市場調査部レポート

2017/03/10 11:43迫る「3.15」! ブラックスワン・イベントも?

【相場環境】「無風」か、「嵐」か
【全体観・米ドル】迫る「3.15」! ブラックスワン・イベントも?
【ユーロ】ユーロ/米ドル、足もとの重要テクニカル指標は?
【豪ドル】RBAは政策金利据え置き。16日の豪雇用統計に注目!!
【NZドル】米FOMCの結果に大きく影響を受ける可能性も!?
【トルコリラ】インフレ圧力が強まるなか、TCMBの判断は!?


【相場環境】 「無風」か、「嵐」か

3つの重要イベントが集中する「3月15日」について、8日配信のシナリオレポート「『運命』の3月15日にどうなる?」をご覧ください。市場は3つの重要イベントを「無風」で通過するのか、それとも1つないし複数の「嵐」に遭遇するのか、予断を許さないところでしょう。

以下は最新(9日時点)の状況です。

3月米利上げは100%!?
FFレート(政策金利)先物が織り込む3月利上げの確率は、9日時点で100%(!)。3月利上げが完全に織り込まれた格好です。また、今年中に2回以上の利上げの確率が50%を上回るが6月FOMC、同じく3回以上が50%を上回るのが12月FOMCです。

つまり、9日時点の市場のメインシナリオは、「今年3月、6月、12月の利上げ」です。今回のFOMCの結果やFOMCから発せられるヒントによって、メインシナリオとその確率がどのように変化するかが注目されます。

FOMC直前の最重要指標である2月雇用統計(10日発表)や、FOMC当日朝に発表される2月CPI(消費者物価)の結果がFOMCの判断に影響しそうです。いずれも「強め」に出て利上げを後押しする可能性が高そうです。

オランダ総選挙で自由党が失速気味!?
オランダでは、反EU、反イスラムを掲げる極右の自由党(PVV)が支持を伸ばしてきましたが、ここへ来てやや失速気味です。Bloombergによれば、2月末-3月7日に実施された5つの世論調査の平均で、PVVの獲得議席数の予想は23。ルッテ首相の自由民主国民党(VVD)は同25。この予想通りの結果になるならば、PVVは第一党になれません。PVVの躍進を阻止するために、VVDの支持者以外でVVDへの投票を検討する有権者が増えているとの報道もあります。

デットシーリング復活でも混乱はなし?
議会予算局(CBO)によれば、デットシーリング(債務上限)が16日に復活しても、財務省が「奥の手」を使うならば、今秋まで政府の運営や国債の元利償還に支障は出ない見込みです。したがって、議会が手を打たないままに16日を迎えても、市場の混乱は避けられるかもしれません。ただ、デットシーリングの引き上げや無効化など議会が適正に対応しない限り、潜在的なデフォルト・リスクに対して市場は神経質になるかもしれません。
16日にトランプ政権が公表する予定の「予算概要(予算教書の代わり?)」の中身も注目されます。

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来週は、米FOMC、デットシーリング、オランダ総選挙が集中する15日が最大の要注意日でしょう。15日には、NY連銀製造業景況指数(3月)CPI(2月)小売売上高(同左)などの米経済指標も発表されます。CPIはエネルギーを主因として前年比で上振れする可能性があり、とりわけ注意が必要でしょう。

16日、日銀の金融政策決定会合BOE(英中銀)のMPC(金融政策委員会)が開催されます。いずれも現状維持が決定されそうです。MPC内には利上げを求める声もある模様ですが、カーニー総裁はBREXITや欧州政治の影響を見極めつつ、辛抱強く金融緩和を続ける意向のようです。

17日、フィラデルフィア連銀製造業景況指数(3月)ミシガン大学消費者信頼感(同左)鉱工業生産(2月)など、15日に続き米経済指標が多く発表されます。製造業の景況は昨年後半以降に改善がみられていますが、米ドル高の悪影響が出ていないか注意が必要かもしれません。

また、13日には米独首脳会議(ワシントンDC)、17-18日にはG20財務大臣・中央銀行総裁会議(ドイツのバーデンバーデン)が開催されます。前者では、グローバリズムを信奉するメルケル首相と「米国第一」を掲げるトランプ大統領の間でどのような会話がなされるか、興味深いところです。後者では、ムニューシン米財務長官が国際会議にデビューします。トランプ政権の経済政策が議論されるものとみられます。<チーフエコノミスト 西田明弘>


【全体観・米ドル】 迫る「3.15」! ブラックスワン・イベントも?

ここへ来てやや食傷気味かもしれませんが、いよいよ次週、注目の<3.15>を迎えます。

【相場環境】にある通り、<3.15>は「無風」なのか「嵐」なのかを見極める必要がありますが、足もとでは10日(金)の米2月雇用統計結果がその嚆矢濫觴(こうしらんしょう)※となりそうです。(※物事の始まりのこと)

次週14-15日に開催される米FOMCにおいて、利上げは「既定路線」、ないしは「ダン・ディール(done deal)」とマーケット参加者に捉えられており、9日時点のCMEグループ・FedWatch Toolでも利上げ確率は90.8%となっています。

そうなると、マーケットでは14-15日の米FOMCにおいて「利上げを実施しないリスク」が台頭し、仮にその場合は“ブラックスワン・イベント”※となり得ます。(※事前に殆ど予想できず、起きた時の衝撃度が大きい事象のこと)

マーケットの注目点は、「利上げ」から「利上げペース」に移ってきており、また、会合後に開かれるイエレンFRB議長会見において、FRBのバランスシート(B/S)縮小に向けた言質が取れるのか否かが新たな焦点となりそうです。

さて、以下、足もとでの注目イベントスケジュール(抜粋)についてご確認ください。

  このスケジュールを見ても、<3.15>に重要イベントが集中していることが分かります。

特に、「米FOMC」「オランダ総選挙」「米デットシーリング」に焦点を当てたマーケットシナリオについて、米ドル/円の【ブル(強気)】【中立(レンジ)】【ベア(弱気)】の3つのケースに分類した、演繹法的アプローチに基づくコアレンジの選定に関して、マイページ内『シナリオレポート』に纏めています。よろしければ、そちらのレポートも参考にしていただければ幸いです。

以下、米ドル/円・日足・一目均衡表+DMIをご覧ください。



上記チャートより、遅行スパンの先端部分がローソク足を上抜けつつあること、またDMI(方向性指数)において+DI>-DIとなり、その乖離が拡大していること、さらにはADXが低い位置から高い位置へとその方向性を変更しつつあることから、10日時点の米ドル/円・日足チャートでは、強含みの相場展開となっています。

これからの時間帯で、1) ローソク足が明確に先行スパン(いわゆる“雲”)を上放れし、2) 転換線>基準線が明確に表れた場合は、一時的に上昇トレンドが強まる可能性もありそうです。

一方で、先行スパン(いわゆる“雲”、赤色部分)が薄い形状となっていること、また、その“雲”の上辺である先行2スパンが横向きとなっていることから、これからの時間帯において仮にローソク足が“雲”を上抜けたとしても、上昇トレンドは長続きせず、早晩、ローソク足と先行2スパンの乖離を埋め合わせる動き(=修正の下押し)が発生する可能性も。

10日(金)の米2月雇用統計結果後の相場の方向性(=1.“雲”の上抜け or 2.“雲”の中への再突入 or  3.下抜け)を見極めた上でエントリーをしても遅くはないような気がします。

いずれにしても、10日(金)よりマーケットにおけるビッグイベントが連続的に控えていること、さらには15日(水)[日本時間では多くは16日]には多くのイベントが集中する『重要日』となっていることから、チョッピーな相場展開には十二分に警戒すべきと考えます。

3月相場では特に「日柄」を重視した上で、来週にかけてはシェイクスピアによって書かれた『ジュリアス・シーザー』における有名な台詞である「3月15日には気を付けろ!」(“Beware the ides of March”)を心に留めておいた方がいいのかもしれません。<チーフアナリスト 津田隆光>


【ユーロ】 ユーロ/米ドル、足もとの重要テクニカル指標は?

以下、ユーロ/米ドル・日足・一目均衡表+パラボリック+DMIをご覧ください。



上記チャートより、1) ローソク足が先行スパン(いわゆる“雲”)近辺にあること、2) 遅行スパンがローソク足に絡み合う形状であること、3) +DIと-DIが絡み合う形状となり、またADXが右肩下がりとなっていることから、トレンドレス相場(=レンジ相場)を示唆しています。

足もとの重要テクニカル指標は、パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)一目均衡表・基準線

これからの時間帯において、ユーロ/米ドルがパラボリック・SAR(≒1.0505ドル)を下抜けた場合は下降トレンドが強まる可能性、また、基準線(≒1.0644ドル)を上抜けた場合は上昇トレンドが強まる可能性もありそうです。

一方で、両テクニカル指標を上抜け/下抜けしない場合は、しばらくは“雲”に沿いながらのレンジ相場が継続しそうです。<津田>


【豪ドル】 RBAは政策金利据え置き。16日の豪雇用統計に注目!!

RBA(豪中銀)は3月7日の会合で、政策金利を過去最低の1.50%に据え置きました。

声明では、豪経済について前向きな見解が示されました。「輸出は底堅く増加し、非鉱業の設備投資はここ1年間で増加した。企業と消費者の信頼感はおおむね平均水準もしくは平均を上回る水準だ」と指摘しました。

インフレに関しては、前回とほぼ同じ。「インフレはかなり低い水準にとどまっている。労働コストの伸びが引き続き抑制される中、基調インフレは当面低水準にとどまる公算が大きい。総合インフレ率は2017年の間に2%を上回る見通しで、基調インフレ率はそれよりもやや緩やかになるとみられる」としました・

住宅市場については、「ここ数か月間で投資家の住宅向けの借り入れが“若干上向いた”」から “上向いた”へと修正。住宅市場への警戒感をやや強めました、

そして、声明の最後を「入手可能なすべての情報を考慮すると、理事会は政策スタンスを維持することが、持続可能な経済成長およびインフレ目標の達成と一致している」と締めくくり、今回も先行きの金融政策ついて言及しませんでした

今回の声明は、前回から大きな変化がなく、先行きの金融政策について新たな材料は提供されなかったことで、市場ではあまり材料視されませんでした。

RBAの政策金利発表が終わり、豪州の次の大きな材料は16日(木)の豪州の2月雇用統計になりそうです。RBAのロウ総裁は2月24日の議会証言で、政策金利の年内据え置きを示唆する一方、「RBAは労働市場を注視しており、労働市場が減速する場合は対応(=利下げ?)が必要になる」と述べました。RBAの先行きの金融政策を予想するうえで、雇用統計の重要性がより高まりそうです。雇用統計が市場予想と大きくかい離する場合、RBAの政策金利は年内据え置きとの市場の見方が変化するかもしれません。その場合、豪ドルの行方にも影響を与えそうですので、要注目です。<アナリスト 八代和也>


【NZドル】 米FOMCの結果に大きく影響を受ける可能性も!?

NZドル/米ドルは今週、約2か月ぶりの安値をつけました。2月9日のRBNZ(NZ中銀)の会合で、政策金利の長期間据え置きが示唆されたこと(=NZドルのプラス材料のはく落)に加え、米FRBの利上げ観測の高まり(=米ドル買い材料)が背景にあります。NZドル/米ドルの下落に引きずられて、NZドル/円も今週、約3か月半ぶりの安値を記録しました。

来週(3月13日週)はNZの独自材料が乏しい状況です。NZドル、とりわけ対米ドルは14-15日の米FOMCの結果に大きな影響を受けそうです。<八代>


【トルコリラ】 インフレ圧力が強まるなか、TCMBの判断は!?

TCMB(トルコ中銀)が3月16日(木)、政策金利を発表します。その結果にトルコリラが反応する可能性があるため、注目です。

TCMBの金融政策はコリドー方式を採用し、3つの政策金利があります。通常は、1週間物レポ金利(主要政策金利)を中心に、翌日物借入金利を下限、翌日物貸出金利を上限として、その範囲内に市場金利を誘導します。ただ、TCMBは今年1月半ば頃から、1週間物レポ金利や翌日物貸出金利での資金供給を絞り、短期市場金利を「後期流動性貸出金利」へと誘導。それにより、1月上旬に8.5%前後だった短期市場金利(翌日物銀行間金利)は、足もと11%前後で推移しています。後期流動性貸出金利は本来、金融機関が資金不足を回避するための最終手段として用意されている例外的な資金供給金利です。

3月3日に発表された、トルコの2月CPI(消費者物価指数)は前年比+10.13%と、1月の+9.22%から上昇率が加速。2012年4月以来の強い伸びとなり、TCMBのインフレ目標(+5%、その±2%が許容範囲)から一段と上方にかい離しました。TCMBのチェティンカヤ総裁は3月8日、インフレ圧力の高まりに対して「TCMBは物価安定の目標に集中している」と強調。「必要ならば、金融政策をさらに引き締める可能性がある」と述べました。

ただ、前回1月の会合以降、トルコリラ安が一服。また、4月16日には憲法改正の是非を問う国民投票が実施されます。それらを踏まえると、TCMBは3月16日の会合で政策金利をすべて据え置く可能性があります。CPIが目標を大きく上回る中で、政策金利を据え置けば、TCMBの金融政策への信頼性が揺らぐかもしれません。トルコリラ売り圧力が強まることも考えられるため、注意が必要でしょう。<八代>


出所:Bloombergより作成




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