなら、年内の追加利上げと債券再投資の縮小(=バランスシートの縮小)開始に向けた動きが強まりそうです。経済指標のなかでは、7月7日の雇用統計(6月)14日の小売売上高やCPI(同)28日のGDP(4-6月期)8月1日のPCE(6月)、などに注目。

7月25-26日にはFOMCが開催されます。経済見通しの発表や議長の会見は予定されていないため、利上げが決定される可能性は低そうです。ただ、債券再投資の縮小開始に向けたメッセージが発せられるかもしれません。

ロシアゲートと米予算審議の行方
ロシアが米大統領選挙に干渉した、トランプ候補がそれに関与した、あるいはトランプ大統領がそれらの捜査を妨害したとの疑惑、いわゆるロシアゲートは、今後どのような展開になるのか予断を許しません。上院情報委員会は、財務省金融犯罪ユニットから提供を受けた2,000の書類を調査するとしています。また、娘婿のクシュナー氏を含む大統領側近のインタビューなど「目立つ」調査を始めるとのことです。トランプ大統領の求心力が一段と低下すれば、税制改革やインフラ投資を含む予算審議にも影響を及ぼす可能性があります。

議会は8月一杯が夏休みで休会となるため、レーバーデー明けの9月5日の再開まで、会期日数は上院で15日間、下院で13日間しかありません。それらの短期間に、通常の予算(インフレ投資を含む)や、予算調整法(税制改革を含む)などを成立させるのは困難でしょう。予算審議のヤマ場は9月以降となりそうです(10月1日の年度開始に間に合わなければ、短期間の継続予算を可決へ)。

そこで問題となるのが、デットシーリング(債務上限)の事実上の期限が9月初めにも到来することです。デットシーリングの引き上げが遅れれば、米国債のデフォルト(債務不履行)が懸念され、市場が神経質(=リスクオフ)になるかもしれません。

ブレグジット交渉の進展は?
6月19日に英国とEUとの離脱交渉が正式にスタートしました。まず、EUの要求通り、離脱の条件を固めたうえで、離脱後の両者の関係について交渉をすることになりました。在英EU市民や在EU英市民の権利、英国の拠出金額などが最初の議題となるようです。総選挙で政治基盤が弱体化したメイ政権が離脱交渉でも苦戦するようであれば、英ポンドのマイナス要因となりそうです。

ECB(英中銀)のカーニー総裁は、ブレグジットの悪影響を懸念して金融緩和の継続を望んでいました。ただし、6月26-28日のECBフォーラムで、カーニー総裁は金融緩和の縮小に言及し、利上げの議論が現実味を帯びてきたことを示しました。足元でインフレ圧力を懸念する政策委員が増えています。6月15日のMPC(金融政策委員会)では、8人の委員のうち3人が即時利上げを求めて反対票を投じました。次回8月3日のMPCに向けて、7月18日のCPI(6月)が上振れするようならば、利上げ観測が一段と高まりそうです。

ギリシャ支援とECB
6月中旬、ギリシャがEUやIMFと合意に達し、第3次支援が実行されることになりました。このため、7月の債務履行に必要な約70億ユーロの資金のメドが立ちました。ただし、ギリシャは緊縮財政にコミットしており、目標通りに財政健全化を進めることができるかどうかは依然として不透明です。

27日の講演で、ドラギECB総裁は、景気や物価に関して楽観的な見解を示し、景気が強まるなかでの金融政策の維持は刺激を増やすことを意味すると述べました。総裁が金融緩和の縮小に言及したと市場は受け止め、市場金利やユーロの上昇を招きました。7月20日の理事会では金融政策の現状維持が決定されそうですが、直後の会見でドラギ総裁が同様の発言をするのか、それとも上述の講演内容を事実上修正するのか、注目されるところです。

東京都議会選挙は安倍政権に打撃?
日本では、7月2日に東京都議会選挙の投開票があります。小池知事が代表を務める「都民ファーストの会」が自民党に大差をつけるかもしれません。そうなれば、「もりかけ(森友学園・加計学園)」問題などで支持率が低下している安倍政権にとって更なる打撃となりそうです。

一般に、政権の不安定化は自国通貨にとって不利に働くと考えられますが、「強い」安倍政権下で円安が進んだのも事実であり、その逆転がみられても不思議ではなさそうです。

上述のECBフォーラムで、黒田日銀総裁は、2013年4月以降の質的・量的緩和が経済に好影響を与えたとしたうえで、それが引き続き必要だとの見解を示しました。非伝統的な金融緩和からの「出口の議論は時期尚早」との姿勢に大きな変化はなさそうです。7月19-20日の金融政策決定会合では、現状維持が決定されそうです。同時に発表される「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」で、従来通り2%の物価目標に向かって進んでいるとの見解が繰り返されるでしょうか。

ワイルドカードは原油価格か?
国際金融市場のとってのワイルドカード(不確定要素)は、原油価格かもしれません。原油価格(WTI先物)は16年2月に26ドル近くまで下落した後にいったん反発しましたが、過去1年間は40-55ドルを中心としたレンジで推移しています。

夏場は米国のドライブシーズンにあたるため、原油(ガソリン)需要が増える傾向にあります。仮に、ガソリンの消費が伸びずに在庫が増えるようであれば、原油価格に下押し圧力が加わるかもしれません。<チーフエコノミスト 西田明弘>


<主要通貨の動向>

【全体観・米ドル】 金融政策方針の方向性相違で、日本円は“一弱通貨”に?

6月13-14日に開催された米FOMCを境に、マーケットを取り巻くメイン・テーマが「政治」から「各国中央銀行による金融政策」へと、明確に変化したと捉えてよさそうです。

当然、「政治」材料は突発的要素が多分にあるため、その予想は極めて難しい側面はありますが、少なくとも足もとでは、マーケットの動意となり得る要素がやや薄まった感があります。

そんな中、各国中央銀行の金融政策の旗幟(=方向性)の違いが鮮明に現れたのが、6月26-28日にかけて開催されたECB年次フォーラムと言えそうです。

その会合において、まずはドラギECB(欧州中央銀行)総裁がタカ派寄りの発言(=量的金融緩和の出口戦略、つまり金融引き締めを示唆するような発言)をし、ユーロが主要通貨に対して強含みする動きとなりました。

その後、カーニーBOE(イングランド銀行、英中央銀行)総裁が、BOEの利上げ時期が近付いていることを示唆するような発言をし、また、ポロズBOC(カナダ中央銀行)総裁も、BOCによる利上げを検討する可能性がある旨の発言をし、英ポンドならびに加ドルも主要通貨に対して強含みする展開となっています。

これら発言はまさに金融政策のレトリック変更、つまり“レジーム・チェンジ”が近い将来実施されることを如実に示しており、相対的評価である通貨のパワーバランスの変化が発生しつつあることは、大いに注目すべき動き材料と言えます。以下、先進各国中央銀行の金融政策方針イメージ図をご覧ください。



上記図はあくまで筆者イメージであり、決定された金融政策方針ごとで分けたものではありませんが、少なくとも「金融政策志向」ということで3つのグループ分けができそうです。

まずは、【伝統的金融政策/金融引き締め】グループ。ここには、6月に利上げを実施し、年内にもB/S縮小が予想されるFRB(米国)を筆頭に、先のECB年次フォーラムで金融引き締め(=利上げ)方針を示唆したBOE(英国)BOC(カナダ)が入ります。

また、年内利上げの確率は低いものの、2018年以降に利上げが予想されるRBA(豪州)やRBNZ(NZ)も、そのグループ傘下と言えそうです。

そして、もう一方の【非伝統的金融政策/金融緩和継続】グループですが、その同じグループの中でも『出口戦略(=量的金融緩和の縮小[テーパリング])』を示唆しているECB(欧州)『金融緩和継続』方針が想定されるBOJ(日銀/日本)とでは、その距離が開きつつあるというのが実際のところでしょう。

つまり、ここもとの先進各国中央銀行の金融政策方針は、<伝統的>or<非伝統的>の色分けではなく、事実上は<金融引き締め>or<金融緩和>の2つの立場に分かれると捉えてよさそうです。

ということは、<金融緩和>の立場で、その量的金融緩和の出口を模索している日銀は、言うなれば周回遅れとなっている状態とも言え、その政策がもたらす方向性からも、日本円は【一弱通貨】と捉えていいのかもしれません

これら構図関係を総合すると、今後の通貨マーケットでは、円を売って外貨を買う、いわゆる『円キャリー・トレード』が奏功すると想定しますが、どうなのでしょうか。

閑話休題。以下、7月の米ドル/円の見通しについて見ていきたいと思います。そこで、米ドル/円・週足・スパンモデル®+21週ボリンジャーバンド+パラボリック+DMIをご覧ください。



上記チャートより、1) 21週MA(21週移動平均線)が横向きとなっていること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となっていること、3) ローソク足が21週MA近辺にあり、また青い雲の中で推移していること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していること、そして、5) DMI(方向性指数)において、+DI>-DIとなり、またADXが右肩下がりとなっている(上図赤丸印)ことから、下方硬直性を伴うレンジ相場が継続することが想定されます。

米ドル/円の7月において想定される戦略コアレンジは、先行2スパン(=青い雲の下辺)とSARの間のゾーンである、109.00-113.80円

7月が“凪相場”となった場合の想定される重点レンジは、±1σライン内のゾーンである110.20-113.20円

7月の米ドル/円については、DMIの動きには注意しつつ、概ね上記レンジ内をベースとするレンジワークをターゲットとしたトレード戦略が奏功するのではないかと考えます。<チーフアナリスト 津田隆光>

【ユーロ】 ユーロ/米ドル、強い上昇トレンドが継続しそう

以下、ユーロ/米ドル・週足・スパンモデル®+21週ボリンジャーバンド+パラボリック+DMIをご覧ください。



上記チャートより、1) 21週MA(21週移動平均線)が右肩上がりとなっていること、2) 遅行スパンがローソク足の上方に位置していること、3) ローソク足が+2σライン近辺にあるものの(※6/30時点)、概ね+1σ-+2σライン内を推移する【上昇バンドウォーク】となっていること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方で点灯していること、そして、5) DMI(方向性指数)において、+DI>-DIとなり、その乖離がさらに拡大している(上図赤丸印)ことから、力強い上昇トレンドが継続しそうです。

7月のユーロ/米ドルについては、基本は押し目買い戦略をベースとするトレード戦略がワークしそうです。

ただし、上記ボリンジャーバンド※では、ローソク足が+2σ(≒1.1440ドル)をややオーバーシュートするような動きとなっていることもあり、やや買われ過ぎと捉えることもできます。

その一方で、±2σラインが拡張(エクスパンション)する展開となっていることから、ユーロ/米ドルは今後もさらなる強気トレンドが継続することが想定されるため、値頃感からの逆張り(=売り)エントリーは避けた方が無難と言えそうです。<津田>

【英ポンド】 英ポンド/円、上昇トレンドが加速する条件は?

以下、英ポンド/円・週足・スパンモデル®+21週ボリンジャーバンド+パラボリック+DMIをご覧ください。



上記チャートより、1) 21週MA(21週移動平均線)が横向きとなっていること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となっていること、3) ローソク足が+2σライン近辺にあること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方で点灯していること、そして、5) DMI(方向性指数)において、+DI>-DIとなり、その距離が接近していることから、基本トレンドは横ばい基調(レンジ相場)が継続する展開となりそうです。

上記チャートより、英ポンド/円のトレンドが<横ばい基調>から<上昇トレンド>へと変化し得る条件は以下3点。

1. 遅行スパンがローソク足を上抜けブレーク(上放れ)した場合。
2. ローソク足が+2σライン(≒146.80円)を明確に上抜けブレークした場合。
3. +DI>-DIの乖離がさらに拡大し、ADXが右肩上がりとなった場合。

上記3条件が確認できた場合は、英ポンド/円の中期トレンドは上向きに変化しそうです。その一方で、ローソク足が+2σライン(≒146.80円)手前で押し負け、DMI(方向性指数)で-DI>+DIとなった場合は、一旦の下押しフローが強まる可能性もありそうです。<津田>


<資源・新興国通貨の動向>

【豪ドル】 リスク意識の変化や資源価格に反応しやすい地合い継続か

6月の豪ドルは堅調に推移し、豪ドル/円や豪ドル/米ドルは約3か月ぶりの高値をつけました。NYダウなど米国株の上昇を背景にリスク選好の動きが強まったことが、リスク意識を反映しやすい豪ドルの追い風となりました。豪州の主力輸出品である鉄鉱石の価格が反発したこともプラス材料でした。

豪ドルは引き続き、米国株や鉄鉱石などの資源価格の動向に反応しやすい地合いになりそうです。米国株が一段と上昇し、資源価格が堅調に推移すれば、豪ドル/米ドルや豪ドル/円はさらに上昇する可能性があります。

7月4日のRBA(豪中銀)会合では、政策金利の据え置きが決まる可能性が大。声明で金融政策の先行きについて新たな材料が提供されるのかどうかが焦点になりそうです。RBAは労働市場や住宅市場を注視する姿勢を示しているため、声明ではとりわけ労働市場と住宅市場に関する文言に注目です。声明の内容が前回6月から大きな変化がなければ、あまり材料視されないかもしれません。

26日には豪州の4-6期CPI(消費者物価指数)が発表されます。その結果を受けて、RBAの先行きの金融政策見通しが変化すれば、豪ドルが反応する可能性があります。1-3月期のCPIは前年比+2.1%、RBAがCPIとともに重視すると言われる基調インフレ率は1.80%でした(RBAのインフレ目標は+2から3%)。<シニアアナリスト 八代和也>

【NZドル】 CPI上昇率が加速すればNZドルを押し上げる可能性も!?

NZドル/円やNZドル/米ドルは6月に約4か月半ぶりの高値をつけました。豪ドルと同様にNYダウなど米国株の上昇を背景にリスク選好の動きが強まったことが追い風となり、NZの主力輸出品である乳製品の価格が堅調に推移したこともプラス材料となりました。乳製品国際価格の指標であるGDT価格指数は6月、約3年ぶりの高値を記録しました。

7月のNZドルは主に米国株や乳製品価格の動向に反応しやすい展開が予想されます。ただし、18日に発表されるNZの4-6月期CPI(消費者物価指数)もNZドルに大きな影響を与える可能性があります。

1-3月期のCPIは前年比+2.2%と、昨年10-12月期の+1.3%から加速。RBNZ(NZ中銀)のインフレ目標(+1から3%)の中央値である+2%を5年半ぶりに超えたものの、RBNZはガソリンや食料品の価格上昇など一時的な要因によってCPI上昇率が加速したと分析。5月の金融政策報告では、政策金利は2019年4-6月期まで据え置かれ、利上げは7-9月期になる可能性が示されました。

一方、市場では、RBNZの見通しよりもかなり前、来年3月にも利上げが実施されるとの見方が有力です。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)が6月29日時点で織り込む、年内利上げの確率は27.3%(据え置きが72.3%)。利上げの確率は来年2月までで37.3%、3月までで+64.0%へと上昇します。

RBNZは5月の金融政策報告で4-6月期のCPI上昇率は前年比+2.1%との見通しを示しました。CPI上昇率がRBNZの見通しを上回れば、RBNZの早期利上げ観測が高まると見られます。その場合、NZドルが上昇しそうです。<八代>


出所:Bloombergより作成

【加ドル】 BOCは利上げか。追加利上げが示唆されるかが焦点になりそう

7月の加ドルは、12日のBOC(カナダ中銀)政策会合が最大の相場材料になりそうです。その結果が加ドルの動向に影響を与える可能性があります。

6月に入り、BOCの早期利上げ観測が急速に高まりました。その背景には、ポロズ総裁らBOC当局者が近い将来の利上げを示唆したことが挙げられます。ウィルキンス上級副総裁は6月12日、「経済成長が持続する中で、かなりの金融刺激策が必要かどうかを点検する」と発言。ポロズ総裁は6月27日、「(2015年に実施した)利下げは役割を果たしたようだ」と述べました。BOCは2015年1月と7月、原油価格の急落が国内の経済成長やインフレ目標の達成に与える悪影響を懸念し、それぞれ0.25%の利下げを実施。その後は、政策金利を0.50%に据え置いています。

市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)では6月29日時点で、BOCが7月の会合で利上げを行う確率が69.8%織り込まれています。利上げがかなり織り込まれた分、利上げが決定されたとしても、市場はそれ自体にはあまり反応しない可能性もあります。利上げが決定された場合は、声明などで追加利上げが示唆されるのかが焦点になりそうです。追加利上げが示唆されば、加ドルにとってプラス材料と考えられます。一方、政策金利が据え置かれた場合はサプライズとなり、加ドルが売られる可能性があります。<八代>

【トルコリラ】 トルコリラ/円は52週移動平均線を目指す展開になるか!?

7月のトルコリラの独自材料として、27日のTCMB(トルコ中銀)の政策金利発表が挙げられます。

TCMBは前回6月15日の会合で、3つの政策金利(1週間物レポ金利、翌日物貸出金利、翌日物借入金利)をすべて据え置くことを決定。1月半ば以降、事実上の政策金利となっている後期流動性貸出金利も12.25%に据え置きました。TCMBは6月まで3会合連続で後期流動性貸出金利を引き上げた後、いったん休止しました。

ただしTCMBはその時の声明で、「インフレ見通しが著しく改善されるまで、金融政策の引き締めスタンスを維持する」と強調。「インフレ期待や企業の価格設定行動、そしてインフレに影響を及ぼすその他の要因を注視し、必要に応じて一段の金融引き締めを行う」とし、追加利上げに含みを残しました。

トルコリラは6月に対米ドルで一時約6か月ぶりの高値をつけるなど、反発基調にあります。今後、トルコリラ安が再び加速する事態にならなければ、7月の会合では金融政策の現状維持が決定される可能性が高いと考えられます。その場合、トルコリラに大きな反応は見られないかもしれません。

トルコリラ/円は、約2か月にわたって、おおむね90日移動平均線(MA)と200日MAの間で上下動を繰り返してきました。足もとは、200日MA近辺で推移しています。200日MAより上の水準に定着できれば、テクニカル面から上昇圧力が加わる可能性があります。その場合、52週MAが次の上値メドになりそうです。52週MAは6月30日時点で32.32円に位置します。<八代>

トルコリラ/円(日足、2017/2/13-)

出所:M2JFXチャート

【南アフリカランド】 20日のSARB総裁の会見に注目!!

7月の南アフリカランドの注目材料は、20日のSARB(南アフリカ中銀)の政策金利発表が挙げられます。

政策金利は現行の7.00%に据え置かれる可能性が高いと見られます。南アフリカ経済が低迷する一方、SARBがインフレ圧力が再び高まることを警戒しているためです。

今年1-3月期のGDPは前期比年率換算-0.7%と、昨年10-12月期(-0.3%)に続いてマイナス成長を記録。南アフリカ経済は2009年以来、8年ぶりにリセッションに陥りました。一方、5月のCPI上昇率は前年比+5.4%と、インフレ目標(+3から6%)の範囲内に2か月連続で収まったものの、SARBは上昇率が目標上限に向けて再び高まることを警戒しています。

SARBの金融政策の先行きを探るうえで、会合後に行われるクガニャゴ総裁の会見に注目です。会見では、6人の政策メンバーの会合における主張(「据え置き」「利下げ」「利上げ」)や、インフレの評価が焦点になりそうです。前回5月の会合では、6名のメンバーのなかで1名が“0.25%の利下げ”を主張(残りの5名は“据え置き”)。クガニャゴ総裁は会見で、「政策金利は現時点で適切」とする一方、「CPI上昇率が持続的に目標範囲内に収まるならば利下げは可能だ」と語りました。

市場では、SARBは来年初めにも「利下げ」に転じるとの見方が有力です。会合で利下げを主張したメンバーが増えたり、クガニャゴ総裁の会見が近い将来の利下げを示唆する内容になれば、市場では早期利下げ観測が高まるとみられます。その場合、ランドにとってマイナス材料と考えられます。一方、利下げを主張するメンバーが増えず、クガニャゴ総裁が近い将来の利下げを示唆しなければ、利下げ観測が後退しそうです。ランドにとってプラス材料と考えられます。<八代>




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