市場調査部レポート

2017/01/27 13:25【マンスリー・アウトルック(2017/2)】米ドル/円は「トランポリン相場」に備えるべし

― 2017年2月の為替相場展望 ― 

《相場環境》

トランプノミクスへの期待から、株高、金利高が続く一方で、対外関係の悪化懸念から米ドルは軟調。今後も、トランプ大統領の言動が米ドルの下押し圧力となる可能性がある一方で、減税やインフラ投資などトランプノミクスの具体的内容が明らかになれば米ドル押し上げも。米経済のファンダメンタルズは比較的良好であり、今後の材料次第で年内3回の利上げが織り込まれる可能性がありそう。日銀は現状維持を続けそうだが、「長期金利0%維持」を修正するかどうかに注目。

<主要通貨の動向>

・【全体観・米ドル】米ドル/円は「トランポリン相場」に備えるべし
・【ユーロ】ユーロ/米ドル、上方硬直性相場が継続しそう
・【ポンド】英ポンド/円、値頃感からのエントリーには要注意

<資源国・新興国通貨の動向>

・【豪ドル】豪ドルの独自材料よりも外部要因に左右されやすい地合いか
・【NZドル】2月9日のRBNZ政策金利に注目!!
・【カナダドル】プラスマイナス両材料存在、対円は米ドル/円の影響大?
・【トルコリラ】一段安の可能性があり、引き続き注意が必要
・【南アランド】SARBの利上げの可能性がランドのプラス材料になりそう

◆主要経済指標・イベント
◆OIS(翌日物金利スワップ)に基づく金融政策見通し


≪相場環境≫

1月20日の就任以降、トランプ大統領が矢継ぎ早に政策を打ち出しています。TPP交渉からの離脱、メキシコ国境の壁建設開始、オバマケア廃止に向けた動きなどです。いずれも大統領令への署名をもって実行しました。また、NAFTA再交渉や「国境税」導入の意向を表明し、さらには米国内の雇用を増やすように会合やツイッターで内外の企業に圧力をかけています。

トランプノミクスによる景気押し上げの期待から、NYダウは史上初めて20,000ドルを突破。1月前半に低下基調だった長期金利は再び上昇基調に転じてきました。その一方で、米ドル(実効レート)は変動が大きくなりつつ、概ね軟調な展開となっています。

米ドルの軟調は、トランプ政権が通商など対外的に強硬姿勢を示していることと無関係ではないでしょう。米国は経常収支が赤字であり、それを外国からの資金で穴埋めしています。したがって、対外関係の悪化は、経常収支ファイナンスの支障となりかねないと判断されるからです。

2月以降もトランプ大統領の言動は大きな相場材料となりそうです。諸外国の政府や企業に対してどのような要求が出てくるか懸念されますが、同時にトランプノミクスの具体的な内容に注目したいところです。

トランプノミクスの柱は、所得税や法人税の減税、インフラ投資、規制緩和などであり、それらの多くは単独法案あるいは予算の一部として議会での立法化措置が必要なものです。トランプノミクスの概要が説明されるとみられた、議会での所信表明演説(一般教書演説)は実施されるかどうかさえ不明であり、2018年度予算教書の発表時期も今のところ未定です。



1月31日-2月1日の米FOMC
一方、足元で米国経済のファンダメンタルズは比較的良好です。1月18日に公表されたベージュブック(地区連銀経済報告)でも、「11月下旬から年末にかけて、ほとんどの地区で景気は緩やかな拡大が続いている」と総括されました。さらに、労働市場の引き締まりや、賃金上昇圧力と物価上昇圧力の高まりも報告されました。

今年に入って、FRB関係者の多くが、「完全雇用に近い」、「(最大雇用と物価安定という)二大責務を達成しつつある」、「複数回の利上げは妥当」との見解を表明しています。
FFレート(政策金利)先物に基づけば、市場が織り込む今年1回目の利上げの確率が初めて50%を超える(=メインシナリオ)のは5月のFOMC、さらに2回目は9月のFOMCです。いずれも年初に比べて前倒しになっています。12月のFOMCで3回目の利上げがある確率は40%弱であり、現時点で年内3回の利上げは市場のメインシナリオではありません。ただし、1月31日-2月1日のFOMCの結果やその他の材料を受けて、それらの確率がどう変化するか、大いに注目されます。

1月30-31日の日銀金融政策決定会合
米利上げ観測の高まりや昨年11月以降の「円安」によって、日銀に対する追加緩和期待は大きく後退しています。
世界的な長期金利上昇のなかで、日本の長期金利も上昇圧力を受けています(26日の10年物国債利回りは0.09%)。日銀は現行の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のなかで、長期金利を0%近辺で維持するとしているため、長期金利の上昇を抑える政策を打つのか、それとも今回の会合で「0%維持」を修正するでしょうか。後者の場合は、日銀が国債購入額を漸減していく、いわゆる「テーパリング」開始との思惑を呼びやすく、一時的にせよ円高要因となるかもしれません。

2月2日のBOE(英中銀)金融政策委員会
来週は中央銀行ウィークであり、米FOMC、日銀の会合の他にも、BOEのMPC(金融政策委員会)が開催されます。BOEは昨年6月のブレグジットの決定を受けて、8月に金融緩和に踏み切りました。英経済はポンド安の影響もあって、比較的底堅く推移しており、物価上昇率も徐々に高まっています。ただし、メイ首相が欧州単一市場からも脱退する「ハード・ブレグジット」を明言していることもあって、これから経済に悪影響が出てくるとみられます。そうした中で、BOEは金融緩和姿勢を維持しそうです。<チーフエコノミスト 西田明弘>


<主要通貨の動向>

【全体観・米ドル】 米ドル/円は「トランポリン相場」に備えるべし

昨年11月9日に“トランプショック”ということで一時下押しをした後、トランプ・ラリーの追い風もあり、ほぼ一本調子で切り上がって来た米ドル/円ですが、昨年12月15日を境にやや下押し基調となっています。

ドルインデックス(ドル指数)を見ても、昨年12月28日の103.30を直近ピークとして徐々に切り下がり、1月26日時点では100.38となっています。(終値レベル、Bloombergデータより) 以下、ドルインデックスの日足・ラインチャートをご覧ください。



1月16日のWSJとのインタビューにおいて、トランプ大統領は「我々のドルは強過ぎる」と述べ、「ドルが強過ぎるため、(米国の)国内企業は中国企業と競争できない。ドルが強過ぎることが国内産業の死活問題となっている」とのドル高牽制発言を、11月の当選以来初めて行ったことは大きな材料と言えます。

また、トランプ政権の重要閣僚であるムニューチン次期財務長官(1月27日時点では議会未承認)が、「過度に強いドルは米国経済に短期的にマイナスの影響を与える可能性がある」との、同じくドル高牽制発言を行っていることも、足もとのドルインデックスの下落要因となり得ています。

特に、ラストベルト(錆びついた工業地帯)の白人中間層からの圧倒的支持を得ているトランプ大統領、および共和党政権にとって、一方的なドル高は死活問題となり得るため、今後も同様の“ドル高牽制発言”が繰り返されるであろうと見るのが一般的と言えそうです。

直近では、「デトロイト3社」と呼ばれる、自動車大手のGM・フォード・FCAの最高経営責任者(CEO)がトランプ大統領と会談し、「貿易を妨げる根源は為替操作だ」との発言を行い、トランプ大統領にドル高是正を求めたとのニュースも。

トランプ大統領の基本的な交渉姿勢は“ディール(取引)”とされており、先方が求めるものを受け入れる代わりに、こちら(トランプ大統領)側が求めるものを受け入れてもらうという、まさにビジネスで培った“Win-Win”のスタイルとも言われています。

つまり、トランプ大統領は、米自動車大手には国外ではなく、国内に工場を作ってもらうという条件を飲んでもらう対価として、交易条件の悪化をもたらすドル高放置は行わないという“ディール(取引)”を行った可能性も想定できます。

その一方で、1990年代からの米国の“概念上”かつ“形而上”の「強いドル」政策を、トランプ大統領自ら積極的に覆すことも考えにくいため、当面は「トランプ相場」ならぬ「トランポリン相場」と表現してもいいような、ボラタイル(=値動きの激しい)な相場状況になると想定した方がいいのかもしれません。

その意味でも、投資家にとっては2月以降の取引においても、事前に想定する以上のレンジ幅を考慮に入れつつ、リスク管理を一丁目一番地とする“ディール(取引)”を行うべきではないかと考えます。

閑話休題。以下、米ドル/円・一目均衡表+フィボナッチ+DMIにつき、ご確認ください。



上記米ドル/円・週足・一目均衡表を見てみると、1) ローソク足が先行スパン(いわゆる“雲”)の上方にあること、2) 遅行スパンがローソク足の上方に位置していること、そして3) 転換線が基準線の上方に位置していることから、【三役好転】サインとなっており、現状は上昇過程の中での“調整局面”と言えそうです。

その調整における下値メドについては、足もとでは直近高値(A)と同安値(B)を結んだフィボナッチ50.0%ライン(≒112.31円半値戻し水準)を意識する展開となっており、当面の上値メドと想定する同61.8%ライン(≒115.51円)との間のゾーンが“コアレンジ”となりそうです。

一方で、仮に50.0%ライン(≒112.31円、半値戻し水準)を割り込んだ場合、ないしはDMI(上図赤丸印)において+DIと-DIがクロスし、その後-DI>+DIとなった場合は、フィボナッチ38.2%ラインである109.11円前後までの下押しも考慮した方がよさそうです。トランプ大統領の不規則発言やその他強硬政策に対する軋轢等も鑑みつつ、広くは110.00-120.00円をベースとする「トランポリン相場」に対応するためのレンジプレイを仕掛けてみるのも一案です。<チーフアナリスト 津田隆光>

【ユーロ】 ユーロ/米ドル、上方硬直性相場が継続しそう

以下ユーロ/ドル・週足・スパンモデル®+ボリンジャーバンド(21週)+DMIをご覧ください。



上記チャートより、1) 21MA(21週移動平均線)の方向性が右肩下がりであること、2) ローソク足の上方に赤い雲(=抵抗帯)があること、3) 遅行スパンがローソク足の下方に位置していることから、上方硬直性相場(=上値の重い相場)を示唆しているのが分かります。

現状までの上昇は「戻り」と見ることができ、その上値メドは21MAラインである1.0820ドル。その手前水準である先行1スパン(=赤い雲の下辺)である1.0727ドル付近では、比較的強い抵抗も予想されるため、この水準からの安易な買いエントリーは避けた方がよさそうです。

当面のユーロ/米ドルの“コアレンジ”は、上記ボリンジャーバンドの-1σから21MAラインである1.0540-1.0820ドルと想定します。<津田>

【ポンド】 英ポンド/円、値頃感からのエントリーには要注意

以下ポンド/円・週足・一目均衡表+パラボリック+DMIをご覧ください。



上記チャートより、1)ローソク足の上方に先行スパン(いわゆる“雲”)があること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合っている状態であること、3) 転換線が基準線の上方に位置していること、さらには4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していることから、上方硬直性を伴うレンジ相場となることが予想されます。

また、現状ではDMIにおいて+DIと-DIが接近しており(上図赤丸印)、仮に-DI>+DIとなったような場合は、下押し圧力が強まる可能性もありそうです。

総合すると、2月の英ポンド/円については、値頃感からの買いエントリーには十分注意した方がいいのかもしれません。<津田>


<資源・新興国通貨の動向>

【豪ドル】 豪ドルの独自材料よりも外部要因に左右されやすい地合いか

1月の豪ドルは対米ドルで堅調に推移しました。豪ドルの独自材料というよりも、トランプ米大統領の保護主義的な政策への懸念などから米ドルが弱含んだことが背景として考えられます。

豪ドルの2月最大の材料は、7日のRBA(豪中銀)政策金利発表です。1月25日に発表された、豪州の昨年(2016年)10-12月期CPI(消費者物価指数)は前年比+1.5%、RBAがCPIとともに重視すると言われる基調インフレ率は同+1.55%でした。RBAは昨年11月の金融政策報告で、CPIや基調インフレ率は+1.5%と予想していました。

10-12月期のCPIや基調インフレ率がRBAの見通し通りだったことから、2月の会合では政策金利は過去最低の1.50%に据え置かれる可能性大です。声明で今後の金融政策について新たな材料が提供されるかどうかが焦点になりそうです。RBAは前回12月の会合時の声明では、「入手可能な情報や、今年に入り金融政策を緩和したことを踏まえると、理事会は今回の会合で政策スタンスを維持することが、持続可能な経済成長およびインフレ目標の達成と一致していると判断した」とし、先行きの金融政策について言及しませんでした。

新たな材料が提供されなければ、豪ドルは米FRBの利上げペースをめぐる思惑や鉄鉱石価格などの資源価格の動向といった外部要因に左右される展開になりそうです。<アナリスト 八代和也>

【NZドル】 2月9日のRBNZ政策金利に注目!!

RBNZ(NZ中銀)が2月9日に政策金利を発表します。その結果にNZドルが反応する可能性があるため注目です。

RBNZは前回2016年11月の会合で0.25%の利下げを実施、政策金利を過去最低の1.75%へと引き下げました。ただし、その時の声明で追加利下げに含みを残しながらも、「われわれの予測と想定は、本日の緩和(=利下げ)を含む政策設定によって、インフレ率が目標レンジの中央付近で安定するのに十分な力強い成長が実現できると見込んでいる」と表明。また、同時に公表した金融政策報告で、OCR(オフィシャル・キャッシュ・レート、政策金利)は、2016年10-12月期の平均1.9%から2017年4-6月期に平均1.7%へと低下した後、2019年10-12月期までその水準に維持されるとの見方を示しました。これは、2015年に開始した利下げが最終局面にあることを示唆しています。

1月26日に発表された、NZの10-12月期のCPIは前年比+1.3%と、7-9月期の+0.4%から上昇率が加速し、2014年4-6月期以来の強い伸びを記録。RBNZ(NZ準備銀行)のインフレ目標(+1から3%)の範囲内に収まりました。CPIが目標内に収まったのは、2014年7-9月期以来、9四半期ぶりです。

RBNZは昨年11月の金融政策報告で、10-12月期のCPIは+1.1%との見方を示し、その予測をもとに2015年に開始した利下げが打ち止めとなる可能性を示しました。10-12月期のCPIがRBNZの昨年11月時点の予想を上回ったことで、RBNZは2月9日の会合で政策金利を1.75%に据え置くとみられます。

市場では、2017年後半にも利上げに転じるとの見方があります。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)が1月26日時点で織り込む、RBNZが6月までに利上げを行う確率は22.9%。利上げの確率は8月までで42.7%、9月までで62.6%へと上昇します。

政策金利と同時に発表される声明や金融政策報告、そしてウィーラー総裁の会見を受けて、RBNZの利上げ観測が一段と強まれば、NZドルにとってプラス材料となりそうです。<八代>


出所:Bloombergより作成

【カナダドル】 プラスマイナス両材料存在、対円は米ドル/円の影響大?

BOC(カナダ中銀)は1月18日の会合で、政策金利を0.50%に据え置きました。ポロズ総裁は会合後の会見で、今後の見通しに対する主なリスクとして、世界の保護主義が強まることを挙げ、また米国の減税によってカナダの競争力に悪影響を及ぼす可能性があると指摘。「下方リスクが現実のものとなって、インフレ目標の達成がリスクにさらされた場合、BOCは行動を起こす余地がある」と強調、「下方リスクが存在している限り、利下げは検討事項であり続ける」と述べました。

BOCが利下げの可能性を残していることは、加ドルにとってマイナス材料と考えられます。一方で、トランプ米大統領が1月24日にカナダから米テキサス州への原油のパイプライン建設を推進する大統領令に署名しました。これは加ドルにとってプラス材料と考えられます。プラスとマイナスの両材料があるため、加ドルは明確な方向感が出にくいとみられます。ただし、クロス円である加ドル/円は、米ドル/円の影響も受けます。米ドル/円の動向に左右される展開になる可能性があります。<八代>

【トルコリラ】 一段安の可能性があり、引き続き注意が必要

TCMB(トルコ中銀)は1月24日の会合で、翌日物貸出金利を8.50%から9.25%へ0.75%の引き上げを決める一方、1週間物レポ金利(主要政策金利)や翌日物借入金利をそれぞれ8.50%、7.25%に据え置きました。

今回の翌日物貸出金利の引き上げは、トルコリラ安が主な理由とみられます。TCMBは声明で、「前回会合以降の為替レートの過度な変動が、インフレ見通しの上振れリスクを増大させた」と指摘。「インフレは短期的に大幅に上昇する」との見方を示したうえで、「インフレ見通しの悪化を抑えるために金融引き締めを強化することを決定した」と表明しました。

市場では、トルコリラ安に歯止めをかけるにはTCMBの大幅利上げが必要との見方が根強くあります。TCMBが昨年(2016年)11月に利上げを実施した際は、翌日物貸出金利を0.25%、1週間物レポ金利を0.50%引き上げました(翌日物借入金利は据え置き)。TCMBが利上げを行ったのにもかかわらず、トルコリラは対米ドルや対円で一段安となりました。今回は翌日物貸出金利の0.75%引き上げのみでした。1月24日の会合以降、トルコリラ安が進んでおり、市場は今回の措置では不十分と受け止めたと考えられます。

一方で、TCMBはトルコリラ安が一段と進む場合、追加措置を講じる可能性を示しました。TCMBは声明で、「物価安定という目標のために利用可能なすべての手段を使う」と強調。「インフレ期待や企業の価格決定行動、そしてインフレに影響を及ぼすその他の要因を注視し、必要な場合には一段の金融引き締めを実施する。さらに、外国為替市場において経済ファンダメンタルズで正当化できない不健全な価格形成が行われる場合は、必要な流動性措置を講じる」としました。

市場は今後、TCMBのトルコリラ安への対応を試す動き(トルコリラ売り)が出てくる可能性もあり、引き続き注意が必要です

トルコ議会は1月21日、大統領権限の強化を柱とする憲法改正案を与党AKP(公正発展党)らの賛成多数で承認。このあと国民投票にかけられ、そこで過半数の賛成を得られれば、憲法が改正されます。国民投票は、2017年3月末から4月上旬に実施されるとの見方があります。国民投票をめぐるニュースにトルコリラが反応する可能性もあります。<八代>

【南アランド】 SARBの利上げの可能性がランドのプラス材料になりそう

SARB(南アフリカ中銀)は1月24日の会合で、政策金利を7.00%に据え置くことを決定。クガニャゴ総裁は会見で、インフレ見通しについて「短期的に警戒を要する」述べ、リスク判断を前回2016年11月の「わずかに上向き」から「上向き」へと若干修正しました。

南アフリカのCPI(消費者物価指数)上昇率はSARBのインフレ目標を上回っています。2016年12月の上昇率は前年比+6.8%と、11月の+6.6%から加速。2016年2月以来の強い伸びとなり、SARBのインフレ目標の上限である+6%を4か月連続で上回りました。

SARBは今回、2017年のCPI上昇率を従来の平均+5.8%から+6.2%へと上方修正しました。一方で、CPIは2016年10-12月期にピークをつけて、2017年1-3月期までその水準にとどまった後に上昇率は鈍化し、2018年には目標範囲内に収まるとの見通しを示しました。

クガニャゴ総裁は今回の据え置きの決定は全会一致であり、会合では利上げを議論しなかったことを明らかにしました。SARBがCPI上昇率は今後鈍化するとの見通しを示していることから、政策金利は当面、7.00%に据え置かれるとみられます。ただし、対米ドルでランド安が加速するなどしてインフレ見通しが悪化すれば、SARBが今後利上げに傾く可能性はあります。利上げの可能性が残っていることは、南アフリカランドにとってプラス材料と考えられます。<八代>




※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

  • 2018.07.20 更新自動車関税と主要国の金融政策各通貨ペアの投資戦略については「Weekly投資戦略ガイド」をご参照ください。原則、毎月曜更新(次回は7月23日)です。◆ファンダメンタルズ◆<<相場環境>> …
  • 2018.07.13 更新貿易摩擦は米欧(EU)間、日米間に拡大も!?各通貨ペアの投資戦略については「Weekly投資戦略ガイド」をご参照ください。原則、毎月曜更新(16日が祝日のため次回は7月17日火曜日)です。◆ファンダメンタ…
  • 2018.07.06 更新貿易戦争はエスカレートするか各通貨ペアの投資戦略については「Weekly投資戦略ガイド」をご参照ください。原則、毎月曜更新(次回は7月9日)です。◆ファンダメンタルズ◆<<相場環境>> 6…
  • 2018.06.29 更新【マンスリー・アウトルック(2018/7)】広がりをみせる「トランプの戦争」の行方― 2018年7月の為替相場展望 ― 《相場環境》トランプ大統領の通商政策が波紋を広げている。一方的な関税賦課や投資規制が報復措置を招いており、世界経済に悪影響…
  • 2018.06.22 更新欧州の結束を揺るがす移民問題各通貨ペアの投資戦略については「Weekly投資戦略ガイド」をご参照ください。原則、毎月曜更新(次回は6月25日)です。◆ファンダメンタルズ◆<<相場環境>> …

「市場調査部レポート」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ