2分でわかるアメリカ

2011/03/16世界が固唾を呑む福島第一原発


東日本大震災は欧米メディアが過去に例がないほど手厚く報道しています。特に福島第一原発の事故には敏感で、原子力の専門家が「メルトダウンのリスクが極めて高い」と主張しています。

アメリカでは、1979年にペンシルバニア州スリーマイル島で原発事故が起きました。これをきっかけに新たな原発施設の建設は30年間凍結されていたのですが、オバマ大統領は2012年会計年度の予算で360億ドル(約2兆9000億円)の原発建設への融資保証を提案しました。原油高やメキシコ湾岸の原油流出事故、そして野党の共和党が賛成していることなどが背景です。


  しかし、福島第一原発の事故をきっかけに安全性への疑問が広がり、計画は大きく後退しそうです。エネルギー省の政治顧問を務めたロバート・アルバレス氏は、「政治の津波が起きるかもしれない」とウォール・ストリート・ジャーナルに語っています。 
一方、電力の8割を原発に依存するフランスでも、原発の安全性が大きな議論を呼んでいます。テレビでは爆発の映像を繰り返し流し、「チェルノブイリ級の事故に発展する可能性」を生放送で議論しました。フランス原子力安全局は「チェルノブイリより深刻ではないがスリーマイルより深刻」と評価しています。スイスとドイツは、原子力発電の計画を凍結する方向です。

ニューヨーク・タイムズは、「原発の安全に関する恐怖強まる」と題した記事で、過去の原発の事故で日本の政府や電力会社は正確な情報を開示してこなかったと指摘しています。福島第一原発を訪問したことがある専門家のニルス・ディアズ氏は、「日本の対応は遅く対応を間違った可能性もある」と語っています。

アメリカ国務省は日本への渡航を控えるよう呼びかけ、フランス政府は東京にいるフランス人に国外に出るよう勧めています。外資系企業に勤める友人によりますと、「東京に駐在していた外資系企業の幹部の多くは本国や香港に既に出発しているまたは出発の準備をしている」とのことでした。地震ではなく放射能漏れのリスクに敏感に反応したものです。

くれぐれもお気をつけ下さい。

[March 15, 2011] No 010371

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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