市場調査部レポート

2016/10/14 11:28今年もこの季節が到来!「黄金の180日ルール」について

【相場環境】「ドルに追い風?」の再点検
【全体観・米ドル】今年もこの季節が到来!「黄金の180日ルール」について
【ユーロ】ユーロ/ドル、下降トレンド加速の可能性も?
【ポンド】“ハードブレグジット”懸念で120円台割れも?
【豪ドル】RBA議事録と豪雇用統計に注目!
【NZドル】7-9月期CPIが18日に発表、RBNZの政策判断に影響大か
【南アフリカランド】財務相をめぐる報道で上下するも、対円は依然レンジ内


【相場環境】 「ドルに追い風?」の再点検

先週号では、「ドルに追い風は吹くか?」と題して、以下の4つのポイントを挙げました。結果から言えば、今週は弱い「追い風」が吹きました。それらを改めて考察しておきましょう。

(1)米国の早期利上げはあるか
(2)米大統領選挙戦でクリントン氏がさらにリードを広げるか
(3)欧州通貨は一段と下落するか
(4)長期金利の上昇傾向は続くか


FOMC議事録(9/20-21開催分)によれば、政策金利の据え置きを支持した参加者の中でも、数人は「きわどい判断だった」と語っていたようです。年内の利上げは既定路線になりつつあるのかもしれません。ただし、FFレート(政策金利)先物に基づけば、年内の利上げは7割近い確率で織り込まれています。さらなるドル押し上げのためには、来年に2回以上の利上げがある確率がもう少し高まる必要がありそうです(10/13時点で2割強)。

大統領候補による2回目のデイベート(TV討論)直前に、トランプ氏のさらに酷い女性蔑視発言が明らかになり、世論調査でクリントン氏との支持率の差がジリジリと拡大しているようです。トランプ氏の「カムバック」は一段と難しくなったようです。ただし、トランプ・リスク(トランプ大統領誕生による金融市場混乱の可能性)が消滅したわけではなく、11月8日の投票結果が明らかになるまで、引き続きテール・リスクに注意する必要はありそうです。

7日の東京時間朝にポンドが急落した真因は明らかではありませんが、英国のEU離脱が厳しいものになる「ハードブレグジット」の観測が背景にあるのは間違いないでしょう。今週も、ポンドは軟調に推移しました。英国経済への中長期的な影響は別としても、今後しばらくは英国がどういう形でEUを離脱するかに関する思惑がポンド安となる場面はありそうです。

今週のユーロはポンドに連れ安しました。ドルが堅調だった裏返しでユーロが軟調だった面もありそうですが、「ハードブレグジット」はユーロにとっても重石になりうるということかもしれません。

米長期金利(10年物国債利回り)は、今年6月上旬以来となる1.8%に一時接近しましたが、すでに頭打ちとなりつつあるようにもみえます。ただし、今後の米経済指標によって景気堅調、とりわけ労働市場のひっ迫や賃金上昇率の加速が示されるならば、来年にかけての利上げ観測が一段と高まって長期金利を押し上げそうです。
また、原油価格(WTI先物)が今年6月以来となる50ドル台乗せとなりましたが、産油国による増産凍結や減産での合意に向けて進展がみられるようであれば、さらなる上昇もありうる状況です。
原油高は世界的な物価押し上げ要因であり、長期金利上昇要因でしょう。ただ、日本では日銀が長期金利の0%近辺での維持を目標としているため、世界的な長期金利の上昇は「円安」要因と言えそうです。

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さて、来週は、あまり大きなものはないものの、相場材料が目白押しです。上述の4つのポイントに関連付けると・・・

(1)米金融政策
10月のNY連銀とフィラ連銀の製造業景況指数(17日、20日)9月の鉱工業生産(17日)9月のCPI(消費者物価)コア(18日)ベージュブック(地区連銀経済報告、19日)など。とりわけ、ベージュブックで労働需給のひっ迫(人手不足)や賃金の伸びの高まりが報告されるか。

(2)大統領選挙
第3回目で最後のTV討論(ラスベガス、現地19日夜)。手負いのトランプ氏が勢いを盛り返せるか。共和党主流派から見放されて、トランプ氏の放言・暴言が過激さを増すようなら、自爆も。

(3) 欧州情勢
ECB理事会(20日)。QE延長の準備をするならユーロ安、逆にQE縮小(テーパリング)の地ならしを始めるならユーロ高要因。引き続き、ブレグジット関連のニュースや軟調なポンドの動向にも要注意でしょう。

(4)長期金利
世界的な長期金利への影響という観点からは、中国の7-9月期のGDP(19日)や、10月末に再協議を行うとされる産油国の増産凍結・減産への動きと原油価格の動向など。約6年ぶりに対ドル安値を更新した人民元の動きも気になるところです。

その他にも、NZの7-9月期のCPI(18日)RBA(豪中銀)の議事録(18日)BOC(カナダ中銀)の政策会合(19日)TCMB(トルコ中銀)政策会合など、新興国・資源国の金融政策イベントも散見されます。<チーフエコノミスト 西田明弘>


【全体観・米ドル】 今年もこの季節が到来!「黄金の180日ルール」について

[ドル/円、来週のトレンドおよびコアレンジ予想]
○ドル/円:レンジ相場102.00-105.00円

10月と言えば、この季節がやって来ました。『黄金の180日(半年)ルール』の季節が。

10月末のハロウィンの時期に合わせて『ハロウィン効果(Halloween effect)』と呼ぶことも多く、要は10月末のハロウィンの時期から翌年4月までの半年間は、過去の事例からも投資を行う上でリターンが相対的に大きいとされています。

その根拠の一つとして、1950年から65年間にわたる日経平均の月別リターンをベースに、株価が1年間でどのように推移するかを調べてみると、1-4月にかけて上昇した後、10月末にかけて概ね横ばい基調で推移し、そして11-12月末にかけて再び上昇するパターンが見られます。

ちなみに、戦後取引再開後の65年間(1950-2015年)※の年間の値上がり率平均が11.40%のところ、10月末から翌年4月末までの半年間で9.52%を稼ぎ出しており、その値上がりの83.5%をこの半年間(10月末-翌年4月末)で占めていることが、“黄金の180日”と呼ばれる所以となっています。

そもそもこの『黄金の180日(半年)ルール』というのは、株式市場のアノマリーですが、これを外国為替市場に当てはめてみると、実は同じような「傾向」「パターン」が見受けられます。

以下、2000年以降16年間(2000/10-2016/4)における、主要銘柄(日経225、NYダウ、ドル/円、豪ドル/円、NZドル/円、ポンド/円)の『10月末買い、翌年4月末売り』の勝敗表をご覧ください。


※表示年の10月末営業日レートで「買い」、表示翌年の4月末営業日レートで「売り」を行い、プラス(陽線)の場合は「○」[勝ち]、マイナス(陰線)の場合は「×」[負け]としています。

『10月末買い、翌年4月末売り』の、各銘柄の勝敗と勝率は以下の通りです。(勝率順)

NYダウ13勝3敗、勝率 .812
豪ドル/円12勝4敗、勝率 .750
NZドル/円12勝4敗、勝率 .750
日経22511勝5敗、勝率 .687
ドル/円11勝5敗、勝率 .687
ポンド/円11勝5敗、勝率 .687

昨年(2015年)の当該手法は、NYダウ以外の5つは【失敗】となっているものの、あくまで2000年以降16年間のデータに基づく勝敗および勝率を見ると10-4月の半年間投資において相対的に高い確率で利益を出していることが分かるかと思います。

当然、相場には絶対の法則や約束された利益などは存在しませんが、あくまで季節的な傾向・パターンとして、この『10月末買い、翌年4月末売り』に取り込んでみるのも面白いのかもしれません。

閑話休題。足もとのドル/円相場の動きを見てみると、重要なトレンド転換時期を迎えていると言ってもいいのかもしれません。以下、ドル/円・週足チャート+26週移動平均線をご覧ください。



先週のレポートではドル/円の75日移動平均線(75MA)を題材にし、同線(≒102.40円)を終値レベルで上抜いた場合は、グランビルの法則で言うところの【重要な買いサイン】になり得ると記載しました。

日足レベルでは同線を突破し、短期上昇トレンドの萌芽と捉えてよさそうですが、一方で中長期とトレンドに基づく判断をするために26週移動平均線(26MA)を見てみると、少しだけ違った景色が見えてきます。

結論から申し上げると、ドル/円相場において中長期トレンドで<上昇サイン>と判断するためには、26MAである104.37円を終値レベルで上抜けする必要があり、この状態(レート>26MA)を2週間以上キープした場合は、昨年12月を起点とする下降トレンドの終焉(ないしは一服?)となる可能性も。

今週、一時的にこの104.37円を上抜けブレークしていますが、今週終値レベルで上抜け確認となるのか否かにまずは注目が必要です。<チーフアナリスト 津田隆光>


【ユーロ】 ユーロ/円、短期トレンド転換の可能性も?

[ユーロ/円・ユーロ/ドル、来週のトレンドおよびコアレンジ予想]
○ユーロ/円:レンジ相場113.00-116.00円
○ユーロ/ドル:戻り売り or レンジ相場1.0900-1.1180ドル

以下、早速ですがユーロ/ドル・週足・21週ボリンジャーバンド+DMIをご覧ください。



上記チャートを見てみると、ローソク足が21週ボリンジャーバンドの-2σライン近辺まで下落しているものの、相場の方向性を示唆する21MA(21週移動平均線)の方向性が横向きであることから、現時点では横ばい基調(レンジ相場)の中での下押しと捉えてもよさそうです。

また、相場の方向性を示すDMI(方向性指数)では-DIと+DIが交差しつつあり、仮に-DI>+DIとなった場合は、マイナスの方向性、つまり下降トレンドの起点となり得ます。

その一方で、トレンドの強弱を示すADXを見てみると、高い位置から垂れてきていることもあり、トレンドの強さはやや軟化しつつあります。

総合すると、来週以降のユーロ/ドルの基本トレンドは横ばい基調(レンジ相場)となりそうですが、ローソク足の-2σライン(≒1.0968ドル)割れ、プラス、DMIにおいて-DIが+DIを上抜けし、その後乖離が生じる動きとなった場合は、下降トレンドの速度が加速する可能性もありそうです。<津田>


【ポンド】 “ハードブレグジット”懸念で120円台割れも?

[ポンド/円、来週のトレンドおよびコアレンジ予想]
○ポンド/円:戻り売り相場124.00-130.50円

以下、ポンド/円・週足・スパンモデル®+21週ボリンジャーバンドをご確認ください。



上記チャートを見てみると、1) 21MA(21週移動平均線)が右肩下がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の下方に位置していること、3) ローソク足の上方に抵抗の“雲”があることから、先週と変わらず典型的な下降トレンド形状をしているのが分かります。

ポンド/円のチャートは、日足・週足・月足チャートともに【下降トレンド】形状をしており、上方硬直性相場がしばらく継続すると見てよさそうです。

ポンド/円のテクニカル上の下値メドは、21週ボリンジャーバンドの-2σラインである119.36円も想定に入れておく必要があり、くれぐれも値頃感からの安易な買いエントリーは避けるべきと考えます。

ポンド/円に関しては、これから“ハードブレグジット”(英国による強硬なEU離脱の動きのこと)問題がさらに大きな混乱要因として取り沙汰される可能性もあるため、先に取り上げた『10月末買い、翌年4月末売り』を行う『黄金の180日(半年)ルール』にも十二分の注意が必要です。

エントリーに関しては、1) 大きなトレンドには逆らわないこと、2) ストップロスオーダーを設定すること、3) “利食い千人力”の格言通り、ある程度の利益を確定することを優先し、期間にこだわらずに“ヒット・アンド・アウェイ”を心掛けることを念頭に置きつつ、決して無理をしないことを優先順位第一位としていただければ幸いです。<津田>


【豪ドル】 RBA議事録と豪雇用統計に注目!

来週の豪ドルは、18日のRBA(豪中銀)議事録や、20日の豪州の9月雇用統計が相場材料になりそうです。

RBAは10月4日の会合で政策金利を過去最低の1.50%に据え置きました。今回の議事録はその時のものです。RBAは4日の声明で、「入手可能な情報や、5月と8月の会合で金融政策を緩和したことを踏まえると、理事会は今回の会合で政策スタンスを維持することが、持続可能な経済成長およびインフレ目標の達成と一致していると判断した」とし、先行きの金融政策について言及しませんでした。議事録で、先行きの金融政策に関して新たな手掛かりが提供されるかどうかに注目です。

20日の9月雇用統計では、失業率や雇用者数の増減のほか、雇用者数の内訳(パートタイム雇用者数、フルタイム雇用者数)に注目です。8月の失業率は5.6%と、約3年ぶりの低水準を記録しました。ただし、RBAは10月4日の声明で、「失業率は一段と低下した」と指摘する一方、「国内の雇用の伸びにかなりのばらつきがみられる」「パートタイム雇用が力強く伸びている一方、フルタイム雇用が抑制されている」との見解を示しました。

RBA議事録や雇用統計の内容次第では、豪ドルが反応する可能性があります。また、対米ドルでの人民元安が進んでいることや、中国の9月貿易統計が弱い内容になったことで、市場の関心が中国に向く可能性があります。豪ドルは、豪州の材料とともに、中国の経済指標や人民元の動向にも注意が必要かもしれません。<アナリスト 八代和也>


【NZドル】 7-9月期CPIが18日に発表、RBNZの政策判断に影響大か

NZドル/米ドルは今週、7月下旬以来、2か月半ぶりの安値をつけました。米FRBの年内利上げ観測(米ドル買い材料)に加え、RBNZ(NZ中銀)のマクダーモット総裁補佐の発言を受けて、RBNZの11月利下げ観測が高まった(NZドル売り材料)ことが背景にあります。マクダーモット総裁補佐は11日、「われわれの現在の予想や想定では、インフレ率が将来的に目標レンジの中央付近で安定することを確実にするためには、追加の政策緩和が必要になることが示唆されている」と述べ、追加利下げの可能性を示しました。

NZのCPI(消費者物価指数)上昇率は2014年10-12月期以降、RBNZのインフレ目標(+1から3%)を下回り続けています。7月に発表された今年4-6月期のCPIは前年比+0.4%でした。RBNZは低インフレやインフレ期待の低下を理由に、今年3月と8月に利下げを実施。前回9月22日の会合では、政策金利を過去最低の2.00%に据え置いたものの、声明で追加利下げを示唆しました。

来週火曜日(18日)に、NZの7-9月期CPIが発表されます。その結果が次回11月10日の会合におけるRBNZの政策判断に大きな影響を与えそうです。RBNZは8月の金融政策報告で、7-9月期のCPI上昇率は前年比+0.2%との見通しを示しました。CPIでインフレ圧力の弱さが確認されれば、RBNZは11月に追加利下げに踏み切る可能性が大きいとみられます。

RBNZの追加利下げ観測はNZドルにとってマイナス材料です。ただし、市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)では、11月に0.25%の利下げが行われる確率が10月13日時点で89.9%織り込まれています。11月の利下げはかなり織り込まれたと見ることもできそうです。RBNZの11月利下げを材料に、NZドルが一段と下落する状況ではないかもしれません。<八代>


出所:Bloombergより作成


【南アフリカランド】 財務相をめぐる報道で上下するも、対円は依然レンジ内

今週のランドは、ゴーダン財務相に関するニュースで上下する場面がありました。11日、南アフリカのゴーダン財務相に裁判所への出廷命令が出されたとの報道でランドが急落しました。昨年12月に財務相に返り咲いたゴーダン氏は、前回の2009年から2014年の任期中に110万ランド(現在レートで約800万円)の不適切な支出を違法に黙認したとの疑いがあるとのことです。

翌12日、南アフリカの検察当局のエイブラハムス局長が、ゴーダン財務相から提出された異議申し立てを検討することに前向きだと発言。これを受けて、ランドが反発しました。

ゴーダン財務相は南アフリカの財政再建を主導し、市場からの信認が厚い人物です。そのため、ゴーダン財務相が交代するとの観測が強まれば、ランドにとってマイナス材料になりそうです。

ただ、ランド/円は今年に入り、おおむね6.8-7.8円のレンジで上下を繰り返してきました。今週はゴーダン財務相に関するニュースで上下に振れたものの、依然としてそのレンジ内に収まっています。南アフリカに関して大きな材料が出てこなければ、ランド/円は6.8-7.8円の動きが続く可能性があります。<八代>

南アフリカランド/円(日足、2016/1/4-)

出所:M2Jチャート




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