市場調査部レポート

2017/03/31 15:25【マンスリー・アウトルック(2017/4)】欧米政治情勢に引き続き要注意!

― 2017年4月の為替相場展望 ― 

《相場環境》

4月も重要なイベントが多い。トルコ国民投票、米財務省の為替報告書、仏大統領選挙、米継続予算の期限切れ(=政府シャットダウンの危機)、EUサミット(ブレグジットの交渉ルール)、など。日米欧の中央銀行会合もあり、金融政策見通しに変化が生じれば、為替相場にも影響しそう。

<主要通貨の動向>
・【全体観・米ドル】4月の相場環境、データ的には「ブル」(強気)?
・【ユーロ】ユーロ/円、レンジプレイがワークしそう
・【英ポンド】英ポンド/円、引き続き上値の重い展開となりそう

<資源国・新興国通貨の動向>
・【豪ドル】4月26日の豪インフレ率や鉄鉱石価格に注目
・【NZドル】1-3月期CPIを受けてRBNZの金融政策見通しに変化があるか
・【加ドル】BOCは政策金利を据え置きか。原油価格にも注意が必要
・【トルコリラ】4月16日の国民投票に注目。いずれの結果になってもトルコリラが反応しそう
・【南アフリカランド】下落圧力が加わりやすい地合いか

◆主要経済指標・イベント
◆OIS(翌日物金利スワップ)に基づく金融政策見通し


≪相場環境≫

4月も重要なイベントが数多くあり、それらを控えて欧米の政治情勢が引き続き相場材料となりそうです。

4/16 トルコ国民投票(<資源国・新興国通貨の動向>をご参照)
4/中旬 米財務省、為替報告書
4/23 仏大統領選挙(第1回投票、5/7に第2回投票)
4/26-27 日銀の金融政策決定会合+展望レポート
4/27 ECB理事会(出口の議論?)
4/28 米継続予算期限切れ(対応なければ政府機関閉鎖も)
4/29 EUサミット (交渉プロセスの検討←3/29メイ首相宣言)
5/2-3 FOMC

4月中旬ごろに、米財務省が為替報告書を公表します。昨年10月の前回報告では、為替操作国として認定される3つの条件のうち2つを満たしたとして、日本、中国、韓国、台湾、ドイツ、スイスの6か国が監視リスト入りしました。今回の報告で為替操作国として認定される国はでてくるのか、その場合の制裁はどうなるか。貿易相手国に対して強硬な姿勢をみせてきたトランプ大統領の就任後初の報告書だけに注目度は高そうです。

4月23日のフランス大統領選挙では、極右・国民戦線(FN)のルペン氏と無所属のマクロン氏が接戦を演じています。両者が第2回投票に進み、そこでマクロン氏がルペン氏に大差をつけて勝利する(=大統領になる)との見方が一般的です。最近の世論調査によれば、7割以上の有権者がユーロ圏残留を望んでいるとされるため、離脱を主張するルペン氏がコアな支持層以外に支持を広げるのは難しそうです。それでも、隠れ反ユーロの票も無視できません。ルペン氏が予想以上に健闘するようなら、ユーロ売りの反応があるかもしれません。

オバマケアの改廃に失敗したトランプ大統領は、議会での指導力の欠如が明確になりました。次は税制改革やインフラ投資に力を入れることになりそうです。ただ、オバマケアの改廃に反対した共和党内の保守強硬派は財政赤字の拡大にも強く抵抗しそうです。トランプ大統領が税制改革やインフラ投資の財源を確保して(さらに財政赤字を削減して)保守強硬派の支持を取り付けるのか、そうではなく民主党に歩み寄ることで協力を得るのか、要注目です。
また、2017年度継続予算が4月28日に期限切れとなるため、政府機関の閉鎖を回避するために4月29日以降(年度末の9月末まで)の予算を成立させることができるのかも、重要なポイントとなりそうです。議会は4月後半に2週間の休会を予定しているため、議会に残された日数は多くはありません。

メイ英首相が3月29日にEUに離脱を通告し、ブレグジットのプロセスがスタートしました。ただ、英国とEUとの交渉が本格化するのは、4月29日のEUサミットにて交渉ルールがある程度固まってからとなりそうです。英国が通商協定などの合意なしにEUを離脱する、いわゆる「ハード・ブレグジット」の可能性が高まるほど、英ポンドに下落圧力が加わるかもしれません。

4月終盤から5月初めには、主要中銀の会合があります。
26-27日の日銀の金融政策決定会合では現状維持が予想されます。「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」でどのような見通しが提示されるか。「2%の物価」は中期目標に格下げされましたが、達成見通しが前回(18年度ごろ)からさらに先送りされるようであれば、何らかの対応(追加緩和)への期待が出てくるかもしれません。

27日のECB理事会では現状維持が予想されます。ドラギ総裁は量的緩和を長期化したい考えのようですが、一部の関係者からは量的緩和の行き過ぎも指摘されています。ECBは少なくとも年内は月600億ユーロの債券購入を続けるとしていますが、2018年以降のテーパリング(債券購入額の段階的縮小)に関して何らかの示唆があるかもしれません。

5月2-3日のFOMCでも政策変更はなさそうです。FFレート(政策金利)先物によれば、同会合での利上げは13%強しか織り込まれていません(3/30時点)。イエレン議長の会見や参加者の政策金利見通しの公表も予定されていないため、市場はほとんど反応しないかもしれません。ただし、FOMC直前に発表される物価指標(5/1に3月のPCE)などの結果によっては、FOMCの声明文が現時点より利上げに積極的な「タカ派」のトーンを強める可能性はあります。

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来週は、米中首脳会談、FOMC議事録などが注目されます。
6-7日の米中首脳会談(フロリダ)では、北朝鮮、南シナ海、米中貿易などが議題に上りそうです。貿易に関して、トランプ大統領は対中強硬姿勢を崩しておらず、中国から何らかの成果を引き出そうとするかもしれません。トランプ政権が保護貿易主義を強めるとの観測につながれば、米ドルの弱気材料になりそうです。上述の為替報告書に影響が及ぶかもしれません。

5日のFOMC議事録(3/14-15開催分)では、利上げ決定の背景や参加者の賛否の根拠が明らかになるでしょう。市場では「今年6月と12月に追加利上げ」がメインシナリオになっていますが、それに変化が生じるようならば相場材料となりそうです。

その他、日銀短観、米ISM指数や雇用統計などの米経済指標の発表もあります。
3日の日銀短観では、大企業製造業の業況判断や見通しは前回12月から改善が予想されています。初めて発表される2017年度の想定為替レートも注目されます。
3日の米ISM製造業景況指数、5日の同非製造業指数(いずれも3月分)とも、昨年後半以降の改善に変化はあるか。2月分が高水準だったので反動での低下はあるかもしれません。
7日の米雇用統計(3月分)は、NFP(非農業部門雇用者数)の1-2月分がいずれも前月比+20万人超と出来過ぎだったこともあり、反動減がありそうです。ただし、ほぼ完全雇用の状況下では、FRBは+5-10万人でも堅調と判断しそうです。FRBは賃金インフレを警戒しているため、失業率が一段と低下するか、賃金上昇率が加速するか、なども重要なポイントです。<チーフエコノミスト 西田明弘>


<主要通貨の動向>

【全体観・米ドル】 4月の相場環境、データ的には「ブル」(強気)?

いよいよ新年度、そして4月相場がスタートします。

過去20年(1997/1-2016/12)のデータでは、4月におけるNYダウの平均上昇率は2.6%を超え、年間を通じて4月はNYダウが一番上昇しやすい月となっています。以下、過去20年におけるNYダウ平均/日経平均の月別平均騰落率表についてご覧ください。



上記表の内、過去20年における夏場から年末年始、そして春先までの相場状況をシンプルにまとめてみると、日米株価ともに以下のような特徴が見られます。

日米とも、株価は8-9月に下落しやすい。
10月相場はマチマチで、その後11-12月にかけて上昇しやすい。
1月相場は日米ともに下落しやすい。
2-3月にかけては日米ともに上昇傾向が見られる。
4月相場は日米ともに上昇しやすく、特にNYダウは年間を通じて一番上昇しやすい月に。

あくまで20年のデータを基準とする平均月別騰落率をベースとする特徴のため、今後も必ずそう動くといったものではありませんが、その月ごとの相場の“クセ”と見ていただければいいかと思います。

過去のデータや相場の“クセ”から勘案すると、4月末までの株式相場環境は、日米ともに「ブル」(=強気)と見ていいのではないでしょうか。

また、相場アノマリー※1の一つである【黄金の半年ルール】、つまり『10月末買い、翌年4月末売り』のサイクルからも、4月相場の強さの根拠としていいのかもしれません。(※1アノマリー:マーケットにおいて、明確な理論的根拠を持つわけではないものの、よく当たるかもしれないとされる経験則のこと)

そんな中、政治を中心とする紳士・淑女協定、不文律として名高い『100日ハネムーン期間』(※2)も、4月相場の戦略を立てる上で重要なのかもしれません。(※2:新政権樹立後の最初の100日間は、国民やマスメディアからの批判や性急な評価は避けなければならないという暗黙の了解事のこと)

これをトランプ政権に当てはめてみると、トランプ大統領の正式就任は1月20日となっていることから、そこから100日後を計算すると・・・4月30日。あくまで名目上の計算に過ぎませんが、『100日ハネムーン期間』のエンドとなっている4月と、先述した月別年間騰落率において示した4月、そして【黄金の半年ルール】で言われる4月が奇しくも重なることには留意する必要があるのではないでしょうか。

一方で、ここもとのトランプ大統領に対する支持率は下降の一途を辿っており、米ギャラップ社が29日に発表した世論調査結果によると、最新の支持率は35%となっており、トランプ政権発足以来最低の数字となっています。(就任直後の支持率は45%。2カ月あまりで10pの低下。)

これは、入国禁止の新大統領令が2度目の差し止め処分となったことや、公約の目玉であった医療保険制度改革(オバマケア)代替法案の取り下げなどが影響したと見られており、また大手メディアからはおよそ『ハネムーン期間』とは思えないほどの攻撃を受けており、さしずめトランプ大統領にとっては『ハネムーン』(蜜月)ならぬ『ビタームーン』(苦月)の期間なのかもしれません。

相場アノマリーのみならず、政治要因も含めて「4月相場」における株価と為替の動きからは目が離せそうにありません。

閑話休題。以下、米ドル/円・週足・一目均衡表+フィボナッチ+DMIにつき、ご確認ください。



上記チャートでは、1) ローソク足が先行スパン(いわゆる“雲”)の中に入り込んでいること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となりつつあること、3) 転換線と転換線が接近しつつあることから、4月の米ドル/円は上昇トレンド一服→レンジ相場主体の動きとなることが予想されます。

一方で、DMI(方向性指数)では-DI>+DIとなっており、さらにADXが右肩下がりになっていることから、緩やかな下降トレンド基調を示唆していることが分かります。

上記チャートから勘案する米ドル/円の喫緊のポイントは、基準線レベルである109.92円。また、2015年6月時高値(125.86円、上図A)と2016年6月時安値(98.76円、上図B)を結んだフィボナッチ・38.2%ラインである109.11円も強く意識する展開となっており、早晩、米ドル/円は110円台割れをトライする展開となりそうです。

当面の米ドル/円は、フィボナッチ・50.0%ライン(≒112.31円)を中心とする相場展開となることが予想され、4月における想定レンジはフィボナッチ・38.2%ラインと同・61.8%ラインの間のゾーンである、109.00-115.50円と予想します。<チーフアナリスト 津田隆光>

【ユーロ】 ユーロ/円、レンジプレイがワークしそう

以下、ユーロ/円・週足・一目均衡表+パラボリック+DMIをご覧ください。



上記チャートより、1) ローソク足が先行スパン(いわゆる“雲”)の中に入り込んでいること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となりつつあること、3) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していること、4) DMI(方向性指数)において-DI>+DIとなっていることから、引き続き上方硬直性相場の継続が予想されます。

また、上記チャートから勘案すると、当面のユーロ/円は先行スパンである“雲”の中を推移することが予想さ、その予想コアレンジは基準線レベルである118.33円とパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)値である122.85円の間のゾーンとなりそうです。

4月におけるユーロ/円は、概ね118.30-122.90円をベースとするレンジプレイがワークしそうです。<津田>

【英ポンド】 英ポンド/円、引き続き上値の重い展開となりそう

以下、ポンド/円・週足・一目均衡表+パラボリック+DMIをご覧ください。



上記チャートより、1) ローソク足が先行スパン(いわゆる“雲”)に入りつつあること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となりつつあること、3) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していること、4) DMI(方向性指数)において-DI>+DIとなっていることから、引き続き上方硬直性相場の継続が予想されます。

また、上記チャートから勘案すると、当面の英ポンド/円は先行スパンである“雲”の下辺(=先行1スパン)付近を推移することが予想さ、そのコアレンジは基準線レベルである136.56円とパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)値である146.23円の間のゾーンとなりそうです。

4月における英ポンド/円は、概ね136.50-146.20円をベースとするレンジプレイがワークしそうです。<津田>


<資源・新興国通貨の動向>

【豪ドル】 4月26日の豪インフレ率や鉄鉱石価格に注目

4月の豪ドルは、4日のRBA(豪中銀)の政策金利発表や、26日の豪州の1-3月期インフレ率が主な材料となりそうです。鉄鉱石価格の動向にも目を向ける必要があります。

RBAの政策金利発表については、前回3月7日の会合以降、豪州を取り巻く環境に大きな変化がないことや、豪州の1-3月期インフレ率が4月26日に発表されることを踏まえると、RBAは政策金利を現行の1.50%に据え置くとみられます。声明の内容が前回3月から大きな変化がなければ、それほど材料視されないかもしれません。

RBAの昨年5月と8月の利下げは低インフレが理由でした。1-3月期のインフレ率がRBAの先行きの金融政策にも影響を与える可能性があります。市場では、RBAは政策金利を年内据え置くとの見方が有力です。1-3月期のインフレ率を受けてその見方が変化すれば、豪ドルが反応する可能性があります。

鉄鉱石価格は今年2月に約2年半ぶりの高値を記録した後、供給過剰懸念を背景に下落傾向にあります。鉄鉱石価格が下落基調を強める場合、豪ドルに下押し圧力が加わる可能性があり、注意が必要です。<アナリスト 八代和也>


出所:Bloombergより作成

【NZドル】 1-3月期CPIを受けてRBNZの金融政策見通しに変化があるか

4月のNZドルは、20日の1-3月期CPI(消費者物価指数)が最大の材料になりそうです。昨年10-12月期のCPIは前年比+1.3%と、7-9月期の+0.4%から上昇率が加速し、2014年4-6月期以来の強い伸びを記録。RBNZ(NZ中銀)のインフレ目標(+1から3%)の範囲内に9四半期ぶりに収まりました。

RBNZは2月の金融政策報告で政策金利を今後2年間据え置くことを示唆したものの、市場では来年2月にも利上げに転じるとの見方が有力です。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)が3月30日時点で織り込む、年内利上げの確率は33.1%(据え置きが66.9%)。利上げの確率は来年2月までで63.9%へと上昇します。

RBNZは2月の金融政策報告で1-3月期のCPI上昇率は前年比+1.5%との見通しを示しました。CPIが強い内容になれば、RBNZの早期利上げ観測が高まる可能性があります。その場合、NZドルの下支え材料になりそうです。<八代>

 
出所:Bloombergより作成

【加ドル】 BOCは政策金利を据え置きか。原油価格にも注意が必要

4月12日にBOC(カナダ中銀)が政策金利を発表します。BOCは前回3月1日の会合で、政策金利を0.50%に据え置きました。その時の声明では、「消費や住宅指標は昨年10-12月期の成長率が予測を若干上回った可能性があることを示す」とする一方、「輸出は引き続き競争力の問題に直面している」と指摘。「見通しの重石となる著しい不確実性の影響に注意を払うとともに、リスクを引き続き注視する」と強調し、「現在の金融政策スタンスは依然として適切」とし、政策金利を当面据え置く可能性を示しました。

前回会合以降、カナダを取り巻く環境に大きな変化がないことから、BOCは4月の会合で政策金利を据え置くとみられます。その場合、声明や金融政策報告、ポロズ総裁の会見で先行きの金融政策について新たな材料が提供されるのかどうかが焦点になりそうです。新たな材料が提供されれば、加ドルが反応する可能性があります。一方、声明などにこれまでと大きな変化がなかった場合、BOCの政策金利発表はあまり材料視されないとみられます。加ドルは、原油など資源価格の動向に影響を受けやすい地合いになりそうです。<八代>

【トルコリラ】 4月16日の国民投票に注目。いずれの結果になってもトルコリラが反応しそう

4月16日、トルコの憲法改正の是非を問う国民投票が実施されます。その結果がトルコリラの動向に強く影響を与える可能性があり、注目です。

憲法改正案は、現行憲法で象徴的な意味合いが強い大統領の権限を強化することが目的。首相を廃止して大統領を補佐する副大統領を新設し、閣僚や政府高官の指名権や議会の解散権、予算編成権などを大統領に与えることなどが盛り込まれています。

市場は、憲法改正によってエルドアン大統領が独裁色を一段と強めることを懸念。それがトルコリラの重石となってきました。

国民投票で賛成多数の場合、エルドアン大統領の独裁への懸念からトルコリラが下落し、反対多数の場合はトルコリラが上昇する展開が想定されます。
ただ、その反応は長続きしない可能性もあります。賛成の場合でもエルドアン大統領はすでにトルコの実権を握っており、現状を追認したにすぎないと考えることができるからです。一方、憲法改正が否決された場合、政局の不透明感が強まるとみられるからです。

各種世論調査では、憲法改正に賛成と反対が拮抗しており、予断を許さない状況です。そのため、国民投票がいずれの結果になっても、トルコリラが反応する可能性があります。注意が必要です。<八代>

【南アフリカランド】 下落圧力が加わりやすい地合いか

SARB(南アフリカ中銀)は3月30日に政策金利を7.00%に据え置きました。

SARBは今回、インフレ予想を公表しました。その中で、「CPI(消費者物価指数)上昇率は2017年第2四半期(4-6月期)に目標範囲内に戻る」と指摘。2017年のCPI上昇率見通しを前回の平均+6.2%から+5.9%へと下方修正しました。南アフリカの2月のCPIは前年比+6.3%。SARBのインフレ目標は+3から6%です。

クガニャゴ総裁は会合後の会見で、2014年1月に開始したSARBの利上げ局面が終了した可能性を示唆。政策会合では、6名のメンバーのうち5名が据え置き、1名が“0.25%の利下げ”を主張したことを明らかにしました。

クガニャゴ総裁は、「インフレへのリスクはやや上向き」との見方を示しました。インフレ見通しへの主なリスクとして南アフリカランドを挙げ、「ランドがCPIの上振れリスクとして再び出現した」と指摘。「米国の政策引き締めがランドに対するリスク」との見解を示しました。その一方で、「SARBはランドの長期トレンドを重視する」と強調し、「ランドは依然としてSARBの想定に沿っている」と述べました。

クガニャゴ総裁は成長見通しについて「引き続き失望している」と述べました。同国の昨年10-12月期GDP成長率は前期比年率換算マイナス0.3%。2014年以降、4回目のマイナス成長を記録しました。

市場では、CPIが目標を上回っているものの景気低迷を背景に、SARBの次の一手は“利下げ”との見方があります。SARBが今回、2017年のCPI上昇率見通しを下方修正し、さらに会合ではこれまでなかった利下げの主張があったことが判明しました。利下げ観測が強まる可能性があります。その場合、ランドにとってマイナス材料です。

南アフリカの政局もランドのマイナス材料と考えられます。南アフリカ政府は3月31日、ゴーダン財務相を解任し、後任にギガバ内相を充てると発表しました。ゴーダン氏は、同国の財政再建に取り組み、市場からの信任が厚い人物でした。また、今回の財務相交代で、南アフリカの格下げ懸念が再燃する可能性があります。

SARBの金融政策見通しや政局不安、格下げ懸念を背景に、ランドには下落圧力が加わりやすい地合いとみられます。<八代>




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