市場調査部エクスプレス オセアニア・レポート

2017/04/10 15:30フィッチが南アフリカ国債を格下げ。南アフリカランドは注意が必要

[レビュー]

10日東京時間の外国為替市場では、円が弱含み。一時、米ドル/円は111.54円、ユーロ/円は118.03円、NZドル/円は77.35円へと上昇しました。日経平均の上昇が、円売りの支援材料となりました。

豪ドルは軟調に推移。一時、豪ドル/円は83.33円、豪ドル/米ドルは0.7478米ドルへと値を下げました。豪州の主力輸出品である鉄鉱石の価格下落が、豪ドルの重石となりました。

米セントルイス連銀のブラード総裁が講演で、差し迫った利上げの必要性はないとの見解を示したものの、為替市場に大きな反応はみられませんでした。ブラード総裁は、今年のFOMC(米連邦公開市場委員会)で投票権がありません。


[これからの展開]

格付け会社のフィッチは先週金曜日(7日)、南アフリカ国債(外貨建て)の格付けを投資適格級最低の「BBBマイナス」から投機的等級(いわゆるジャンク)の「BBプラス」へと1段階引き下げました。格付け見通しは「安定的」です。

フィッチは声明で、「ゴーダン財務相を含む大幅な内閣改造によって、南アフリカの経済政策が変更される可能性が高い」と指摘。格下げは、同国の国有企業のガバナンスや財政規律が緩むとの見解を反映していると説明しました。

南アフリカのズマ大統領は3月30日、閣僚9人を交代する内閣改造を断行。緊縮財政を堅持してきたゴーダン財務相を解任し、その後任に金融の経験が乏しく、ズマ大統領に近い、ギガバ内相を任命しました。

S&Pは4月3日、内閣改造によって与党ANC(アフリカ民族会議)内の対立が浮き彫りとなり、南アフリカの政策持続性のリスクが高まったとして、南アフリカ国債(外貨建て)の格付けを「BBBマイナス(投資適格級最低)」から「BBプラス(ジャンク)」へと1段階引き下げました。見通しは「ネガティブ(引き下げ方向)です。

一方、ムーディーズにおける南アフリカ国債の格付けは、「Baa2」。ジャンクから2段階上の投資適格級です。ムーディーズは4月7日に格付けの見直し結果を発表する予定だったものの、内閣改造の影響を見極めるために見送りました。南アフリカ国債の格付け見通しは「ネガティブ」であり、ムーディーズも今後、格付けを引き下げる可能性があります。

南アフリカ国債は、機関投資家がベンチマーク(指標)とする世界国債インデックスに採用されており、投資対象になっています。しかし、S&Pとフィッチの格下げにより、南アフリカ国債は3大格付け会社のうち2社で “ジャンク”となりました。世界の大手投資ファンドの一部は、2 社以上の主要格付け会社から投資適格級の格付けを得ることを投資の最低条件としています。こうしたファンドは今後、独自のルールに基づいて保有分を売却する可能性があります。南アフリカから資金を引き揚げる動きが加速すれば、南アフリカランドにとって打撃になりそうです。


*オレンジが南アフリカ国債の格付け(外貨建て)
出所:Bloombergより作成

(アナリスト 八代和也)

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