市場調査部レポート

2016/09/16 13:03焦点は日銀「総括的検証」の中身!

【相場環境】重要なのは「ポスト・ミーティング」!?
【全体観・米ドル】焦点は日銀「総括的検証」の中身!
【ユーロ】ユーロ/ドルはレンジプレイが継続しそう?
【ポンド】ポンド/円、副次的な展開となりそう
【NZドル】RBNZが11月の利下げを示唆するかに注目!
【トルコリラ】TCMBは政策金利の単純化を一段と進めそう
【南アフリカランド】SARBは政策金利を据え置きか


【相場環境】 重要なのは「ポスト・ミーティング」!?

来週は、21日昼過ぎに日銀の金融政策決定会合の結果が判明し、22日午前3時ごろに米FOMCの結果が判明するというようにビッグイベントが続きます。
8月31日付けシナリオレポート「日米の会合、運命の9月21日!?」では、日銀の追加緩和の「ある」「なし」、FRBの利上げの「ある」「なし」の組み合わせで4つのシナリオを考察しました(詳細はマイページ内の同レポートをご覧ください)。

同レポートでは、日米それぞれの確率を独自判断としていました。本稿では、日銀はブルームバーグのエコノミスト調査、FRBはFFレート(政策金利)先物に基づく確率と用いて、シナリオの生起確率を改めて算出しました(次ページ図参照)。

注目されるのは、8月末時点で確率の高さが3番目だったシナリオ(4):14%が、足元では確率38%で2番目に浮上したことでしょう。
シナリオ(4)は、「日銀なし」と「FRBなし」の組み合わせです。仮に、シナリオ(4)が実現すれば、日銀の追加緩和という「円安」要因も、FRBの利上げという「ドル高」要因も発生しないので、会合の結果を受けて2段階でドル安円高が進む可能性もあるため、注意が必要でしょう。



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上述のシナリオレポートでは、単純化のために「ある」「なし」という二分法を用いました。しかし、会合の結果発表に付随する声明文や総裁(議長)の会見などが発する、「今回の会合以降(ポスト・ミーティング)」に関するメッセージ次第では、市場の反応は大きく異なる可能性があります。

日銀の場合は、金融緩和限界説や、国債購入の縮小・停止に向かう「出口」戦略説が市場に根強くあります。それらを払拭して、追加緩和期待を醸成することができるかが注目されます。仮に、今回、日銀が追加緩和に踏み切って「円安」が示現しても、追加緩和期待が消滅するようであれば、「円安」は短命に終わるかもしれません。逆に、現状維持であっても、追加緩和期待が根強く残れば、円高の頭は重いものとなりそうです。

FRBの場合は、どのような利上げのペースが想定されるかが重要なポイントでしょう。仮に、今回、FOMCが利上げを実施しても、当面の打ち止めが示唆される、あるいは年1回程度の利上げのペースが想定されるようなら、利上げを受けて「ドル高」になっても、それは続かないかもしれません。逆に、FOMC参加者の政策金利見通しなどから、来年末に向けて複数回の利上げが想定されるようなら、「ドル高」基調は継続するかもしれません。<チーフエコノミスト 西田明弘>


【全体観・米ドル】 焦点は日銀「総括的検証」の中身!

[ドル/円、来週のトレンドおよびコアレンジ予想]
○ドル/円:戻り売り相場98.40-104.40円

いよいよ次週に迫る日米金融政策会合。

今回は奇しくも日米とも同日である9月20-21日のタイミングとなり、時差の関係上、まず日銀会合が開催され、遅れること約半日後に米FOMCが開催されます。

先般の市場調査部シナリオレポートvol.6『日米会合、運命の9月21日!?』において4つのシナリオを提示しましたが、16日時点におけるFRBの9月利上げ確率(Fedウォッチ)が12%程度ということもあり、マーケットでは「日銀が追加緩和をするのか、しないのか」についてのシングルイシューとなっていると見ていいかもしれません。

その日銀会合において、マーケットの耳目が集中しているのが・・・「総括的検証」の中身。その中身の予想について、以下ご確認ください。

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<量>
国債増額:80兆円→70-90兆円

国債増額を「70-90兆円」と表現し、幅を持たせることで、“テーパリング”(=量的緩和の縮小)という出口戦略も示唆しつつ、増額に対する期待感を持たせる作戦。市場参加者は「70兆円」という減額数字にネガティブな反応を示すことも予想されますが、アルゴリズム対策としてある程度ファジーな表現をすることで、相場の瞬間的な乱高下をカバーするという効果も期待できそうです。

<期間>
2%物価目標の柔軟化。ただし、期間の「2年」は事実上撤回

「2%目標」という縦軸ベンチマークは降ろさないものの、マイルストーンの設置等で横軸を伸ばすことで、達成時期の“ビハインド・ザ・カーブ”(=後ズレ)を画策。事実上「2年」の約束は反故にされているため説得力には欠けるものの、達成に向けてのファイティング・ポーズは継続させるのでは?

<金利>
マイナス金利幅:マイナス0.1%→マイナス0.2-0.3%

マイナス金利幅の深掘りを実施。今年1月に実施したマイナス金利政策の評判は特に銀行を中心とする金融機関に非常に悪いものの、理論的に通貨安をもたらすという信念のもとに実施する可能性は高いと考えます。ただし、当該施策がマーケットに好感されるか否かは未知数。(おそらく反応はネガティブでしょう。) 一方で、銀行を中心とする金融機関に対するバーター施策として、イールドカーブのスティープ化を目的とするツイスト・オペ(オペレーション・ツイスト)を実施し、短期金利の下落に伴う通貨安誘導を行う可能性もゼロではなさそうです。
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今回はあくまで「検証」としているため、できるだけ小出しにして次回(10/31-11/1ないしは12/19-20)に向けての“露払い”という位置付けにする可能性も考えられます。

マーケットに対するインパクトを強めるためには<量>や<質>部分に外債を組み入れたり、また建設国債や財投債を買い入れるという選択肢もなきにしもあらず。

一方で、このままのペースで日銀が国債や株式を買い入れると、財政ファイナンス懸念や限界感とともに、あたかも日銀主導で社会主義国家体制への道を着々と歩んでいると曲解される可能性もあり、最終的には袋小路に陥ってしまう可能性も否めません。

その答えは、次週21日(水)のお昼頃にははっきりする訳ですが、内容次第ではボラティリティの高い相場展開となることも想定できます。

くれぐれも、ご自身のリスク許容度をシミュレーション画面等で事前に確認し、前以て最悪のケースを想定した“ストレステスト”を実施いただくようお願いします。

閑話休題、以下ドル/円・週足・21週ボリンジャーバンド+スパンモデル®+パラボリック+DMIをご確認ください。



上記チャートより、1) 21MA(21週移動平均線)が右肩下がりであること、2) ローソク足の上方に赤い雲(=抵抗帯)があること、3) 遅行スパンがローソク足の下方に位置していること、4) パラボリック・SARがローソク足の上方で点灯していること、さらには5) DMIにおいて-DI>+DIとなっていることから、下降トレンドが継続中であることが見て取れます。

上記チャートから勘案するドル/円のコアレンジは、-2σラインから21MAラインである98.40-104.40円と想定します。

次週は21日に日米のビッグイベントが控えているものの、現時点のチャート形状を見る限りは、余程のポジティブサプライズがない限りは上方硬直性相場が当面継続すると考えた方がよさそうです。

その日米金融政策会合におけるシナリオについては、9/15(木)『M2TV緊急特番動画:迫る9・21!日米金融政策のシナリオ』(http://v.portal.jikiden.jp/S8xvKuaM?autoplay)をご覧いただければ幸いです。(※URLをクリックすると音声が出ますのでご注意ください)<チーフアナリスト 津田隆光>


【ユーロ】 ユーロ/ドルはレンジプレイが継続しそう?

[ユーロ/円・ユーロ/ドル、来週のトレンドおよびコアレンジ予想]
○ユーロ/円:戻り売り相場113.00-117.00円
○ユーロ/ドル:レンジ相場1.1080-1.1330ドル

以下早速ですが、ユーロ/ドル・週足・21週ボリンジャーバンド+スパンモデル®+パラボリック+DMIをご確認ください。



上記チャートより、1) 21MA(21週移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状であること、3) パラボリック・SARがローソク足の下方で点灯していること、また4) DMIにおいて+DI>-DIとなっていることから、下値がしっかりとした横ばい基調(レンジ相場)が継続すると見てよさそうです。

上記チャートから勘案するユーロ/ドルのコアレンジは、±1σラインである1.1080-1.1330ドルと想定します。

次週のマーケット主要テーマは日米の金融政策会合となっていることもあり、欧州単体材料での動意は乏しく、次週のユーロはドルの動きをベースとした副次的な動きとなりそうです。<津田>


【ポンド】 ポンド/円、副次的な展開となりそう

[ポンド/円、来週のトレンドおよびコアレンジ予想]
○ポンド/円:戻り売り相場132.40-141.00円

以下、ポンド/円・週足・21週ボリンジャーバンド+スパンモデル®+パラボリック+DMIをご確認ください。



上記チャートより、1) 21MA(21週移動平均線)が右肩下がりであること、2) ローソク足の上方に赤い雲(=抵抗帯)があること、3) 遅行スパンがローソク足の下方に位置していること、4) パラボリック・SARがローソク足の上方で点灯していること、さらには5) DMIにおいて-DI>+DIとなりつつあることから、戻り売り相場が継続中と見ることができます。

上記チャートから勘案するポンド/円のコアレンジは、-1σラインから先行1スパンである132.40-141.00円と想定します。

ユーロ同様、次週のマーケット主要テーマは日米の金融政策会合となっていることもあり、英国や欧州単体材料での動意は乏しく、次週のポンドはドルや円の動きをベースとした副次的な動きとなりそうです。<津田>


【NZドル】 RBNZが11月の利下げを示唆するかに注目!

RBNZ(NZ中銀)が9月22日に政策金利を発表します。RBNZは前回8月11日の会合で0.25%の利下げを決定。声明で「われわれの現在の予想や想定は、将来のインフレ率が目標レンジの中央付近で確実に落ち着くようにするために、追加の政策緩和(=利下げ)が必要になることを示唆している」と指摘し、追加利下げの可能性を示しました。

22日の会合では、政策金利の2.00%据え置きが決定されそうです。RBNZのマクダーモット総裁補佐は前回会合後、政策変更は金融政策報告書の公表にあわせて行うのが望ましいとの見解を示しました。また、ウィーラー総裁は8月23日、「急速な利下げは、持続不可能な成長加速や生産能力面の制約を招く可能性があるとともに、すでに過熱が深刻化している不動産市場をさらにあおることになる」と指摘、連続利下げに慎重な姿勢を示しました。次回の金融政策報告は11月10日に公表されます。加えて、7-9月期のCPI(消費者物価指数)が10月18日、RBNZによるインフレ期待調査が11月2日に発表されることや、乳製品価格が上昇傾向にあることを踏まえると、RBNZは9月の会合では政策を据え置き、11月10日の会合で追加利下げの是非を判断するとみられます。

市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)では、9月の利下げの確率が18.3%(据え置き:81.7%)織り込まれています。利下げの確率は11月までで59.7%へと上昇、市場のメインシナリオが「9月据え置き、11月利下げ」であることが確認できます。

9月22日の会合で、政策金利が2.00%に据え置かれた場合、声明が焦点になりそうです。声明では、先行きの金融政策やNZドルに関する文言に注目です。11月の利下げを示唆するような文言になればNZドルが下落、11月利下げが示唆されなければNZドルが上昇する可能性があります。一方、NZドルについては、前回8月の声明では、「貿易加重平均した為替レートは6月の金融政策報告における想定よりも著しく高い」「NZドル高はインフレ目標の達成を難しくする。NZドルの下落が必要」との見解が示されました。前回会合以降、NZドル高が進んだことから、RBNZはNZドル高けん制のトーンを強める可能性があり、注意が必要かもしれません。<アナリスト 八代和也>


【トルコリラ】 TCMBは政策金利の単純化を一段と進めそう

TCMB(トルコ中銀)が9月22日に政策金利を発表します。TCMBは3つの政策金利を最終的に「一本化(=単純化)」する方針を示しており、その第一段階として金利コリドー(翌日物貸出金利と翌日物借入金利の差)を狭める措置を今年3月に開始、8月まで6会合連続で翌日物貸出金利を引き下げました。現在は、翌日物貸出金利が8.50%、1週間物レポ金利が7.50%、翌日物借入金利が7.25%です。

今回の会合では、単純化がさらに進められ、これまでと同様に翌日物貸出金利の引き下げが決定されそうです。その幅は過去2か月と同じ0.25%になる可能性が高いとみられます。

翌日物貸出金利が1週間物レポ金利や翌日物借入金利に近づくなか、TCMBが単純化をこれまで通り続けるのかどうか、それともそのペースを落とすのかどうか、その手掛かりを得るうえで声明に注目です。<八代>


出所:Bloombergより作成


【南アフリカランド】 SARBは政策金利を据え置きか

SARB(南アフリカ中銀)が9月22日に政策金利を発表します。SARBは前回7月21日の会合で、政策金利を7.00%に据え置くことを決定。クガニャゴ総裁はその時の会見で、6人の政策メンバー全員一致で据え置きが決定され、利上げと利下げのいずれも議論されなかったことを明らかにする一方、「MPC(金融政策委員会)は引き続き、インフレ見通しの大幅な変化に適切に行動する用意がある」と述べ、追加利上げに含みを持たせました。

22日の会合では、政策金利の7.00%据え置きが決定される可能性が高いとみられます。食品価格の上昇やランド安を主因とするインフレ圧力を背景に、SARBは昨年7月以降、計4回、あわせて1.25%の利上げを実施。直近2会合は政策を据え置きました。南アフリカの7月のCPI上昇率は+6.0%と、SARBのインフレ目標(+3から6%)の上限にあり、インフレ率が高止まりする一方、干ばつや慢性的な電力不足、そしてこれまでの利上げの影響で、南アフリカ経済は低迷。4-6月期GDPは前期比年率+3.3%と、2014年10-12月期以来の強い伸びを記録したものの、1-3月期は1.2%のマイナス成長でした。

SARBはインフレ圧力と経済の低迷の狭間で難しい金融政策運営を迫られるなか、ランドの対ドル相場は前回7月の会合以降、比較的落ち着いており、SARBが利上げを急ぐ必要性は低いとみられます。ただし、前日(9月21日)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げが決定されて、ランド安が加速するようであれば、SARBは追随利上げに踏み切る可能性もあります。<八代>




※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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