市場調査部レポート

2018/12/14 14:50米FOMCと欧米政治情勢に要注目!?

◆ファンダメンタルズ◆
<<相場環境>> 
 来週(12/17- )は、18-19日に米FOMCが開催されます。市場では引き続き利上げが有力視されています。注目は、19年の金融政策に関してどんなメッセージが出てくるか。利上げ観測が一段と後退するようなら米ドルにとって大きなマイナスでしょう。

 21日には、米国の一部の暫定予算が失効します。トランプ大統領は、議会が「メキシコの壁」の費用を認めなければ、シャットダウン(政府機関の一部閉鎖)もやむなしとの姿勢をみせています。これとは別に、モラーFBI特別検察官のロシアゲート捜査に関連して、新たな材料が出てこないとも限りません。

 中国は19-21日に中央経済工作会議を開催して19年の方針を決定します。それに絡んで米中通商協議に何らかの展開がみられるかもしれません。

 欧州でも、政治情勢が相場材料となる可能性があります。英国議会が協定案を承認する見通しは立っていません。欧州委員会は19日に「合意なきブレグジット(英国のEU離脱)」に備えた文書を公表する予定です。同じ19日、欧州委員会はイタリアの予算案を協議。「過剰赤字手続き」の開始も検討されるかもしれません。<西田>

【米ドル(/円)】
 13日時点のFFレート(政策金利)先物によれば、12月18-19日のFOMCでの利上げ確率は約74%と、今年9月以降70-80%での推移が続いています。一方で、(来週の利上げを前提として)19年中の利上げが0回の確率が36%、同1回の確率が34%と、いずれも足もとで大きく上昇しています。

 株価の軟調長短金利差の縮小(イールドカーブ逆転の兆候)貿易摩擦の悪影響これまでの利上げの累積効果海外経済の不透明感などを背景に、19年にかけての利上げ観測が大きく後退しています。11月下旬の講演で、パウエルFRB議長が、「政策金利は中立水準に接近している」と受け取れる発言をしたことも、利上げ観測の後退に拍車をかけました。

 19日のFOMC後に公表される参加者の政策金利見通し(ドット)は、利上げ観測の後退をサポートするでしょうか(9月時点の中央値は19年中3回の利上げを想定)。また、パウエル議長の会見で「中立水準(中立金利)」への言及はあるか、長短金利の縮小に対してどのような見解が表明されるかなど、大いに注目されます。<西田>

【ユーロ】
 13日のECB理事会では、QE(量的緩和)の年内終了が再確認されました。ただ、ドラギ総裁は会見で、景気のリスクは下方向に向いていると述べ、ユーロ安となりました。

 景気鈍化の可能性に加えて、政治面でもユーロ安要因はあります。イタリアの連立政権は欧州委員会に譲歩して、19年度予算における財政赤字見通しを従来のGDP比2.4%から同2.04%に下方修正しました。ただし、年金改革の見送りや最低所得保障の導入は実行する構えです。フランスの「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)」運動に対して、マクロン大統領が燃料税引き上げの停止や最低賃金の引き上げを決めたことは、イタリア連立政権の主張(財政出動による中間層支援)をサポートしそうです。

 19日、欧州委員会はイタリアの予算案を協議する予定です。同委員会は財政赤字見通しの実現性に懐疑的との報道もあり、イタリア政府への罰則を含む「過剰赤字手続き」の開始を検討しそうです。11月下旬以降、イタリアの長期金利は低下基調にあり、財政懸念の後退を示唆していますが、欧州員会の対応次第では状況が変わる(=長期金利が上昇してユーロ安要因となる)可能性があります。<西田>

【英ポンド】
 10日、英国のメイ首相は、11日に予定されていたブレグジット協定案の採決を延期しました。大敗の可能性があったためです。12日には、保守党内の不信任投票が否決されたことで、メイ首相の党首続投が決まりましたが、先行きは引き続き不透明です。
 13-14日のEUサミットを経てもブレグジット協定案の進捗は期待できないでしょう。メイ英首相は、アイルランド国境のバックストップ(善後策)に関して、それが無期限ではないとの保証をEUから取り付けることはできなかったようです。

 19日には、欧州委員会が「合意なきブレグジット」に備えた文書を公表する予定です。「合意なきブレグジット」が現実味を帯びることで、英国やEUに危機感が醸成されれば、何らかの合意に到達する可能性はありますが、それまでにはまだまだ紆余曲折がありそうです。

 英国議会でのブレグジット協定案の採決は19年1月21日の期限ギリギリになる可能性があり、それまでは明確なスケジュールはありません。ただし、その間にも、英国議会でのメイ首相不信任の動き解散総選挙、さらには第2の国民投票など、さまざまな可能性が残るようです。<西田>

【豪ドル】
 豪ドルは今週(12/10の週)、底堅く推移しました。米中通商協議が進展するとの期待からリスク回避の動きが緩和したことが主な要因と考えられます。

 豪ドルは依然として、投資家のリスク意識の変化(リスクオン、リスクオフ)に反応しやすい地合いであり、この状況は当面続きそうです。米中通商協議に関する報道や主要国の株価動向に注意が必要です。

 豪ドル/米ドルについては、米FOMCの結果の影響を受ける可能性があります。FOMCを受けて米ドルが全般的に弱含めば、豪ドル/米ドルは堅調に推移するとみられる一方、米ドルが全般的に強含む展開になれば、豪ドル/米ドルには下落圧力が加わりやすいと考えられます。

 18日にRBA(豪中銀)議事録が公表され、20日に豪州の11月雇用統計が発表されます。それらに豪ドルが反応する可能性があります。ただ、この数カ月間、雇用統計の結果などに対する豪ドルの反応は一時的に終わることが続いてきました。今回も同じ展開になる可能性があります。<八代>

【NZドル】
 NZの12月企業信頼感指数(企業景況感)が18日7-9月期GDPが20日に発表されます。それらの結果がNZドルの材料になる可能性があります。RBNZ(NZ中銀)は低水準の企業景況感を背景に、NZ経済の減速を懸念しており、景気が悪化した場合には利下げを検討するとしているためです。

 12月の企業信頼感指数が11月のマイナス37.1%から改善し、かつ7-9月期GDPがRBNZの11月時点の見通しである前期比+0.7%を上回れば、NZドルの上昇要因になる可能性があります。<八代>

【カナダドル】
 BOC(カナダ中銀)が12月5日の会合時の声明で、利上げペースが今後鈍化する可能性を示したことで、市場では19年1月9日の会合での利上げ観測が後退。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)が織り込む19年1月の利上げの確率は、足もとで10%程度(5日の会合前は60%程度)です。1月利下げ観測の後退がカナダドルの重石となっています。

 カナダの11月CPI(消費者物価指数)が19日10月GDPが21日に発表されます。それらが強い結果になれば、市場では1月利上げ観測が再び強まる可能性があります。

 カナダドルについては、原油価格の動向にも注意が必要です。OPEC(石油輸出国機構)とロシアなど非加盟産油国が7日、日量120万バレルの協調減産を行うことで合意。そのことは原油価格の下支え要因と考えられます。一方で、市場では供給過剰への懸念が根強くあるようです。原油価格が大きく変動すれば、カナダドルが反応する可能性があります。カナダドルにとって、原油価格の下落はマイナス材料、原油価格の上昇はプラス材料です。<八代>

【トルコリラ】
 TCMB(トルコ中銀)は12月13日、政策金利(1週間物レポ金利)を24.00%に据え置くことを決定しました。据え置きは市場の予想通りです。

 TCMBは声明で、「政策委員会は、インフレ見通しが大幅に改善するまで、金融政策の引き締めスタンスを維持することを決めた」、「インフレに影響を及ぼす要因を注視し、必要に応じてさらなる金融引き締めを行う」と表明しました。

 市場でTCMBが19年の早い時期に利下げに転じるとの観測があるなか、声明でインフレ抑制に注力する姿勢が示されたことは、トルコリラの支援材料になるかもしれません。

 ただ、TCMBは今回の声明で、前回10月までの「インフレ見通しが大幅に改善するまで、金融政策の引き締めスタンスを“断固として”維持する」から「断固として」を削除しました。市場ではそれを“緩和方向への政策スタンス変更のシグナル”との見方もあります。TCMBの早期利下げ観測は今後も残るとみられます。

 TCMBの次回会合は19年1月16日。1月初めには今年12月分のCPIが発表される予定です。TCMBの次回会合に向けて、利下げ観測が強まるようであれば、トルコリラには下落圧力が加わる可能性があります。

 トルコリラについては、シリア情勢に注意が必要かもしれません。エルドアン・トルコ大統領は12日、数日以内に、シリア国内のクルド人勢力を掃討するため、同国北東部のユーフラテス川の東側で軍事作戦を開始すると表明しました。それに対して、クルド人勢力を支援する米国は、一方的な軍事作戦は受け入れらないとしており、今後の展開次第では米国とトルコの関係が再び悪化する可能性もあります。<八代>

【南アフリカランド】
 南アフリカの11月CPI(消費者物価指数)が12月12日に発表されました。結果は前年比+5.2%と、市場予想の+5.1%を上回り、10月の+5.1%から上昇率がやや加速。2017年5月以来の強い伸びを記録。SARB(南アフリカ中銀)のインフレ目標(+3から6%)の範囲内に収まったものの、目標中央値である+4.5%から一段と離れました。

 ただ、11月のCPI上昇率の結果に対して、南アフリカランドは反応薄でした。南アフリカの景気は低迷しており、市場の“SARBは政策金利を当面据え置く”との見方に変化がなかったためと考えられます。

 来週(12/17の週)は、南アフリカの経済指標発表が予定されていません。独自材料に乏しいことから、南アフリカランドは外部要因に影響を受けやすい地合いになりそうです。外部要因としては、米中通商協議に関するニュースや主要国の株価動向、そして米FOMC(を受けた米ドル全般の動き)が挙げられます。<八代>



◆テクニカル◆

※上記想定レンジおよび投資戦略アイデアは、各種テクニカル指標を基に週間ベースの想定をしています。
※最終的な投資判断はご自身で行っていただくようお願いいたします。

〇“Pick Up”通貨:米ドル/円、NZドル/円

【米ドル/円】 (12/17-21 戦略アイデア) コアレンジ:112.40-114.00円、買い・トラリピ

 上図チャートでは、1) 21日MA(移動平均線)が横向きであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態となっていること、3) 各BB(ボリンジャーバンド)が21日MAに対して概ねパラレルとなっていること、4) ローソク足の上方にパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)が点灯していること、そして、5) DMI(方向性指数)で-DI>+DIとなっている(上図青色点線丸印)ことから、米ドル/円上方硬直性を伴うレンジ相場となっていることが視認できます。

 上記1)2)3)より、典型的なレンジ相場シグナルが示現していることから、次週(12/17-21)における米ドル/円の主戦場は、BB・±2σラインの間のゾーンである、112.40-114.00円(上図黄色四角枠)と想定します。

 以上より、米ドル/円はレンジワーク主体の相場展開となることが予想されるため、当面は当該レンジ(=112.40-114.00円)をコアレンジとする、買い・トラリピを仕掛けるのも一案でしょう。<津田>

【NZドル/円】 (12/17-21戦略アイデア) コアレンジ:77.00-79.00円、買い・トラリピ

 上図チャートでは、1) 21日MA(移動平均線)が右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足のやや上方にあること、3) 各BB(ボリンジャーバンド)が21日MAに対してパラレルとなっていること、4) ローソク足の上方にパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)が点灯していること、そして、5) DMI(方向性指数)で-DI>+DIとなり、ADXが右肩上がりとなっている(上図青色点線丸印)ことから、足もとのNZドル/円は、緩やかな上昇トレンドを形成する中での、下値固めの時間帯と捉えて良いでしょう。

 現在、先行スパン(=青色の雲、サポート帯)の上下辺(=上辺:先行1スパン、下辺:先行2スパン)に比較的大きな乖離が生じていることから、当面は「分厚いサポート帯の存在」→「下値しっかり(下方硬直性)の相場展開」となりそうです。

 よって、足もとのNZドル/円「押し目買い」を主体としつつ、徐々に上値を試す相場展開となりそうです。

 次週(12/17-21)におけるNZドル/円の上値メドは、パラボリック・SARを基準とする「79.00円」、同下値メドは、BB・-1σラインを基準とする「77.00円」との想定。

 NZドル/円の次週の戦略アイデアとしては、当該ゾーン(=77.00-79.00円、上図黄色四角枠)をベースとする、買い・トラリピを仕掛けてみるのも一案でしょう。<津田>


【マーケットView】
マーケットViewは、毎日16時ごろアップの予定です。

※動画のアップ時間は前後する可能性があります。

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※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

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