市場調査部エクスプレス オセアニア・レポート

2017/07/12 13:35方向感を失ったトルコリラ/円、その背景は!?

[レビュー]

12日東京時間の外国為替市場では、円が強含み。一時、米ドル/円は113.32円、ユーロ/円は130.07円、豪ドル/円は86.74円、NZドル/円は82.00円へと下落しました。トランプ米大統領とロシアとの関係をめぐる疑惑(いわゆるロシアゲート)の再燃への警戒感から、リスク回避の動きが強まりました。


[これからの展開]

今週、米ドル/円や豪ドル/円が約4か月ぶり、NZドル/円は約5か月ぶりの高値をつけました。日銀とECB(欧州中央銀行)など他の先進国中央銀行との金融政策見通しの違いを背景に、円売り圧力が強まったことが要因です。

一方で、トルコリラにも売り圧力があるため、トルコリラ/円は31円台を中心に上下動を繰り返し、方向感を失っています。

トルコリラ売りの背景は、以下の2つが挙げられます。
(1)6月下旬以降、ECBの早期のQE(量的緩和)縮小や、BOE(英イングランド銀行)やBOC(カナダ銀行)の利上げ観測が高まったこと。

トルコと欧州やカナダなど先進国との金利差が縮小すれば、高金利通貨としてのトルコリラのメリットが薄れるとの考えができます。また、トルコは慢性的に経常収支が赤字であり、その穴埋めを国外からの投資資金の流入に依存しています。ECBやBOEなどが金融引き締めに動けば、トルコに流れていた資金が逆流(流出)し、トルコは経常赤字を埋めるのが難しくなる可能性があります。

(2)トルコの地政学リスク
エルドアン大統領は7月5日のフランス24とのインタビューで、「トルコは、シリアのクルド人部隊を撃退するために北シリアに軍事介入する用意がある」と語り、シリアへの越境攻撃を行う可能性を示しました。

*******

トルコリラ/円に関しては、FRB(米連邦準備制度理事会)やECBなど主要国の金融政策をめぐる観測や、中東情勢などのトルコの地政学リスクの強弱の影響を受けやすいと見られます。

日足チャートを見ると、トルコリラ/円は90日移動平均線(MA)が下値の重要なラインとして意識されそうです。4月下旬以降、90日MA近辺で反発する展開を繰り返し、6月29日からの反落局面でも90日MAでサポートされたためです。一方、上値メドとして、200日MAや52週MAが挙げられます。7月13日時点で、90日MAは31.01円、200日MAは31.64円、52週MAは7月7日時点で32.27円に位置します。

トルコリラ/円(日足、2017/3/1〜)

出所:M2JFXチャート

トルコリラ/円(週足、2015/1/4週〜)

出所:M2JFXチャート

(シニアアナリスト 八代和也)

--------------------------------------


※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

  • 2019.04.22 14:10 更新BOC(カナダ中銀)は金融政策スタンスをシフトか【ポイント】・24日、BOC政策会合。政策金利は1.75%に据え置かれそう・声明におけるフォワードガイダンスに注目。利上げに言及した文言が削除される可能性あり・…
  • 2019.04.19 14:40 更新カナダドル/円:方向感の乏しい状況は変化するか!?【ポイント】・カナダドル/円は4月1日以降、83円台を中心に上下動を繰り返す・90日移動平均線がサポートラインとして機能する一方、200日移動平均線が上値を抑え…
  • 2019.04.18 15:20 更新豪ドル:豪失業率が若干上昇【ポイント】・雇用が堅調に増加する一方、3月の失業率は若干上昇・RBA(豪中銀)が重視する失業率の上昇は、利下げを促す要因となり得る・ただし、失業率は依然として…
  • 2019.04.17 15:30 更新RBNZ(NZ中銀)は5月にも利下げか【ポイント】・1-3月期CPI上昇率はRBNZの見通しを下回る。RBNZが5月に利下げを行う可能性が高まった・企業信頼感指数(4/30)や雇用統計(5/1)が軟…
  • 2019.04.16 15:28 更新RBA議事録:利下げの可能性に言及。その条件も明示【ポイント】・RBA(豪中銀)議事録は、利上げの確率は低いと指摘・“インフレ率が低水準にとどまり、失業率が上昇を続ければ”、利下げが適切になる可能性も・18日の…

「市場調査部エクスプレス オセアニア・レポート」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ