市場調査部レポート

2018/06/15 12:50米中貿易摩擦、OPEC総会、ECBフォーラム

各通貨ペアの投資戦略については「Weekly投資戦略ガイド」をご参照ください。原則、毎月曜更新(次回は6月18日)です。

◆ファンダメンタルズ◆
<<相場環境>>
 日米欧の金融政策会合を通過し、来週(6/18-)は相場材料に乏しそう。ただし、18-20日のECBの中央銀行フォーラム(「先進国の物価と賃金」)には、ドラギ総裁のほか、黒田日銀総裁、パウエル米FRB議長、ロウ豪RBA総裁が参加します。総裁らの発言が相場材料になる可能性はありそうです。21日には英BOEの会合が予定されています。
 米中間の貿易摩擦がキナ臭さを増しています。トランプ政権の対中関税に対して、中国が報復措置を発表すれば、リスクオフの円高や株安につながるかもしれません。
 24日のトルコの大統領・議会選挙を前に、エルドアン大統領の言動がリラの材料(下押し圧力?)になる可能性があります。<西田>

【米ドル(/円)】
 13日のFOMCは今年2回目の利上げを実施。参加者の政策金利見通し、いわゆる「ドット」は年内残り2回の利上げを示唆しました。一方で、声明文から、従来の「政策金利はしばらくの間、長期的に期待される水準を下回り続ける可能性が高い」との文言が削除されました。これは政策金利が均衡金利に接近しつつあると解釈されるため、その先の「利上げ打ち止め」が意識されやすくなりそうです。長短金利差は縮小しており、すぐにではなくても「利上げ打ち止め」が意識されれば、米ドルの上値は重くなりそうです。
 また、通商や外交面などで、トランプ大統領の言動に引き続き注意が必要かもしれません。<西田>

【ユーロ】
 14日のECB理事会は今年末のQE停止を発表。その一方で、少なくとも「19年夏(の終わり)」まで利上げしない意向を表明しました。ユーロが金融政策面からサポートを受けるのは難しそうです。
 イタリアのトリア経済相が「ユーロ離脱は議論していない」と発言し、市場の安心感に。一方で、「同盟」党首で内務相兼副首相のサルビーニ氏は、難民船の受け入れを拒否し、反移民の公約を実践しました。今後、コンテ政権が最低所得や年金改革の巻き戻しなど、ユーロ圏のルールに反しかねない政策を推進するかどうかに要注意でしょう。<西田>

【ポンド】
 21日の英BOEの会合では金融政策の維持が決定されそうです。市場は次回8月2日の利上げを五分五分とみていることもあり、今回の会合でどのようなシグナルが発せられるか要注目です。

 12‐13日、下院でブレグジット法修正案が否決されたことで、メイ首相はなんとか危機を乗り切りました。しかし、与党保守党内の親ユーロ派は再びメイ首相への反発を強めているようです。EUの単一市場や関税同盟からも離脱したいメイ首相に対して、親ユーロ派は緊密な関係の維持を求めているからです。保守党内で火種がくすぶり続けているため、「解散総選挙」の観測は根強く残りそうです。それは政治の不透明要因であり、英ポンドに下押し圧力となりそうです。<西田>

【豪ドル】
 トランプ米大統領は6月14日、約500億米ドル相当の中国からの輸入品への関税を承認しました。米国と中国の貿易摩擦への懸念が再燃する可能性があります。その場合、中国と関係が深い豪ドルには下押し圧力が加わる可能性があります。米中の通商政策に注目する必要がありそうです。また、6月22-23日にOPEC(石油輸出国機構)加盟国と非加盟産油国の拡大会合が開催されます。会合に対する観測などから、原油価格は変動が大きくなる可能性もあります。原油など資源価格の動向は、豪ドル相場にも影響を与えるため、要注意です。<八代>

【NZドル】
 NZドルは国内要因以上に外部要因(米FRBの金融政策に関する観測など)に反応しやすい地合いが続いてきました。ただ、来週(6月18日の週)はNZの1-3月期GDP(20日)が発表されます。NZドルはその結果に反応する可能性があります。<八代>

【加ドル】
 6月22日にカナダの5月CPIと4月小売売上高が発表されます。また、22-23日にOPEC(石油輸出国機構)加盟国と非加盟産油国の拡大会合が開催されます。それらの結果が加ドルの動向に影響を与える可能性があります。

 市場では、BOC(加中銀)が7月に利上げをするとの観測があります。CPIや小売売上高がその観測を一段と強める結果になれば、加ドルの支援材料となりそうです。一方、OPEC加盟国と非加盟産油国の会合では、原油の協調減産の規模縮小が決まるとの観測があります。規模縮小が実際に決まれば、原油価格の下押し材料になりそうです。ただ、原油価格は5月下旬以降、原油の協調減産の規模縮小観測を背景に下落しました。規模縮小は市場にある程度織り込まれたと見なすこともでき、原油価格の反応は限定的となるかもしれません。<八代>

【トルコリラ】
 6月7日のTCMB(トルコ中銀)の利上げ後のトルコリラの反発は、長続きしませんでした。市場のTCMBの独立性をめぐる懸念は根強く、トルコリラには再び下落圧力が加わりました。エルドアン大統領は大統領選後に、TCMBの金融政策への関与を強めることを示唆しています。

 6月24日にトルコの大統領選と議会選が行われます。各種世論調査をみると、エルドアン大統領が有効投票の過半数を獲得するかは微妙な情勢のようです。大統領選で当選するには、有効投票の過半数の獲得が必要。過半数を獲得した候補がいない場合、上位2名による決選投票(7月8日)が行われます。また、議会選ではAKP(公正発展党)とMHP(民族主義者行動党)両党の議席が過半数を割り込む可能性があります。大統領選と議会選が接近し、来週(6月18日の週)のトルコリラは、世論調査など選挙関連のニュースに反応しやすい地合いになりそうです。<八代>

【南アフリカランド】
 南アフリカの国営電力会社のエスコムは6月14日、計画停電を開始しました。南アフリカは1-3月期にマイナス成長(前期比年率マイナス2.2%)を記録したことで、ランドには下落圧力が加わりやすい地合いです。こうした状況で、さらなるマイナス材料(計画停電)が出てきたことで、ランドの上値は一段と重くなる可能性があります。<八代>

◆テクニカル◆(“Pick Up”通貨:米ドル/円、加ドル/円)
【米ドル/円】(6/18-22 戦略アイデア) コアレンジ:109.50-111.00円買い・らくトラ


 
 上図チャートより、1) 21日MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う形状となっていること、3) ローソク足が青色の雲(=サポート帯)の上方にあること、そして、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方にあることから、足もとの米ドル/円は下方硬直性を伴うレンジ相場を形成中であることが視認できます。(※6/15時点)

 上図チャートにおける注目ポイントは、スローストキャスティクス(以下、SS)の動向。SSを構成する2本の線が、15日時点において「買われ過ぎ」を示唆する80%ライン付近で交差しつつある(上図黄色点線丸印)ことが見て取れます。同様のメルクマールが示現したケース(上図黄色実線丸印)では、a) その後2本の線が右肩下がりとなる“デッド・クロス”となること、さらには、b) ローソク足がBB・+2σライン近辺にあることを条件に、下降フローとなっていることが確認できます。2本の線が80%ライン付近で推移し続ける“フェイク(ダマし)”にも注意しながら(上図青色四角枠)、BB・+2σライン(≒111.20円)付近では一旦上値が重くなる傾向があることを念頭に入れた方がよさそうです。同時に、BB・+2σライン(≒111.20円)付近では「深追いをしない」、いわゆる「鯛焼きの頭はくれてやる」との認識を持つべきなのかもしれません。

 以上を総合すると、6/18-22の週における米ドル/円の投資戦略アイデアは、上図Aのゾーン(=109.50-111.00円)では“買い・らくトラ”を、そして、同Bのゾーン(=108.50-109.00円)では“買い・トラップトレード”を仕掛ける【T字型フォーメーション】を設定してみるのも一案です。<津田>

【加ドル/円】 (6/18-22 戦略アイデア) コアレンジ:83.30-85.00円買い・トラップトレード


 
 上図チャートより、1) 21日MA(移動平均線)がやや下向きであること、2) 遅行スパンがローソク足を下抜けしつつあること(=“逆転”、上図黄色矢印)、3) ローソク足の上方に赤色の雲(=抵抗帯)が出現しつつあること、4) BB・+2σラインが21日MAに向かって垂れてきていること、そして、5) DMIで-DI>+DIとなっている(上図青色点線丸印)ことから、足もとの加ドル/円は下押し主体の時間帯であることが分かります。(※6/15時点)

 上図チャートにおける注目ポイントは、ローソク足とパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)の動向。

 15日(本稿執筆)時点では、相場のトレンド転換を示すパラボリック・SARはローソク足の下方で点灯していることから、「相場の下支え」シグナルとなっていますが、仮にこれからの時間においてローソク足がSAR(≒83.34円、15日時点Bid基準値)にタッチした場合は、「売りサイン」への転換となり得ます。

 その場合は、遅行スパンの“逆転”を伴い、下降モメンタム(=勢い)が強まる可能性もあるため、注意が必要でしょう。

 以上を総合すると、6/18-22の週における加ドル/円の投資戦略アイデアは、ストップロスオーダーを設定した上で、上図赤色括弧枠のゾーン(=83.30-85.00円)をベースとする“買い・トラップトレード”を仕掛けてみるのも一案です。<津田>


※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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