市場調査部レポート

2017/05/26 14:02【マンスリー・アウトルック(2017/6)】6月、「ロシアゲート」疑惑の本格追及が始まりそう

― 2017年6月の為替相場展望 ― 

《相場環境》

政治は引き続き不安定。米トランプ大統領の弾劾は現実味を帯びるのか、トランプ予算案は議会で大幅修正されるのか。英議会選挙のあとにはEUとの離脱交渉が本格化しそう。仏議会選挙では、マクロン大統領の新党が躍進するか。

先進国の中央銀行にも動きは出そう。米FRBの利上げはほぼ確実、バランスシート縮小に向けたメッセージは出てくるか。日欧英の中銀は金融政策の現状維持が予想されるも、先行きに関するメッセージには要注意か。

<主要通貨の動向>
・【全体観・米ドル】6月、「ロシアゲート」疑惑の本格追及が始まりそう
・【ユーロ】ユーロ/米ドル、高値掴みには要注意?
・【英ポンド】英ポンド/円、上昇トレンドが強まるポイントは?

<資源国・新興国通貨の動向>
・【豪ドル】鉄鉱石価格の下落に歯止めがかかるか!?
・【NZドル】利上げ観測や乳製品価格が下支えしそう
・【加ドル】原油価格に影響を受けやすい地合い
・【トルコリラ】TCMBは利上げできるか? 政局関連のニュースに注意
・【南アフリカランド】SARB総裁が利下げの可能性に言及

◆主要経済指標・イベント
◆OIS(翌日物金利スワップ)に基づく金融政策見通し


≪相場環境≫

6月も政治の安定は期待できそうにありません。
米国では、「ロシアゲート」に絡んで、トランプ大統領が弾劾される可能性が浮上しました。まだ憶測の域を出ませんが、仮に弾劾、さらには辞任との見方が強まった場合、市場は政治の空白や減税等の実現性低下に対してネガティブに反応するのか、それとも「新大統領」への期待が上回るのか、予断を許さないところです。

5月24日、トランプ政権の予算案の詳細が明らかになりました。10年間で財政均衡を実現するという野心的な内容ですが、過度に楽観的な経済見通しを前提としていること、福祉関連給付やその他の非国防支出の大幅な削減に頼っていること、減税を実行しても税収は変わらないとの想定など、議会内外から批判が出ています。議会はトランプ予算案と全く異なる予算の策定に動く可能性もあり、今後の予算審議が注目されます。

6月8日、英国の議会選挙が実施されます。メイ首相は与党保守党の議席積み増しによる基盤強化を狙って、4月下旬に解散総選挙を決断しました。最近の世論調査では、支持率で保守党が労働党を上回っていますが、その差は縮小傾向にあり、選挙結果がメイ首相の思惑通りになるのか、不透明になってきました。
議会選挙後に、いよいよ英国とEUとの離脱交渉が本格的にスタートしそうです。交渉の順番や英国の負担金の額などについて、両者のスタンスに大きな差があるため、交渉はスタートから難航するかもしれません。

6月11、18日、フランスの議会選挙が実施されます。マクロン大統領の新党「共和国前進(REM)」が過半数を獲得するとの世論調査結果もあります。マクロン大統領が、社会党や共和党といった既存大政党とどのような関係を構築するのか、またルペン氏自身も出馬する国民戦線(FN)がどの程度の支持を得るか、などが注目点でしょう。

主要国の金融政策に動きがあるかもしれません。
6月13-14日の米FOMCでは利上げがほぼ確実視されています。注目は、「年初の景気減速は一時的(3月FOMC議事録)」とした見解に変化はあるか、政策金利見通し(「FOMCドット」)が修正されるか、今後の利上げペースやバランスシート縮小の計画について何らかのメッセージは出てくるか、などです。

ECB理事会(6/8)BOE(英中銀)の会合(6/15)日銀の金融政策決定会合(6/15-16)では、いずれも金融政策の現状維持が決定されそうです。ただし、先行きについてどういったメッセージが出てくるかはチェックする必要がありそうです。とりわけ、ECBは、ドラギ総裁が金融緩和維持の姿勢を堅持する一方で、内部からはQE(量的緩和)縮小を求める声が強まっており、「出口」に関して何らかの示唆はあるかもしれません。

今後の主なスケジュール


************
来週は、米経済指標から景気や物価の現状を確認することになりそうです。FRBは年初の景気減速を「一時的」と判断しており、経済指標によってそれが裏付けられるでしょうか

4月のPCEコアデフレータ―(5/30)は、5月2-3日のFOMCでインフレ鈍化への言及があっただけに重要です。同指標はFRBの目標である2%にジリジリ接近していましたが、3月に大幅に鈍化しました。一段と鈍化するようであれば、利上げ観測の後退につながりそうです。

ベージュブック(地区連銀経済報告、5/31)では、景況判断、とりわけ労働市場のひっ迫度合いや賃上げの状況、景気の持ち直しの有無などについての見解が注目されます。

5月のISM製造業景況指数(6/1)は小幅反発か。同指数は昨年後半から上昇基調が鮮明でしたが、3-4月に鈍化しました。既報のNY連銀指数がマイナスに落ち込む一方で、フィラ連銀指数は逆に顕著な改善をみせており、ISM指数がどちらに近い動きとなるのか予測は困難です。

5月の雇用統計(6/2)では、NFP(非農業部門雇用者数)の伸びが鈍化しそうです。今年に入って4か月のうち3か月で20万人を超えており、出来過ぎでした。労働市場ひっ迫(=人手不足)のなかで、10万人程度の伸びでもFOMCは「堅調」と判断しそうです。失業率は4月に4.4%と、FOMCが「適正」と考える5%弱を大きく下回りました。一段と低下するようであれば、利上げ観測が強まりそうです。加えて、賃金上昇率が加速するようなら、なおさらです。<チーフエコノミスト 西田明弘>


<主要通貨の動向>

【全体観・米ドル】 6月、「ロシアゲート」疑惑の本格追及が始まりそう

次週から始まる6月相場。上記≪相場環境≫にもある通り、6月8日の英総選挙や、6月11・18日の仏国民議会選挙、そして6月13-14日の米FOMCといった重要イベントが目白押しの中、引き続き相場の中心軸にはやはりこの御仁、トランプ大統領がいることを念頭に置くべきでしょう。

26日執筆時点のトランプ大統領は、就任後初の外遊となる中東歴訪を終え、イタリア南部タオルミーナで開催される先進7ヵ国首脳会議(G7サミット、26-27日)に参加する予定となっています。

その外遊後に本国・アメリカで待ち受けているのが、いわゆる「ロシアゲート」疑惑の本格的な追及。

当初24日に予定されていたコミー前米連邦捜査局(FBI)長官に対する公聴会が、本人の希望により延期され、休み明けとなる30日以降に開催される見通しとなっています。

25日付の米ワシントンポスト紙とNBCニュースによると、この「ロシアゲート」疑惑に関して、トランプ大統領の娘婿で、トランプ大統領が絶大な信頼を寄せるクシュナー大統領上級顧問がFBIの捜査対象に入っているとの報道がなされています。

仮に、トランプ大統領にとって側近中の側近、いわば“右腕”であるクシュナー氏に対して「ロシアゲート」疑惑に関する捜査のメスが入るような事態になれば、トランプ政権にとっては極めて大きなダメージとなり得ることは疑いようもありません。

23日に下院情報委員会で行われたブレナン前米中央情報局(CIA)長官によると、「昨夏、ロシアが米大統領選挙に影響を与えようとしていたことは明白」と証言し、また「ロシア当局者とトランプ陣営と関係のある米国人との間で行われたやり取りを露呈した情報や諜報を目にした」との発言もなされました。

この証言と合わせて、30日以降に予定されている公聴会でのコミー前長官の証言、さらにはその証拠として提出されるであろう“コミーメモ”(=トランプ大統領との会話について記載したコミー氏の詳細なメモ)こそが、40年以上前の「ウォーターゲート事件」で当時のニクソン大統領にとって致命傷となり得た【ディープ・スロート】となる可能性も。

一方で、仮に“コミーメモ”やその他証言によって、合衆国憲法第2条第4節に記載される「反逆罪」「収賄罪」「その他重罪および軽罪」につき弾劾相当となされた場合であっても、まずは下院において過半数の賛成(同意)を得た上で、その後上院での弾劾裁判において3分の2以上の賛成(同意)を得る必要が。

米国の歴史上においても、弾劾裁判にかけられた大統領は、1867年のアンドリュー・ジョンソン氏と1998年のビル・クリントン氏の2名しかいなく、しかも2名とも最終的には罷免回避となっていることもあり、そう簡単に事が運ぶ(トランプ大統領の弾劾→罷免)と思わない方がいいのかもしれません。

足もとでは、5月30日以降に予定されているコミー元長官による証言内容とその後の議会の動きからは目が離せそうにありません。

そんな環境下、6月の米ドル/円の見通しについて、21週ボリンジャーバンドと52週移動平均線(52週MA)、そしてDMI(方向性指数)を合わせて見ていきたいと思います。

以下、米ドル/円・週足・21週ボリンジャーバンド+52週移動平均線(52週MA)+DMIをご覧ください。



上記チャートより、以下の各種メルクマールが確認できます。(※いずれも5月26日時点)

1) ローソク足が52週MAの上方に位置している。
2) 21週MAが横向きで、各ボリンジャーバンドが21週MAに対してパラレルに推移している。
3) +DI-DIおよびADXが同地点に収斂するような形状となっている。(上図赤点線丸印)

上記1)2)3)を総合すると、現時点の米ドル/円は、52週MAがサポートラインとなる下方硬直性レンジ相場継続中と見ることができます。この52週MAは、21週ボリンジャーバンドの-2σラインともほぼ重なり(※)、これからの時間帯において比較的強いサポートラインとなることが予想されます。(※52週MA≒-2σ≒108.70円)

6月の1ヶ月間のスパンにおいて想定するコアレンジ(CR)の下限メドは、52週MAおよび-2σラインである108.70円、同上限メドは+1σラインである114.50円。よって、当該レンジ(108.70-114.50円)をベースとするレンジワークが継続すると予想します。

今後はさらに、DMI(方向性指数)の動向にも注目すべきでしょう。<チーフアナリスト 津田隆光>

【ユーロ】 ユーロ/米ドル、高値掴みには要注意?

以下、ユーロ/米ドル・週足・21週ボリンジャーバンド+52週移動平均線(52週MA)+DMIをご覧ください。



上記チャートより、以下の各種メルクマールが確認できます。(※いずれも5月26日時点)

1) ローソク足が52週MAおよび+2σラインの上方に位置している。
2) 21週MAが右肩上がりで、各ボリンジャーバンドが21週MAに対して拡張する形状(=エクスパンション)となっている。
3) +DI>-DIの乖離が拡大し、またADXが相対的に高い位置にある。(上図赤点線丸印)

上記1)2)3)を総合すると、現時点のユーロ/米ドルは、強い上昇トレンドを形成中であるものの、やや過熱感(=買われ過ぎ)のシグナルが出現しています

特に、5月26日時点では、ローソク足が+2σラインよりも上方に位置しており、足もとでは+1σライン付近までの修正の動きも考慮した方がよさそうです。

6月の1ヶ月間のスパンにおいて想定するコアレンジ(CR)の下限メドは、+1σラインである1.0940ドル、同上限メドは2016年11月時高値付近である1.1300ドル(上図A)。目先のユーロ/米ドルは、高値掴みには用心した方がいいのかもしれません

これからの時間帯において、+DIと-DIの乖離が縮小される動きが出た場合は、修正安フローも想定すべきでしょう。<津田>

【英ポンド】 英ポンド/円、上昇トレンドが強まるポイントは?

以下、ポンド/円・週足・21週ボリンジャーバンド+52週移動平均線(52週MA)+DMIをご覧ください。



上記チャートより、以下の各種メルクマールが確認できます。(※いずれも5月26日時点)

1) ローソク足が52週MAの上方に位置している。
2) 21週MAが横向きで、各ボリンジャーバンドが21週MAに対してパラレルに推移している。
3) +DI>-DIとなっており、またADXが相対的に高い位置にある。(上図赤点線丸印)

上記1)2)3)を総合すると、現時点の英ポンド/円は、下方硬直性を伴うレンジ相場が継続中であることが分かります。

一方で、これからの時間帯において、+2σライン(≒146.83円)および2016年12月時高値(=148.43円、上図A)を上抜けブレークした場合は、上昇トレンドがさらに強まる可能性もありそうです。

6月の1ヶ月間のスパンにおいて想定するコアレンジ(CR)の下限メドは、52週MAである141.30円、同上限メドは2016年12月時高値付近である148.50円(上図A)。目先の上値抵抗ラインは、+2σライン(≒146.83円)付近と想定してもよさそうです。

ユーロ/米ドル同様、これからの時間帯において、+DIと-DIの乖離が縮小される動きが出た場合は、英ポンド/円の下押しフローも想定すべきでしょう。<津田>


<資源・新興国通貨の動向>

【豪ドル】 鉄鉱石価格の下落に歯止めがかかるか!?

6月の豪ドルは引き続き鉄鉱石価格の動向に目を向ける必要がありそうです。豪州の主力輸出品である鉄鉱石の価格が下落基調にあります。中国の青島に荷揚げされる鉄鉱石(鉄分62%)価格 は足もとで1トン=60ドル前後で推移。今年2月のピークからの下落率は、4割近くに達しています。豪州は鉄鉱石を主力輸出品とするため、豪ドルにとって鉄鉱石価格の下落はマイナス材料です。鉄鉱石価格が一段安となれば、豪ドルに下押し圧力が加わる可能性があります。

6月6日のRBA(豪中銀)会合では、政策金利の据え置きが決まる可能性が大。声明で金融政策の先行きについて新たな材料が提供されるのかどうかが焦点になりそうです。RBAは労働市場や住宅市場を注視する姿勢を示しているため、声明ではとりわけ労働市場と住宅市場に関する文言に注目です。声明の内容が前回5月から大きな変化がなければ、あまり材料視されないかもしれません。<アナリスト 八代和也>


*鉄鉱石価格=中国の青島に荷揚げされる鉄鉱石(鉄分62%)価格
出所:Bloombergより作成

【NZドル】 利上げ観測や乳製品価格が下支えしそう

RBNZ(NZ中銀)は5月11日、政策金利を過去最低の1.75%に据え置くことを決定しました。

NZの1-3月期CPI(消費者物価指数)は前年比+2.2%と、昨年10-12月期の+1.3%から加速し、インフレ目標(+1から3%)の中央値である+2%を5年半ぶりに超えました。そのことについて、RBNZは声明で、「1-3月期の総合インフレ率の加速は、ガソリンや食料品の価格上昇が主な要因であり、それらの影響は一時的なものだ」と指摘しました。

金融政策については、「かなりの期間、緩和的になる」と表明。「依然として多くの不確実性が残っており、それに応じて政策の調整が必要になる可能性がある」との見方を示しました。

RBNZは今回、金融政策報告を公表。OCR(オフィシャル・キャッシュ・レート、政策金利)は、2019年4-6月期まで平均1.8%に維持された後、2019年7-9月期に平均1.9%へと上昇するとの見通しを示しました。RBNZの現在の政策金利は1.75%。OCR見通しをみると、RBNZは今後2年間の政策金利の据え置きを想定しているようです。

一方で、市場はRBNZが来年初めにも利上げに転じる可能性があると見ています。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)では、RBNZが来年3月までに利上げを行う確率が44.1%織り込まれています(5月26日時点)。利上げ観測がNZドルを下支えすると考えられます。

NZ最大の輸出品である乳製品の価格上昇もNZドルにとってプラス材料です。乳製品国際価格の指標であるGDT価格指数は、5月16日に開催されたオークションで、2014年6月以来、2年11か月ぶりの高水準となりました。乳製品価格の上昇基調が続けば、NZドルを押し上げる要因になる可能性があります。<八代>

【加ドル】 原油価格に影響を受けやすい地合い

BOC(カナダ中銀)は5月24日の会合で、政策金利を0.50%に据え置きました。声明では、「最近の経済指標は心強い」とカナダ経済に前向きな見方を示し、「労働市場の改善を背景に個人消費や住宅市場が引き続き堅調に推移しており、それらはより幅広い地域に広がりつつある」と指摘。「現在の金融刺激策の度合いは現時点で適切」と、新たに“現時点で”の文言が加わりました。前回4月は、「現在の金融政策スタンスは依然として適切」でした。以前と比べて動く可能性が増したと考えられそうです。

ただし、加ドルはBOCの金融政策よりも原油価格の方により影響を受けやすい状況が続いてきました。その状況はしばらく続きそうです。OPEC(石油輸出国機構)は5月25日の定例総会で、非加盟国との原油の協調減産を来年3月まで9か月延長することで合意しました。ただ、それは事前に予想されていた通りの結果だったことや、サウジアラビアが一段の減産に否定的な見解を示したこともあり、原油価格の代表的な指標である米原油先物がOPEC総会後に下落しました。米国のシェールオイルの増産を背景に、市場ではOPEC加盟国と非加盟国の協調減産延長の効果は限定的との見方もあり、原油価格は軟調に推移する可能性があります。その場合、加ドルには下押し圧力が加わりやすいとみられます。<八代>


出所:Bloombergより作成

【トルコリラ】 TCMBは利上げできるか? 政局関連のニュースに注意

6月のトルコリラは、15日のTCMB(トルコ中銀)の政策金利発表が大きな材料になりそうです。TCMBは前回4月26日の政策会合で、「1週間物レポ金利(主要政策金利)」、「翌日物借入金利」、「翌日物貸出金利」をいずれも据え置く一方、「後期流動性貸出金利」を11.75%から12.25%へ、0.50%引き上げました。TCMBは1月半ば頃から、短期市場金利を後期流動性貸出金利近辺へと誘導。そのため、後期流動性貸出金利は事実上の政策金利として機能しています。

トルコの4月CPI(消費者物価指数)は前年比+11.87%と、3月の同+11.29%から上昇率が加速。2008年10月以来の強い伸びとなり、TCMBのインフレ目標(+5%、その±2%が許容範囲)から一段と上方にかい離しました。

景気低迷やエルドアン大統領らから利下げ圧力が加わっていることや、直近3会合で後期流動性貸出金利を大幅に引き上げた(計2.25%)ことから、市場ではTCMBがインフレ対応で利上げを行うのは難しくなってきているとの見方もあります。そのため、6月15日の会合で利上げが決定されれば、サプライズであり、トルコリラの支援材料になりそうです。一方で、後期流動性貸出金利や主要政策金利をすべて据え置いた場合、トルコリラには下落圧力が加わる可能性があります。

トルコの政局関連のニュースにも注意が必要です。エルドアン大統領は5月21日の与党AKP(公正発展党)の臨時党大会で、同党の党首に選出されました。これまで大統領は特定の政党に所属することが憲法で禁止されていましたが、4月の国民投票を受けて可能になりました。与党党首に就任したことで、エルドアン大統領が議会への関与を強めるとの指摘があります。近い時期に内閣改造が行われるとの観測もあるようです。政局で新たな動きが出てくれば、トルコリラが反応する可能性があります。<八代>


出所:Bloombergより作成

【南アフリカランド】 SARB総裁が利下げの可能性に言及

SARB(南アフリカ中銀)は5月25日の会合で、政策金利を7.00%に据え置くことを決定。

SARBはインフレや経済成長見通しを公表。CPI(消費者物価指数)上昇率やGDP成長率の見通しを前回3月から下方修正しました。見通しは、CPI上昇率が2017年が平均+5.7%(前回+5.9%)、2018年が+5.3%(同+5.4%)。GDP成長率は、2017年が+1.0%(同+1.2%)、2018年が+1.5%(同+1.7%)です。

クガニャゴ総裁は会合後の会見で、成長見通しへのリスクは下向きとする一方、インフレ見通しへのリスクはおおむね均衡としているとの見方を示しました。

クガニャゴ総裁は、政策金利について「現時点で適切」と述べる一方、「CPI上昇率が持続的に目標範囲内に収まるならば利下げは可能だ」と語りました。南アフリカのCPI上昇率は前年比+5.3%と、SARBのインフレ目標である+3から6%の範囲内に、8か月ぶりに収まりました。今回の政策会合では、6名のメンバーのうち5名が据え置き、1名が“0.25%の利下げ”を主張しました。

市場では、景気低迷を背景にSARBが来年にも利下げに転じるとの観測があります。クガニャゴ総裁の会見では利下げの可能性に言及されたものの、それが近い将来であることが示唆されませんでした。早期利下げ観測を高めるものではなく、南アフリカランドにとってそれほどマイナス材料にはならないかもしれません。

6月はSARBの政策会合が予定されていません。ランドは、CPIなどの経済指標や、資源価格の動向に反応しやすい地合いとみられます。ただし、南アフリカの政局や格付けに関するニュースに注意する必要がありそうです。<八代>




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