市場調査部レポート

2016/06/17 14:10全ての目は英国民投票に!?

<お知らせ>
「ウィークリー・アウトルック」の次号は6月27日(月)に配信します。通常は金曜日配信ですが、23日の英国の国民投票の結果をレポートにフルに反映させるためです。
また、「マンスリー・アウトルック」は通常、最終金曜日に配信しますが、次号は7月1日(金)にお送りします。よろしくお願い申し上げます。

・【相場環境】全ての目は英国民投票に!?
・【全体観・米ドル】ドル/円、下値メドとして「100円台」も視野に?
・【ユーロ】ユーロ/ドル、週足・一目均衡表に要注目!
・【ポンド】君子危きに近寄らず!
・【豪ドル】英国民投票の次は豪総選挙に注目!?
・【NZドル】英「EU離脱」なら対円は70円台に向かう可能性も!?
・【トルコリラ】対円は34円近辺が下値の目安になりそう


【相場環境】 全ての目は英国民投票に!?

今週の日米の金融政策会合はいずれも現状維持で、大方の市場予想の通りでした。それでも、日銀の結果を受けて円が急伸したのは、来週のEUからの離脱の是非を問う英国民投票を前に投資家心理がリスクオフに傾きやすいなかで、投機筋が円買い仕掛けのタイミングを待っていたからかもしれません。

来週は英国民投票への関心が一段と高まりそうです。投票日までは、世論調査の結果やいくつかの討論会での優劣に市場が一喜一憂する状況がみられそうです。

世論調査では離脱派がやや勢いを増しています。一方で、ブックメーカーのオッズは、差が縮まりつつも引き続き「残留」が優勢です。そうした違いはあるものの、両者はほぼ拮抗しているとみられ、予断を許さない状況は続きそうです。

EU残留が決定すれば、不透明感が払しょくされるので、ポンドは大きく反発するかもしれません。また、ユーロ圏は英国がEUに残留する方が経済的メリットは大きいとみられるので、ユーロは対ドルで反発するかもしれません。また、「国際金融市場を神経質にする要因(米FOMC議事録)」が除去されるので、市場でリスクオンのムードが高まる可能性があり、その場合は「円安」になりそうです。

EU離脱が決まれば、BOEの分析ではポンドは「恐らく大幅に」下落する可能性があります。ブックメーカーのオッズに基づけば「サプライズ」の結果であり、金融市場の反応は大きくなるかもしれません。ポンドが下落し、ユーロも英国離脱のデメリットが意識されて、ポンドに連れて下落、反対側でドルが上昇するかもしれません。EU離脱の決定を受けて英国など世界の株価が大きく下落するならば、市場のムードがリスクオフに傾くことで、円が対欧州通貨を中心に大幅に上昇し、対ドルでも上昇する可能性がありそうです。

もっとも、EU残留とEU離脱のケースとでは、金融市場の反応は完全な「シンメトリー(対称)」ではなさそうです。とりわけ、時間軸に大きな差がでそうです。EU残留は従来の日常への回帰なので、市場はすぐに落ち着きを取り戻すかもしれません。

一方で、EU離脱は英国とEUとの長い交渉の始まりを意味します。交渉期間は最低でも2年とされていますが(=早ければ2018年夏に実際の離脱)、EUが望めば延長も可能とのことです。

交渉の過程で、離脱後も英国がEUと近密な、従来に近い関係を構築できるのか、それとも全く新しい関係が模索されるのか、金融市場は固唾を飲んで見守ることになりそうです。

また、EU残留を推進してきたキャメロン政権の弱体化を含め、国内政治が不安定になるかもしれません。いずれも、比較的大きな変動が続きつつ、ジワジワとポンド安が進行するイメージでしょうか。


                       
<チーフエコノミスト 西田明弘>


【全体観・米ドル】 ドル/円、下値メドとして「100円台」も視野に?

[ドル/円、来週のトレンドおよびコアレンジ予想]
○ドル/円:戻り売り相場:103.40-110.00円(100.70-110.00円)

今週は日米中央銀行会合というビッグイベントがあったものの、会合後のイエレン議長および黒田総裁の会見にもある通り、結局のところマーケットの焦点は来週23日(木)の英国民投票の結果次第というスタンスに終始しました。

16日、イングランド北部のウェストヨークシャーの集会において、EU残留支持派のコックス下院議員(労働党)が同離脱派と思われる暴漢に銃撃され殺害された事件は、一部お祭り騒ぎの部分もあった英国の残留・離脱論争に冷や水を浴びせるような形となり、国民投票のための活動が一時中止される事態となりました。

この不幸な事件により残留支持派が勢いを取り戻し、リスク回避の動きが若干弱まった動きが見られましたが、仮にこれから投票までの間にテロ事件や難民問題等が改めてクローズアップされた場合、離脱派の勢いがさらに増す可能性も否定できず、予断を許さない状況に変わりはありません。

これからの一週間は、「残留」「離脱」のワードによってアルゴリズムを主体とするボラティリティの高い相場展開になることも想定されるため、リスクマネージメント主体のトレードを行うことが基本と言え、また「君子危きに近寄らず」の言葉通り、少し距離を置くことも重要なのかも知れません。

そんな中、ドル/円の足もとの下値メドについては、月足チャートを使った俯瞰的な見方をする必要があると考えます。以下、ドル/円・月足チャート+フィボナッチリトレースメントをご確認ください。



ドル/円が過去最安値を付けた2011年10月の75.57円と、昨年6月に付けた高値である125.86円を結んだフィボナッチリトレースメント50%押し水準は・・・100.72円

同レートをすぐに付けに行くという意味ではないにせよ、理論的な一つの到達メドとして「100円台」を意識した方が無難なのかも知れません。あくまで参考として考慮いただければ幸いです。

足もとのドル/円の「戻り」については、ドル/円・週足・スパンモデル®+ボリンジャーバンドから想定したいと思います。以下、同チャートをご覧ください。



上記チャートから勘案する足もとの上下レンジは、-2σから先行1(≒103.39から110.13円)と想定します。

次週23日の英国民投票結果において仮に「残留派勝利」となれば、瞬間的にリスク選好フローが発生することが予想されます。ドル/円相場の週足チャートから勘案する戻りメドは「110円台」を想定してもよさそうです。

あくまでテクニカル上での戻りメドとして、一つの参考水準としていただければ幸いです。<チーフアナリスト 津田隆光>


【ユーロ】 ユーロ/ドル、週足・一目均衡表に要注目!

[ユーロ/円・ユーロ/ドル、来週のトレンドおよびコアレンジ予想]
○ユーロ/円:戻り売り相場:115.00-122.50円
○ユーロ/ドル:押し目買い相場:1.1070-1.1530ドル

23日の英国民投票結果が大きな変動要因となり得るもう一つの通貨がユーロ

単純な構図として、「離脱派勝利→ユーロ売り、残留派勝利→ユーロ買い」との想定も成り立ちますが、その他諸々の要因も考慮すると、“決め打ち”といった丁半博打のようなトレードはするべきではないと考えます。

注目したいテクニカルチャートは、先週に引き続いてユーロ/ドル・週足・一目均衡表。以下、同チャートをご確認ください。



上記チャートのメルクマールを再度確認すると、1) 遅行線がローソク足の上方に位置していること、2) 転換線が基準線の上方に位置していることより、最終的にローソク足が先行スパン(いわゆる“雲”)を上抜けた場合は晴れて【三役好転】となり、上昇トレンドのサインとなり得ます。

チャート予測の観点からは、ユーロが急落するというシグナルは確認できず、むしろ確率論的には【三役好転】の可能性が高いのかも知れませんが、投票結果だけは「神のみぞ知る」の世界であることもあり、繰り返しながら“決め打ち”をすべきではありません。

23日の英国民投票の結果を受けて、ローソク足の上抜け=三役好転となるのか、もしくはローソク足の上抜け失敗=下落となるのか・・・? いずれにしても、来週の英国民投票結果を見てからエントリーの判断をしても遅くはなさそうです。<津田>


【ポンド】 君子危きに近寄らず!

[ポンド/円、来週のトレンドおよびコアレンジ予想]
○ポンド/円:戻り売り相場:145.80-159.20円<要警戒>

ポンド/円こそ、まさに英国民投票結果によって大きく上下に変動する通貨の一つであることは言うまでもありません。一言で言うならば、この通貨こそ「君子危きに近寄らず」の代表例なのかも知れません。以下、ポンド/円・月足チャート+フィボナッチリトレースメントをご覧ください。



2011年9月に付けた安値116.80円と昨年6月に付けた高値195.85円を結んだフィボナッチリトレースメント61.8%押し水準は・・・147.00円

昨日、このラインを一時下抜け、145.35円までの下落があったポンド/円ですが、一つの基準として意識して推移すると見てよさそうです。

月足・一目均衡表の先行2スパンが145.81円となっており、概ね145.81から147.00円のゾーンが最終的なサポートラインになると想定していますが、英国民投票において離脱派の勝利となった場合は、当該ゾーンを下抜ける可能性も想定すべきです。

繰り返しながら、「君子危きに近寄らず」を念頭に置きつつ、決して無理をしない、そしてリスクマネージメントに十分留意した取り組みをしていただくようお願いいたします。<津田>


【豪ドル】 英国民投票の次は豪総選挙に注目!?

豪ドル/円は6月16日、一時75.56円へと下落。2012年6月以来、4年ぶりの安値をつけました。英国のEU(欧州連合)離脱懸念によるリスク回避の動きや、16日に日銀が追加緩和を見送ったことが背景でした。

来週は23日に実施される英国のEU離脱の是非を問う国民投票に、市場の関心が集中しそうです。その結果に豪ドルが大きく影響を受ける可能性があります。

国民投票で「残留」が「離脱」票を上回れば、リスク回避の動きが後退して豪ドルが上昇しそうです。反対に「離脱」票が上回れば、豪ドルが下落する展開が予想され、その場合の豪ドル/円の下値の目安としては、2012年6月安値の74.36円が挙げられます。「残留」「離脱」のいずれの結果になっても、豪ドルは対円、対米ドルともに大きく動く可能性があり、注意が必要です。

7月2日に豪州の総選挙が実施されます。世論調査によると、与党の保守連合と最大野党の労働党の支持率はそれぞれ50%と、拮抗しており、接戦となっています。今後、豪総選挙が材料視される可能性もあります。<アナリスト 八代和也>


【NZドル】 英「EU離脱」なら対円は70円台に向かう可能性も!?

NZドル/円は6月16日、一時72.25円へと下落。昨年8月以来、10か月ぶりの安値をつけました。英国のEU(欧州連合)離脱懸念や、日銀が追加緩和を見送ったことで、円高圧力が強まったことが要因です。

6月16日に発表されたNZの1-3月期GDPは前期比+0.7%、前年比+2.6%と、それぞれ市場予想の+0.5%、+2.6%を上回り、RBNZ(NZ中銀)の見通しも若干上回りました。RBNZは6月9日の金融政策報告で1-3月期のGDPは前期比+0.6%との見通しを示していました。

ただ、市場の関心が日銀の追加緩和見送りや、来週の英国民投票に向くなかでは、GDPの強い結果はあまり材料視されませんでした。

来週のNZドルは23日の英国民投票の結果に影響を受けそうです。国民投票で「残留」が「離脱」票を上回れば、NZドルが上昇しそうです。反対に「離脱」票が上回れば、NZドルが下落するとみられ、NZドル/円は昨年8月安値の70.40円に向かう可能性があります。国民投票の結果を受けて、NZドルは対円、対米ドルともに、大きく動くことも考えられるため、注意が必要です。<八代>


【トルコリラ】 対円は34円近辺が下値の目安になりそう

TCMB(トルコ中銀)が6月21日に政策金利を発表します。TCMBは前回5月の会合で、1週間物レポ金利(主要政策金利)と翌日物借入金利を据え置く一方、翌日物貸出金利を0.50%引き下げました(10.00%から9.50%へ)。TCMBは3の政策金利を最終的に一本化する「単純化」措置を今年3月に開始、5月まで3会合連続で翌日物貸出金利の引き下げを決定しました。

6月21日の会合については、市場では5月と同様に翌日物貸出金利を0.50%引き下げるとの見方が有力です(1週間物レポ金利と翌日物借入金利は据え置き)。ただ、英国民投票が会合の2日後に控えていることから、翌日物貸出金利の引き下げ幅を小幅(0.25%)にする、あるいは単純化措置をいったん休止し、3つの政策金利すべて据え置くことも考えられます。その場合、トルコリラ買いに反応するかもしれません。

ただ、来週のトルコリラはTCMBの政策金利よりも、英国民投票の結果の影響の方が大きそうです。TCMBの政策金利への反応は一時的に終わる可能性があります。英国民投票で「残留」を「離脱」が上回れば、リスク回避の動きが強まり、トルコリラ/円は下落することが予想されます。その場合、月足・ボリンジャーバンド“-2σ”の33.99円(6月17日時点)が下値の目安になりそうです。<八代>

トルコリラ/円(月足・ボリンジャーバンド、2011/6-)

(出所:M2J FX Chart Square)




※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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