市場調査部レポート

2016/08/12 13:208月は「夏枯れ」ならぬ「夏荒れ」相場に?

・【全体観・米ドル】 8月は「夏枯れ」ならぬ「夏荒れ」相場に?
・【ユーロ】 ユーロ/円、当面はレンジプレイ継続か
・【ポンド】 ポンド円は下降トレンド初期段階?
・【豪ドル】 16日のRBA議事録に注目!
・【NZドル】 政策金利は過去最低の2.00%に。RBNZは追加利下げを示唆
・【トルコリラ】 19日のフィッチの格付け見直しが相場材料になりそう


【全体観・米ドル】 8月は「夏枯れ」ならぬ「夏荒れ」相場に?

[ドル/円、来週のトレンドおよびコアレンジ予想]
○ドル/円:レンジ相場:100.00-104.00円

早ければ11日・山の日から、また一般的にお盆入りとなる13日から夏休みという市場参加者が多いのかもしれません。

海外市場においても夏のバカンスシーズンとなり、市場参加者が極端に少なくなるこの時期の相場について「閑散相場」「夏枯れ相場」と表すことが一般的ですが、昨今の相場状況を振り返ると、この時期は普段の月に比べて一つの材料やきっかけを以て大きく上下にブレやすい「夏荒れ相場」が多くなってきたと言えるのかもしれません。

一般的な「シーズナリー・サイクル」(季節的循環)でいえば、8月は「株安」「円高」になりやすいとも言われており、直近のデータでもその傾向がみられるのも事実。

しかも、「8月」という季節性は経済のみならず、政治・軍事において大きな事件や戦争・紛争が起きるきっかけとなることが歴史的に多くみられ、政治・軍事でいえば古くはウォーターゲート事件(1973年)やイラク軍のクウェート侵攻(1990年)があったのも8月です。

経済でいえば、古くは1980年のメキシコ債務危機、1998年のロシア財政危機があり、記憶の新しいところではかのリーマンショックの引き金とも言われるパリバショック(2007年)や、昨年のチャイナショック(2015年)などが挙げられます。以下、「8月に起こった歴史的出来事」につき、ご確認ください。



また、8月の半ばはちょうど9月決算のヘッジファンドにおける「45日前ルール」※の時期にあたり、その前までとは逆フローの相場展開となることが多いのもこの時期の特徴と言えます。(※多くのヘッジファンドは私募形式のため、1人の投資家の解約がファンド全体に与える影響を出来るだけ減殺するために、ヘッジファンドを解約する場合は45日前に通知するという「45日前ルール」を採用しています。)

以上より、「8月相場」はシーズナリー・サイクルの観点からも、また歴史的事実からも、そして実務上の観点からも相場は大きくブレやすいと想定した方が無難なのかもしれません。

お盆休みは、海へ山へ、そして国内外の観光地へ旅行される方もいれば、お家でゆっくりと過ごされる方もいるかと思いますが、相場にありがちな「まさかの坂」に十分備え、「8月相場」に振り回されないよう、くれぐれもリスク管理には留意していただくようお願いします。

閑話休題。以下、ドル/円・日足・ボリンジャーバンド+DMIをご覧ください。



上記チャートを見てみると、1) 21MAが概ね横向きであること、2) ローソク足が-2σから-1σラインの間にあること、3) DMIにおいて-DIが+DIの上方に位置していることから、【上値の重いレンジ相場】を形成しつつあることが確認できます。

上記チャートから勘案するドル/円の上値メドは、21MAラインである103.75円
同じく、上記チャートから勘案するドル/円の下値メドは、-2σラインである99.56円

総合すると、ドル/円の当面のコアレンジは概ね100-104円と判断し、レンジプレイ主体の動きになると想定します。<チーフアナリスト 津田隆光>


【ユーロ】 ユーロ/円、当面はレンジプレイ継続か

[ユーロ/円・ユーロ/ドル、来週のトレンドおよびコアレンジ予想]
○ユーロ/円:レンジ相場:111.50-115.00円
○ユーロ/ドル:レンジ相場:1.1080-1.1210ドル

早速ですが、以下、ユーロ/円の日足・ボリンジャーバンド+DMIをご覧ください。



上記チャートを見てみると、1) 21MAが概ね横向きであること、2) ローソク足が-2σから-1σラインの間にあること、3) DMIにおいて-DIが+DIの上方に位置していることから、ドル/円同様【上値の重いレンジ相場】を形成しつつあることが確認できます。

上記チャートから勘案するユーロ/円の上値メドは、21MAラインである115.01円
同じく、上記チャートから勘案するユーロ/円の下値メドは、-2σラインである111.43円

総合すると、ユーロ/円の当面のコアレンジは概ね111.50-115.00円と判断し、ドル/円と同じくレンジプレイ主体の動きになると想定します。<津田>


【ポンド】 ポンド/円は下降トレンド初期段階?

[ポンド/円、来週のトレンドおよびコアレンジ予想]
○ポンド/円:レンジ相場(or 戻り売り相場)130.00-136.50円

以下、ポンド/円・日足・ボリンジャーバンド+パラボリック+DMIをご確認ください。



上記チャートを見てみると、1) 21MAが概ね横向きであること、2) ローソク足が-2σから-1σラインの間にあること(=「下降バンドウォーク」初期段階)、3) DMIにおいて-DIが+DIの上方に位置していることから、概ね【上値の重いレンジ相場】を形成しつつあるものの、一方では下降トレンド初期段階と捉えてもよさそうです。

上記チャートから勘案するポンド/円の上値メドは、21MAラインである136.51円
同じく、上記チャートから勘案するポンド/円の下値メドは、-2σラインである130.04円

総合すると、ポンド/円の当面のコアレンジは概ね130.00-136.50円と判断し、ドル/円・ユーロ/円と比べると、上方硬直性相場(=上値の重い相場)と言えそうです。-2σライン(≒130.04円)を終値レベルで割り込んだ場合は、下落速度が加速する可能性もありそうです。<津田>


【豪ドル】 16日のRBA議事録に注目!

RBA(豪中銀)議事録が16日に公表されます。0.25%の利下げを決定した今月2日の会合の議事録です。RBAは2日の声明では、「理事会は、今回の会合で金融政策を緩和する(=利下げ)ことによって、インフレ率が徐々に目標に戻り、経済が持続的に成長するとの見通しが改善されると判断した」とし、今後の金融政策について言及しませんでした。

RBAは、インフレ率が2018年末までの予測期間の大半において、目標下限である+2%を下回るとの見通しを示しており、次の一手は利下げとみられます。議事録では、次の利下げ時期を含めて、今後の金融政策について何らかの手掛かりが示されるのかどうかに注目です。議事録の内容が近い将来の追加利下げの可能性を感じさせなければ、市場では政策金利は当面、据え置かれるとの見方が強まる可能性があります。その場合、豪ドルにとってプラス材料になりそうです。<アナリスト 八代和也>


【NZドル】 政策金利は過去最低の2.00%に。RBNZは追加利下げを示唆

RBNZは11日、政策金利を2.25%から0.25%引き下げ、過去最低の2.00%にすることを決定しました。

声明では、CPI上昇率(インフレ率)は7-9月期に一段と弱含んだ後、10-12月期から高まるとの見通しを示しました。「長期インフレ期待は2%でしっかりと固定されている」とする一方、「総合インフレ率の持続的な弱さは、インフレ期待を一段と押し下げるリスクがある」との見解を示しました。

NZドルに関しては、「貿易加重ベースのNZドルは、6月の金融政策報告における想定よりも著しく高い」と指摘。「通貨高が輸出および輸入の競合部門にさらなる圧力を加えており、世界的な低インフレとともに貿易財部門のマイナスのインフレ率を引き起こしている」との見解を示したうえで、「NZドル高はインフレ目標の達成を難しくする。NZドルの下落が必要」と強調しました。

先行きの金融政策については、「われわれの現在の予想や想定は、将来のインフレ率が目標レンジの中央付近で確実に落ち着くようにするために、追加の政策緩和(=利下げ)が必要になることを示唆している」と表明、追加利下げを示唆しました。

RBNZが同時に公表した金融政策報告で、政策金利の方向性の目安になると考えられている90日物銀行手形金利は、今年4-6月期の2.4%から来年半ばにかけて1.8%へ低下するとの見通しが示されました。政策金利は本日の会合で2.00%となったため、90日物銀行手形金利を参考にすると、RBNZはあと1回の利下げを想定しているとみることができそうです。

RBNZのウィーラー総裁は、政策金利発表後の会見や議会証言で、NZドル高に懸念を表明。「通貨(NZドル)の下落を望む」「利下げでNZドルに対する圧力が軽減することを望む」「為替レートが経済に与える圧力を懸念している」と述べました。

通貨高は、輸入物価を通じてインフレへの下押し圧力となります。RBNZが今後、追加利下げに踏み切るかどうかは、経済指標とともに、NZドルの動向もカギになりそうです。貿易加重ベースのNZドルは足もと76前後で推移、今回の金融政策報告では今年7-9月期に76.0、10-12月期に75.9、来年1-3月期に75.6との見通しが示されました。RBNZの見通し以上にNZドルが進む場合、そのぶん、RBNZが追加利下げに踏み切る可能性が高まるかもしれません。<八代>


【トルコリラ】 19日のフィッチの格付け見直しが相場材料になりそう

格付け会社のムーディーズは5日、7月半ばに発生したクーデター未遂事件がトルコの成長見通しなどに与える影響を見極めるためとして、トルコ国債の格付けの見直し結果の発表を延期すると表明、10月中旬までに結論を出すとしました。

フィッチが19日に、トルコ国債の格付けの見直し結果を発表する予定です。同社はトルコ国債に対し、投資適格級最低の「BBBマイナス」の格付けを付与。今回格下げが行われれば、「投機的等級(ジャンク)」に転落することになります。その場合、トルコリラに下落圧力が加わる可能性があります。<八代>


*黄色がトルコ国債の格付け(外貨建て、8月10日時点)
出所:Bloombergより作成


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