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2011/05/12巨人にかけた不遇のスカイプ


世界で3番目の時価総額のマイクロソフトが、36年の歴史で最大の買い物となるスカイプの買収発表を欧米メディアが詳しく報道、さまざまな話題を提供しました。

まず、マイクロソフトが保有する巨額の現金が話題になりました。SECへの報告によりますと、マイクロソフトは今年3月末時点で501億ドル(約4兆円)の現金を持っています。世界中で事業を展開するマイクロソフトは、保有する現金のほとんどを海外の銀行口座に預けてあります。アメリカ国内に送金、いわゆるレパトリの計画はないとマイクロソフトは示唆しています。

マイクロソフトがスカイプにつけた値段は85億ドル。スカイプの拠点はルクセンブルグにあるため、最終合意に達すればヨーロッパの銀行口座から全額が拠出されるとみられます。世界中に現金があるため、マイクロソフトの買収対象は世界中に広がります。

話題になっている中でもうひとつ興味深いのがスカイプの歴史です。スカイプは、ファイルシェアリング、いわゆるP2Pのカザーを開発したスウェーデン人のニコラス・ゼンストローム氏とデンマーク人のヤヌス・フリス氏の2人が2003年にエストニアのタリンに設立しました。

インターネット経由で高音質のテレビ電話が無料でかけられる手軽さが受けてブレイク、2005年にオークション大手のeBayが26億ドルで買収しました。しかし、シナジーが得られず4年後にeBayはカナダの年金基金シルバー・レイク・パートナーズを含めた投資家グループにスカイプの株式の70%を売却してしまいます。

投資家の出口戦略として独自の株式公開を目指していたのですが、マイクロソフトに売却することで合意しました。スカイプは「フリービジネス」であるため、会員のほんの一部が払う会費が収益源です。それでも去年は8億ドル以上の売り上げを計上したのですが、純利益はわずか。7億ドル近い長期債務が重石になっています。

設立7年でオーナーが3度も替わるという不遇の歴史を持つスカイプですが、ネット戦略でアップルやグーグルに遅れをとるマイクロソフトにとっては、どうしても必要なツールであり、シナジーも期待できるため、やっと居所を得たという感じではないでしょうか。  

[May 11, 2011] No 010412

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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