市場調査部レポート

2016/09/30 13:58【マンスリー・アウトルック(2016/10)】オクトーバー・サプライズはあるか

― 2016年10月の為替相場展望 ― 
オクトーバー・サプライズはあるか


《相場環境》

10月の最大の注目材料は米大統領選挙。第1回目のTV討論を終えて、クリントン氏がトランプ氏をリードしているようだが、状況を劇的に変えうる「オクトーバー・サプライズ」は起こるか。大統領選以外でも、10月に金融市場が動揺した過去の例が散見される。日米をはじめ各国の金融政策に関する材料にも引き続き注意は必要か。

<主要通貨の動向>
・【全体観・米ドル】 ドル/円、心理的ラインである「100円」を強く意識する展開に
・【ユーロ】 ユーロ/ドルはレンジ相場継続を示唆!
・【ポンド】 ポンド/円、下押し相場に要警戒

<資源国・新興国通貨の動向>
・【豪ドル】 26日のインフレ統計が重要、RBAの金融政策に影響しそう
・【NZドル】 18日の7-9月期CPI発表に注目、弱ければ11月に追加利下げか!?
・【カナダドル】 OPECが減産合意。原油価格の動向に引き続き注目!
・【トルコリラ】 格下げでトルコリラが売られるも、長続きしない?
・【南アランド】 SARBの利上げサイクルは最終局面!?ランド/円はレンジの動きか

◆主要経済指標・イベント
◆OIS(翌日物金利スワップ)に基づく金融政策見通し


≪相場環境≫

「オクトーバー・サプライズ」はあるか。
「オクトーバー・サプライズ」とは、米国の選挙、それも大統領選挙の投票日(11月の第1月曜の次の火曜日)の直前に、選挙結果に影響を与えかねない事件・イベントが発生することを指します。偶然発生することもあれば、選挙陣営が選挙戦を有利にしようと起こす(と噂される)こともあります。

古くは、72年の選挙(ニクソン大統領vs民主党マクガバーン氏)で、直前に政府より「ベトナム戦争停戦間近」とのアナウンスがありました。80年の選挙(カーター大統領vs共和党レーガン候補)では、カーター政権がイランの米国人人質解放を進める一方で、レーガン陣営が解放のタイミングを選挙後に遅らせることでイラン政府と密約を結んだとの観測が流れました(実際の解放は選挙後)。
上の例ほど大きなイベントではありませんが、最近でも、2000年の選挙(民主党ゴア氏vs共和党ブッシュ氏)では、ブッシュ氏の飲酒運転での逮捕歴が投票日の数日前に明らかになりました。2004年の選挙(ブッシュ大統領vs民主党ケリー氏)では、中東のTV局がオサマ・ビンラディンの映像を放送したことが、「テロとの戦い」を進めるブッシュ大統領に有利に働いたと指摘されました。

今年、「オクトーバー・サプライズ」はあるでしょうか
サプライズだけに事前に予想することは困難でしょうが、大統領関連で言えば、例えば、民主党クリントン候補については、私用eメール問題やクリントン財団への献金問題で新しい展開がある、あるいは同候補の健康状況が急速に悪化する、などが考えられそうです。
共和党トランプ候補の場合は、トランプ大学に関して新たな事実が出てくる、納税記録が公表されて過去に納税実績がほとんどないことが明らかになる、外国(政府?)から資金支援を受けていることが明らかになる、などでしょう。両候補に関連して全く新しいスキャンダルが出る可能性も完全には否定できません

大統領選挙は別として、金融市場では10月に度々「ショック」が起きました
87年のNY株暴落、いわゆる「ブラックマンデー」は10月19日に発生しました(大恐慌時の「ブラックサーズデー」は10月24日)。98年に米大手ヘッジファンドLTCMが破たんしたのは9月でしたが、キャリートレードの巻き戻しで急激な円高となったのは10月初旬でした。2008年のリーマン・ショックも、リーマンブラザーズが破たんしたのは9月でしたが、関連した損失の大きさや広がりが明らかになり始め、各国当局が対応に追われたのは10月でした。ドル円も10月に入ってから大きく下落しました。

これから何かショックが起きるとすれば、震源地は欧州となるかもしれません。欧州金融機関の収益状況が引き続き芳しくないなか、ドイツ銀行が住宅ローン担保証券ビジネスに関して米当局から巨額の賠償を求められて経営危機に瀕しています。同行の株価はリーマン・ショック後のピークに比べて5分の1、年初に比べても半分にまで下落しています。
一方、米国でも金融機関にとって逆風が吹きそうです。顧客に無断で口座開設を行っていた問題で、ウェルズファーゴ銀行が議会で追及を受けています。また、クリントン氏はウォール街(≒大手金融機関)を厳しく監視するとしており、民主党の綱領には、銀行と証券の兼営を禁止したグラス・スティーガル法の復活が掲げられています。トランプ氏もウォール街に対する厳しい姿勢を鮮明にしています。

10月の注目イベント
9月26日に続き、大統領候補のディベート(TV討論)が10月9日と19日に、副大統領候補のディベートが4日に予定されています。上述の「オクトーバー・サプライズ」の可能性も含めて、大統領選挙戦の趨勢は大きな相場材料となる可能性があります。

次回、日銀の金融政策決定会合は10月31日-11月1日、米FOMCは11月1-2日に予定されています。市場では、経済指標の発表や当局要人の発言から、それらの会合に向けた期待が形成されるでしょう。
日銀は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という新しい枠組みのなかで、追加緩和するのか、そもそも追加緩和は可能なのか、長期金利の現行水準(ゼロ%程度)での「固定」は上手く行くのか、などが問われるでしょう。

11月のFOMCでは、議長の記者会見や経済・金融政策見通しの発表がないため、利上げはあるとしても12月との見方が有力です。FFレート(政策金利)先物によれば、9月29日時点で市場が織り込む11月利上げの確率は17%、年内では53%です。
それでも、9月のFOMCで3人の地区連銀総裁が利上げを主張して反対票を投じたことや、7月時点で12地区連銀のうち8つが公定歩合の引き上げに前向きだったことを過小評価すべきではないでしょう。今後の経済指標次第では利上げ観測が高まる可能性はありそうです。

10月7日発表の9月米雇用統計が重要指標の一つであることは間違いないでしょう。NFP(非農業部門雇用者数)の市場予想は前月比+17.5万人(8月実績+15.1万人)です。ただし、FOMC参加者の一部は、雇用の巡航速度を「+8万人(ウィリアムズSF連銀総裁)」あるいは「+5万人から+10万人(ダドリーNY連銀総裁)」とみており、それらを大きく下回らない限り、雇用堅調の判断に変更はなさそうです。また、フィッシャー副議長は、「労働市場への圧力が高まっており、賃金は上昇し始めた」との見解を表明しており、それが確認されるようであれば、利上げ材料とみなされそうです。

10月20日のECB理事会では追加緩和の有無が注目されます。ただし、現行のスキームでの資産購入が限界に近付いているため、購入条件の緩和・対象の拡大が必要となりそうです。また、日本のケースと同様、マイナス金利の深掘りは金融機関の収益を一段と悪化させかねないため、新たな緩和ツールが模索されるかもしれません。<チーフエコノミスト 西田明弘>


<主要通貨の動向>

【全体観・米ドル】 ドル/円、心理的ラインである「100円」を強く意識する展開に

9月マーケットのメインイベントであった日米金融政策会合も終了し、市場参加者の関心は10月の次なる材料に向かう動きとなっています。10月の主なイベント(抜粋)は以下の通りです。

3日(月) 米9月ISM製造業景況指数 *
4日(火) 米副大統領候補TV討論会
7日(金) 米9月雇用統計 *
9日(日) 第2回米大統領候補TV討論会
12日(水) 米FOMC議事録公表 *
19日(水) 第3回米大統領候補TV討論会
20日(木) ECB理事会、ドラギECB総裁定例会見
28日(金) 米第3四半期GDP速報値 *
31-1日(月-火) 日銀金融政策決定会合


10月は、FOMCおよびMPC(英金融政策委員会)の開催が予定されておらず、また日銀会合もその結果発表は11月1日となることから、10月開催予定の主要中銀会合はECB理事会が開催される20日のみとなっています。(※その他ではRBAキャッシュレート発表は4日、トルコ中銀政策金利発表は20日となっています。)

マーケットのテーマ・関心事は、変わらず『次の米利上げはいつか?』ということですが、そのヒントとなり得るのが、上記*印のイベント。まずは3日発表の9月ISM製造業景況指数が、景気拡大・後退の分岐点とされる50を回復できるのかどうかがポイントとなりそうです。(前回値:49.4、事前予想:50.2)

その他では7日の米9月雇用統計や28日の米第3四半期GDP速報値などがその材料となり得ますが、これら結果はあくまでも利上げ時期の判断に関する“ヒント”であって、“確証材料”とするには「10月」というのはタイミング的にそぐわないと言わざるを得ません。

というのも、直近のFOMC開催予定日は11月1-2日となっていますが、当会合ではイエレンFRB議長の会見がセッティングされておらず、一般的には議長会見が予定されていない会合で金融政策が変更される可能性は低く、その意味でも11月会合での利上げ判断というのは確率が低いと考えた方がいいでしょう。

となると、目先のFOMC会合で議長会見がセッティングされているのは12月13-14日の会合となっており、その意味でも「12月14日」は注目すべき日程と言えます。それまでは、イエレンFRB議長やフィッシャーFRB副議長、そしてその他FOMCメンバーといった要人発言に耳目が注がれる中、その他では米大統領選の成り行きが大きなマーケットインパクトとなりそうです。

その米大統領選挙ですが、先日26日に第1回のTV討論会が実施され、事後のCNNによる世論調査ではダブルスコアでのクリントン氏勝利が伝えられているものの、ネット世論ではトランプ氏が「圧勝」という情報もあり、まさに結果は蓋を開けてみなければ分からないというのが実情。

史上稀にみる「嫌われ者同士」の戦いとなっている米大統領選挙ですが、6月に行われたEU離脱を問う英国民投票の結果にある通り、まさに選挙は水物。10月9日と19日に予定されているTV討論において、クリントン元大統領の新たなスキャンダルの露呈やヒラリー候補自身の健康問題が再びクローズアップされる可能性もあり、事の成り行き次第では「トランプ大統領」が現実となる可能性も視野に入れておいた方がいいのかもしれません。

これらを総合すると、10月のドル/円の動きは、各種経済指標や米大統領候補TV討論会に合わせたイベント・ドリブン型の相場展開となりそうですが、メインテーマである「利上げ」判断に関しては確たる判断材料に乏しいこともあり、全般的にレンジ相場主体の動きとなりそうです。

具体的には、以下、ドル/円・週足・スパンモデル®+21週ボリンジャーバンド+DMIをご覧ください。



上記チャートより、1) 21MA(21週移動平均線)が右肩下がりであること、2) 先行1(=雲の下辺)と先行2(=雲の上辺)に乖離があり、抵抗帯がさらに厚くなっていること、3) 遅行スパンがローソク足の下方に位置していること、さらには4) DMIで-DIが+DIの上方に位置していることから、緩やかな下降トレンドが継続中であると判断できます。

特に2) もあり、ドル/円の上方硬直性相場はしばらく継続しそうで、先行1(=雲の下辺)近辺の104円手前では相当上値が重くなる可能性もありそうです。

「100円」という心理的ラインも加味しつつ、当該ラインを終値レベルで割り込んだ場合は、-2σラインである97円台の可能性も視野に入れるべきと考えます。

よって、10月におけるドル/円の基本戦略は【戻り売り】、月間のコアレンジは-2σラインから先行1である97.80-103.60円と想定します。<チーフアナリスト 津田隆光>

【ユーロ】 ユーロ/ドルはレンジ相場継続を示唆!

早速ですが、以下、ユーロ/ドル・週足・スパンモデル®+21週ボリンジャーバンド+DMIをご覧ください。



上記チャートより、1) 21MA(21週移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態であること、3) 各ボリンジャーバンド(シグマライン)が並行状態であることから、典型的なレンジ相場が継続中であると判断できます。

一方で、DMIにおいて+DIが-DIの上方に位置し、またADXが上方向へ伸びていることから、プラスの方向性、つまり上昇トレンドが強まりつつあることを示唆しています。

今回は、ボリンジャーバンドの方向性を優先し、概ね±2σライン内のゾーンをベースとするレンジ相場が継続すると判断します。よって、10月におけるユーロ/ドルの基本戦略は【レンジプレイ】、月間のコアレンジは±2σラインである1.0990-1.1370ドルと想定します。<津田>

【ポンド】 ポンド/円、下押し相場に要警戒

同じく早速ながら、以下、ポンド/円・週足・スパンモデル®+21週ボリンジャーバンド+DMIをご覧ください。



上記チャートより、1) 21MA(21週移動平均線)が右肩下がりであること、2) 先行1(=雲の下辺)と先行2(=雲の上辺)に乖離があり、抵抗帯がやや厚くなっていること、3) 遅行スパンがローソク足の下方に位置していること、さらには4) DMIで-DIが+DIの上方に位置していることから、ドル/円と同じく緩やかな下降トレンドが継続中であると判断できます。

ポンド/円についても、ローソク足の上方に分厚い抵抗の雲があるため、上方硬直性相場はしばらく継続しそうです。

ポンド/円の目先の下値メドは7月6日に付けた安値である128.68円。当該レベルを終値レベルで下回った場合は、週足・-2σラインである120.00円台まで下落する可能性も視野に入れておいた方がよさそうです。

総合すると、10月におけるポンド/円の基本戦略は【戻り売り】、月間のコアレンジは-2σラインから先行1である128.00-140.10円と想定します<津田>


<資源・新興国通貨の動向>

【豪ドル】 26日のインフレ統計が重要、RBAの金融政策に影響しそう

RBA(豪中銀)のスティーブンス総裁が9月18日、任期満了で退任。同日付でロウ副総裁が総裁に昇格しました。ロウ新総裁は22日に豪下院の経済委員会に出席。目標を下回るインフレ率について、「しばらくの間、低水準にとどまる」とする一方、「労働市場の改善にともない徐々に上昇していく」との見方を示しました。

RBAは10月4日に政策金利を発表します。今年5月と8月の利下げは低インフレが主因だったことを踏まえると、RBAは10月26日に発表される豪州の7-9月期のインフレ統計を待つとみられます。10月の会合では、政策金利を現行の1.50%に据え置きそうです。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)では、9月30日時点で10月に政策金利が据え置かれる確率が94.9%織り込まれています。政策金利が据え置かれて、声明も9月から大きな変化がなければ、豪ドルはほとんど反応しないかもしれません。

RBAの会合が終わると、26日のインフレ統計が豪ドルの次の大きな相場材料になりそうです。その結果を受けて、市場の金融政策見通しが変化すれば、豪ドルが反応する可能性があります。インフレ統計までは、豪ドルは鉄鉱石や原油などの資源価格や、米FRB(連邦準備理事会)など他の中銀の金融政策見通しといった外部要因に左右される展開になりそうです。<アナリスト 八代和也>


出所:Bloombergより作成

【NZドル】 18日の7-9月期CPI発表に注目、弱ければ11月に追加利下げか!?

RBNZ(NZ中銀)は9月22日、政策金利を2.00%に据え置くことを決定。声明では、「われわれの現在の予想や想定は、将来のインフレ率が目標レンジの中央付近で確実に落ち着くようにするために、追加の政策緩和が必要になることを示唆している」と表明、追加利下げを改めて示唆しました。

RBNZの今年3月と8月の利下げは、低インフレやインフレ期待の低下が主因でした。10月18日に7-9月期CPI(消費者物価指数)11月2日にRBNZのインフレ期待調査が発表されます。この2つの経済指標が、次回11月10日の会合で追加利下げに踏み切るどうかの重要な判断材料になりそうです。10月18日のCPIが弱い結果になれば、市場では11月会合での追加利下げ観測が高まりそうです。NZドルに下落圧力が加わる可能性があります。一方、CPIが強い結果になれば、11月利下げ観測が後退しそうです。その場合、NZドルにとってプラス材料になりそうです。

市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)では、RBNZが11月の会合で0.25%の利下げを行う確率が77.0%、政策金利を据え置く確率が23.0%織り込まれています(9月29日時点)<八代>


出所:Bloombergより作成

【カナダドル】 OPECが減産合意。原油価格の動向に引き続き注目!

カナダドルは原油価格に影響を受けやすい状態が続いています。米WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物など原油価格の動向に引き続き注目する必要がありそうです。

OPEC(石油輸出国機構)は9月28日、アルジェで非公式会合を開催し、原油の生産量を現在の日量3324万バレル(推定)から3250万-3300万バレル程度へと削減することで合意しました。OPECが減産を決めたのは、2008年以来、約8年ぶりです。

OPECの減産合意を受けて、原油価格が上昇したことはカナダドルにとってプラス材料です。ただし、OPECは各国の具体的な生産量の上限など詳細は今後調整するとしており、生産量の割当をめぐって調整が難航する可能性があります。その場合、原油価格は再び下落基調となり、カナダドルに売り圧力が加わる可能性もあります。<八代>


*原油価格・・・米WTI先物
出所:Bloombergより作成

【トルコリラ】 格下げでトルコリラが売られるも、長続きしない?

TCMB(トルコ中銀)は9月22日、3つの政策金利のうち、1週間物レポ金利(主要政策金利)と翌日物借入金利を据え置く一方、翌日物貸出金利を0.25%引き下げることを決定しました。

TCMBは声明で、「最近の経済指標は経済活動の減速を示している」と指摘。目標を上回るインフレ率については、総需要の減速がコアインフレ率の緩やかな鈍化に寄与しているとし、総合インフレ率は食品価格の下落を通じて短期的に下落することが見込まれるとしました。そのうえで、「単純化に向けた措置を慎重に進めることを決定した」と表明しました。9月の声明では、今後の方針は明確に示されませんでした。ただ、経済やインフレに関する文言を踏まえると、TCMBは10月も単純化をさらに進める可能性が高いとみられます。

一方、格付け会社のムーディーズは9月23日、資本逆流や景気減速のリスクなどを理由に、トルコの格下げを発表。同国の長期国債格付けを投資適格級最低の「Baa3」から投機的等級である「Ba1」へと1段階引き下げました。格付け見通しは「安定的」です。ムーディーズの格下げ発表を受けて、週明け26日にトルコ株が急落し、トルコリラが売られました。

ただし、今回のムーディーズの格下げを材料にトルコリラが売られる状況ではなさそうです。同社はトルコ国債の格付け見通しをすでに「ネガティブ(引き下げ方向)」としており、10月中旬までに格付けの見直し結果を発表するとしていました。予想外のタイミングで格下げが発表されたことで、トルコリラが敏感に反応しましたが、今回の格下げはある程度予想されていたことから、いったんは織り込み済みと言えるかもしれません。

トルコリラ/円は7月のクーデター未遂事件以降、33-34円台を中心に上下を繰り返してきました。新たな相場材料が出てこなければ、この動きが続きそうです。<八代>


出所:Bloombergより作成

【南アランド】 SARBの利上げサイクルは最終局面!?ランド/円はレンジの動きか

SARB(南アフリカ中銀)は9月22日、政策金利を7.00%に据え置きました。SARBは今回、GDP成長率見通しを従来予想から上方修正する一方、CPI上昇率見通しを下方修正しました。

<SARB見通し>
*( )は従来の見通し

○GDP成長率(前年比)
 ・2016年:+0.4%(+0.0%)
 ・2017年:+1.2%(+1.1%)
 ・2018年:+1.6%(+1.5%)

○CPI上昇率(前年比)
 ・2016年:+6.4%(+6.6%)
 ・2017年1-3月期:+6.2%(+6.6%)、
 ・同4-6月期:+5.8%(+6.1%)

クガニャゴ総裁は会合後の会見で、「インフレ見通しのリスクはおおむね均衡している」と指摘。MPC(金融政策委員会)はCPIの軌道を依然として懸念しているとしながらも、「2017年4-6月期には持続的に目標内で推移する」と述べました。

SARBは昨年7月以降、計4回、あわせて1.25%の利上げを実施。その背景に、インフレ圧力の高まりがありました。SARBが今回、CPI上昇率見通しを下方修正したことや、クガニャゴ総裁の発言を踏まえると、SARBの利上げは最終局面にある可能性があります。


一方、SARBには現時点で利下げは選択肢に含まれていないようです。クガニャゴ総裁は、9月22日の政策金利据え置きの決定は全会一致であり、利下げは議論しなかったことを明らかにしました。

SARBの利上げが最終局面にある可能性があることは、ランドにとってプラス材料のひとつが剥落したと言えるかもしれません。ただし、市場の関心がSARBよりも、米FRB(連邦準備理事会)や日銀など他の中銀の先行きの金融政策に向いているためか、SARBの会合後、ランドは底堅く推移しています。ランド/円は今年に入り、おおむね6.80-7.80円で推移しており、この動きはまだ続く可能性があります。<八代>




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