2分でわかるアメリカ

2011/05/19大震災で変わった米国カーマップ


アメリカのテレビのローカル枠で、GMやフォードなどの販売店のコマーシャルが最近増えたなと感じていました。新聞を読んでいて、その理由がわかりました。日本車を売りたくても在庫がないからです。

アメリカの自動車販売店、いわゆるカー・ディーラーは、日本がメーカーの系列会社であるのと違い、独立した会社です。100以上の店舗で複数のメーカーのクルマを販売するディーラーがいる一方で、家族経営の1店舗経営のディーラーも少なくありません。

例えば、サンタモニカにあるBMWは家族経営で、ビバリーヒルズのBMWは別な独立した会社です。クルマはディーラーが買い取るため、メーカーの影響力が日本と比べて小さいと言えます。別の言い方をしますと、売れるクルマのディーラーは多くなり、売れないクルマのディーラー数は必然的に少なくなります。

ロサンゼルスを旅行した日本人が、空港を出て最初に気付くことは「日本車が多いこと」です。大雑把に言いますと、3台から4台に1台が日本車です。日本の家電は「ガラパゴス化」の影響もあって大苦戦していますが、日本車はまだまだ売れ筋商品です。しかし、大震災の後、状況が変わりました。

ウォール・ストリート・ジャーナルによりますと、全米15州に211のカー・ディーラーを展開するオート・ネーションは、日本車の入荷が激減したため、日本車の宣伝を取りやめその予算をGMフォードクライスラーの宣伝に振り替えたと伝えています。

オート・ネーションの店舗の中で稼ぎ頭はマージンが大きいレクサスのディーラーです。フロリダ州のタンパにあるレクサスでは毎月24台のRX350を販売するのですが今月の入荷はたった1台。トヨタ店では、平均で毎月58台のカローラが売れますが、同様に1台しか入荷しませんでした。在庫が直ぐに無くなることは明らかです。さらに、パーツも不足しているため、サービスで儲けることも出来ません。ヒューストンを拠点にするグループ・ワンも同様で、トヨタ、日産、ホンダ車の入荷が今月以降、激減しました。

 GMをはじめとするアメリカのビッグスリーの経営が悪化し、ディーラー数が大幅に減りました。さらにガソリン価格が高騰していて、プリウスをはじめとする日本車にとって「大チャンス」です。しかし、大震災の傷は深く、日本車を買いたい人が結局、アメリカ車や韓国のメーカーに流れることは必至です。来年、ロサンゼルスを旅行すると、フリーウェイにヒュンダイのクルマが増えたと感じるかもしれません。 

[May 18, 2011] No 010417

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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