市場調査部エクスプレス オセアニア・レポート

2018/01/11 15:36豪ドル/米ドルが本日約3か月ぶり高値を更新。NAFTAをめぐる報道でカナダドルが昨日下落

[レビュー]

11日東京時間の外国為替市場では、豪ドルが堅調に推移。一時、豪ドル/円は88.03円、豪ドル/米ドルは0.7881米ドルへと上昇しました。豪州の2017年11月小売売上高が前月比+1.2%と、市場予想の+0.4%を上回り、豪ドルの支援材料となりました。

中国政府筋の発言を受けて、米ドルが反発。米ドル/円は一時111.80円へと上昇し、ユーロ/ドルやNZドル/米ドルは反落しました。中国政府筋は「(10日欧米時間の米ドル安要因となった)中国が米国債の購入の縮小、あるいは停止を検討しているとの報道は、誤った情報に基づいている」と語りました。


[これからの展開]

南アフリカの与党ANC(アフリカ民族会議)が昨日(10日)開催した全国執行委員会では、ズマ大統領(任期は2019年半ばまで)の早期退陣は議題に上がりませんでした。

ズマ大統領は、自身が多くの汚職疑惑を抱えるうえ、南アフリカ経済の低迷や政局の混乱を招いてきました。そのため、市場では、ズマ大統領が退陣すれば経済が持ち直し、政局は安定するとの期待があります。

全国執行委員会ではズマ大統領の早期退陣が協議されるとの事前報道もありました。そのため、委員会で早期退陣は議題に上がらなかったと伝わると、失望感が広がり、南アフリカランドが下落しました。全国執行委員会は明日(12日)まで行われる予定です。ランドは、政局関連のニュースに引き続き注意が必要です。

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昨日(10日)、カナダ政府当局者の発言として、「カナダは、米国のトランプ大統領がまもなくNAFTA(北米自由貿易協定)の離脱を表明すると確信している」と伝わりました。トランプ大統領はNAFTA再交渉の次回会合で離脱を表明する可能性があるとのことです。米国・カナダ・メキシコの3か国は1月23日〜28日にモントリオール(カナダ)で、NAFTA再交渉の第6回会合を行う予定です。

カナダ経済は米国経済への依存度が高いため、米国がNAFTAを離脱すれば、カナダ経済は大きな打撃を受ける可能性があります。カナダは輸出先の7割強、輸入元の約5割が米国です。そのため、米国のNAFTA離脱に言及した報道を受けて、昨日(10日)NY時間にカナダドルが下落しました。

ただし、NAFTAの規定では、「当事国は他の当事国に対して書面による離脱通知を出してから6か月後に離脱が可能。1当事国が離脱する場合、協定は残った当事国間で引き続き効力を有する」とされています。“6か月後に離脱が可能になる”だけで、必ず離脱しなければならないということではないことから、トランプ大統領はNAFTA再交渉を有利に進めるために離脱を表明するとの見方もあるようです。NAFTAの再交渉に関するニュースに注意が必要です。

NAFTA再交渉のゆくえは、BOC(カナダ銀行、中央銀行)の金融政策に影響を与える可能性があります。BOCは景気見通しへの自信が増したとして、昨年(2017年)7月と9月にそれぞれ0.25%の利上げを実施しました。その後、9月と12月の会合では政策金利を据え置いたものの、声明で追加利上げを示唆しました。一方で、ポロズ総裁らBOC当局者は、NAFTA再交渉についてたびたび言及。カナダ経済のリスク要因として、NAFTAの将来をめぐる不透明感を挙げてきました

先週5日に発表されたカナダの雇用統計が強い結果だったことで、市場ではBOCが来週17日の次回政策会合で0.25%の利上げを決定するとの見方が高まりました。雇用統計を含めて最近の経済指標はBOCの利上げをサポートする内容ではあるものの、トランプ大統領が1月23日からの再交渉会合でNAFTAからの離脱を表明する可能性が浮上したことで、BOCが今回は利上げを見送る(政策金利を据え置く)ことも想定しておく必要がありそうです。

(シニアアナリスト 八代和也)

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