市場調査部レポート

2017/03/03 14:40【マンスリー・アウトルック(2017/3)】「3.15」にご用心!

― 2017年3月の為替相場展望 ― 

《相場環境》

トランプ米大統領の議会演説を無事(?)通過。今後は、議会の予算編成の中で経済政策がどのように実現するかに注目。他方、FRBは追加利上げに向けて前進。3月15日には、FOMCの結果判明、オランダ総選挙の開票、米デットシーリング(債務上限)の復活などイベントが重なるため、相場変動に要注意!

<主要通貨の動向>

・【全体観・米ドル】「3月15日には気を付けろ!」
・【ユーロ】ユーロ/円、下抜けブレークのメドは?
・【ポンド】英ポンド/円、上方硬直性相場が継続しそう

<資源国・新興国通貨の動向>

・【豪ドル】鉄鉱石価格の動向や米FOMCに影響を受ける!?
・【NZドル】RBNZが16日に政策会合。声明の内容に注目!!
・【加ドル】BOCは当面据え置き!? 加ドルは原油価格の影響を受けそう
・【トルコリラ】短期市場金利の高め誘導が下支えか
・【南アフリカランド】プラチナ等の資源価格の上昇が支援材料?

◆主要経済指標・イベント
◆OIS(翌日物金利スワップ)に基づく金融政策見通し


≪相場環境≫

米予算編成は長期化も
2月28日の議会演説で、トランプ大統領は「大統領らしく」振る舞い、政府や共和党の関係者だけでなく、市場にも安心感を与えたようです(ほとんどの民主党議員はシラケていましたが)。ただし、減税やインフラ投資などの予算や、医療保険制度改革(オバマケア廃止)などについて、大統領は具体的な内容には触れませんでした。

今後、トランプ大統領が、議会での立法措置が必要なそれらの政策をどのように具体化していくかに市場の関心はシフトしそうです。

3月16日には、トランプ政権から予算案の概要が議会に伝えられるとのこと。ただ、詳細を明らかにした包括的な予算案(=従来の予算教書に該当?)の提示は、遅れて5月ごろになるようです。また、トランプ大統領が医療保険制度改革を優先する姿勢を鮮明にしているため、景気刺激につながるような予算編成は長引く可能性があり、10月1日の年度開始後まで続くかもしれません。

高まる3月利上げの観測
次回FOMC(3/14-15)での利上げ観測が急速に高まってきました。利上げに慎重な「ハト派」とみられるダドリーNY連銀総裁や複数の理事らが3月利上げに前向きの発言をしたからです。3月2日時点で、FFレート(政策金利)先物から判断する市場のメインシナリオは、「3月、6月、12月と今年3回利上げ」です。

今後の状況によって、市場の利上げ観測がどう変化するか、注目したいところです。また、市場の関心は、年内利上げの回数から来年以降も利上げが続くかに徐々にシフトするかもしれません。そして、利上げ継続の観測が高まるようであれば、米ドルに一段の上昇余地が生まれそうです。

重要な3月15日!!
3月15日は重要な相場材料が集中するため、とりわけ注意が必要でしょう。
まず、上述したFOMCの結果が判明し、参加者の政策金利見通し(「FOMCのドット」)なども公表されます。直後にはイエレン議長の会見も予定されています。

その後、オランダ総選挙の開票速報が始まります。極右の自由党(PVV)が政権を手にする可能性はかなり低そうですが、予想以上の議席数を獲得するなどして、第一党に躍り出れば、反EU、反ユーロの運動が勢いを得るかもしれません。その場合は、とりわけフランス大統領選挙への影響が懸念されることになりそうです。

そして、米デットシーリング(債務上限)の無効措置が15日をもって期限切れとなり、16日にデットシーリングが復活します。議会がデットシーリングの引き上げや新たな無効化で対応しなければ、政府は債務を増やすことができなくなり、いずれ政府機能の停止やデフォルト(債務不履行)につながります。
米財務省が裏技を使って債務増加余地を捻り出すことは可能なので、すぐさま危機的状況になるわけではありませんが、市場は神経質になるかもしれません(=リスクオフの強まり)。

<3月15日のイベントについては、3月8日ごろ配信予定のシナリオレポートをご参照ください>

**************
来週は米雇用統計に注目
10日に発表される2月の米雇用統計は14-15日のFOMC前の最後の重要指標であり、FOMCの結果に影響を与えるかもしれません。1日に発表されたベージュブック(地区連銀経済報告)では、労働市場が引き続きひっ迫しており、いくつかの地区では人手不足が拡大していると報告されました。また、賃金は総じて緩やかに上昇しており、賃金上昇率の加速を報告する地区もあったとのことでした。

人手不足が広がっているのであれば、NFP(非農業部門雇用者数)はこれまでのようなペース(2016年は+18.7万人/月)では増えないかもしれません。かわりに、失業率の一層の低下や賃金上昇率の加速がみらえるようであれば、FRBは利上げを一段と積極化しそうです。

欧州では、9日にECB理事会が開催されます。現状維持が決定されそうですが、将来的な利上げや量的緩和縮小(テーパリング)に関するヒントが出るか等が注目されます。英国では、メイ首相にEU離脱を宣言する権限を付与する法案の審議が長引きそうです。離脱宣言の先送りは先行きの暗雲を予想させ、英ポンドの弱気材料になるかもしれません。また、9-10日にはEUサミット(首脳会議)が開催されます。景気、安全保障、移民・難民など様々な課題が討議されるようです。

中国では、5日に全国人民代表大会(全人代)が開幕。10日間程度の会期で、1年間の施政方針や予算などが討議・採択されます。経済政策や人民元、あるいは対外(対米)関係に関して何らかのメッセージが出されるでしょうか。

5日の自民党大会では、総裁任期をこれまでの「連続2期6年まで」から「連続3期9年まで」に延長する予定です。その結果、安倍政権の長期化の可能性が出てきます。<チーフエコノミスト 西田明弘>


<主要通貨の動向>

【全体観・米ドル】 「3月15日には気を付けろ!」

≪相場環境≫にもある通り、2月28日に行われたトランプ大統領による初の米上下両院合同本会議での施政方針演説は、大手メディア記者を前にした会見で見せるような“高圧的”ないしは“エキセントリック”な発言や態度を微塵も見せることなく、まさに大統領然とした余裕や貫禄を見せ、総括すると適温を表す<ゴルディロックス演説>に終始したと表現していいのかもしれません。

裏を返せば、トランプ大統領のエキセントリックな発言を警戒(期待?)していた一部マーケット参加者にとっては、「拍子抜け」「肩透かし」といった内容に映ったこともあり、“トランプノリスク”の予防線として布陣させていたショートポジションを買い戻す“踏み上げ”が加勢する形となったのも、リスク選好フローが押し上げられた一つの要因と言えそうです。

今回のトランプ大統領による施政方針演説の中で、特にウォール街を中心に好感したのが1兆ドル(約113兆円)に上るインフラ投資「歴史的な税制改革」に関する言及。

ただし、その具体的な中身や時期は示されず、これから問題となり得るのは、その財源をどうやって捻出するのかどうか、また議会とどのような折衝をしていくのかに絞られます。

そもそも、マンデル・フレミングの法則に従うと、大型財政出動を伴うインフラ投資や減税を実施すると、早晩クラウディング・アウト効果と呼ばれる民間投資の減少→株安をもたらすとされており、また、実質金利の上昇が続けば、「悪いドル高」が起因する株安へとつながるとされています。以下、マンデル・フレミングの法則を単純化したフローをご覧ください。



このフロー図から勘案すると、現時点(3/3時点)における米ドル高・円安フローは、上図Aの進展を予想したマーケット参加者が、足もとで日米金利差が拡大するであろうと予測したことも一因と言えます。

しかしながら、このまま「債券安」「金利高」が継続すると、前述の通り、クラウディング・アウト効果による株安(上図B)になってしまうこと、また結果的には「悪いドル高」(上図C)をもたらしてしまうことが想定されます。(※ 理論上、「悪いドル高」は結局「株安」[上図D]へとつながるとされています。)

直近では、クリストファー・シムズ氏(マクロ経済学者、プリンストン大教授)が提唱する「シムズ理論」により、「将来的に増税をしない」との条件下での財政出動は、金融政策とのポリシー・ミックスを行うことによって景気回復をもたらすとされており、一概に「財政出動=株安・米ドル高」とはならないことにも留意する必要がありますが、やはり今後のトランプ政権による財政出動に関する動きからは目が離せそうにありません。

トランプ大統領の施政方針演説を終えた今(3/3時点)、次のボールはイエレンFRB議長に渡されたと見てもよく、その意味でも3月14-15日に開催される米FOMC会合には大いに注目が必要でしょう。

その3月15日は、≪相場環境≫にもある通り、米FOMC会合のみならず、米国の債務上限問題(デットシーリング)期限日ともなっており、またオランダの総選挙も予定されています。

マーケットに大きな影響を与える可能性のある材料が3月15日に集中していることもあり、今月は【3.15】という日柄に留意すべきと考えます。

以下余談ながら、アストロロジー(西洋占星学)分析において重要とされる『金星逆行現象』が3月5日からスタートします。(※ 期間は約42日間[-4月15日]。18ヶ月に1回のペースで当該現象が発生すると言われています。)

『金星逆行現象』時のマーケットは、過去の事例から予想変動率(ボラティリティ)や不確実性が上昇するとされており、その現象が発生する最中の【3.15】にこれだけの材料が集中していることからも、特に今月は日柄を重要視した方がいいのかもしれません。

ちなみに、3月15日と言えば、シェイクスピアによって書かれた『ジュリアス・シーザー』(1599年)の劇の中に現れる占い師がシーザーに向かって放つ台詞、「3月15日には気を付けろ!」(The ides of March are come.)が思い起こされます。

結局、シーザーは予言通り3月15日に暗殺されるという悲劇的なストーリーも相まって、いやが上にも【3.15】が意識されますが、これらの話はあくまでも付録的な意味として頭の片隅に入れていただければ幸いです。

ただし、「3月はマーケットのボラティリティ(変動率)が高くなる傾向がある。」というのは、過去の事例でも示されている通りということもあり、特に今月は「治療より予防」の観点で、リスクマネジメント重視の投資姿勢を取っていただければと思います。

閑話休題。以下、米ドル/円・週足・一目均衡表+パラボリック+フィボナッチ+DMIにつき、ご確認ください。



上記米ドル/円・週足・一目均衡表を見てみると、1) ローソク足が先行スパン(いわゆる“雲”)の上方にあること、2) 遅行スパンがローソク足の上方に位置していること、そして3) 転換線が基準線の上方に位置していることから、【三役好転】サイン、つまり上昇基調が継続しています。

一方で、方向性を示唆するパラボリックとDMI(方向性指数)を見てみると、4) SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していること、5) –DIが+DIの上方に位置していることから、上方硬直性相場が継続中となっています。

つまり、上記複合チャートのメルクマールを総合してみると、上昇基調の中での下押し期間が続いていると捉えていのかもしれません。

現時点(3/3時点)の米ドル/円は、2015年6月時高値(125.86円、上図A)と2016年6月時安値(98.76円、上図B)を結んだフィボナッチ・50.0%ラインと同61.8%ラインの間のゾーン(≒112.31-115.51円)を意識する展開となっています。

今月のポイントは、繰り返しながら「日柄」。縦軸の「レート」や「テクニカル・メルクマール」とともに、横軸の「日柄」を意識しつつ、米ドル/円の上値メドは前回高値付近の118円台前後、下値メドはフィボナッチ・38.2%ライン付近である109.11円前後といった、ワイドレンジを主戦場と見た方がいいのかもしれません。<チーフアナリスト 津田隆光>

【ユーロ】 ユーロ/円、下抜けブレークのメドは?

以下、ユーロ/円・週足・一目均衡表+パラボリック+DMIをご覧ください。



上記チャートより、1) ローソク足が先行スパン(いわゆる“雲”)の中に入り込んでいること、2) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していること、3) DMI(方向性指数)において、-DI>+DIとなっていることから、上方硬直性相場の継続が想定できます。

足もとでコアとなるレンジは、週足・一目均衡表の基準線および転換線の間のゾーン(≒118.00-121.00円)と予想され、概ね当該ゾーンが主戦場となりそうです。

一方で、パラボリックおよびDMIといった方向性を示唆するテクニカル・メルクマールが「売り」サインとなっていることから、仮にユーロ/円が基準線である118.00円を下抜けブレークした場合は、下降トレンドが強まる可能性もありそうです。<津田>

【ポンド】 英ポンド/円、上方硬直性相場が継続しそう

以下、ポンド/円・週足・一目均衡表+パラボリック+DMIをご覧ください。



上記チャートより、1)ローソク足の上方に先行スパン(いわゆる“雲”)があること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合っている状態であること、3) 転換線が基準線の上方に位置していること、さらには4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していることから、上方硬直性を伴うレンジ相場となることが予想されます。

足もとでコアとなるレンジは、週足・一目均衡表の基準線および転換線の間のゾーン(≒136.60-141.00円)と予想され、概ね当該ゾーンを主戦場とするレンジワークの展開となりそうです。

一方で、パラボリックおよびDMIといった方向性を示唆するテクニカル・メルクマールが「売り」サインとなっていることから、仮に英ポンド/円が基準線である136.60円を下抜けブレークした場合は、下降トレンドが強まる可能性もありそうです。<津田>


<資源・新興国通貨の動向>

【豪ドル】 鉄鉱石価格の動向や米FOMCに影響を受ける!?

3月の豪ドルは、鉄鉱石価格や米FOMCの決定に影響を受けやすいとみられます。7日にRBA(豪中銀)の政策会合があります。政策金利は1.50%に据え置かれ、声明も先行きの金融政策について言及されないなど前回から大きく変化しない可能性が高そうです。その場合、RBAの会合はあまり材料視されないとみられます。

2月は鉄鉱石価格が一段と上昇しました。中国の青島に荷揚げされる鉄鉱石(鉄分62%)価格は、一時94米ドル台へと上昇し、約2年半ぶりの高値をつけました。豪州最大の輸出品である鉄鉱石の価格上昇は、豪ドルにとってプラス材料です。

ただし、鉄鉱石価格上昇の背景には、中国の輸入増もあるものの、投機マネーが先物市場へと流入することで現物価格を押し上げているとの見方もあります。原材料である鉄鉱石の価格上昇は景気に悪影響を与えるおそれがあるため、中国政府が今後、投機の抑制に向けて先物市場への規制強化に動くことも考えられるため、注意しておく必要はあります。

また、米FRBが3月14-15日に金融政策を決めるFOMCを開催します。その結果に豪ドル、とりわけ対米ドル(豪ドル/米ドル)が大きく影響を受ける可能性があります。<アナリスト 八代和也>


*鉄鉱石価格=中国の青島に荷揚げされる鉄鉱石(鉄分62%)
出所:Bloombergより作成

【NZドル】 RBNZが16日に政策会合。声明の内容に注目!!

RBNZ(NZ中銀)のウィーラー総裁は3月2日、オークランドで講演し、政策金利を今後2年間据え置くと表明するとともに、「次のOCR(オフィシャル・キャッシュ・レート、政策金利)の調整が上下どちらになるかについての確率は等しい」と発言。RBNZの次の一手は“利上げ”と“利下げ”のいずれもあり得るとの見解を示しました。

ウィーラー総裁は、「国内経済は生産の伸びに上振れの可能性があるものの、インフレをめぐるリスクは均衡しているように見える」と述べ、「このことは、OCRが今後2年間現在の水準にとどまることを意味する」と表明しました。

RBNZは3月23日に政策会合を開きます。政策金利は1.75%に据え置かれるとみられ、声明の内容が焦点になりそうです。

声明では、先行きの金融政策やNZドルに関する文言に注目です。前回2月会合時は、以下のとおりでした。

<先行きの金融政策>
・「かなりの期間、緩和的になる」
・「とりわけ国際的な見通しに多くの不確実性が残っており、それに応じて政策の調整が必要になる可能性がある」

<NZドル>
・「バランスのとれた成長を持続可能にするには依然として高い」
・「為替レートの下落が必要だ」

声明の内容が前回から大きく変化すれば、NZドルが反応しそうです。

また、豪ドルと同様、NZドルも3月14-15日の米FOMCに影響を受ける可能性があります。FOMCの結果に注意が必要です。<八代>

【加ドル】 BOCは当面据え置き!? 加ドルは原油価格の影響を受けそう

BOC(カナダ中銀)は3月1日の会合で、政策金利を0.50%に据え置きました。

カナダの1月CPI(消費者物価指数)上昇率は前年比+2.1%と、昨年12月の同+1.5%から加速し、BOCのインフレ目標(+1から3%)の中央値である+2%に達しました。BOCはそのことについて声明で、「エネルギー価格の上昇などの一時的な影響を反映したもの」と、慎重な見方を示しました。

声明では、「世界やカナダ経済に関する最近のデータは、BOCが1月の金融政策報告で示した予測と一致している」と指摘。「消費や住宅指標は昨年10-12月期の成長率が予測を若干上回った可能性があることを示す」とする一方、「輸出は引き続き競争力の問題に直面している」としました。

BOCは「見通しの重石となる著しい不確実性の影響に注意を払うとともに、リスクを引き続き注視する」と強調。そのうえで「現在の金融政策スタンスは依然として適切だと判断した」としました。

BOCのポロズ総裁は前回1月の会合時の会見(総裁会見は今回実施されず)で、「(カナダをめぐる)下方リスクが現実のものとなって、インフレ目標の達成がリスクにさらされた場合、BOCは行動を起こす余地がある」と強調、「下方リスクが存在している限り、利下げは検討事項であり続ける」と述べました

BOCの追加利下げの可能性は残っているとみられるものの、今回3月1日の声明をみる限り、その必要性は低いように感じられます。政策金利は当面、据え置かれそうです。

サプライズがなかったことで、BOCの会合は市場であまり材料視されませんでした。3月のカナダドルは米FOMCの結果や原油価格の動向に左右される展開になりそうです。ただし、クロス円である加ドル/円は、米ドル/円の影響も受けます。米ドル/円の動向にも注意が必要です。<八代>

【トルコリラ】 短期市場金利の高め誘導が下支えか

トルコリラは2月、対米ドルや対円で反発しました。その背景には、トルコリラにとって新たなネガティブ材料があまり出なかったことや、TCMB(トルコ中銀)が市場金利を高めに誘導したことが挙げられます。

TCMBの金融政策はコリドー方式を採用しています。通常は、1週間物レポ金利(主要政策金利)を中心に、翌日物借入金利を下限、翌日物貸出金利を上限として、その範囲内に市場金利を誘導します。ただ、TCMBは今年1月半ば頃から、1週間物レポ金利や翌日物貸出金利での資金供給を絞り、短期市場金利を「後期流動性貸出金利」へと誘導。それにより、1月上旬に8.5%前後だった短期市場金利(翌日物銀行間金利)が上昇、足もと11%前後で推移しています。後期流動性貸出金利は本来、金融機関が資金不足を回避するための最終手段として用意されている例外的な資金供給金利です。

トルコリラ安が進むなか、TCMBは前回1月の政策会合で、3つの政策金利のうち、翌日物貸出金利のみを0.75%引き上げて、1週間物レポ金利と翌日物借入金利は据え置きました。その裏で、短期市場金利を後期流動性貸出金利付近へと上昇させることで、翌日物貸出金利の利上げ幅以上の効果をもたらしたとみられます。

TCMBは3月16日に政策会合を開きます。前回会合以降、トルコリラ安が一服したことや、4月16日に憲法改正の是非を問う国民投票が実施されることを踏まえると、TCMBは金融政策の現状維持を決める可能性があります。

TCMBによる市場金利の高め誘導が引き続き、トルコリラを下支えしそうです。ただ、3月14-15日の米FOMCの結果にトルコリラが影響を受ける可能性があります。対米ドル(米ドル/トルコリラ)だけでなく、対円(トルコリラ/円)が影響を受けることも考えられます。<八代>


出所:Bloombergより作成

【南アフリカランド】 プラチナ等の資源価格の上昇が支援材料?

南アフリカランドは2月に対米ドルで1年半、対円で1年4か月ぶりの高値をつけるなど、堅調に推移しました。プラチナなど南アフリカの主力輸出商品価格の上昇が、ランドの支援材料となりました。

3月のランド独自材料としては、30日のSARB(南アフリカ中銀)の政策会合が挙げられます。

SARBは前回1月の会合で、政策金利を7.00%に据え置きました。クガニャゴ総裁はその時の会見で、インフレ見通しについて「短期的に警戒を要する」と述べ、リスク判断を昨年11月の「わずかに上向き」から「上向き」へと若干修正しました。

南アフリカの1月CPI(消費者物価指数)は前年比+6.6%と、昨年12月の+6.7%から上昇率が若干鈍化したものの、SARBのインフレ目標の上限である+6%を5か月連続で上回りました。

ただ、SARBはCPI上昇率が今後鈍化すると予想しています。また、前回会合以降、ランドが対米ドルで上昇しました。それを踏まえると、3月30日の会合では政策金利の据え置きが決定されそうです。

市場では、SARBが政策金利を年内据え置くとの見方が有力です。会合後に行われるクガニャゴ総裁の会見を受けて、その見方が変化するかどうかに注目です。会見後も見方に大きな変化がなければ、ランドはプラチナなどの資源価格や、米FOMCの結果に左右される可能性があります。<八代>




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