市場調査部レポート

2019/05/17 12:30市場の米利下げ観測は後退するか

◆テクニカル◆

※上記想定レンジおよび投資戦略アイデアは、各種テクニカル指標を基に週間ベースの想定をしています。
※最終的な投資判断はご自身で行っていただくようお願いいたします。

〇“Pick Up”通貨:豪ドル/円、カナダドル/円
【豪ドル/円】 (5/20-24 戦略アイデア) コアレンジ:74.50-76.70円、戻り売り



<投資戦略アイデア>
■ コアレンジ:74.50-76.70円をベースとする戻り売り戦略

 上図チャートでは、1) 21日MA(移動平均線)が右肩下がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の下方にあること、3) ローソク足の上方に赤色の雲(=抵抗帯、先行スパン)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、そして、4) DMI(方向性指数)で-DI>+DIとなっていることから、豪ドル/円・日足チャートでは典型的な下降トレンドを示すチャート形状となっています。

 また、本稿執筆(5/17)時点では、ローソク足がBB(ボリンジャーバンド)・-1σラインと同・-2σラインの間で推移する“下降バンドウォーク”となっていることから、これからの時間にかけての豪ドル/円は、徐々に下値を切り下げる相場展開となりそうです。

 以上を概括すると、次週(5/20-24)における豪ドル/円については、上値メド:パラボリック・SARを基準とする「76.70円」、下値メド:BB・-2σラインを多少アンダーシュートする地点を想定した「74.50円」のゾーン(上図黄色四角枠)が主戦場になると想定します。よって、投資戦略アイデアとしては、当該ゾーン(=74.50-76.70円)をターゲットとする「戻り売り」を仕掛けるのも一案でしょう。そんな中、5/18に予定されている豪州総選挙の結果如何では、5/20の東京時間スタート時において、当初想定するレンジ幅以上の値動きとなる可能性もあるため、十分ご留意いただくよう、くれぐれもお願いいたします。(※豪州についてのファンダメンタルズ材料については、下記にある【豪ドル】を参照ください。<津田>

【カナダドル/円】 (5/20-24戦略アイデア) コアレンジ:81.00-82.40円、売りトラリピ


<投資戦略アイデア>
■コアレンジ:81.00-82.40円をベースとする売り・トラリピ

 上図チャートでは、1) 21日MA(移動平均線)が右肩下がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の下方にあること、3) ローソク足の上方に赤色の雲(=抵抗帯、先行スパン)があること、そして、4) DMI(方向性指数)で-DI>+DIとなっていることから、カナダドル/円・日足チャートでは上方硬直性を示すチャート形状となっています。

 そんな中、5/16時点において、パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方で点灯する「買いサイン」に転換していることから、足もとのカナダドル/円は、「下降トレンド一服」→「一時的な戻り(=反発)フロー」となる可能性も。

 以上を概括すると、次週(5/20-24)におけるカナダドル/円については、上値メド:21日MAを基準とする「82.40円」、下値メド:パラボリック・SARを基準とする「81.00円」のゾーン(上図黄色四角枠)が主戦場になると想定します。よって、投資戦略アイデアとしては、当該ゾーン(=81.00-82.40円)をターゲットとする「売り・トラリピ」を仕掛けるのも一案でしょう。<津田>


◆ファンダメンタルズ◆
<<相場環境>>
 引き続き米中貿易摩擦が相場材料になりそうです。米中ともに貿易協議継続の姿勢はみせています。6月28-29日のG20大阪サミット前後の首脳会談開催に向けて、協議が進展する可能性はありますが、具体的なスケジュールは不透明です。
 トランプ政権がファーウェイ(中国通信機器大手)への部品輸出を禁止、中国が報復の意向を表明するなど、両国によるジャブの応酬が続いています。トランプ大統領は、先行きに楽観的な発言をするなど、強硬姿勢一辺倒ではありませんが、かといって具体的内容やフォローアップがあるわけでもなく、市場の反応も一過性になりがちです。

 5月20日の週は、「選挙」も相場材料になりそうです。5月18日に豪州で総選挙、政権交代の可能性もあり、結果次第では週明けに豪ドル相場が窓開けして始まるかもしれません。
 5月23-26日は欧州議会選挙です。EU懐疑派が勢力を伸ばすか。支持を拡大しつつある英国のブレグジット党の動向が6月上旬の議会採決が予定される協定案の行方にも影響を与えそうです。<西田>

【米ドル(/円)】
 米中貿易摩擦に関する懸念や株安、インフレ率の鈍化などを背景に、米FRBの利下げ観測が高まっています。5月16日時点のFFレート(政策金利)先物に基づけば、市場が織り込む確率は「年内利下げ」が73.5%、「年内据え置き」が26.5%、「年内利上げ」が0%です。とりわけ、「年内複数回利下げ」の確率が31.6%と高まっています。

 もっとも、FRBは引き続き利下げに慎重です。5月7日、クラリダ副議長は、「金利をどちらの方向にも動かす強い根拠はない」と述べ、1日のパウエル議長の発言を繰り返しました。パウエル議長は。インフレ率の鈍化について「一過性の可能性がある」とも語っていました。また、米中の関税引き上げについても、FRB内では、景気への悪影響を懸念する声がある一方で、インフレ率を押し上げるとの見方も根強くあるようです。

 3月20日のFOMC後に公表された参加者の政策金利見通し、いわゆる「ドット・プロット」では、2021年末まで現行水準より低い政策金利を想定した参加者は一人もいませんでした。その後の状況を受けて、4月30日-5月1日のFOMCで利下げに向けた議論はあったか(5/22議事録公表)、6月19-20日のFOMCで利下げを想定する参加者が現れるか(最新の「ドット・プロット」公表)、興味深いところです。

 5月に入って、米ドルは対円で下落する一方、その他の通貨に対しては比較的堅調です。米中摩擦の激化に伴うリスクオフの強まりが背景とみられます。ただ、足もとでリスクオフは後退しつつあります。米中関係次第でリスクオフが再び強まる局面もあるかもしれませんが、このまま落ち着きを見せた場合に、利下げ観測を背景に、米ドルが円以外の通貨に対しても下落するのか。それとも、市場の過度の利下げ観測が修正されて、米ドルが対円でも反発するのか、大いに注目されます。<西田>

【ユーロ】【英ポンド】
 5月23-26日に欧州議会選が実施されます。5年に一度行われ、これにより理事会とともに立法府を形成する欧州議会751議席が決まります。

 欧州議会選は通常、金融市場の関心は低く、あまり相場材料にはなりません。ただし、今回は以下の2点が注目されます。

 第1に、欧州議会でEU懐疑派が勢力を伸ばすか。これまでは親EUの中道右派EPP(欧州人民党)と、同じく中道左派S&D(社会民主進歩同盟)の2大勢力が過半数を保持しています(前者が751議席中215、後者が同190)。今回の選挙では2大勢力が過半数割れとなるかもしれません。そうだとしても、EU懐疑派が主導権を握るわけではありませんが、EUの運営に支障が出る可能性は否定できません。多くの国の国政選挙同様にEU懐疑派が勢力を伸ばすようなら、ユーロ安材料になりそうです。

 第2に、英国のブレグジット党が躍進するか。4年前の前回選挙でUKIP(英独立党)を率いて大勝したファラージ氏が党首を務めるブレグジット党は、「合意なき離脱」を標ぼうしています。直近の世論調査では、与党保守党や最大野党労働党を大きく引き離して支持を拡大させています。
 ブレグジット党が躍進した場合、「合意なき離脱」に向けたモメンタムが強まるのか英ポンド安材料)、逆にそれを危機バネにしてメイ首相の協定案が議会で支持を集めることができるのか英ポンド高材料)。依然として様々なシナリオが想定しうるブレグジットの行方に影響が出る可能性があります。<西田>

【豪ドル】
 豪州の4月雇用統計(5/16発表)の結果は、失業率が5.2%、雇用者数が2.84万人増でした。失業率は3月の5.0%から悪化し、8カ月ぶりの高水準を記録。一方、雇用者数は9カ月連続で増加したものの、フルタイム雇用者が0.63万人減少しており、雇用増はパートタイム雇用者が中心でした。

 RBA(豪中銀)は、“労働市場の改善とともに賃金の伸びが緩やかに高まり、インフレ率は目標に向けて緩やかに上昇する”との見方を示しつつ、失業率が改善しない場合には利下げを検討する姿勢も示しています。

今回の雇用統計では、失業率の悪化に加え、フルタイム雇用者数が減少しました。それらは賃金の伸びが今後も低迷することを示唆しており、RBAが利下げを行う確率は一段と高まったとみられます。RBAは6月4日の次回会合時の声明でハト派色を強めるだけでなく、利下げに踏み切る可能性も出てきました。

 5月21日にRBA議事録(5/7開催分)が公表されます。それが利下げ観測を一段と高める内容になれば、豪ドルには下落圧力が加わるとみられます。

 18日(土)の豪州の総選挙も材料になる可能性もあります。世論調査では、最大野党の労働党が与党の保守連合(自由党と国民党)がわずかにリードしており、約6年ぶりの政権交代が実現するかもしれません。仮に労働党と保守連合のいずれも過半数を獲得できなかった場合、豪政治の先行き不透明感から豪ドルが下落しそうです。<八代>

【NZドル】
 RBNZ(NZ中銀)は5月8日の会合で0.25%の利下げに踏み切るとともに、来年にかけて追加利下げを行う可能性を示しました。

 NZの1-3月期の小売売上高が5月22日に発表されます。RBNZは当面、5月に実施した利下げの効果を見極めると予想され、今回の小売売上高の結果だけで利下げに動く可能性は低いとみられます。それでも、小売売上高が弱い結果になって消費の低迷が浮き彫りになれば、市場では早期の利下げ観測が浮上し、NZドルの下押し材料となる可能性があります。<八代>

【カナダドル】
 ムニューシン米財務長官は5月15日、鉄鋼・アルミニウムの追加関税の対象からカナダとメキシコを外す可能性があるとの認識を示しました。カナダが追加関税の対象から外されれば、カナダドルにとってプラス材料と考えられます。対象除外への期待がカナダドルを下支えする可能性があります。

 カナダの経済指標では、22日の3月小売売上高に注目です。世界経済の減速を背景に、市場では“BOC(カナダ中銀)の次の一手は利下げ”との観測もあるなか、小売売上高が堅調な結果になれば、利下げの確率は低下したとの見方が強まり、カナダドルが上昇しそうです。<八代>

【トルコリラ】
 トルコリラは今週(5/13の週)、比較的落ち着いた展開でした。当局が前週にトルコリラの下支えに動いたためと考えられます。TCMB(トルコ中銀)は5月9日から1週間物レポ入札を中止(利上げと同じ効果)したほか、国営銀行が米ドル売り・トルコリラ買いを行ったとの観測もあります。

 ただ、米国とトルコの関係悪化TCMBの外貨準備高減少への懸念トルコ政治の不透明感(イスタンブール市長選の再選挙)など、トルコリラにとってのマイナス材料は残存しています。トルコリラ安は足もとで一服しているものの、いずれ下落する可能性はあります。<八代>

【南アフリカランド】
 南アフリカ選挙管理委員会は5月11日、総選挙(下院定数400)の公式結果を発表。与党ANC(アフリカ民族会議)の議席は230と、前回2014年(249)から19議席減少したものの、過半数を維持しました。現政権が継続し、政治の先行き不透明感が払しょくされたことは、南アフリカランドにとってプラス材料と考えられます。

 ただ、市場の関心は今後、ラマポーザ大統領による経済改革へと向かうとみられます。5月27日に発表される予定の新内閣の陣容、特に財務相や公共企業相に誰が起用されるのかに注目です。ムボウェニ財務相やゴーダン公共企業相が留任した場合、ランドの上昇要因になる可能性があります。<八代>


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【マーケットView】

マーケットViewは、毎日16時ごろアップの予定です。

※動画のアップ時間は前後する可能性があります。

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