市場調査部エクスプレス オセアニア・レポート

2017/07/21 15:50豪ドルが下落する一方、NZドルは上昇。SARBは5年ぶりに利下げ決定

[レビュー]

21日東京時間の外国為替市場では、豪ドルが下落。一時、豪ドル/円は88.16円、豪ドル/米ドルは0.7876米ドルへと値を下げました。RBA(豪準備銀行)のデベル副総裁が、豪ドル高をけん制するとともに、主要国の金融政策の正常化にRBAが追随する必要はないとの見方を示したことで、豪ドルが売られました。

デベル副総裁はアデレードでの講演で、世界的な低金利が豪ドルに上昇圧力をかけると指摘し、「豪ドル高は世界の成長加速の利益を相殺する」と強調。「豪ドルが下落すれば(経済にとって)一段の助けになる」と述べました。

主要国中銀が金融政策の正常化に向かいつつあります。FRB(米連邦準備制度理事会)は2015年12月以降に4回利上げを行い、BOC(カナダ銀行)は今月、約7年ぶりの利上げを実施。ECB(欧州中央銀行)は早期に量的緩和の縮小を開始する可能性を示しました。

デベル副総裁はこうした動きについて、「他の中銀が利上げしたからといって、豪州の金利も自動的に引き上げる必要はない」と強調。また、前回7月4日の会合で中立金利について議論されたことについては、重要な意味はなく「深読みすべきではない」と語りました。

一方、NZドルは上昇。一時、NZドル/円は83.11円、NZドル/米ドルは0.7429米ドルへと上昇しました。NZのジョイス財務相がNZドル高に懸念を示さなかったことが支援材料となりました。ジョイス財務相は、「NZドルはNZの経済の強さを反映している」との見方を示し、「NZ企業はNZドルの現在の水準にうまく対応している」と述べました。


[これからの展開]

SARB(南アフリカ準備銀行)は昨日(20日)、0.25%の利下げを決定。政策金利を7.00%から6.75%へ引き下げました。利下げは2012年7月以来、5年ぶりです。

インフレ見通しが改善するなか、経済成長見通しが悪化したことで、SARBは利下げに踏み切ったようです。0.25%の利下げの決定は、4対2の賛成多数で下されました。

SARBは、GDP成長率見通しやインフレ率(CPI、コアCPI上昇率)見通しを5月時点から下方修正しました。

<GDP、CPI、コアCPI見通し>
( )は5月時点

GDP成長率(前年比)
・2017年:+0.5%(+1.0%)、2018年:+1.2%(+1.5%)、2019年:+1.5%(+1.7%)

CPI上昇率(前年比)
・2017年:平均+5.3%(+5.7%)、2018年:+4.9%(+5.3%)、2019年:+5.2%(+5.5%)

コアCPI上昇率(前年比)
・2017年:平均+4.8%(+5.0%)、2018年:+4.8%(+5.1%)、2019年:+4.9%(+5.3%)

SARBのクガニャゴ総裁は会合後の会見で、「インフレ見通しが著しく改善した」との見方を示し、「インフレ見通しのリスクは均衡している」と指摘。一方で、成長見通しのリスクは下向きとしたうえで、「成長見通しが懸念事項だ」と強調しました。SARBは現時点でインフレよりも景気を懸念しているようです。

クガニャゴ総裁は「将来の金融政策はデータ次第」と述べ、追加利下げの可能性には言及しませんでした。ただ、経済指標で景気の悪化やインフレ率の一段の鈍化が確認されれば、SARBは追加利下げに踏み切ると考えられます。

市場では、SARBは今回の会合で政策金利を据え置くとの見方が有力でした。そのため、利下げはサプライズとなり、利下げ発表後に南アフリカランドが下落しました。今回の利下げは市場にほとんど織り込まれていなかったことから、しばらく材料視される可能性があります。その場合、ランドは上値が重い展開になりそうです。

(シニアアナリスト 八代和也)

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