2017/06/20 15:42RBA議事録はあまり材料視されず。豪ドルは鉄鉱石価格や米金融政策への思惑の影響を受けやすい地合いへ!?
[レビュー]
20日東京時間の外国為替市場では、円が弱含み。一時、米ドル/円は111.73円、ユーロ/円は124.57円、豪ドル/円は84.86円、NZドル/円は80.91円へと上昇しました。日経平均の上昇を背景に、円売り圧力がやや強まりました。
米シカゴ連銀のエバンス総裁が「FRB(米連邦準備理事会)は追加利上げの検討を年末まで待つ価値がある」と発言したものの、為替市場に大きな反応は見られませんでした。エバンス総裁は今年のFOMC(連邦公開市場委員会)で投票権を持ちます。0.25%の利上げを決めた6月13-14日のFOMCでは、賛成票を投じました。
また、RBA(豪準備銀行)議事録が公表されましたが、あまり材料視されませんでした。
[これからの展開]
RBAは本日(20日)、政策金利を1.50%に据え置くことを決定した6日の会合の議事録を公表しました。
議事録では、賃金の伸びの鈍さや、住宅市場の過熱を背景に家計債務が高水準になっていることを懸念し、政策金利を据え置いたことが判明。労働市場や住宅市場の動向が、RBAの今後の金融政策の鍵を握ることが改めて示唆されました。
政策メンバーは、労働市場について、「過去数か月間に雇用の伸びが加速したものの、総労働時間の伸びは鈍化した」と指摘。「労働需要の先行指標は雇用の伸びが続くことを示している」とする一方、「賃金の伸びは依然として鈍く、この状況は当面続く可能性がある」と分析。「所得の鈍い伸びや高水準の家計債務が消費の伸びを抑制している」との見方を示しました。
住宅市場については、「住宅価格が一部の地域で大幅に上昇しているものの、価格圧力が緩和し始めている若干の兆候がみられる」とする一方、「家計の住宅ローン借り入れの増加ペースは、家計所得の鈍い伸びを上回っている」と指摘。「投資家向けやインタレスト・オンリー・ローン(利息のみの返済が可能な融資)を中心に住宅ローン金利が引き上げられたが、それらはまだ十分な効果を発揮していない」との見方を示しました。
議事録では、「労働市場や住宅市場の動向を引き続き、注意深く監視する必要がある」と表明。そのうえで、「入手可能な情報を考慮すると、理事会は緩和的な金融政策スタンスを維持することが、持続可能な経済成長およびインフレ目標の達成と一致していると判断した」としました。
RBAの議事録の公表が終わり、豪ドルの次の独自材料として、7月4日のRBA政策金利発表が挙げられます。それまで豪ドルは、鉄鉱石など資源価格の動向のほか、対米ドルはFRBの今後の利上げペースをめぐる思惑に影響を受けやすいと考えられます。
(シニアアナリスト 八代和也)
20日東京時間の外国為替市場では、円が弱含み。一時、米ドル/円は111.73円、ユーロ/円は124.57円、豪ドル/円は84.86円、NZドル/円は80.91円へと上昇しました。日経平均の上昇を背景に、円売り圧力がやや強まりました。
米シカゴ連銀のエバンス総裁が「FRB(米連邦準備理事会)は追加利上げの検討を年末まで待つ価値がある」と発言したものの、為替市場に大きな反応は見られませんでした。エバンス総裁は今年のFOMC(連邦公開市場委員会)で投票権を持ちます。0.25%の利上げを決めた6月13-14日のFOMCでは、賛成票を投じました。
また、RBA(豪準備銀行)議事録が公表されましたが、あまり材料視されませんでした。
[これからの展開]
RBAは本日(20日)、政策金利を1.50%に据え置くことを決定した6日の会合の議事録を公表しました。
議事録では、賃金の伸びの鈍さや、住宅市場の過熱を背景に家計債務が高水準になっていることを懸念し、政策金利を据え置いたことが判明。労働市場や住宅市場の動向が、RBAの今後の金融政策の鍵を握ることが改めて示唆されました。
政策メンバーは、労働市場について、「過去数か月間に雇用の伸びが加速したものの、総労働時間の伸びは鈍化した」と指摘。「労働需要の先行指標は雇用の伸びが続くことを示している」とする一方、「賃金の伸びは依然として鈍く、この状況は当面続く可能性がある」と分析。「所得の鈍い伸びや高水準の家計債務が消費の伸びを抑制している」との見方を示しました。
住宅市場については、「住宅価格が一部の地域で大幅に上昇しているものの、価格圧力が緩和し始めている若干の兆候がみられる」とする一方、「家計の住宅ローン借り入れの増加ペースは、家計所得の鈍い伸びを上回っている」と指摘。「投資家向けやインタレスト・オンリー・ローン(利息のみの返済が可能な融資)を中心に住宅ローン金利が引き上げられたが、それらはまだ十分な効果を発揮していない」との見方を示しました。
議事録では、「労働市場や住宅市場の動向を引き続き、注意深く監視する必要がある」と表明。そのうえで、「入手可能な情報を考慮すると、理事会は緩和的な金融政策スタンスを維持することが、持続可能な経済成長およびインフレ目標の達成と一致していると判断した」としました。
RBAの議事録の公表が終わり、豪ドルの次の独自材料として、7月4日のRBA政策金利発表が挙げられます。それまで豪ドルは、鉄鉱石など資源価格の動向のほか、対米ドルはFRBの今後の利上げペースをめぐる思惑に影響を受けやすいと考えられます。
(シニアアナリスト 八代和也)
---------------------------------------
※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
バックナンバー
- 2019.02.15 15:43 更新エスコムをめぐる懸念で南アフリカランドに対して下落圧力【ポイント】・エスコム(南アフリカの国営電力会社)が経営危機。公共企業省は実質破たん状態との見解・南アフリカ政府はエスコムを支援する方針。20日に詳細を発表する…
- 2019.02.14 14:25 更新トルコリラは15日の格付け発表が重要!?【ポイント】・S&Pが15日にトルコの格付けを発表する予定・市場は「Bプラス」の格付け、「安定的」の見通しのいずれも据え置きと予想・格付けや見通しが変更…
- 2019.02.13 14:55 更新NZドルが急伸。引き続き堅調に推移する可能性も!?【ポイント】・RBNZ(NZ中銀)は政策金利を据え置き・利上げ開始時期の予想は、“2020年7-9月期”から“2021年1-3月期”に後ズレ・国外経済のリスク増…
- 2019.02.12 12:40 更新13日、RBNZが政策金利を発表。NZドルの行方が決まる!?【ポイント】・RBNZは政策金利を据え置くとみられる・RBNZは利上げ開始時期の予想を後ズレさせる可能性あり[レビュー]12日東京時間午前の外国為替市場では、豪…
- 2019.02.08 16:10 更新豪ドル/米ドルや豪ドル/円が約1カ月ぶりの安値【ポイント】・RBA(豪中銀)は、豪GDP成長率やインフレ率の見通しを引き下げ・RBAは住宅市場の動向を懸念・豪ドルは上値が一段と重くなりそう[レビュー]8日東…
「市場調査部エクスプレス オセアニア・レポート」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。
そのほかのマーケット情報
- 今週はこう動く! マーケット羅針盤 【2019.02.12 更新】今週の注目通貨(ドルストレート)
- 日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカを見る) 【2019.02.16 更新】マーケット: 来週の外為相場、米ドル方向探る
- 日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカを知る) 【2019.02.16 更新】米中協議は進展、それとも不調?
- 日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる) 【2019.02.16 更新】トランプ非常事態宣言、次に起こること
- 週刊2分でわかる豪・NZ 【2019.02.14 更新】NZドルと豪ドル、微妙な違いが相場に反映
- 週刊2分でわかるトルコ 【2019.02.12 更新】トルコリラめぐるリスク、地方選と大統領
- 市場調査部エクスプレス Todays'Flash! 【2019.02.15 08:52 更新】米小売売上高が予想外に減少し、米ドルが下落。本日も米経済指標が材料に!?
- 市場調査部エクスプレス スポットコメント 【2019.02.15 08:03 更新】ブレグジット、メイ首相が英議会で再び敗北。次は?
- 市場調査部エクスプレス 注目のチャート 【2019.02.15 09:11 更新】英ポンド/円、下降モメンタムが強まるポイントは?
- FXニュース 最新のFXニュースヘッドラインを提供しております。
- FXチャート リアルタイムのFXチャートをご覧いただけます。
- 経済カレンダー 市場に影響を与える可能性がある各種経済イベントをカレンダーで提供しております。
- 政策金利データ 主要各国の政策金利表を提供しております。
- ヒストリカルデータ 日足・週足・月足の4本値データをダウンロード提供しております。
- 主要指標 LDN-NY関連・アジア・オセアニア関連の指標を提供しております。
- みんなのリピート 各通貨ペアのリピート注文発注状況および成立状況をご覧いただけます。