市場調査部エクスプレス オセアニア・レポート

2017/11/10 15:40南アフリカランドが下落傾向。格下げ懸念が下押し圧力に

[レビュー]

10日東京時間の外国為替市場は、方向感に欠ける展開。米ドル/円やクロス円は、おおむね昨日(9日)のNY終値水準を挟んでの“もみ合い”となりました。日経平均が軟調に推移したものの、為替市場に大きな反応はみられませんでした。


[これからの展開]

南アフリカランド安が進んでいます。ランドは、対円で11月9日に約7か月ぶりの安値を記録し、対米ドルも約1年ぶりの安値圏にあります。

足もとのランド安は、南アフリカの格下げ懸念が主な要因と考えられます。

格付け会社のS&Pとムーディーズが11月24日に南アフリカ国債の格付けを発表する予定です。南アフリカの長期債務の格付けについては、外貨建てが大手格付け会社3社のうち、2社(S&Pとフィッチ)がジャンク(投機的)。一方、自国通貨建ては3社のなかでフィッチのみがジャンクであり、S&Pとムーディーズはいずれも投資適格級最低の格付けです。ただし、S&Pとムーディーズともに自国通貨建ての格付け見通しは「ネガティブ(引き下げ方向)」。市場は、今回の見直しで格下げされることを懸念しています。

格下げ懸念の背景として、南アフリカの政局不安のほか、政府が同国の経済成長率見通しを下方修正し、財政赤字が悪化するとの見方を示したことが挙げられます。

南アフリカのズマ大統領は10月17日、突然の内閣改造を発表。自身に批判的なエネルギー相や内務相など6人の閣僚を更迭しました。ズマ大統領は今年3月、財政再建をめぐり対立していたゴーダン財務相を含め9人の閣僚を交代する内閣改造を行っており、前回からわずか7か月で再び内閣を改造しました。

ギガバ財務相は10月25日、中期予算方針を発表。南アフリカの2017年のGDP成長率見通しを2月時点の+1.3%から+0.7%へと下方修正し、財政赤字(対GDP比)見通しを2月時点の3.1%から4.3%へ引き上げました。

さらに11月9日、ズマ大統領が教育無償化の導入を検討していると報道されました。教育が無償化されれば、財政が一段とひっ迫する可能性があります。

11月24日の南アフリカの格付け発表まで、ランドには下押し圧力が加わりやすいと考えられます。

S&Pとムーディーズの両社とも南アフリカの格付けを据え置いた場合、ランドはいったん反発するとみられます。ただし、その場合でも、南アフリカの政局の動向に引き続き注意する必要があります。与党ANC(アフリカ民族会議)党首選が12月に行われる予定です。

(シニアアナリスト 八代和也)

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