2017/12/06 14:27米ドル/円やクロス円が軒並み下落。カナダ中銀の政策金利発表のポイントは!?
6日東京時間の外国為替市場では、日経平均が下げ幅を拡大するなか、円が堅調に推移。一時、米ドル/円は112.10円、ユーロ/円は132.70円、NZドル/円は77.24円へと下落しました。
日経平均は下げ幅を一時、前日終値比400円超へと拡大。中東情勢の緊迫化への懸念や中国株の下落が、下押し圧力となりました。米国のトランプ大統領が5日、エルサレムをイスラエルの首都として承認し、かつ米大使館をテルアビブからエルサレムに移す意向を表明(正式発表は日本時間7日未明の予定)。エルサレムの首都承認にパレスチナ自治政府や中東諸国、トルコが反発しています。
豪ドルは軟調。一時、豪ドル/米ドルは0.7572米ドルへと下落し、豪ドル/円は円買いも加わり84.92円へと値を下げました。豪州の7-9月期GDPが前期比+0.6%、前年比+2.8%と、市場予想の+0.7%、+3.0%を若干下回り、豪ドルの重しとなりました。
[これからの展開]
日本時間6日24時、BOC(カナダ銀行、中央銀行)が政策金利を発表します。
BOCは2017年7月、9月と2回連続で利上げを実施。前回10月25日の会合では、利上げをいったん休止し、政策金利を1.00%に据え置きました。
政策金利は今回も据え置かれそうです。11月の雇用統計(12月1日発表)は強い結果だったものの、NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉の実務者協議が12月11日から行われるためです。BOCのウィルキンス上級副総裁は11月15日、NAFTAの将来をめぐる先行き不透明感によって企業心理がマイナスの影響を受けていると指摘し、「BOCは、(これまでの)利上げ効果やNAFTA再交渉に特に注目している」と語りました。
市場は、今回の政策金利「据え置き」をほぼ確実視。そのため、利上げが決定された場合はサプライズとなり、加ドルが上昇するとみられます。一方、政策金利が据え置かれれば、声明の内容が相場材料になりそうです。
前回10月の声明の主な内容は、以下の通りです。
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・「カナダの4-6月期GDP成長率は予想以上に力強く、より幅広い業種や地域に広がった」
・「GDP成長率は今年下半期により持続可能なペースへと鈍化し、今後2年間にわたって潜在成長率近くにとどまる」
・「最近のカナダドルの上昇によって、インフレ率が2%に上昇する時期が7月時点の予想よりも若干後ずれする」
・「カナダドル高の影響で、輸出の伸びがいくぶん鈍化する可能性がある」
・「経済はフル稼働に近い状況にあるが、賃金などのデータは労働市場にはなおスラック(たるみ)が存在することを示す」
・「時間とともに必要となる金融刺激策が低下する可能性が高いものの、将来の政策金利の調整には慎重を期す」
・「金利に対する経済の感度、経済の能力の変化、賃金の伸びとインフレの両方のダイナミクスを評価するため、BOCは今後発表されるデータに導かれる」
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市場では、BOCが来年3月に追加利上げを行うとの見方が有力。11月の雇用統計の強い結果を受けて、一部には今回の声明がタカ派的なトーンへと変化するとの期待感があります。雇用統計は、失業率が5.9%と前月の6.3%から改善し、2008年2月以来の低水準を記録。就業者数は前月比7.95万人増と、2012年4月以来の強い伸びを示しました。
声明の内容が追加利上げに向けて前進したと受け取れるものになれば、加ドルが上昇するとみられます。一方、前回から声明に大きな変化がみられなければ、タカ派的トーンへの期待感があるだけに失望感が広がり、加ドルが下落する可能性があります。
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