市場調査部エクスプレス オセアニア・レポート

2016/08/29 16:45財務相の交代懸念がランドの重石に

[レビュー]

29日東京時間の外国為替市場では、米ドルが強含み。一時、ドル/円は102.30円台へと上昇し、豪ドル/米ドルは0.7524ドル、NZドル/米ドルは0.7209ドルへと下落しました。FRB(米連邦準備理事会)のイエレン議長とフィッシャー副議長の発言を受けて、FRBの早期利上げ観測が高まり、米ドル買いの支援材料となりました。

イエレン議長は26日、米ワイオミング州ジャクソンホールでの講演で、具体的な時期に言及しなかったものの、「追加利上げの根拠がここ数か月で強まっている」と発言。フィッシャー副議長は同日、米CNBCとのインタビューで、9月に利上げが実施される可能性があるとの見方を示しました。ただし、イエレン議長、フィッシャー副議長ともに、追加利上げは経済指標次第と強調しました。

日銀の黒田総裁は27日、ジャクソンホールでの講演で、日本のマイナス金利は下限からかなりの距離があると発言。現在、マイナス0.1%の金利をさらに拡大する余地があるとの見解を示しました。


[これからの展開]

SARB(南アフリカ準備銀行)のミネル副総裁は26日、最近のインフレ見通しの改善は前向きな動きとする一方、「(SARBの)利上げサイクルが終わったと断言することはできない」と述べ、追加利上げの可能性が残っていることを示しました。

ミネル副総裁はCPI(消費者物価指数)上昇率について、2017年半ばまでSARBの目標を上回る状態が続くとの見通しを示しました。CPIの重要なリスク要因として“ランド”を挙げ、グローバルなリスク意識が変化したときには、ランドのトレンドが急速に反転する可能性があると指摘しました。ランドは対米ドルで今年に入ってから反発傾向にあり、年初からの上昇率は8月半ばに一時約17%に達しました。

SARBは今年3月まで3会合連続で利上げを実施した後、5月・7月と2会合連続で政策金利を7.00%に据え置きました。ランド安が進行するなど、インフレ見通しが悪化すれば、SARBは追加利上げに踏み切るかもしれません。

ブルームバーグのエコノミスト調査によれば、14人のうち9人が年内に0.25%の利上げ、5人が据え置きを予想。年内に利上げが行われるとの見方が有力です。

ただし、市場の関心は現在、SARBの先行きの金融政策以上に、同国のゴーダン財務相の進退に向いています。

ゴーダン財務相が国税庁長官時代に、スパイ部門設立に関与したとの疑いでこれまで捜査が進められていましたが、8月23日に「南アフリカ警察の特別捜査部門が、ゴーダン財務相に出頭命令を出した」と伝わりました。かねてより同国の財政再建をめぐりズマ大統領との対立が懸念されていたこともあり、市場ではゴーダン財務相が交代するのではとの懸念が浮上、ランドの重石となっています。市場からの信認が厚いゴーダン財務相が交代することになれば、ランドに一段の下落圧力が加わる可能性があり、注意は必要かもしれません。

(アナリスト 八代和也)

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