市場調査部エクスプレス オセアニア・レポート

2018/03/23 11:30トルコリラが対円や対米ドルで過去最安値。通貨安へのトルコ中銀の対応は!?

[レビュー]

トルコリラが本日(23日)朝方に急落。対円や対米ドルで過去最安値を更新しました。流動性が低く薄商いの時間帯(NY市場のクローズと東京市場のスタートの間)のなか、トルコリラ/円が下値のストップロスを巻き込んだことで下げが加速し、対円でのトルコリラ下落が対米ドルや対ユーロに波及したとみられます。


[これからの展開]

・トルコリラ/円の朝方の急落は、ポジションの投げを伴ったものとみられ、短期的には戻る可能性がある。
・ただ、トルコリラ/円が反発基調に転じるには、市場が十分とみなす通貨防衛策をTCMBが打ち出す必要がありそう。


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足もとのトルコリラ下落の主な要因として、トルコのインフレ率の高さや経常収支拡大、シリア情勢が挙げられます。

トルコの2月CPI(消費者物価指数)上昇率は前年比+10.26%でした。上昇率は1月の+10.35%からわずかな改善にとどまり、TCMB(トルコ中銀)のインフレ目標である+5%を大きく上回りました。CPIの結果を受けて、トルコ経済の先行き懸念(高インフレが個人消費を抑制し、経済全体に悪影響を与える?)が強まりました。

1月経常収支は約71億米ドルの赤字。赤字額は市場予想の69億米ドルを上回り、前年同月の約27億米ドルから急増しました。トルコは経常赤字の穴埋めを主に逃げ足の速い短期資金(証券投資)に依存しているため、外的ショックの影響を受けやすいとの懸念があります。そうした懸念があるなか、トルコの1月の経常赤字が予想以上だったため、経常赤字が改めて着目されました。

シリア情勢については、エルドアン大統領が3月18日、トルコ軍がシリア北部アフリン市街地の中心部を制圧したと発表。トルコは今年1月、シリア国内のクルド人勢力を掃討するためにアフリンへの軍事作戦開始していました。ただ、シリア情勢には引き続き注意が必要です。エルドアン大統領が軍事作戦を拡大する可能性に言及したためです。エルドアン大統領は19日、作戦対象として、シリア北部のマンビジやアインアルアラブ、北東部のカミシュリ、イラク北部のシンジャールなどを挙げました。

トルコリラ/円に関しては、世界的な貿易戦争への懸念からリスク回避の動きが強まっている(円買い材料)ことも、下落圧力となっています。本日(23日)朝方の急落はポジションの投げを伴ったものとみられ、短期的には戻る可能性があります。

ただ、トルコリラ/円が反発基調に転じるには、リスク回避の動きが弱まるほか、市場が十分とみなす通貨防衛策をTCMBが打ち出す必要があるかもしれません。

TCMBは昨年11月にトルコリラ安が進行した場面では、以下のような通貨防衛策を打ち出し、最終的には利上げを実施。トルコリラ/円は11月28日の27.98円を底に反発し、今年1月初めには一時30円台へと上昇しました。

<TCMBのトルコリラ防衛策>
11月6日:金融機関が中銀に預ける準備預金の外貨比率を引き下げ
  18日:外貨売却入札を開始すると発表
  21日:“後期流動性貸出金利”以外での資金供給を停止すると発表
12月14日:後期流動性貸出金利を0.50%引き上げ(利上げ)

一方で今回は、今のところ動かず、TCMBは足もとのトルコリラ安を静観しています。エルドアン大統領がTCMBに対して利下げ圧力を加えるなか、利上げなど通貨防衛策を打ち出すことができるか?TCMBの対応に注目です。

(シニアアナリスト 八代和也)

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