市場調査部レポート

2016/12/09 14:22そして関心は再び金融政策に!?

【相場環境】そして関心は再び金融政策に!?
【全体観・米ドル】ドル/円、米FOMCでどう動く?
【ユーロ】ユーロ/ドル、下降トレンド加速の可能性も
【豪ドル】豪雇用統計が最大の相場材料になりそう
【NZドル】金融政策見通しの差を背景に、堅調に推移か
【カナダドル】産油国会合を受けた原油価格の動向に注意
【トルコリラ】エルドアン大統領の「リラ押し上げ」は成功するか?


【相場環境】 そして関心は再び金融政策に!?

米国では、トランプ次期大統領が、米企業の海外移転を阻止(!?)したり、大統領専用機(エアフォースワン)の発注に「待った」をかけようとしたりして、引き続きニュースを提供しています。ただ、主要閣僚の人選も含めて、為替相場を大きく動かすには至っていません。やはり、来年1月20日の大統領就任式やその後の所信表明演説によって、優先課題や具体的な政策が明らかになるまで、待つ必要があるのかもしれません。

4日のイタリアの国民投票では憲法改正が否決され、レンツィ首相が辞任しました。今後、マッタレッラ大統領が仲介役となって暫定政権が誕生する見込みです。暫定政権は優先課題として選挙制度改革に取り組み、改革の終了後の、早ければ2017年春にも総選挙が実施されるかもしれません。選挙では、反EU、反ユーロの「五つ星運動」が勢力を拡大する可能性がありますが、同運動による政権奪取⇒EU離脱を問う国民投票への動きは、よほどのことがない限り現実味を帯びないでしょう(*)。

(*)現行制度では、最高得票率の「政党」が下院の過半数の議席を与えられます(=政権獲得)。しかし、改正後は最高得票率の「政治グループ」に過半数が与えられることになりそうです。「五つ星運動」には、連立政権を組む友好政党は見当たらないため、最高得票率であっても政権奪取は困難とみられます。

さて、市場では当面、「金融政策」が重要なキーワードになりそうです。

今週は、8日のECB理事会で、QE(量的緩和)の月々の規模を従来の800億ユーロから600億ユーロへ縮小する一方で、「少なくとも2017年3月まで」としていた期間を同12月まで9か月延長することが決定されました。また、購入可能債券の減少に対応して、購入条件が緩和されました。ドラギ総裁は会見で、今回の措置は「金融緩和の延長であり、テーパリング(終了に向けた段階的縮小)ではない」と強調、必要であれば追加措置を講じると述べました。

2017年は英国のEU離脱交渉がスタートし、また、ドイツやフランスなどユーロ圏の主要国で国政選挙が実施されます。ECBは、債券購入条件を緩和したことで、経済へのネガティブなショックに備えて、金融政策の柔軟性を確保したと言えそうです。景気が想定以上に弱含んだり、ユーロ高が示現したりして、物価に下押し圧力が加わるようであれば、ECBは金融緩和の強化を検討する可能性もありそうです。

来週は、14日にFOMCの結果が明らかになります。市場では0.25%の利上げがほぼ確実視されています。注目は、その後の利上げペースに関してどのような判断が示されるか。参加者の経済・金融政策見通し(後者はいわゆる「ドット」)は重要でしょう。

FFレート(政策金利)先物に基づけば、今年12月の利上げを前提として、市場は2017年中に2回以上の利上げがある確率を55.6%織り込んでいます(12/8時点)。言い換えれば、利上げゼロ、あるいは1回に留まる確率も合計40%以上織り込んでいることになります。

鍵を握るのは、物価・賃金動向でしょう。物価連動債の利回りから算出される市場の期待インフレ期率は、大統領選挙以降2015年8月以来となる2%超で推移しています。期待インフレ率がさらに高まるようであれば、利上げのペースアップが必要になるかもしれません。

15日には、BOE(英中銀)のMPC(金融政策委員会)が開催されます。6月の英国民投票でBrexit(EU離脱)が決定されたことを受けて、BOEは8月に0.25%の利下げとともに資産購入の拡大を決定しました(7月の会合は国民投票の直後だったため、様子見でした)。その後、Brexitの悪影響は一部で懸念されたほどではないため(離脱交渉もまだ始まっていませんが)、BOEが追加緩和に踏み切る可能性は低いものとみられます。

再来週20日には、日銀の金融政策決定会合の結果が判明します。9月に導入したばかりの新しい金融政策の枠組みである「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に何らかの修正が加えられるか、注目でしょう。とりわけ、米大統領選のトランプ氏勝利を受けて米国主導で世界の長期金利が上昇圧力を受けるなかで、日本の長期金利をゼロ%近辺に維持するとの目標が妥当かどうか、改めて検討されるかもしれません。

日米長期金利差の拡大がドル高円安を後押ししてきただけに、「ゼロ%近辺に維持」との目標が修正され、日本の長期金利の上昇が容認されることになれば(その可能性は低そうですが)、一時的にせよ円高要因と市場に判断されそうです。<チーフエコノミスト 西田明弘>


【全体観・米ドル】 ドル/円、米FOMCでどう動く?

[ドル/円、来週の予想レンジ]
○ドル/円:111.00-116.00円

米大統領選挙において、トランプ氏が勝利宣言をしてから、本日9日(執筆時点)でちょうど1ヶ月が経過しました。

マーケットでは、一部“逆”トランプ・ラリーの起点を探す向きもありますが、ファンダメンタルズの観点からも、そしてテクニカルの観点からも、そういった「コペルニクス的転回」的なシグナルは現状見当たらないというのが実際のところと言えそうです。

マーケットの視線は、次週13-14日に開催される米FOMCへと移りつつありますが、8日時点のFedWatch Toolでは97.2%の確率で利上げが織り込まれている中、マーケット参加者の関心事は、当日行われるイエレンFRB議長の会見において、来年の利上げペースについての言質やヒントがあるのかどうかということ。

そんな中、かつての為替相場の歴史やパターンから認識しておきたいのは、<米国が利上げサイクル期間にある時は、ドル/円は下落しやすい>ということ。

その確認のため、以下1990年1月以降のドル/円・月足チャートをご覧ください。


※色付け部分:米利上げサイクル期間

1990年1月以降の米利上げサイクル期間とFF金利およびドル/円について

[1994/2-1995/2]
FF金利:3.00%→6.00%、ドル/円:104.60円→96.69円
[1996/6-2000/5]
FF金利:4.75%→6.50%、ドル/円:121.05円→107.70円
[2004/6-2006/6]
FF金利:1.00%→5.25%、ドル/円:108.14円→114.44円
[2015/12-]
FF金利:0.25%→?、ドル/円:120.21円→?

(※ドル/円レートは月足終値基準)

1990年1月以降における4つの利上げサイクル時に共通するのは・・・「米利上げサイクル時初頭はドル/円相場が下落している」ということ。(上図黒色矢印)

その理由は非常にシンプルで、中央銀行が「金融引き締め」(=「利上げ」)を行うということは、「景気後退リスク」よりも「インフレリスク」に重きを置いているため。つまり、経済環境がインフレ基調になっていることを表しています。

インフレ基調ということは、「モノ(物価)の価値」は上がる一方で、「お金(貨幣)の価値」が下がることを意味するため、ここでは「通貨(ドル)が下がる」ことになり得ます。よって、米利上げサイクル時にドルが安くなることは論理的に正しい現象と言えます。

一方で、中央銀行が「金融緩和」(=「利下げ」)を行うということは、「インフレリスク」よりも「景気後退リスク」に重きを置いており、景気刺激策が必要であることを表します。つまり、「お金(貨幣)の価値」は上がり、「モノ(物価)の価値」は下がることになり、ここではデフレ基調となっています。(※本邦デフレ時に「円高」「株安」基調が続いていたことを見れば、より分かりやすいかもしれません。)

これらより、次週13-14日の米FOMCにおいて「利上げ」が再開された場合は、(マクロ要因的には)ドル安・円高基調の起点となり得ると考えていいのかもしれません。(※当然、通貨のトレンドは諸々の要因が影響されるため、ミクロ要因ではその限りではありません。)

その「諸々の要因(ミクロ要因)」事例の一つに、[2004/6-2006/6]時を挙げることができます。この期間では、利上げサイクル時にも拘わらず、最終的にドル高・円安基調となったのは、2005年1月から時限立法(2005年のみ)として成立した、「本国投資法(HIA)」、いわゆるレパトリ減税が少なからず影響していると考えます。

足もとのドル/円相場の堅調さの背景には、トランプ次期大統領の主要政策の一つである「本国投資法第2弾(HIA2)」の影響もあると見られており、2005年の事例を見れば、さらなるドル高・円安の可能性も考慮する必要があります。

今後の相場展開は、過去の事例やマクロ的見地からドル安・円高基調となるのか、はたまた2005年時のような「例外」もあり得るのか。次週の米FOMCには要注目です。

閑話休題。以下、前週と同じく、ドル/円・週足・一目均衡表+フィボナッチ+ストキャスティクス(スロー)をご覧ください。



上記チャートにおける注目ポイントは、前週指摘と同じく、ドル/円が上抜けブレークを果たすのか、はたまた反落起点となり得るのかということ。

各種メルクマール解説につき、再度ご確認ください。

1. ローソク足が先行スパン(いわゆる“雲”)の中にあり(上図青点丸印)、当該スパンを上抜けブレークした場合は、一目均衡表の他の指標と合わせて【三役好転】(=強力な上昇フローシグナル)となる可能性が。

2. 1.となった場合は、ドル/円の直近高値である125.86円(2015/6)[上図A]と直近安値である98.76円(2016/6)[上図B]を結んだフィボナッチ・61.8%戻しである115.51円[上図C]超えを目指す展開に。

3. 一方で、オシレーター系指標であるストキャスティクス(スロー)が「買われ過ぎ」水準のメドである80%ラインよりも上方でクロスしており、仮にクロスした後に下向き方向に移動した場合(=デッド・クロス)は、過去のパターン[上図青丸印]同様、反落の起点となる可能性も。

これらより、依然足もとのドル/円は「上抜けブレーク」なのか、はたまた「反落起点」なのかの分水嶺となっており、次週13-14日の米FOMCが、今後のドル/円相場を見る上で重要なカタリスト(=大相場の材料)となりそうです。<チーフアナリスト 津田隆光>


【ユーロ】 ユーロ/ドル、下降トレンド加速の可能性も

[ユーロ/円・ユーロ/ドル、来週の予想レンジ
○ユーロ/円:119.00-123.60円
○ユーロ/ドル:1.0500-1.0700ドル

以下、ユーロ/ドル・日足・スパンモデル®+ボリンジャーバンド(21日)+パラボリック+ストキャスティクス(スロー)をご覧ください。



上記チャートでは、1) 21MA(21週移動平均線)が右肩下がりとなっていること、2) 遅行スパンがローソク足の下方に位置していること、そして3) ローソク足の上方に赤い雲(=抵抗帯)があることから、ユーロ/ドルは下降トレンド序盤と言えそうです。

また、オシレーター系指標のストキャスティクス(スロー)では、「買われ過ぎ」水準のメドである80%ライン付近でクロスしており(上図青点線丸印)、過去のパターン(上図青線丸印)同様【デッド・クロス】となっています。

また、ボリンジャーバンド・±2σラインが21MAに向けて収縮(スクイーズ)をしていることもあり、相場のエネルギーを溜め込んでいる状態と見ることもできます。

目先は、パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)値である1.0529ドルを割り込んだ場合は、下降トレンドの速度が加速する可能性も視野に入れた方がよさそうです。<津田>


【豪ドル】 豪雇用統計が最大の相場材料になりそう

RBA(豪中銀)は12月6日、政策金利を過去最低の1.50%に据え置くことを決定。声明は、前回11月から大きな変化はありませんでした。

今年5月と8月の利下げの主因である豪州のインフレ率については、「依然として極めて低い」と指摘。「非常に抑制された労働コストの伸びや海外の極めて低いコスト圧力を踏まえると、より正常な水準に戻るまで低水準で推移する可能性が高い」との見解を示しました。

労働市場に関しても前回から大きな変化なし。「労働市場の指標は引き続きマチマチ」「国内の雇用状況は依然としてかなりのばらつきが見られる。パートタイム雇用は力強く伸びているが、全般的な雇用の伸びが鈍化している」との見方を示しました。

金融政策については、「入手可能な情報や、今年に入り金融政策を緩和したことを踏まえると、理事会は今回の会合で政策スタンスを維持することが、持続可能な経済成長およびインフレ目標の達成と一致していると判断した」とし、これまでと同様に先行きの金融政策について言及しませんでした

RBAの政策会合がほぼ予想通りの結果となったことで、次は15日発表の豪州の11月雇用統計が相場材料になりそうです。市場予想は、失業率が5.6%、雇用者数が前月比1.75万人増。市場予想と異なる結果になれば、豪ドルが反応する可能性があり、注目です。<アナリスト 八代和也>


【NZドル】 金融政策見通しの差を背景に、堅調に推移か

NZのキー首相は12月5日、首相を辞任すると表明しました。与党国民党は、12日に党首選を実施します。立候補者はイングリッシュ副首相兼財務相の1人。コリンズ警察相とコールマン保健相も立候補を表明していたものの、2人とも断念しました。そのため、イングリッシュ氏が新たな党首(=首相)に就任する見通しです。副首相兼財務相であるイングリッシュ氏が後継首相となれば、政策の継続性が保たれると考えられるため、もはやキー首相の辞任はそれほど材料視されないとみられます

RBNZ(NZ中銀)は12月8日、ウェブサイトにグレイマウス(NZ)で行われたウィーラー総裁の講演の内容を掲載。その中で、ウィーラー総裁は、利下げ打ち止めの可能性を示しました。

NZのCPI(消費者物価指数)上昇率は2014年10-12月期以降、RBNZのインフレ目標(+1から3%)を下回る状態が続いており、今年7-9月期は前年比+0.4%。インフレ圧力の弱さを背景に、RBNZは2015年6月以降、前回今年11月の会合まで計7回の利下げを実施しました。

ウィーラー総裁は講演で、「CPI上昇率が最も低い時はおそらく過ぎ去った」と指摘。世界的な商品価格の改善に支えられて、今年10-12月期にインフレ目標レンジ内に戻るとの見解を示しました。

政策金利については、11月の金融政策報告で、当面は現在の水準で推移する可能性があることを示したとし、「現時点では、世界や国内の動向はRBNZの金融政策の方向性に関する見解を変えるものではない」と強調。「予想される政策設定が、インフレ率が目標レンジ中央値付近で安定するのに十分な経済成長を実現するのを助けるだろう」としました。ただし、RBNZの政策金利見通しは、条件にかなり左右されると指摘。貿易相手国の成長やインフレ、原油や乳製品価格の動向、為替レート、移民や住宅価格の上昇などを挙げて、異なる状況になれば異なる政策の道筋を示す可能性もあり、リスクの全体的なバランスは下向きとの見方を示しました。

NZドルについては、「交易条件が6%低下し、政策金利を7回引き下げたのにもかかわらず、TWI(貿易加重指数)は、(利下げを開始した)2015年6月の水準よりも高い」と指摘し、「NZドルは、経済のファンダメンタルズが適切と示唆する水準を上回っている」との見解を示しました。一方で、NZドルに対する上向き圧力の流れはついに転換している可能性があるとしました。

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市場では、米FRBは今月のFOMCで1年ぶりに利上げを実施し、来年も利上げを継続するとの見方が有力です。先進国の中でFRBの次に利上げに踏み切るのは、OIS(翌日物金利スワップ)を参考にすると、市場はRBNZの可能性が高いとみているようです。OISが12月7日時点で織り込む、来年9月までにRBNZが利上げを行う確率は36.2%。一方、他の中央銀行の利上げの確率は、RBAが8.8%(来年7月まで)、BOCが22.7%(同)、ECBが8.8%(同)、BOEが13.7%(来年8月まで)。こうした金融政策見通しの差が、NZドルを下支えしそうです。NZドルは今後、堅調に推移する可能性があります。<八代>


【カナダドル】 産油国会合を受けた原油価格の動向に注意

BOC(カナダ中銀)は12月7日の会合で、政策金利を0.50%に据え置くことを決定しました。

声明では、カナダ経済について、「成長のダイナミクスは、おおむねBOCの予想通り」との評価を下しました。「2016年前半の非常に弱い成長の後、7-9月期に力強く持ち直したが、10-12月期にはより緩やかな成長が予想される」とし、「企業の投資やエネルギー以外の財輸出は、引き続き失望させる状況」と指摘。「カナダ経済には依然として著しい規模の緩みがある」との見方を示しました。

CPI(消費者物価指数)については、「総合指数はここ数か月に上向いたが、主に食品価格の下落によって想定を若干下回っている」とする一方で、「コア指数は(目標中央値の)2%に近い」との見方を示しました。

BOCは声明の最後の段落で、「現在の金融政策スタンスは引き続き適切。そのため、政策金利を0.50%に据え置くことが適切と判断した」と表明。政策金利を当面、据え置く可能性を示しました。

今回の声明は、市場の「政策金利は当面、据え置き」との見方を大きく変えるものではなさそうです。そのため、BOCの政策会合は、それほど材料視されないかもしれません。

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OPEC(石油輸出国機構)加盟国と非加盟国が12月10日に会合を行います。OPECが11月30日の総会で原油の減産で合意。非加盟国であるロシアも10日の会合で減産に同調するとみられます。10日の会合では、非加盟国の減産規模が焦点になりそうです。その結果次第では、原油価格は来週(12月12日の週)、大きく動く可能性もあります。その場合、カナダドルに影響を与えそうです。<八代>


【トルコリラ】 エルドアン大統領の「リラ押し上げ」は成功するか?

トルコリラは12月2日に対ドルで3.6リラ近くまで下落し、最安値を更新しました。今週に入ってリラは反発しています。エルドアン大統領が「リラ押し上げ」のキャンペーンを展開していることが主因と考えられますが、持続的な効果があるのか大いに疑問の残るところです。

エルドアン大統領は国民に対して、手持ちの外貨をリラに交換するように要請。Bloombergによれば、イスタンブール証券取引所や官庁が既にリラへ交換しており、一般市民の間でもそうした動きが活発化しているようです。

エルドアン大統領は7日にも、「リラによる貿易取引の時代が始まろうとしている」と述べ、重要な貿易相手国とリラ(および相手国通貨?)による取引の開始を宣言しました。

もっとも、リラの弱点は、やや縮小傾向にあるとはいえ、経常収支の赤字が続いていることです(下図)。米国が追加利上げを模索するなかで世界のマネーフローが縮小し、トルコは経常赤字の穴埋めが困難になるとの観測が根底にあります。

トルコの経常収支

単位:10億ドル
出所:Bloomberg

エルドアン政権が大統領権限強化に向けて憲法改正の動きを進めていることは、外国の投資家のトルコへの投資マインドを冷やしているものとみられます。

また、エルドアン大統領がTCMB(トルコ中銀)への利下げ圧力を強めていることも、リラにとってはネガティブな材料です。汚職スキャンダルや米国の利上げ観測からリラが大幅に下落した2014年初のケースでは、口先および実弾介入でリラ安は止まらず、TCMBの大幅な利上げ(政策金利4.5%⇒10.0%)が必要となりました。物価(および通貨)の安定を目的とする中央銀行に対する政治介入は、一般に通貨安要因と判断されます。

リラ安による輸入物価の上昇は、国内のインフレ率を加速させる可能性があります。そうした中で、最終的にリラ安を止めるのに必要なのは、大統領による介入ではなく、TCMBによる大幅な利上げかもしれません。<西田>




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