市場調査部エクスプレス オセアニア・レポート

2017/08/15 14:52RBAは高水準の家計債務を懸念。住宅市場と家計債務を注視する姿勢を示す

[レビュー]

15日東京時間の外国為替市場では、円が軟調に推移。一時、米ドル/円は110円台半ば、ユーロ/円は130円ちょうど近辺、豪ドル/円は86.70円近辺、NZドル/円は80円台半ばへと上昇しました。朝鮮中央通信が「北朝鮮労働党の金正恩委員長が、何らかの決定を下す前にもう少し米国の行動を注視する姿勢を示した」と伝えたことで、北朝鮮情勢をめぐる懸念が後退。円に下押し圧力が加わりました。

RBA(豪準備銀行)議事録が公表されたものの、為替市場に大きな反応はみられませんでした。


[これからの展開]

RBAは本日(15日)、今月1日の政策会合の議事録を公表しました。会合では、政策金利を1.50%に据え置くことが決まりました。

議事録では、RBAが高水準の家計債務を懸念していることが判明しました。豪州の家計債務は、可処分所得の約190%に達し、過去最高水準にあります。

政策メンバーは、シドニーやメルボルンの住宅価格の上昇が一部鈍化したとしつつも、住宅ローンは依然として所得の伸びを上回っていると指摘。「住宅市場の状況と家計債務を注意深く監視する必要がある」との見方を示しました。

そのうえで、低インフレ環境下で高水準の家計債務に伴うリスクとのバランスをとる必要があることから、政策金利を据え置くとの判断を下したことが明らかになりました。

RBAは7月まで、住宅市場と軟調な労働市場を注視する姿勢を示してきました。今回の議事録では、賃金の伸びが依然として鈍いとしながらも、労働市場の状況が改善するにつれて徐々に加速すると予想。最近の力強い雇用の伸びや最低賃金の上昇が、収入と消費を支援する可能性があるとの見解が示されました。議事録を見る限り、RBAは労働市場に対する警戒感を弱めつつあるようです。

豪ドルに関しては、1日の声明以上の材料はありませんでした。政策メンバーは、米ドルの幅広い下落に伴って豪ドルが上昇したと指摘。「豪ドルの一段の上昇は、成長やインフレ率の鈍化につながる可能性がある」との懸念を示しました。

RBAの議事録の公表が終わり、豪ドルの次の独自材料として、16日の7-9月期賃金価格指数や17日の7月雇用統計が挙げられます。RBAが利上げに慎重な背景に、高水準の家計債務のほか、賃金の伸びの鈍さがあります。賃金価格指数の上昇が加速することが、RBAが利上げを検討し始める条件のひとつと考えられます。賃金価格指数は1-3月期に前年比+1.9%と、過去最低の伸びを記録しました。

(シニアアナリスト 八代和也)

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