2分でわかるアメリカ

2011/04/15豪ドル高とオランダ病


通貨が強すぎるとDUTCH DISEASE(オランダ病)になる」と指摘するストラテジストがいます。1960年代、オランダの海域で原油と天然ガスが見つかり当時の通貨だったギルダーが高騰、結果としてオランダの製造業が衰退していった現象を英エコノミスト誌が1977年に「オランダ病」と呼びました。

東日本大震災後に日本円が急騰、G7の協調介入によって円相場が戻りましたが、これ以降、オーストラリアドルの上昇基調が続いています。アメリカとオーストラリアの2年債の利回り格差は4%以上あり、金利が低いドル、そして超低金利の円で調達した資金がオーストラリアに向かっていることが背景の一つです。

資源大国のオーストラリアは、経済成長が高い中国の恩恵を受けることも通貨上昇の背景にあるとみられます。中国への石炭や鉄鉱石の輸出が増えています。コモディティ相場が高いこともオーストラリアドルの支援材料です。

オーストラリアドルは、G7の協調介入後に対ドルで約8%対円で約15%も高くなっています。HSBCのストラテジストが、OECDの購買力平価で計算したところ、オーストラリアドルは37%高いという結果が出ました。

先週金曜日に発表されたシカゴ先物取引委員会のデータでは、オーストラリアドルの対ドルでのロング(買い)ポジションが過去最高まで膨らんでいました。あまりにも急ピッチで通貨が上がったため、オーストラリアが「オランダ病」になるとの声が出始めています。

オーストラリアの製造業というと、GMやフォードのクルマ、UGGのブーツ、ワインなどが思い浮かびます。クルマは国内で主に使用されるとしても、豪ドル高はブーツやワインの輸出に影響が出そうです。

一方で、ヨーロッパは財政問題が深刻、アメリカのFRBが利上げをするのはかなり先、日本は大震災の影響があるため、オーストラリアドルは依然として魅力的だとの見方も少なくありません。高値を更新しているオーストラリアドルを売るのも不安、買うのも不安というのが、いまの投資家心理かもしれません。  

[April 14, 2011] No 010393

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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