市場調査部レポート

2017/06/02 13:306月8日が「重要な日」に急浮上!?

【相場環境】6月8日が「重要な日」に急浮上!?
【全体観・米ドル】米ドル/円、レンジワーク主体の展開か
【ユーロ】ユーロ/米ドル、トレンド変化のサインも?
【ポンド】英ポンド/円、スパイク・フローにも要注意
【豪ドル】鉄鉱石価格が約8か月ぶり安値。下落に歯止めかからず
【トルコリラ】CPI上昇率の加速はプラス材料にならず!?
【南アフリカランド】6月6日の南アフリカGDPが相場材料になりそう


【相場環境】 6月8日が「重要な日」に急浮上!?

来週は、6月8日に重要なイベントが集中しています。大きな相場変動に注意が必要でしょう。

・ECB理事会(QE縮小の開始時期などフォワードガイダンスに変更あるか)
・英総選挙(メイ首相の保守党が過半数の議席を維持できるか)
・米コミー元FBI長官の議会証言<上院情報特別委員会>(トランプ大統領から圧力があったか)
・FBIの「ロシアゲート」の資料提出期限<下院監視委員会>

トランプ予算案と「ロシアゲート」の行方
5月23日に発表されたトランプ政権の予算案は、税制改革やインフラ投資を盛り込む一方で、10年後の財政均衡を目指す野心的な内容でした。しかし、歳出削減が、経済成長率の高まりや、福祉関連の給付金と非国防費の削減に大きく依存するなど、民主党だけでなく共和党の議員の多くにも受け入れ難いものであるようです。

今後、議会は予算の大枠を決める予算決議を成立させ、さらに個々の歳出法案や税制改革法案を審議することになります。議会がトランプ予算案と全く異なる予算の策定に向けて動く可能性もあり、株式市場をはじめ金融市場の反応が注目されます。

「ロシアゲート」の行方も気になるところです。
8日、コミー前FBI長官が上院情報特別委員会で証言します(午前10:00から公開で、その後に非公開で)。また、下院監視委員会がFBIに対して8日までに関連資料(コミー前長官のメモを含む?)を提出するよう要請しました。
また、黙秘権の行使を示唆していたフリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)が6月6日までに資料を上院情報特別委員会に提出するようです。
さらに、下院情報特別委員会が、フリン氏とトランプ大統領の顧問弁護士コーエン氏やその関連会社、CIA(中央情報局)、FBI(連邦捜査局)、NSA(国家安全保障局)に対する7つの召喚状を承認しました。

「ロシアゲート」の核心は以下の3点です。
(1)ロシアが大統領選挙に干渉したか
(2)トランプ氏やその関係者が、上記も含めてロシアと共謀したか
(3)トランプ大統領がFBIの捜査に圧力をかけたか

上記(1)に関して、CIA、FBI、NSAは今年1月の報告書で、「ロシアの干渉があった」と結論付けています。したがって、今後は(2)や(3)が捜査・調査の焦点になるでしょう。
政局不安は本来、通貨安要因でしょうが、現在の米国の状況に限れば、「新大統領誕生の可能性」が浮上すれば、ポジティブに評価されるかもしれません。

英総選挙で保守党は過半数割れの可能性も!?
6月8日に投開票を迎える英総選挙に向けて、メイ首相の保守党が苦戦しています。
4月18日にメイ首相が電撃的に解散総選挙を発表した直後の世論調査では、保守党は最大野党の労働党に支持率で20ポイント前後の差をつけていましたが、足元でバラツキはあるもののリードは一けた台半ばへと縮小しています。
メイ首相が解散を決意したのは、保守党が労働党を支持率で大きくリードしていたため、現有勢力に議席を上積みして政権基盤を強化し、それによってEUとの離脱交渉をスムーズに進めようとの思惑があったとみられます。

しかし、英国内でのテロや、高齢者の社会保障負担を増やすとの保守党のマニュフェストが災いして、保守党のリードが急速に縮小しています。
メイ首相がEUとの離脱交渉に関連して、「良くない合意よりは、合意なしの離脱の方を選ぶ」と述べたことが先週末の英ポンド下落につながりました。総選挙で保守党が苦戦するようであれば、EUとの離脱交渉は一段と困難さを増すとの見方が強まるかもしれません。

投票時間は現地午前7時-午後10時(日本時間午後3時-9日午前6時)、日本時間9日昼頃に大勢が判明する可能性がありそうです。

ECBの金融政策はフォワードガイダンスに変更はあるか
ECB理事会では、金融政策の現状維持が決定されそうです。ドラギ総裁は5月29日に欧州議会で、「異例の金融緩和がなおも必要だ」との見解を表明しました。
ただ、ECB内には金融緩和を縮小すべき、あるいはそのための準備を開始すべきとの声も根強くあります。5月31日の講演で、ECBメンバーでもあるバイトマン独連銀総裁は、「(金融政策の先行きを示唆する)フォワードガイダンスの修正を議論すべき時だ」と述べました。理事会後の総裁会見などでQE(量的緩和)縮小に関するヒントが出てくれば、ユーロが上昇する場面がみられるかもしれません。<チーフエコノミスト 西田明弘>


【全体観・米ドル】 米ドル/円、レンジワーク主体の展開か

【相場環境】にもある通り、次週8日は重要イベントが目白押しとなっています。

ファンダメンタルズ材料は上記【相場環境】をご確認いただいた上で、以下ではテクニカル分析を中心に米ドル/円の動きを見ていきたいと思います。まずは、以下、米ドル/円・日足・一目均衡表+DMIをご覧ください。



上図チャートの各メルクマールを確認すると、1) ローソク足が先行スパン(いわゆる“雲”)の中に入り込んでいること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となっていること、そして、3) DMIで、-DI>+DIとなっており、またADXが右肩下がりとなっている(上図青丸印)ことから、日足チャートレベルでのトレンド判断は、上方硬直性のレンジ相場が継続することが想定できます。

上図チャートにおけるテクニカル指標から勘案する戦略コアレンジは、先行1スパン(=“雲”の下辺)から基準線のゾーン(上図青括弧印)である110.00-112.30円。これからの時間帯において、ADXの右肩下がり形状が継続し、また+DIおよび-DIに明確な乖離が発生しない場合は、今後1-2週間スパンにおける米ドル/円の“主戦場”は上図チャートの黄色枠ゾーン(≒110.00-112.30円)となりそうです。

米ドル/円の中期トレンドを確認する上で、もう少し長いタイムフレームのチャートに変更し、俯瞰図を見てみましょう。以下、米ドル/円・週足・一目均衡表+フィボナッチ+DMIをご覧ください。



上図チャートの各メルクマールを確認すると、1) ローソク足が先行スパン(いわゆる“雲”)の上辺近辺にあること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となっていること、そして、3) DMIで、+DIと-DIが接近し、またADXが右肩下がりとなっている (上図赤丸印)ことから、現時点における週足チャートでのトレンド判断では、はっきりとした方向性のない、レンジ相場が継続することが想定できます。

上図チャートにおけるテクニカル指標から勘案する米ドル/円の下値メドは、2016年6月時安値(97.76円、上図A)と同年12月時高値(118.65円、上図B)を結んだフィボナッチ・50.0%(半値押し)ラインである108.70円。上値メドは、基準線レベルの113.40円

2日時点の米ドル/円は、フィボナッチ・38.2%ラインである111.00円付近をベースとして推移していますが、DMIの形状にも着目しつつ、今後1-2ヶ月スパンにおける米ドル/円の“主戦場”は上図チャートの黄色枠ゾーン(≒108.70-113.40円)となりそうです。

一方で、これからの時間帯において+DIと-DIの乖離が広がり(+DI>-DI or –DI>+DI)、かつADXが右肩上がりに推移し始めた場合は上下トレンドが強まる可能性もあり、上図チャートで記載したボックス圏(≒108.70-113.40円)をオーバーシュートする可能性も考慮する必要があります。

あくまで、テクニカル分析上の想定ゾーンとして見ていただければ幸いです。<チーフアナリスト 津田隆光>


【ユーロ】 ユーロ/米ドル、トレンド変化のサインも?

以下、ユーロ/米ドル・日足・スパンモデル®+21日ボリンジャーバンド+DMIをご覧ください。



上図チャートより、1) 21日MA(21日移動平均線)が右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の上方に位置していること、そして、3) ローソク足の下方に青い雲(=サポート帯)があり、分厚い形状となっていることから、日足チャートレベルでのトレンド判断は、下方硬直性の上昇トレンドが継続することが想定できます。

上図チャートにおけるテクニカル指標から勘案する戦略コアレンジは、先行1スパン(=雲の上辺)から+2σラインの間のゾーンである1.1120-1.1370ドル。(上図青括弧印のゾーン)

一方で、これからの時間帯において、+DIと-DIがクロスし、-DI>+DIの乖離が拡大した場合は、下降トレンドに変化する可能性も視野に入れるべきでしょう。(上図青丸印)

終値レベルで21日MA(≒1.1095ドル)を割り込んだ場合は、先の4月23日のフランス大統領選挙(決選投票)でマクロン氏が勝利した翌日(4月24日、上図赤三角印)の『窓開け』以来加速した【リリーフ・ラリー】(or マクロン・ラリー)の反省相場として、『窓埋め』(≒1.0820ドルレベルまでの下落)の可能性についても、長期的には考慮した方がいいのかもしれません。

いずれにしても、足もとではユーロ/米ドル・日足チャートのDMI(方向性指数)の動きには要注目でしょう。<津田>


【ポンド】 英ポンド/円、スパイク・フローにも要注意

以下、英ポンド/円・日足・スパンモデル®+21日ボリンジャーバンド+DMIをご覧ください。



上図チャートより、1) 21日MA(21日移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態であること、そして、3) ローソク足が青い雲(=サポート帯)の中に入り込んでいる状態であることから、日足チャートレベルでのトレンド判断は、下方硬直性のレンジ相場が継続することが想定できます。

上図チャートにおけるテクニカル指標から勘案する戦略コアレンジは、-2σラインから21日MAラインの間のゾーンである141.70-145.00円。(上図青括弧印のゾーン)

一方で、これからの時間帯において、-DI>+DIの乖離がさらに拡大した場合は、下降トレンドの勢いが強まる可能性も視野に入れておくべきでしょう。

終値レベルで-2σライン(≒141.70円≒先行2スパン)を割り込んだ場合は、ユーロ/米ドル同様、先の4月23日のフランス大統領選挙(決選投票)でマクロン氏が勝利した翌日(4月24日、上図赤三角印)の『窓開け』後の『窓埋め』の可能性についても、考慮した方がよさそうです。

8日に予定されている英総選挙の結果次第では、【スパイク・ロー】(瞬間的安値)および『窓埋め』フローとして140.00円レベルまでの下落を、また、【スパイク・ハイ】(瞬間的高値)として21日ボリンジャーバンド・+2σラインである148.16円レベルまでの上昇を想定した方がいいのかもしれません。<津田>


【豪ドル】 鉄鉱石価格が約8か月ぶり安値。下落に歯止めかからず

鉄鉱石価格が一段と下落しています。中国の青島に荷揚げされる鉄鉱石(鉄分62%)価格 は6月1日に1トン=55.97米ドルと、昨年10月以来、約8か月ぶりの安値をつけました。鉄鉱石価格は今年2月、一時94.86米ドルへと上昇。そのピークからの下落率は約40%に達しました。

鉄鉱石価格の下落の背景には、最大の消費国である中国の景気減速によって需要が減少するとの懸念があるようです。鉄鉱石は豪州の輸出全体の約2割を占める最大の輸出品であるため、その価格の下落は豪ドルに対する下押し圧力へとつながります。

5月の豪ドル/米ドルは、比較的底堅く推移しました。米政局の先行き不透明感から米ドルが弱含んだことが要因です。米政局の先行き不透明感が和らぐ、あるいは鉄鉱石価格が下落を続ける場合、豪ドル/米ドルにはさらに下押し圧力が加わる可能性があります。豪ドル/米ドルが堅調に推移するためには、豪ドル側の材料として鉄鉱石価格の下げ止まりや反発が必要かもしれません。

RBA(豪中銀)が6月6日に政策金利を発表します。RBAが注視する姿勢を示している労働市場や住宅市場の動向に大きな変化はみられないため、政策金利は現行の1.50%に据え置かれる可能性が大。市場は「据え置き」を予想しています。注目点は、声明で金融政策の先行きについて新たな材料が提供されるのかどうかになりそうです。新たな材料が提供されれば、豪ドルが反応する可能性がある一方、声明の内容が5月から大きな変化がなければ、それほど材料視されないかもしれません。<シニアアナリスト 八代和也>


*鉄鉱石価格=中国の青島に荷揚げされる鉄鉱石(鉄分62%)
出所:Bloombergより作成


【トルコリラ】 CPI上昇率の加速はプラス材料にならず!?

トルコの5月CPI(消費者物価指数)が6月5日に発表されます。食料品価格の上昇やトルコリラ安を背景に、CPI上昇率はTCMB(トルコ中銀)のインフレ目標(+5%、その±2%が許容範囲)を大幅に上回っています。前回4月のCPIは前年比+11.87%と、2008年10月以来の強い伸びを記録しました。

CPI上昇率の加速は、TCMBに対する利上げ圧力への増大へとつながります。TCMBは今年1月、3月、4月の直近3会合連続で事実上の政策金利となっている “後期流動性貸出金利”を引き上げました。

ただし、市場ではTCMBがインフレ対応で利上げを継続するのは難しくなりつつあるとの見方もあります。景気低迷やエルドアン大統領らの利下げ圧力のほか、商業銀行の借り入れコストが今年1月後半以降に大幅に上昇したためです。1月前半に8%台前半だった商業銀行の借り入れコスト平均は、足もと12%前後で推移しています。

インフレ対応の利上げが難しいとの見方がある中での CPI上昇率の加速は、トルコリラにとってプラス材料と市場でみなされない可能性もあります。<八代>


出所:Bloombergより作成


【南アフリカランド】 6月6日の南アフリカGDPが相場材料になりそう

南アフリカの与党ANC(アフリカ民族会議)は5月28日の幹部会議で、ズマ大統領の不信任動議を否決しました。

ズマ大統領は今年3月末、ゴーダン財務相ら閣僚9人を解任する内閣改造を断行。それを受けて、ANC内で反発が強まっていたものの、ズマ大統領が続投することになりました。

不信任動議否決を受けて、当初は南アフリカランドが売られました。ズマ氏が大統領にとどまることで政局の不安定な状況が続くとの懸念が背景にあったとみられます。

一方で、ズマ大統領の続投が決まって南アフリカの政局の不透明感がいったん払しょくされたと考えることもできそうです。ランドは今週(5月29日の週)後半にかけて若干反発しており、不信任動議の否決は相場材料として市場であまり重要視されなかったとみられます。

南アフリカの政局に関して新たなニュースが出てこなければ、6月6日の南アフリカの1-3月期GDPがランドの相場材料になりそうです。GDPの市場予想は前期比年率換算+0.8%。2014年以降4回目のマイナス成長を記録した昨年10-12月期(-0.3%)からプラスへと転じるとみられています。GDPが市場予想からかけ離れる結果になれば、ランドが反応する可能性があります。ランドにとって、強めの内容はプラス材料、弱めの内容はマイナス材料と考えられます。<八代>


出所:Bloombergより作成




※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

  • 2018.08.17 更新トルコリラは流動性低下に要注意各通貨ペアの投資戦略については「Weekly投資戦略ガイド」をご参照ください。原則、毎月曜更新(次回は8月20日)です。◆ファンダメンタルズ◆<<相場環境>> …
  • 2018.08.10 更新トランプの戦争2各通貨ペアの投資戦略については「Weekly投資戦略ガイド」をご参照ください。原則、毎月曜更新(次回は8月13日)です。◆ファンダメンタルズ◆<<相場環境>> …
  • 2018.08.03 更新米中貿易摩擦と日米通商協議各通貨ペアの投資戦略については「Weekly投資戦略ガイド」をご参照ください。原則、毎月曜更新(次回は8月6日)です。◆ファンダメンタルズ◆<<相場環境>>  …
  • 2018.07.27 更新【マンスリー・アウトルック(2018/8)】「通商交渉」の夏― 2018年8月の為替相場展望 ― 《相場環境》8月は通商交渉の行方が相場材料になりそう。米中通商交渉(対中追加制裁関税)、NAFTA再交渉(米国とメキシコに…
  • 2018.07.20 更新自動車関税と主要国の金融政策各通貨ペアの投資戦略については「Weekly投資戦略ガイド」をご参照ください。原則、毎月曜更新(次回は7月23日)です。◆ファンダメンタルズ◆<<相場環境>> …

「市場調査部レポート」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ