2分でわかるアメリカ

2011/05/26取り残される日本


世界的な景気の減速やギリシャをはじめとするヨーロッパの債務問題への懸念などを背景に、ニューヨークの株式相場は上値の重い展開が続いています。しかし、新規株式公開、いわゆるIPO市場は元気です。特に、最近はアメリカで売り上げがゼロまたはほとんどない外国企業のIPOが活気づいています

きのう23日にナスダックで株式公開したロシアのヤンデックスは公募価格を50%以上も上回る水準で取引されました。ヤンデックスは、一言で言えばロシア版グーグル。ヤンデックスの検索サービスは5000万人のユーザーがいて、ロシア国内のシェアは64%です。グーグルの創業者の一人はセルゲイ・ブリン、つまりロシア人ですが、母国では大苦戦しています。

ヤンデックスは2008年に、カリフォルニア州に現地法人を構えましたが、検索の開発拠点で売り上げはありません。つまり、売り上げのほとんどがロシアなのです。しかしウォール街はアメリカ国内で売り上げがあろうがなかろうが関係なく成長が期待できる企業には積極的に投資します。ヤンデックスの前日の終値で計算した時価総額は13億ドル、日本円で1000億円を超えています。  

今月初めにニューヨーク証券取引所に上場した中国版フェイスブックのレンレンの時価総額は日本円で約4000億円、上場まもない中国の出会い系サイトのチューユアンには、日本円で約1000億円の時価総額がついています。

ニューヨーク証券取引所やナスダックなど主要な取引所だけではなく、OTCBBやOTCQXなどのアメリカの店頭市場には、中国や韓国などの企業が資金調達をする例が大幅に増えています。ヤンデックスのCEOは、「これからロシア企業が一斉にアメリカで株式公開するだろう」と話しています。

2010年にアメリカで株式を公開した企業の3分の1が外国企業でした。今年はそれを大幅に上回るペースで外国企業のIPOラッシュが続いています。外国企業が今年に入りアメリカ市場で調達した資金は53億ドル(約4350億円)を超え、過去最高の2006年を既に超えています。

海外企業が世界最大の市場であるアメリカで資金調達、その資金で母国のビジネスの強化や、海外へビジネスを拡大する中、日本企業がアメリカで公開している企業はわずか20程度。それもトヨタやソニーといった企業年齢が30歳を超えた大企業ばかり。日本企業は、この分野でも世界から大きくかけ離れています。

[May 25, 2011] No 010422

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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