2分でわかるアメリカ

2011/03/03超エリートビジネスマンの落日


「インサイダー情報はどうやったら入手できるのか」。先日、金融セミナーに参加した際、出席者の一人が質問しました。「大企業のトップになるのが一番」と講師は答えました。大企業のトップ同士がゴルフの席などで、株価を動かすヒントになる一言を漏らすことがあるということを比喩したものです。頂点に近ければ近いほどインサイダー情報にアクセスできる可能性が高まります。

アメリカ証券取引委員会(SEC)にインサイダー取引で1日、提訴されたラジャット・グプタ氏は、まさに頂点に限りなく近い人でした。

グプタ氏は、おそらくアメリカだけではなく全世界で最高の経歴を持つエリートビジネスマンの一人と言えます。世界で最も重要な会社とされる経営コンサルタント会社マッキンゼーに34年在籍し、1994年に代表に就任、海外拠点を20も増やし、コンサルタントの数を2倍にしました。

マッキンゼーを離れてからはアメリカの象徴的な航空会社であるアメリカン・エアライン、最強の投資集団であるゴールドマン・サックス、ダウ30構成銘柄でもあるプロクター・アンド・ギャンブル、アメリカを代表するオーディオメーカーのハーマン、そしてGEの部門だったゲンパクトの取締役を務めました。

グプタ氏は、過去にSECに提訴されたジャンクボンドの帝王と呼ばれたマイケル・ミルケン氏や過去最大の証券詐欺事件に発展したマドフ事件のバーナード・マドフ氏より大物だとCNBCは表現しています。

グプタ氏の容疑は、ヘッジファンドにゴールドマン・サックスの増資をバフェット氏が引き受ける非公開情報を漏らし多額の利益をもたらしたことなどですが、グプタ氏は「根拠がない」としています。  

真相解明は時間が解決すると思うのですが、報道などを見る限り限りなく「黒」に近そうです。僕が理解できないのは、富も名誉も名声も手に入れた超がつくエリートがなぜ疑われるような行為をしたのかということです。お金はいくらあっても足りないのでしょうか。

[March 02, 2011] No 010362

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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